モデナの三連祭壇画
イタリア語: Trittico di Modena | |
作者 | エル・グレコ |
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製作年 | 1567-1568年 |
種類 | 板上にテンペラ |
寸法 | 37 c×ばつ 23.8 cm (15 in×ばつ 9.4 in) |
所蔵 | エステンセ美術館 (英語版)、モデナ |
『モデナの三連祭壇画』(モデナのさんれんさいだんが、伊: Trittico di Modena、英: Modena Tryptich) は、ドメニコス・テオトコプーロスとしても知られているギリシア・クレタ島出身のマニエリスム期のスペインの巨匠エル・グレコが1567-1568年に板上にテンペラで制作した三連祭壇画である。本作はイタリアの美術史家ロドルフォ・パルッキーニ (イタリア語版)がエル・グレコ作として以来、真贋論争があった[1] が、今日ではエル・グレコがクレタ島からヴェネツィアに到着してまもない時期に制作した真作として定着している。小品とはいえ、画家がヴェネツィアにおいて構図や色彩、図像の面でギリシアのイコン画家を脱して、西欧型油彩画家に転身した記念すべき作品である[2] 。作品はモデナのエステンセ美術館 (英語版)に所蔵されている[3] 。
解説
[編集 ]この携帯用祭壇画には両面に絵画が描かれており、イタリア・ルネサンス期の額縁に収められている。表側には「羊飼いの礼拝」、「騎士に冠を授けるキリスト」、そして「キリストの洗礼」が描かれており、裏側には「受胎告知」、「シナイ山の眺め」、「アダムとエバ」が表されている。祭壇画は全体として対抗宗教改革の理念を視覚化している。「騎士に冠を授けるキリスト」はカトリック教会の勝利をたたえるものである[2] 。天上の教会=イエス・キリストは受難の象徴を抱える天使たちに取り巻かれて、死と悪魔に勝利するものとして福音書記者たちの象徴が支える福音書の上に立っており、地上の教会=騎士 (聖人) に冠を授けている。罪人たちは、画家が後の『イエスの御名の礼拝』(エル・エスコリアル修道院) で描く海の怪獣の口を象った地獄に飲み込まれている。この激しい色彩のなかに配置されている人物たちの人体造形にはポスト・ビザンチン美術の様式が色濃く残っているが、様々な要素やその組み合わせには16世紀ヴェネツィアの版画を初めとする西欧絵画の影響が見られ、背後の彩色もビザンチン様式のものではない[1] 。
裏側の「シナイ山の眺め」では旧約聖書の生地であるエジプトのシナイ山の風景と、その麓に聖カタリナ修道院 (アギア・エカテリニ修道院) が描かれている。 そこには、まるで天国に行く途中のように修道院に赴く途中の巡礼者たちも描かれている[4] 。情景の暗鬱なムードは、エル・グレコ後年の『トレド風景』 (メトロポリタン美術館) を予感させる[2] 。
脚注
[編集 ]- ^ a b 『カンヴァス世界の大画家 12 エル・グレコ』、1982年刊行、76頁 ISBN 4-12-401902-5
- ^ a b c 『もっと知りたいエル・グレコ 生涯と作品』大高保二郎、松原典子著、2012年刊行、14-15頁 ISBN 978-4-8087-0956-3
- ^ エステンセ美術館 (英語版)の本作のサイト [1] 2022年12月28日閲覧
- ^ Webgallery of Art
外部リンク
[編集 ]肖像画 | 『ジュリオ・クローヴィオの肖像』(1571年頃) · 『ロウソクに火を灯す少年』(1571-1572年) · 『胸に手を置く騎士』(1580年頃) · 『フランス王聖ルイ』(1592-1595年頃) · 『アントニオ・デ・コバルビアスの肖像』(1595-1600年) · 『自画像』(1595-1600年) · 『枢機卿フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラの肖像』(1600年頃) · 『ホルヘ・マヌエル・テオトコプリの肖像』(1597-1603年頃) · 『若い貴紳の肖像』(1600-1605年頃) · 『修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像』(1609年頃) · 『枢機卿フアン・パルド・デ・タベーラの肖像』(1609年) · 『フランシスコ・デ・ピサ博士の肖像』(1610-1614年) |
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宗教画 | 『モデナの三連祭壇画』 (1567-1568年頃) · 『最後の晩餐』(1568年) · 『盲人の治癒(ドレスデン)』(1567-1570年頃) · 『エジプトへの逃避』(1570年頃) · 『受胎告知(1570年)』(1570-1572年) · 『盲人の治癒(パルマ)』(1571-1572年) · 『神殿を浄めるキリスト(ミネアポリス) 』(1570-1575年) · 『受胎告知(ティッセン=ボルネミッサ美術館)』(1575-1576年頃) · 『イエスの御名の礼拝』(1577-1579年) · 『聖衣剥奪』(1579年) · 『聖セバスティアヌ』(1576-1579年) · 『聖母被昇天』(1577-1579年) · 『聖三位一体』 (1577-1579年) · 『悔悛するマグダラのマリア(ウスター美術館)』(1577-1580年) · 『聖マウリティウスの殉教』(1580-1582年) · 『十字架を担うキリスト(メトロポリタン美術館)』(1577-1587年) · 『オルガス伯の埋葬』(1586-1588年) · 『聖ペテロの涙(ボウズ美術館)』(1580-1589年) · 『聖ペテロと聖パウロ』(1587-1592年頃) · 『十字架上のキリストと礼拝する2人の寄進者』(1590年頃) · 『十字架を担うキリスト(カタルーニャ美術館)』(1590-1595年)『ゲッセマネの祈り』(1590-1595年) · 『聖家族(タベーラ施療院)』(1590-1596年) · 『聖アンデレと聖フランチェスコ』(1595-1598年) · 『聖マルティヌスと乞食』(1597-1599年) · 『聖母子と聖アグネスと聖マルティナ』(1597-1599年) · 『神殿を清めるキリスト(ロンドン)』(1600年頃) · 『受胎告知 (1600年)』(1596-1600年) · 『羊飼いの礼拝 (ルーマニア)』(1596-1600年) · 『 キリストの洗礼 (1600年)』(1596-1600年) · 『 キリストの磔刑 (1600年)』(1596-1600年) · 『 キリストの復活 (1600年)』(1596-1600年) · 『聖霊降臨』(1596-1600年) · 『聖ヨセフと幼子イエス(サンタ・クルス美術館)』(1600年頃) · 『聖イルデフォンソ(イリェスカス)』(1597-1603年) · 『聖母戴冠(イリェスカス)』(1603-1605年) · 『受胎告知(イリェスカス)』(1603-1605年) · 『慈愛の聖母(イリェスカス)』(1603-1605年) · 『十字架を担うキリスト(プラド美術館)』(1597-1607年) · 『学者の姿をした聖ヒエロニムス』(1609年) · 『羊飼いの礼拝 (メトロポリタン美術館)』(1605-1610年頃) · 『無原罪の御宿り』(1607-1613年) · 『黙示録第5の封印』(1607-1613年) · 『キリストの洗礼(タベーラ施療院)』(1608-1614年) · 『羊飼いの礼拝 (プラド美術館)』(1612-1614年頃) |
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