プロが解決!電気のギモン
「責任分界点」って何?
〜電力会社とお客さまの境界線〜
電気は、電力会社(送配電事業者)の電柱からお客さまの電気設備に接続されて利用できるようになっていますが、これらの設備がすべて電力会社の設備というわけではありません。どこまでが電力会社の設備で、どこからがお客さまの設備なのか。電気保安のプロである当協会の電気主任技術者が説明します。
引込線と区分開閉器の接続点
責任分界点とは責任を分けている点のことで、電気設備の維持管理などについて電力会社とお客さまの責任範囲を分けている点です。責任には「財産上の責任」と「保安上の責任」の2種類がありますが、通常は一致しています。いずれにしても自家用電気設備はお客さま自身が維持管理して電気の安全を確保する「自主保安」が原則なので、このように責任の範囲を明確にすることが重要なのです。
電力会社から高圧で電気の供給を受ける場合、電力会社の架空配電線から分岐開閉器を組み込んだ引込線を伝って電気が供給されます。それを受給するためにお客さま側ではお客さま敷地内に構内1号柱(自家用構内柱)を設置して、柱の上部に設置した区分開閉器(GR付PAS)の電源側リード線を引込線と接続します。この接続箇所が責任分界点となるのです。
一般家庭にも責任分界点
送電側と受電側の接続点が責任分界点ですが、ここから受電側はまず区分開閉器に受電します。これはお客さま側の設備で万が一短絡事故や地絡事故が発生した際に、停電などの障害をお客さま側の責任分界点内にとどめ、波及事故を防ぐことができるからです。ちなみに、責任分界点の接続工事は電力会社が行う(立ち会う)ので、責任分界点で電気事故が発生した場合は電力会社と連携して対応します。
高圧ではなく、一般家庭や小規模事業所など低圧で電気の供給を受ける場合も責任分界点があります。電力会社の架空配電線から低圧の電気が引込線で各家庭に供給されますが、その引込線と家庭側の引込口配線を接続する引込線取付点が責任分界点。ここから屋内側の設備がお客さまの責任範囲です。ただし電力メーターと分電盤内のリミッターは電力会社の設備です。