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作業員等の触車事故を防止するために

線路内で作業を行っていた作業員や列車見張員が列車と接触し、亡くなるという鉄道人身障害事故(以下「触車事故」という。)が、令和5年4月、12月、令和6年12月と続けて発生しています。

運輸安全委員会発足以降、触車事故は9件発生しており、いずれも作業員等が亡くなっています。

過去の触車事故では、作業工程変更後に再打合せしない、左右の指差確認をせずに線路へ立ち入るなど、触車事故防止のための遵守事項や社内規程が守られていない、又は触車事故防止教育が徹底されていないことが原因となっています。





令和5年4月の触車事故(注記)は、見張り業務に専念する列車見張員を配置していなかったために作業員へ列車接近合図が行われず、作業員が列車の接近に気付かずに作業を継続していたことにより発生したものと推定されていますが、類似の事故は平成29年12月にも発生していました。このような事故が二度と繰り返されることがないよう、触車事故防止のポイントをまとめましたので、今一度ご確認ください。

(注記) 鉄道事故調査報告書 URL:https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2025-2-2.pdf

触車事故を防止するためには、次のことを守ることが大切です

作業前の確認

作業前の打合せの際には、列車見張員の配置場所や携行品、作業員の待避場所、列車接近時における列車見張員と作業員の間の伝達手段などを確認しましょう。

列車見張り業務への専念

列車見張員は、営業中の列車ダイヤの把握や接近の監視、列車接近時の作業員への伝達等を確実に実施するために、必ず列車見張り業務に専念しましょう。

列車見張り業務等の監督

現場の監督者は、列車見張りや待避が適切に行われているか監督しましょう。

触車事故防止関係の規程の整備と見直し

作業員等の安全を確保するため、線路内での作業を行う場合のルールを定め、必要に応じて見直しを図りましょう。

作業員等に対する教育・訓練

作業員等がルールを理解し、それに沿った列車接近合図や待避等を適切に行えるよう、教育・訓練を実施しましょう。

【参考】線路内作業の安全確保のために列車接近警報装置、ウェアラブルカメラ等を活用している例もあります。

こんな触車事故が発生しました!

(1)下り線を列車が通過中、反対側の線路閉鎖前の線路に係員が立ち入り、触車

平成21年2月20日 01時25分頃発生、平成22年2月26日報告書公表

しろまる作業工程の変更が、再打合せを行わず共有されていませんでした。

しろまる社内規定から逸脱した行動や、慣れによる安全に対する認識の希薄化がありました。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2010-1-1.pdf

(2)列車が通過する直前に、作業員が線路内に立ち入ったために触車

平成21年7月3日02時46分頃発生、平成22年7月30日報告書公表

しろまる拡声器不使用、工事の騒音により、待避指示が伝わらなかった可能性があります。

しろまる作業員が立入り時の指差確認をしなかった可能性があります。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2010-3-1.pdf

(3)中継見張員が移動の指示を受けずに線路内に立ち入り、触車

平成24年7月24日12時58分頃発生、平成25年8月30日報告書公表

しろまるホーム横の線路内を列車に背を向けて歩いていました。

しろまる列車接近時、線路外に待避しませんでした。

しろまる工事指揮者が、具体的な見張り位置と移動経路を明確にしていませんでした。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2013-7-1.pdf

(4)作業員が列車の接近後も作業を継続し線路内に立ち入ったため、触車

平成25年2月13日14時45分頃発生、平成27年1月29日報告書公表

しろまる作業員が一人でいる状態になっており、管理・監督が不十分でした。

しろまる作業の安全に係る現場の実態に対する点検が不十分で、作業の現場内に管理が及ばない箇所が生じていました。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2015-1-2.pdf

(5)列車見張員が線路閉鎖を行っていない隣接線路に近づき過ぎたため、触車

平成29年2月11日01時46分頃発生、平成30年1月25日報告書公表

しろまる列車見張員は自分の立哨位置が安全な場所だと思い込んでいた可能性があります。

しろまる事故発生場所がダイヤモンドクロッシングなどの分岐器上で、線形が複雑であったことが関与している可能性が考えられます。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2018-1-5.pdf

説明資料https://jtsb.mlit.go.jp/railway/p-pdf/RA2018-1-5-p.pdf

(6)見張りを立てずに単独で作業を行っていた際、作業員が列車走行中の線路に立ち入り、触車

平成29年12月16日18時37分頃発生、平成30年10月25日報告書公表

しろまる役割分担を決めずに、見張りの準備を行うことなく作業に向かっていました。

しろまる事故発生場所は、シーサースクロッシングなど、多くの分岐器があり、作業者が自分のいる位置を勘違いしていた可能性があります。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2018-7-1.pdf

説明資料https://jtsb.mlit.go.jp/railway/p-pdf/RA2018-7-1-p.pdf

(7)列車接近の合図がなく、作業員が列車の接近に気付かずに触車

令和5年4月11日10時17分頃発生、令和7年3月27日報告書公表

しろまる見張り業務に専念する列車見張員を配置していませんでした。

しろまる保線作業時の安全に関する取扱い、触車事故防止教育が徹底されていなかったことが考えられます。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2025-2-2.pdf

説明資料https://jtsb.mlit.go.jp/railway/p-pdf/RA2025-2-2-p.pdf

(8)見張員が線路に近過ぎる位置で立哨していたため、触車

令和5年12月5日02時22分頃発生、令和7年5月29日報告書公表

しろまる見張員が了承なく移動し、そのことを工事管理者が気付けない体制でした。

しろまる掲出不要の表示標を必要と勘違いし線路に近づいて表示標の視認性を確保しようとした可能性があります。

しろまる夜間工事のため、列車の外形が触車直前まで認識できなかった可能性があります。

鉄道事故調査報告書https://jtsb.mlit.go.jp/railway/rep-acci/RA2025-3-1.pdf

説明資料https://jtsb.mlit.go.jp/railway/p-pdf/RA2025-3-1-p.pdf

(注記)令和6年12月の触車事故は調査中です

参考資料

・過去には、以下の通達が出されています。
平成11年2月22日「作業時における触車事故の防止について」(国土交通省鉄道局)
鉄道局保安車両課長及び施設課長より各地方運輸局鉄道部長あて発出
平成11年9月16日「軌道内等の作業における列車との接触災害防止のためのガイドラインの策定について」(厚生労働省労働基準局)
労働省労働基準局長より都道府県労働基準局長あて発出

・安全啓発リーフレットも作成しておりますので、ご活用ください。
https://jtsb.mlit.go.jp/bunseki-kankoubutu/keihatuleaflet/images/fatal_collision_leaflet.pdf


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