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MGローバー

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曖昧さ回避 この項目では、2000年から2005年まで存在していた自動車会社について説明しています。イギリスの自動車「ローバー」の概要については「ローバー (自動車)」を、その他のローバーについては「ローバー」をご覧ください。
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(2018年12月)

MG ローバー(MG Rover Group)は、2000年に設立されたイギリス自動車会社である。2005年に倒産し、自動車の製造・販売も終了、これにてイギリス資本の自動車メーカー・ブランドは消滅した。

経営破綻後、MGブランドを含む資産の大部分は、中国の自動車会社・南京汽車に売却された。ローバー・ブランドは現在、インドのタタ・モーターズが所有している。

歴史

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2000年まで及び2006年以降のMGの歴史については、MG (自動車)を参照
2000年までのローバーの歴史については、ローバー (自動車)を参照

1994年、ドイツのBMWは、それまで日本の本田技研工業(ホンダ)との提携関係にあったローバー・グループを突如として買収した。

その後ローバー・グループの経営に失敗したBMWは、2000年、グループのうちミニ部門、および商標権としてのトライアンフとライレーを手元に残し、ランドローバー部門をアメリカフォードに売却した。残りの全ては、元ローバー会長のジョン・タワーズ(John Towers)が中心となって設立したイギリスの投資グループ・フェニックス・コンソーシアム(Phoenix Consortium )に対してマネジメント・バイアウト(MBO)により、僅か10ポンド(当時の日本円で約1660円)で売却された。こうして、ブリティッシュ・レイランド時代からの、ローバー、ランドローバー、ミニトライアンフなどのブランドは、それぞれ別個の会社の元に分散することとなった。

ローバー部門等を手にしたフェニックス・コンソーシアムが設立したのが、MGローバー(MG Rover Group )である。同社は資本不足から、BBCの報道でも、経営陣の年金不正問題、工場稼働率の問題、資本力の問題などが盛んに報道されるなどしていた。新型車の開発力の低さを補うために、インドタタ・モーターズと技術・資本提携、その後、中国の光輝自動車と資本提携を行った。タタとの提携は実際に新車発売(タタ・インディカを参照)に結びついたが、光輝との提携はうまくいかず、2004年には中国の上海汽車との資本・技術提携を発表した。中国でアジア向けローバー車の生産を委託する可能性もあるといわれていた。資本提携後、上海汽車がMGローバーを買収するとの噂も報道されたが、当事者は否定した。

2005年4月には上海汽車との提携交渉が決裂し、また英国政府の救済措置は実施されなかったため最終的に倒産。破産管財人としてプライスウォーターハウスクーパース(Price Waterhouse Coopers )の管理下に入り経営破綻した。業者も部品供給を停止し、バーミンガム近郊、ロングブリッジの工場も操業停止した。数日後、MGローバー社は解体され、まず5000人の従業員の内の4000人を解雇した。この直後、英国内外から200社余り企業が経営権獲得に名乗りを上げ、前記の上海汽車もその中にあった。一方でイランロシアの企業の動向も取り沙汰されていた。7月になり、ローバー及びローバーの知的財産を含まないMGを最終的に中国の南京汽車が買収総額最高1億ポンド(約200億円)で経営権を獲得した。上海汽車が渋っていたロングブリッジ工場改修や研究開発センター新設、従業員再雇用等の案を提示したことが決め手となった。

MGの意匠権を引き継いだ南京汽車は、Nac MGとして中国でMG5/MG7の名称でMG ZR及びMG ZTをリファインして製造開始し、イギリスのロングブリッジにおいてはNac MG UKとしてMG TFの再生産を行った。ローバーの知的財産権は上海汽車が主張しており、ROEWE750の名でローバー75を生産、販売した。上海汽車は2007年末に南京汽車を買収し傘下に収め[1] 、MGとROEWEの設計共通化を進めている。

