省エネレポート
株式会社大洋食品 大村工場さま
契約電力451kWを352kWに軽減
九州電気保安協会では省エネに取り組む企業や施設の皆さまをサポートしています。
今回ご紹介するのは、本物・安心・健康な商品を提供している株式会社大洋食品さま。
海苔事業を展開する大村工場の工場長・音𣷓雅治さんに、節電について語っていただきました。
海苔加工で重要なのは湿度と温度
私ども大村工場では、有明海産を中心とする国産100%の海苔を、1日最大40万枚製造可能なラインで加工し、販売しています。味付海苔や焼海苔の加工で重要なのは工場内の湿度を抑えること。年間通して空調機を稼働して工場内の温度と湿度を調整していますが、近年では4月から気温・湿度とも上昇していくため、空調機がフル稼働になってきます。また、11月から4月までは原料海苔を長期保管するための乾燥作業を行います。この乾燥作業と空調機のフル稼働が重なるとき、さらに工場内の湿度がもっとも上がる梅雨とその後の気温の高い夏季期間が一番電力を使用する時期であり、たびたび最大需要電力が発生していました。そこで電気の使用状況の確認と契約電力を抑えることを目的に、2018年にデマンドを監視するECOねっとシステムを導入しました。
事務所の空調停止と照明OFF
その当時の契約電力が451kW。ECOねっとシステムのモニターを事務所に設置し、目標デマンドを370kWに設定して監視を始めました。
8時から生産作業を開始するために7時には各生産機器の電源を入れなければならないので、7時から生産作業が終了する16時までの時間帯であればいつでも最大需要電力が発生する可能性があります。しかし、モニターから警告アラームが鳴ったとしても、工場の生産ラインを止めることはできませんし、空調設備についても海苔の品質にかかわることなので停止できません。そこで事務所や会議室などを確認し、空調機の運転停止と照明器具の消灯などを行うことにして、なんとか最大デマンドを抑えています。
デマンド計測の単位時刻を回避
そのほかの工夫として、工場内の照明はすべてLEDで、昼休みの1時間は消灯しています。昼休みに生産設備の電源を切ることはできませんが、電気ヒーターの温度を作業中の温度設定(200°C前後)より30°C下げています。また、梅雨から夏季期間中は夜間の工場内の湿度と温度の上昇を抑え、朝からの空調機運転開始時の負荷を軽減するため除湿器を昼夜問わず運転しています。
食堂や更衣室といった一時的に使用する場所の空調については、タイマーで運転・停止時間を設定しています。とくに運転開始時間については、デマンド計測の単位時刻である「00分」「30分」を避ける。たとえば全従業員を収容する大きな食堂では、空調運転開始を昼休み前の11時20分に設定しています。
チームで取り組む省エネ
このような節電によって契約電力を352kWまで下げることができましたが、今年になって最大デマンドを上げてしまって契約電力は390kWに。現在は目標デマンドを350kWに設定して節電に努めています。
当工場は食品の国際規格であるFSSC22000を取得し運用していますが、そこで学んだことの一つは「チームで取り組んでいる意識を持ってもらうことの重要性」。省エネ・節電にも同様のことが言えるのではないかと考えています。毎月1日に全従業員を対象に全体ミーティングを行っており、その中で省エネへの取り組みとして、工場内の不要な照明の消灯など節電への協力を呼びかけています。呼びかけ、意識してもらうことで問題点を見つけ、一丸となって取り組む環境を構築しており、今後もこの環境を維持していけるように努めていきたいと考えています。