有気音
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有気音 | |
---|---|
◌h |
無気音 | |
---|---|
◌˭ |
有気音(ゆうきおん)または帯気音(たいきおん)は、破裂音、摩擦音および破擦音において、調音器官の開放より少し遅れて母音の声帯 振動が始まる子音。閉鎖の開放後に息の流れる音(破擦音の場合は摩擦音)が聞こえる。対義語は無気音。
表記
[編集 ]国際音声字母では [ʰ] 、X-SAMPAでは [_h] であらわされる。
- 古くは [ʻ] を用いることもあった。
ラテン文字表記では h や '(アポストロフィ)を加えることで表されることがある。
- 例: タイ → Thai、平壌 → P'yŏngyang
また、有声音を音素として持たない言語のラテン文字表記では、有声音の文字で無気音を、無声音の文字で有気音を表すことがある。中国語の漢語拼音、朝鮮語の文化観光部2000年式などを参照。
各言語の例
[編集 ]中国語や朝鮮語などでは、有気音と無気音とが弁別的な対立をなしている。
- 中国語の例
- 有気音: 踏 tà [tʰa]
- 無気音: 大 dà [ta]
タイ語では無声有気音、無声無気音、有声音の3種が弁別的に用いられている。
ヒンディー語、ウルドゥー語など、インド系の多くの言語には、有気音と無気音の対立に加え、有声音と無声音の対立を組み合わせて、同一調音部位で4つの子音を弁別的に用いているが、このうちいわゆる「有声帯気音」は音声学的には息もれ声をともなう有声子音であり、無声の帯気音とは機構が異なる。
- 例: ヒンディー語の軟口蓋音 क [ka], ख [kʰa], ग [ga], घ [gɦa]
古典ギリシア語には破裂音に無声無気音・無声帯気音・有声音の三項対立が存在した。現在では無声帯気音は摩擦音に変化している。
アルメニア語の東部方言には無声無気音・無声帯気音・有声音の三項対立が存在する。西部方言では有声音が無声帯気音に合流し、逆に無声無気音が有声音に変化したため、二項対立になっている。
フランス語には有気音は存在しない。リエゾン、エリジオンを起こさない h aspiré を、「有気(音)の h 」と訳す場合がある(「有音の h 」と呼ぶのが普通)が、音声学でいう有気音とは関係ない。
英語では強勢のある音節頭位の無声破裂音(s に続く場合を除く)が、ドイツ語では無声破裂音すべてが、帯気している。しかし無気音と音韻的に異なる音素ではない。
現代アイスランド語の破裂音には有声音がなく、無声無気音と帯気音の対立がある。母音のあとの位置では前気音 (英語版)(ぜんきおん) [hp ht hk] を有する。
参考文献
[編集 ]- Ladefoged, Peter and Sandra F. Disner (2012) Vowels and Consonants, Wily-Blackwell, 『母音と子音:音声学の世界に踏み出そう』田村幸誠・貞光宮城訳、開拓社、2021年. ISBN 978-4758923514
外部リンク
[編集 ]- 子音
- 肺臓気流
非肺臓気流 その他 記号が二つ並んでいるものは、左が無声音、右が有声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。
丸括弧内はIPA子音表(2005年改訂版)に記載されていないもの。- 国際音声記号 - 子音
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