ローバーブランドそのものはフォード・モーター(PAG)が買取り[2] 、2008年にはフォードからインドのタタ・モーターズへ売却され、以後タタが保有している。

キャタピラー社のグループ企業「キャタピラーアンドロジスティクス」が全世界を含めた修理部品供給を行っていたが、2009年3月末でキャタピラー社がローバーのパーツ流通から撤退すると発表した。現在日本国内においては、ローバーの正規輸入パーツは存在しないこととなる。

車種一覧

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ローバー

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MG

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2003年の末には、フォード製のV8エンジンを搭載しイタリアで生産されるスポーツカーMG X-power SV (英語版)が発表された。販売価格が65,000ポンドを超える高額モデルであり、合計63台が生産された。

日本での販売

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2000年以前におけるローバー・グループ車の日本での販売については、ローバージャパンを参照

MGローバー発足以降、同社製乗用車の日本への正規輸入・販売は中止されていた。

2003年7月、オートトレーディングルフトジャパンが日本における正規輸入・販売者となり、ディーラー網「MGローバー・ニッポン」を開業したものの、2005年のMGローバー経営破綻に伴いその事業は終了した。

関連会社

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MGローバー社の親会社である持ち株会社フェニックス・ベンチャー・ホールディングス(Phoenix Venture Holdings Limited )では、自動車生産のMGローバーに加え、複数の関連会社を所有し、レースカー制作開発のMGスポーツ・アンド・レーシング(MG Sports&Racing )、エンジン及び変速機製造のパワートレーン(Powertrain Ltd ) があった。

  • MGスポーツ・アンド・レーシングでは、「MG」のサブブランドとして「X-power」を創設し、ル・マン24時間レースを始めイギリスツーリングカー選手権(BTCC)などのレース活動と、イギリスでの地方ラリーへの参戦もおこなった。また、市販車・チューニング部門で "MG X-power" ブランドでの高級スポーツカーの製造、個人向け競技用車両の製作を行った。上記レース活動用の専用車両には、MG伝統の開発コード"EX"が使用されている。(例:EX257) 2005年からはドイツツーリングカー選手権(DTM)へ参戦する予定だったが、MGローバーの経営破綻により中止されている。
  • パワートレーンでは、ケータハムロータスへのエンジン供給などもおこなった。

関連会社製品

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パワートレーン

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パワートレーン
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MGスポーツ・アンド・レーシング

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X power
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(親会社フェニックス傘下の子会社が保有)

  • 上記車種のレース/ラリーカー・チューニングカー制作、プロトタイプの制作。ローラとも協力。
  • MG X-power SV:日本での発売計画があったとも言われるが、実現しなかった。
  • MG X-power SV-R - SVのバリエーション

