ヌセルト数
ヌセルト数(ヌセルトすう、英: Nusselt number :Nu )はドイツの ヴィルヘルム・ヌセルトに因む無次元量で、伝熱の分野で、対流による熱伝達と流体(静止している流体)の熱伝導の比率を示す。対流が生じていなければ Nu = 1 である。
定義
[編集 ]ヌセルト数は次で定義される:
- {\displaystyle Nu={\frac {\alpha L}{\lambda _{\mathrm {l} }}}}
利用法
[編集 ]自然対流
[編集 ]- {\displaystyle Nu\propto Ra^{1/3}}
となることが予想される[要出典 ]。実験的にはRa > 105 の条件において
- {\displaystyle Nu\approx 0.13Ra^{0.30}}
で近似できることが確かめられている。
強制対流
[編集 ]強制対流熱伝達の場合、熱伝達率αは以下の物理量などの影響を受ける:
- L :代表長さ [m]
- U :代表速さ [m/s]
- Tw :物体の表面温度 [K]
- T∞ :流体の温度 [K]
- ρ :流体の密度 [kg/m3]
- η :流体の粘度 [Pa s]
- λ :流体の熱伝導率 [J/(m s K)]
- cp :流体の比熱 [J/(kg K)]
- β :流体の体膨張係数 [1/K]
これを無次元数の関係式にすると、ヌセルト数Nu はレイノルズ数 Re 、プラントル数 Pr 、グラスホフ数 Gr 、エッカート数 Ec 、無次元温度Tw / T∞ の関数で表される[1] :
- {\displaystyle Nu=Nu\left(Re,Pr,Gr,Ec,{\frac {T_{\mathrm {w} }}{T_{\infty }}}\right)}
たとえば、平板と、それに平行に流れる一様な流れの間の熱伝達は
- {\displaystyle Nu={\begin{cases}0.664Re^{1/2}Pr^{1/3},&Re<3.2\times 10^{5}\0円.037Re^{0.8}Pr^{1/3},&Re>3.2\times 10^{5}\end{cases}}}
という関係で表される[2] 。ただし、レイノルズ数の代表長さと代表速度には、平板先端からの距離および一様流の速度をとる。
また、球体が一様な流れの中にある場合、次のランツ・マーシャル(Ranz-Marshall)の式が成り立つ[2] [注 1] 。
- {\displaystyle Nu=2+0.6Re^{\frac {1}{2}}Pr^{\frac {1}{3}},\quad Re<1000}
脚注
[編集 ]- ^ 条件についてはRe < 200, Pr < 250という記述もある。
参考文献
[編集 ]- ^ 望月貞成、村田章『伝熱工学の基礎』日新出版、1994年。ISBN 4-8173-0166-X。
- ^ a b 谷口尚司; 八木順一郎『材料工学のための移動現象論』東北大学出版会、2001年、48頁。ISBN 4-925085-44-1。
関連項目
[編集 ]- シャーウッド数 - 物質移動係数を無次元化したもので、ヌセルト数と類似の相関式が成り立つ。
アーセル数 - 圧力係数 - アトウッド数 - アルキメデス数 - イリバレン数 - ウェーバー数 - ウェーバーの火炎速度数 - ウォーリスパラメータ - ウオマスリー数 - エクマン数 - エッカート数 - エトベス数 - エリクセン数 - オイラー数 - オーネゾルゲ数 - 拡散数 - ガリレイ数 - カルロビッツ数 - 管摩擦係数 - キャビテーション数 - キャピラリ数 - クーラン数 - クーリガン・カーペンター数 - クタテラッゼ数 - クヌーセン数 - グラスホフ数 - グレーツ数 - 形状係数 - ゲルトラー数 - コルバーンのJ因子 - シャーウッド数 - シュミット数 - スタントン数 - スチュアート数 - ストークス数 - ストローハル数 - ゼルドビッチ数 - ダンケラー数 - チャンドラセカール数 - ディーン数 - テイラー数 - デボラ数 - ヌセルト数 - ハーゲン数 - ハルトマン数 - ビオ数 - ビンガム数 - フーリエ数 - ブラウネル・カッツ数 - プラントル数 - ブリンクマン数 - フルード数 - ブレーク数 - ペクレ数 - ベジャン数 - マークシュタイン数 - マッハ数 - マランゴニ数 - モートン数 - ラプラス数 - ランキスト数 - リチャードソン数 - ルイス数 - レイノルズ数 - レイリー数 - ロスビー数 - ロックハート・マルティネリパラメータ - ロッシュコ数 - ワイゼンベルグ数 | |