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パルナッソス (プッサン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『パルナッソス』
英語: Parnassus
スペイン語: El Parnaso
作者ニコラ・プッサン
製作年1631-1633年
種類キャンバス油彩
寸法145 c×ばつ 197 cm (57 in×ばつ 78 in)
所蔵プラド美術館マドリード
パルナッソス』(1509-11年)、ラファエロ・サンティバチカン宮殿ラファエロの間

パルナッソス』(: Parnassus西: El Parnaso) 、または『アポロとミューズ』(: Apollo and the Muses)は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンが1631年から1633年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。1714年にロッテルダム競売スペイン・ブルボン家の最初の王フェリペ5世が獲得し、1746年にサン・イルデフォンソのラ・グランハ宮殿の目録で最初に言及された[1] 。現在、マドリードプラド美術館に所蔵されている[1] [2] [3]

作品

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作品の制作は、バチカン宮殿の署名の間にあるラファエロフレスコ画パルナッソス』に触発されている[1] 。実際、バランスの取れた構図と柔和な色彩はラファエロへの賛辞と考えられる[2] 。また、美術史家 エルヴィン・パノフスキーによれば、本作は、ローマにおけるプッサンの恩人であった詩人ジャン・バッティスタ・マリーノ (英語版)へのオマージュでもある[3]

文芸と文学の神アポロンの神託所デルフォイの北東にあるパルナッソス山に、アポロンと9人のミューズ (女神) たちが集っている。プッサンは、そこに9人の詩人が訪れる場面を想像して本作を描いた[2] 。前景にあるカスタリアの泉はその水を飲んだものに霊感を与えるもので[2] 、横たわるニンフはその泉の化身である。彼女は右手にアトリビュート (人物を特定する事物) である壺を持っている[3] 。前景にいるプットたちは泉の水を詩人たちに捧げている[1]

一番高い所に座っているのがアポロンで、その前に跪いている詩人マリーノに神の飲み物であるネクタール () を差し出している[1] 。マリーノは、アポロンの左隣にいる叙事詩のミューズ、カリオペから英知の象徴である月桂樹の冠を授けられている[1] 。彼は手に自身の著書『アド―ネ』と『嬰児虐殺』の2冊を持っており、それらをアポロンに捧げている。マリーノの頭部の横には牧羊神パンの笛パイプが見えるが、これは彼の抒情詩『ザンポーニャ』を暗示し、空中に舞うプットが手にしている楽器のリラ・ダ・ブラッチョノ (英語版) は彼の作品『ラ・リラ』を物語っている[3]

後景にいるミューズたちは、左からそれぞれ喜劇のタレイア (手に仮面を持つ)、天文術のウーラニアー (星の光る杖を持つ)、歴史のクレイオー、悲劇のメルポメネー (仮面を持つ)、舞踊のテルプシコラー (踊っている)、抒情詩のエラトー、讃歌のポリュムニアー、音楽のエウテルペー (牧羊神の笛パイプを持つ)、叙事詩のカリオペである。マリーノ以外にも、前景には8人の月桂樹の冠を被った詩人がおり、そのうち左手にいるのはサッフォーホメロスウェルギリウスである[3]

脚注

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  1. ^ a b c d e f "Parnassus". プラド美術館公式サイト (英語). 2023年3月11日閲覧。
  2. ^ a b c d 国立プラド美術館 2009, p. 387.
  3. ^ a b c d e 辻邦生・高階秀爾・木村三郎、1984年、83頁。

参考文献

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外部リンク

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宗教画

キリストの哀悼』(1628年)  ·幼児虐殺』(1625-1632年)  ·アシドドのペスト』(1628-1630年)  ·黄金の子牛の礼拝』(1633-1634年)  ·人々に洗礼を授ける聖ヨハネ』(1635-1637年頃)  ·マナの収集』(1638-1639年) ·川から救われるモーセ』(1647年)  ·エリエゼルとリベカ』(1648年)  ·ソロモンの審判』(1649年)

神話画・歴史画

ミダース王とバッカス』(1624年頃)  ·パクトロス河で身体を洗うミダース王』(1627年頃)  ·ゲルマニクスの死』(1627年)  ·エコーとナルキッソス 』(1629年頃)  ·詩人の霊感』(1629-1630年頃)  ·マルスとヴィーナス 』(1630年頃)  ·フローラの王国』(1631年)  ·パルナッソス』(1631-1633年)  ·ティトゥス帝によるエルサレムの神殿の破壊』(1635年)  ·サビニの女たちの掠奪』(1633-1634年)  ·人生の踊り』(1634-1636年頃)  ·パンとシュリンクス』(1637年)  ·我アルカディアにもあり』(1637-1638年頃)

風景画

パトモス島の聖ヨハネのいる風景』(1640年)  ·ポリュペーモスのいる風景』(1649年)  ·オルフェウスとエウリュディケーのいる風景』(1650年頃)  ·日の出を探す盲目のオリオン』(1658年)  ·』(1660-1664年)  ·』(1660-1664年)

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