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冠動脈のShaher分類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

冠動脈のShaher分類とは、完全大血管転位症(cTGA)における冠動脈走行の形態を分類したものである。cTGAの解剖学的根治術であるジャテン手術を行う際には冠動脈を大動脈起始部から肺動脈(=新大動脈)に移植する必要があるため、その走行形態を正しく認識することが必須となる。


分類

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Shaher分類では、冠動脈の走行を以下の9通りに分類し、そのうちの一部は更に細分類される[1]


  • Shaher 1型
左冠動脈(LCA)と右冠動脈(RCA)がそれぞれ別個に起始し、LCAが左前下行枝(LAD)と回旋枝(CX)に分岐する形態。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 2型
CXとRCAが同じ弁尖から起始、もしくはCXがRCAから分岐し、LADのみ別の弁尖から起始する形態。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 3型
単冠動脈の形態。起始する場所と、その後の走行・分岐により4つに分類される。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 4型
1本の冠動脈が分岐しLAD領域ともう一方は大動脈の前方を回ってRCA領域に向かって走行し、CXは別の弁尖から単独で起始している形態。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 5型
2本の冠動脈が同じ弁尖から起始する形態。更に4通りに細分される。Shaher 5dはジャテン手術の適応にならない。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 6型
1本のLADと、もう1本の冠動脈が分岐してRCA領域とCXにも枝をだしている形態。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 7型
単冠動脈に加えて小さな分枝がもう1本起始している形態。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 8型
Shaher 1と似ているが、RCAからもCX領域への分枝が出ている形態。


Shaher classification of TGA


  • Shaher 9型
1本の冠動脈が肺動脈の後方を回ってCXとLADに分岐し、別の弁尖から起始したもう1本の冠動脈が大動脈の前方を回ってRCA領域に灌流する形態。


Shaher classification of TGA


頻度

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それぞれの分類の発生頻度は、Shaher 1型が66.9%、2型が16.1%、3型が全て合わせて5.6%、4型が4.2%で、1型から4型が大半を占めている[2]

脚注

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  1. ^ Shaher RM, Puddu GC. Coronary arterial anatomy in complete transposition of the great vessels. Am J Cardiol. 1966 Mar;17(3):355-61.
  2. ^ Wernovsky G: Transposition of the Great Arteries. in "Moss' Heart Disease in Infants, Children, and Adolescents (6th ed)", Lippoincott Williams and Wilkins, Philadelphia, 2001, p127.

関連項目

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疾患
心疾患
不整脈
徐脈性
頻脈性
上室性
心室性
虚血性疾患
弁膜症
先天性心疾患    
心内膜心筋心膜疾患
心内膜疾患
心膜疾患
心筋疾患
血管疾患
大血管
動脈
静脈
 
治療
外科的治療
冠動脈バイパス術 (CABG)
弁膜症手術
小児心臓外科
心不全外科
不整脈外科
大動脈手術
末梢血管手術
内科的治療
循環作動薬
抗不整脈薬
心不全治療薬
狭心症治療薬
降圧薬
血管内治療

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