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レパグリニド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レパグリニド
IUPAC命名法による物質名
  • (S)-(+)-2-ethoxy-4-[2-(3-methyl-1-[2-(piperidin-1-yl)phenyl]butylamino)-2-oxoethyl]benzoic acid
臨床データ
販売名 Prandin
Drugs.com monograph
MedlinePlus a600010
ライセンス EMA:リンク US FDA:リンク
胎児危険度分類
  • AU: C
  • US: C
    法的規制
    投与経路 経口
    薬物動態データ
    生物学的利用能 56% (経口)
    血漿タンパク結合 >98%
    代謝 肝臓における酸化およびグルクロン酸抱合 (CYP3A4酵素により触媒される)
    半減期 約1時間
    排泄 糞便中(90%) および 尿中(8%)
    識別
    CAS番号
    135062-02-1
    ATCコード A10BX02 (WHO )
    PubChem CID: 65981
    DrugBank DB00912
    ChemSpider 59377  チェック
    UNII 668Z8C33LU  チェック
    KEGG D00594  チェック
    ChEMBL CHEMBL1272  チェック
    化学的データ
    化学式 C 27H 36N 2O 4
    分子量 452.586 g/mol
    • O=C(O)c1ccc(cc1OCC)CC(=O)N[C@H](c2ccccc2N3CCCCC3)CC(C)C
    • InChI=1S/C27H36N2O4/c1-4-33-25-17-20(12-13-22(25)27(31)32)18-26(30)28-23(16-19(2)3)21-10-6-7-11-24(21)29-14-8-5-9-15-29/h6-7,10-13,17,19,23H,4-5,8-9,14-16,18H2,1-3H3,(H,28,30)(H,31,32)/t23-/m0/s1 チェック
    • Key:FAEKWTJYAYMJKF-QHCPKHFHSA-N チェック
    テンプレートを表示

    レパグリニド(Repaglinide)は、ミチグリニドナテグリニド等と同じフェニルアラニン誘導体であり、グリニド系と呼ばれる群に属する経口糖尿病薬の一つである。1983年に発見された。膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進する。日本では商品名シュアポストで、大日本住友製薬により販売されている。米国では Prandinである。

    各国での商品名

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    カナダでは GlucoNorm、エジプトでは Repaglinide、他の地域では NovoNorm という名称でデンマークの製薬企業ノボ ノルディスクにより販売されている。

    効能・効果

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    2型糖尿病[1] で食事療法・運動療法の効果が不充分な場合[2] に適用される。

    食事療法・運動療法を充分に行いなお、効果が不充分な場合に用いられる。

    薬理作用

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    レパグリニドは膵臓ランゲルハンス島β細胞の細胞膜にあるATP依存性カリウムチャネルを閉鎖する。その結果β細胞が脱分極して細胞のカルシウムチャネルが開き、カルシウムがβ細胞内に流入してインスリンを放出する[2] スルホニルウレア系の薬剤と同様の薬理作用を示すが、作用時間が短く、スルホニルウレア系の薬剤と比べ、低血糖発作を起こしにくいといわれている。

    禁忌

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    下記の患者には禁忌である[1]

    • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の患者
    • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
    • 妊婦または妊娠している可能性のある婦人
    妊婦での安全性は確立されていない[2] 。有害事象が起こらなかったとの報告が1例のみ存在する[3]
    • 製剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者

    英語の添付文書ではさらにゲムフィブロジル(日本では承認申請取り下げ)を服用中の患者は禁忌とされている[2]

    肝機能障害または重度の腎機能障害を有する患者、インスリン製剤を投与中の患者等には慎重に投与すべきである[1] [2]

    副作用

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    重大な副作用として、低血糖(15.1%)、肝機能障害(0.4%)、心筋梗塞(頻度不明)がある[1] 他、下痢、嘔気/嘔吐、体重増加などが報告されている。

    英語版添付文書では心筋梗塞(2%)のほか、狭心症(1.8%)、心血管死(0.5%)が重篤な副作用とされている[2]

    薬物相互作用

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    レパグリニドはCYP3A4酵素の基質となる物質であり、シクロスポリンクラリスロマイシンアゾール系抗真菌薬(イトラコナゾールケトコナゾール)と同時に使用すべきではない。レパグリニドと上記の薬剤を同時に内服すると、レパグリニドの血漿中濃度の上昇を来たし、低血糖を起こす恐れがある。

    リファンピシンの薬物代謝酵素誘導により、レパグリニドの血中濃度が低下する可能性があり、血糖降下作用を減弱することが予想される。

    クロピドグレル(CYP2C8阻害薬)と併用すると、急激に血糖値が低下する[4] 。両薬剤を同日(同時ではなくとも)に服用すると、レパグリニドの血中濃度は5倍に上昇する。

    レパグリニドはスルホニルウレアと同様の作用機序であるので、併用すべきでない[2]

    開発の経緯

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    レパグリニドの元となった薬剤は1983年に発見され、1990年にベーリンガーインゲルハイムが買収合併により権利を獲得した。レパグリニドはノボ ノルディスクにライセンス供与され、米国FDAに1992年4月に新薬臨床試験 (英語版)開始届が提出された。その後1997年7月に新薬承認申請資料が提出され、同年12月に速やかに承認された。

    日本ではノボ ノルディスクが開始した医薬品開発を大日本住友製薬が2004年に引き継ぎ、2011年1月に承認を取得した。

    米国での商品名 Prandin は、作用時間が prandium(ローマの昼食)に掛かる時間と近い事から名付けられている[5]

    出典

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    1. ^ a b c d "シュアポスト錠0.25mg/シュアポスト錠0.5mg 添付文書" (2016年1月). 2016年4月4日閲覧。
    2. ^ a b c d e f g "DailyMed - REPAGLINIDE - repaglinide tablet". dailymed.nlm.nih.gov. 2015年11月4日閲覧。
    3. ^ Mollar-Puchades, M. A.; Martin-Cortes, A.; Perez-Calvo, A.; Diaz-Garcia, C. (2007年01月01日). "Use of repaglinide on a pregnant woman during embryogenesis". Diabetes, Obesity & Metabolism 9 (1): 146–147. doi:10.1111/j.1463-1326.2006.00629.x. ISSN 1462-8902. PMID 17199735 . http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17199735 . 
    4. ^ http://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2015/54454a-eng.php
    5. ^ "Welcome to Novo Nordisk A/S" (英語). www.novonordisk.com. 2015年11月5日閲覧。

    外部リンク

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