ついに頂点を見た(埼玉県高等学校写真展)
本日11月8日(土)埼玉会館で開催されている第42回埼玉県高等学校写真展に本校生徒の作品が出展されているので見に行ってきました。
この写真展は埼玉県高等学校総合文化祭を兼ねており、この展覧会で推薦された作品は、来年7月に秋田県秋田市で開催される文化部のインターハイ、全国高等学校総合文化祭に出展されることとなります。故に、全国の高校生写真家たちにとっては、1年間で最も思い入れのある展覧会であると言えます。
「芸術の秋」を迎えたこの時期、文化部に所属する生徒たちにとってはまさに来夏の全国総文祭への出展権をかけたビッグイベントの時期となっており、11月5日(水)から明日9日(日)まで開催されている写真展を皮切りに、19日(水)から23日(日)までは美術展、26日(水)から30日(日)までは書道展が開催される予定となっています。
本日の写真展には県内72校の写真部員たちの作品の中から975点の作品が出展されました。本年度は「うれしい、たのしい、しあわせ」をテーマとした作品とされ、本校からは写真部員の中から10名の作品が選ばれ展示されていました。
写真展を見に行くといつも感じることですが、展示された作品にはどの作品にも作者が切り取った一瞬の画像の奥に作者が心を奪われたそれぞれのストーリーがあるのであり、その作品に込められた想いを観る側である私たちが感じ取ることができる作品が高い評価を受けるのだと感じています。また、それぞれの作品は作者の感性で切り取られ、その中にどれだけ観る人の心を動かすメッセージを込められるかが評価の分かれ目なのだと感じます。
そうした中で本校生徒の作品は、一昨年度の展覧会で優秀賞を受賞して昨年度の全国総文祭に出展された「最愛」を筆頭に毎回複数名が入選を果たし、県内高校写真部の強豪として常に高評価を受けている実績がありますが、なんと今回は3年生のパスマイカさんの作品「揺れる心、揺れない心」がすべての作品の中の頂点である最優秀賞を受賞する快挙を成し遂げました。最優秀賞は全975点の作品の中でわずか3点しか選ばれないTop of topの作品であり、まさに悲願の受賞であると言えます。本写真展はプロの写真家が審査するのですが、パスマイカさんの作品は、そうしたプロの目から見ても、撮影シーンを選ぶ感性や感じた想いをメッセージとして画像に込める撮影技法、機材の機能を巧みに操る撮影技術など、すべてにおいて高い評価を得た証であると言えます。
パスマイカさんは、生徒会と写真部の二刀流に挑戦し、どちらも中心となっていつも一生懸命に、そして笑顔で成果をあげてきた真の努力人です。本校生徒たちが目指す「文武両道」を体現し、これまでも数々の入選を果たしてきましたが、今回は持ち前の地道な努力で見事に頂点に辿り着いたと言えます。そんなパスマイカさんの栄誉に心から称賛の拍手を送りたいと思います。また、努力を積み重ねた末に頂点に辿り着いたパスマイカさんには、頂点に立った者にしか見えないこれまでとは違った「新たな景色」が見えたはずです。同時にその景色を見たことによって、今まで見えなかった新たな階段も見えたはずです。パスマイカさんにはそうした新たな気付きを糧に更なる精進に繋げてほしいと願うとともに、後輩たちにも自分が見た新たな景色や階段を共有し、南の風の仲間みんなでStep upしてほしいと願います。
本来であれば、パスマイカさんの作品は来年度の全国総文祭に出展されるはずの素晴らしい作品なのですが、パスマイカさんが3年生であり、春には卒業を迎えてしまうことから残念ながらその権利は与えられず、代わりに2月に開催される関東高等学校写真展(関東大会)に埼玉県代表作品として出展されることとなります。
また、この他2年生の臼倉優姫さんの「帰りを待つ」と1年生の岡本莉空くんの「灰色の巨人」が優良賞を獲得しました。臼倉さんの作品は、愛犬が主人の帰りを待ちながら、今か今かと切ない表情を見せる愛らしい場面を、岡本くんの作品は曇天の中、天に向かって伸びるたくさんのポールの背後に銀色に輝くスカイツリーが圧倒的な存在感を放つ姿を捉えた作品でした。どちらも作者が遭遇した瞬間に心を奪われたことが伝わる素晴らしい作品でした。
この他、本校からは2年生の寺田優真くんの「蒼い奔流」、鵜川紗友姫さんの「朱炎の庭」、金子朔來さんの「朱に濡れて」、濱田輝くんの「楽園伝説、ここにあり」、吹澤拓実くんの「灯火に導かれて」、浜田琉海くんの「黎明時」、1年生の後藤匡平くんの「新たな門出」が出展されましたが、惜しくも入選することは叶いませんでした。
展示された作品は、どの作品も迫力があり、今にも動き出しそうな瞬間をうまく切り取ったものばかりで、高校生写真家たちのレベルの高さを感じました。私が一つひとつの作品に見入っていると、突然後ろから「校長先生」と声をかけられました。そこに居たのは2年生の男子部員たちで、他の高校の生徒達の作品を見に来たとのことでした。彼らと話していると、その後次から次へと本校部員たちが現れ、声をかけてくれました。おかげで沢山の写真部員たちとともに作品を鑑賞し、直接激励することができました。彼らは、午後から部の撮影会で東京都の昭和記念公園に向かう途中で立ち寄ったとのことで、きっと様々な作品からたくさんの刺激を受けたことで、今日覗いたファインダーの先に見える景色が少し変わったのではないでしょうか。
写真部の部員たちは、いつ見ても真面目にそして地道に研鑽を積んでいます。また、多くの生徒たちがパスマイカさんと同様に生徒会と兼部して頑張っています。そうした取組はまさに「越南スタイル」を地でゆく本校生徒の姿であると言えます。身近にいる目標であるパスマイカさんの背中を見ながらこれからも飽くなき向上心を持って、人の心に響く作品を撮影し続けてほしいと願います。
頑張れ、越南生!頑張れ、写真部!