方向キー
方向キー(ほうこうきー)は、キーボードにあるキーで、ユーザーが意図した方向にカーソルを移動させるのに使用する[1] 。カーソルキー、カーソル移動キー(英語: cursor movement keys)ともいい、矢印が刻印されていることから矢印キー(英語: arrow keys)とも呼ばれる[2] 。
概要
[編集 ]多くのキーボードの場合、方向キーはキーボードの下部のメインキーとテンキーの間に配置されている。 「←」「↑」「→」「↓」の4つのキーがセットになっている。 逆向きのT字型(inverted-T)にキーが配置され「↑」↑ は上、「↓」↓ は下、「←」← は左、「→」→ は右に配置されることが多いが、菱型に配置したり、横並びに配置しているキーボードもある。
歴史
[編集 ]マウスが普及する以前、方向キーはスクリーンでカーソルを動かす主要な方法であった。マウスキーは、マウスの代わりに矢印キーでマウスカーソルを操作できるようにする機能である。Amigaには、AmigaOSのWorkbench (英語版)上でマウスカーソル (英語版)を方向キーで動かすための「Amigaキー」がついていたが、大半のゲームではマウスかジョイスティックが必要だった。
1980年代後期から1990年代初期に、ゲームにおける方向キーの使用が再び一般的となった。また、方向キーの代わりにダイヤモンドカーソル(WASDなど)も使用できた。
逆向きのT字型の方向キーの配置は、1982年のDECのLK201 (英語版)以降一般的になった[3] 。
コモドールの一部の8ビットコンピュータでは、方向キーが2つだけであり、シフトキーを使って上下と左右を切り換えていた。
オリジナルのApple Macintoshには、方向キーがついていない。これは、スティーブ・ジョブズの「ユーザーはマウスを使うはずだ」という意向による[4] 。人々に新しいマウスという入力機器に順応させ、ソフトウェア開発会社に、それ以前の文字ベースのソフトウェアを新しいプラットフォームに移植するのではなく、マウスによるデザインに従うよう誘導した[5] 。後に、Appleキーボードにも方向キーが含まれるようになった。方向キーつきの初期のモデルでは、右シフトキーの下に一直線に方向キーが並んでいた。後のモデルで逆T字型の配列になったが、キーの大きさは縦の長さが他のキーの半分になっている。
方向キーの代用
[編集 ]専用の方向キーのないキーボードや、あっても使いにくいなどの理由によって、他のキーが矢印キーの代用とされることがあるが、どのキーを使用するかはシステムによって異なる。
テンキー
[編集 ]かつてのIBMのキーボードでは矢印キーとテンキーが共用で、NumLockキーで切りかえるようになっていた。⟨8⟩で上、⟨4⟩で左、⟨6⟩で右、⟨2⟩で下矢印キーの役割を果たす。
HJKL
[編集 ]UNIXシステムの、viなどで使われる組み合わせで、⟨h⟩で左、⟨j⟩で下、⟨k⟩で上、⟨l⟩で右矢印キーの代用になる[6] 。QWERTY配列の右手のホームポジションで押しやすいように配列されたものである。
FBNP
[編集 ]Emacs系のエディタでコントロールキーとともに使用する。⟨f⟩で右、⟨b⟩で左、⟨n⟩で下、⟨p⟩で上矢印キーの代用になる。それぞれ「forward, backward, next, previous」の頭文字を取ったものである[7] 。macOSでは標準でこれらの編集キーが使用できる[8] 。
ESDX
[編集 ]WordStarやWordMasterなどで使われる組み合わせで、QWERTY配列で左手で直感的に扱えることを特徴とし、ダイヤモンドカーソルと呼ばれる。コントロールキーとともに⟨E⟩で上、⟨S⟩で左、⟨D⟩で右、⟨X⟩で下矢印キーの代用になる[9] 。
WASD
[編集 ]ゲームで矢印キーのかわりに使われるもので、QWERTY配列において、WASDでは⟨W⟩で上、⟨A⟩で左、⟨S⟩で下、⟨D⟩で右矢印キーの代用になる。Quake用の人気あるキーバインドとして普及した[10] 。WASDを一段右にずらしたESDFや、さらに右にずらしたIJKLなどの組み合わせも使用される。
脚注
[編集 ]- ^ 'Inside Macintosh', by Caroline Rose, Bradley Hacker, Apple Computer, Inc. Published 1985, Addison-Wesley Pub. Co. ISBN 0-201-05409-4. Original from the University of Michigan; Digitized Nov 16, 2007.
- ^ Visual editing on unix By B. Srinivasan, K. Ranai Published 1989 World Scientific Text editors (Computer programs) 182 pages ISBN 9971年5月07日70-6
- ^ "The Nerd Corner: Inverse-T History". 2016年4月7日閲覧。
- ^ "Apple's Steve Jobs Hates Buttons". CBS News. http://www.cbsnews.com/stories/2007/07/25/the_skinny/main3095726.shtml
- ^ "History of computer design: Macintosh". 2013年1月21日閲覧。
- ^ Basic vi Commands, Oracle Help Center, https://docs.oracle.com/cd/E19253-01/806-7612/editorvi-43/index.html
- ^ "Changing the Location of Point", The Emacs Editor, https://www.gnu.org/software/emacs/manual/html_node/emacs/Moving-Point.html
- ^ 『Mac のキーボードショートカット』Apple。https://support.apple.com/ja-jp/HT201236 。
- ^ 『ダイヤモンドキー』ASCII.jpデジタル用語辞典。https://yougo.ascii.jp/caltar/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%BC 。
- ^ 小野不穏『FPSにおけるWASD設定の起源について1』Videogame Drome、2015年9月13日。http://vgdrome.blogspot.com/2015/09/fpswasd1-doom.html 。
関連項目
[編集 ]Windowsの日本語109/106キーボード
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注 : 図は109キーボードのもの。106の場合は「Win」記載のWindowsキー2つと、「Appl.」記載のアプリケーションキーが無い。なお各キートップの印字は、Windowsキーは「田」に似た形のWindowsロゴマーク、アプリケーションキーは「≣」(4つの横線)に似た形のコンテキストメニューのマークが多く使用されている。 |