関連項目

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脚注

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外部リンク

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(← 1980年代以前) 英国ブランド車種年表 日本市場 1990年以降
種類 1990年代 2000年代 2010年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2
シティ・カー ミニ
スーパーミニ 100 ミニ ミニ
スモール・ファミリー・カー 200/400 200/400
ミッドサイズ・カー 600 Xタイプ
75 75/ZT
エグゼクティヴ・カー 800 800
Sタイプ XF
ラグジュアリー・カー XJ XJ XJ XJ
ミュルザンヌ/コンチネンタル/エイト シルバースピリット/シルバースパー/シルバードーン コンチネンタル・フライング・スパー
シルバーセラフ ゴースト
ターボ アルナージ ミュルザンヌ
パークウォード ファントム
ステーションワゴン 400ツアラー Xタイプエステート
800エステート 75ツアラー/ZT-T
クーペ/オープン 200クーペ/カブリオレ ミニコンバーチブル ミニコンバーチブル
F TF
エラン エリーゼ
800クーペ エキシージ
エスプリ ヨーロッパ
RV8 エヴォーラ
XJ-Sクーペ/XJコンバーチブル XKクーペ/XKコンバーチブル XKクーペ/XKコンバーチブル
DB7/DB7ヴォランテ V8/V8ヴァンテージロードスター
V8 DB9/DB9ヴォランテ
ヴァンテージ V12ヴァンキッシュ DBS
コンチネンタルクーペ/シルバースパー/コーニッシュ コンチネンタルクーペ/コンチネンタルコンバーチブル/ブルックランズ コンチネンタルクーペ コンチネンタルGT/コンチネンタルGTC
コーニッシュ アズール アズール/コーニッシュ ファントムドロップヘッドクーペ
クロスオーバー イヴォーク
フリーランダー フリーランダー 2
SUV ディフェンダー ディフェンダー
ディスカバリー ディスカバリーII ディスカバリー 3 ディスカバリー 4
レンジローバースポーツ
レンジローバー レンジローバー レンジローバー/ヴォーグ
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2
ブリティッシュ・レイランド の盛衰 - 自動車会社とブランド
ブランド 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2008〜
ジャガー SSカーズ ジャガー ジャガー BMH ブリティッシュ・レイランド ジャガー フォード タタ
デイムラー デイムラー BSA BSA
ランチェスター ランチェスター
ミニ BMC [1] オースチン・ローバー BAe BMW ミニ/BMW
ライレー ライレー ナッフィールド・オーガニゼーション BMW
MG モーリス・ガレージ (MG) BMW MGR/PVH 南京汽車
モーリス モーリス モーリス
ウーズレー ウーズレー [2]
オースチン オースチン オースチン
バンデン・プラ バンデン・プラ MGR/PVHフォード [3] 南京汽車フォード
ローバー ローバー ローバー ローバー MGR /PVHBMW [4] フォード タタ
ランドローバー フォード
アルヴィス アルヴィス [5] BAEシステムズ
スタンダード スタンダード スタンダード・トライアンフ レイランド BMH
トライアンフ ドーソン トライアンフ トライアンフBMW [6]
                                                                                                                                                                    

[1] The BMCの英国での商標権はその後MGローバーグループが所有していた(1564704, E1118348)。BMCの子会社がトルコにあったことからトルコの商用車メーカー名にもなっている。

[2] ウーズレーの商標権は自動車に関してのみ南京汽車が所有している。英国の建築資材メーカーであるウーズレー社(Wolseley plc)がウーズレーのその他すべての商標権を保持している。Wolseley plcはウーズレー自動車の生みの親である。

[3] バンデン・プラの商標権はフォードが米国とカナダでの使用権を所有し、その他の地域ではデイムラーのブランドで「ジャガー XJ バンデン・プラ」というモデルがあるため、MGローバーグループがその使用権を所有していた(UK 1133528, E2654481)。その後、MGローバーグループはバンデン・プラ・ブランドを南京汽車に売却した。ローバーが最後にバンデン・プラを使用したのはローバー75・バンデン・プラで、これはリムジンモデルだった。

[4] この時期、ローバーの商標権はBMWが保持しており、MGローバー・グループにライセンス供与されていたのみ。BMWは2006年9月にローバー・ブランドをフォードに売却した。

[5] アルヴィスはブリティッシュ・レイランドからUnited Scientific Holdings plcが1981年に購入している。2002年にはビッカーズ(Vickers Defence Systems)と合併し、アルヴィス・ビッカーズとなった。2004年、アルヴィス・ヴィッカーズはBAEシステムズに買収されている。BAEシステムズは1990年代初頭のオースチン・ローバー・グループ/ローバー・グループを所有した際にはアルヴィスははずされていた。アルヴィス・ブランドの車は1967年から生産されていないが、そのブランド商標権は、BAEに買収されるまでアルヴィス plc傘下のアルヴィス・ヴィークル社(Alvis Vehicles Ltd)が所有していた。

[6] 車両に関する商標としてのトライアンフの使用はBMWとトライアンフ・モーターサイクル社が共有している。BMWが自動車、トライアンフ社がモーターサイクルに対してのもの。トライアンフでの事業は1930年代からすでに分離されていた。

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