中央観閲式

中央観閲式(ちゅうおうかんえつしき)は、陸上自衛隊が3年に一度、埼玉県南部の陸上自衛隊朝霞訓練場で実施する観閲式 ^[1] である。自衛隊の創設を記念して、自衛隊記念日行事の一環として行われる。陸上自衛隊では自衛隊記念日観閲式とも呼称している^[2] 。

陸上自衛隊は開催目的を「自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣(観閲官)の観閲を受けることにより、隊員の使命の自覚及び士気の高揚を図るとともに、防衛力の主力を展示し、自衛隊に対する国民の理解と信頼を深める」こととしている^[2] 。

警察予備隊が発足した翌年の1951年(昭和26年)に東京都 江東区の越中島 駐屯地で初めて観閲式が行われた。1952年(昭和27年)に保安隊が発足し、1953年(昭和28年)第一回保安隊創立記念観閲式が行われた。翌1954年(昭和29年)に自衛隊が発足して1955年(昭和30年)に防衛庁創立一周年記念式典が行われ、神宮外苑 絵画館前で1972年(昭和47年)まで続けられた。

観閲式は1973年(昭和48年)から交通事情等の関係で現在の朝霞訓練場(朝霞駐屯地に隣接)へ会場を移し、大規模災害があった年度と昭和天皇の体調不良により中止された1988年(昭和63年)を除いて、ほぼ毎年行われた。1996年(平成8年)以降はアメリカ同時多発テロ事件の影響により中止された2001年(平成13年)を除いて、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の持ち回りで実施され、陸上自衛隊担当が中央観閲式となる。海上自衛隊担当は自衛隊観艦式、航空自衛隊担当では航空観閲式となり、回次はそれらの通算である。

2001年はアメリカ同時多発テロ事件の影響により当年度の実施が中止となった影響で6年間の実施間隙が生じた。このため、それまで蓄積されていた実施ノウハウの大部分が損なわれた。この教訓を踏まえ、^{[要出典 ]}陸上自衛隊担当年度の前年に東部方面隊が主力となって同じ会場で「東部方面隊創立記念行事観閲式」を行ってる。東部方面隊以外の各方面隊も、北部方面隊を除き「方面隊創隊記念」として独自に観閲式や観閲行進を行っている。

2018年2月19日、政府は2019年度に開催予定だった中央観閲式を2018年度に前倒しすると発表した^[3] 。報道によれば朝霞訓練場が2020年の東京オリンピック「射撃」の会場となるため、2019年秋から2020年末まで使用不可となる見込み^[3] 。そのため、2019年度実施予定だった中央観閲式を前倒しして2018年度に実施する方向で最終調整し、「空(航空観閲式)→海(自衛隊観艦式)→陸(中央観閲式)」の持ち回り実施を開始して以来初めての事態となった^{[3] [4]} 。

• 観閲官:内閣総理大臣
• 主催者:防衛大臣
• 実施責任者:陸上幕僚長
• 執行者:東部方面総監
• 観閲部隊指揮官:第1師団長
• 観閲飛行部隊指揮官:第1ヘリコプター団長
• 防衛大臣政務官、参議院議長、統合幕僚長(代行:統合幕僚副長)、海上幕僚長、航空幕僚長他

参加部隊は年度により異なる。例として2016年(平成28年)に行われた中央観閲式の部隊一覧を以下に記述する。2016年の参加人員は約3800名、車両は約240両、航空機は約60機であった。

• 東部方面警務隊 第302保安警務中隊

• 観閲部隊指揮官(第1師団司令部)
• 陸海空合同音楽隊(陸上自衛隊中央音楽隊、海上自衛隊東京音楽隊、航空自衛隊航空中央音楽隊)
• 観閲部隊指揮官及び幕僚
• 部隊用国旗(旗手・旗衛手)
• 防衛大学校学生隊
• 防衛医科大学校学生隊
• 陸上自衛隊高等工科学校生徒隊
• 普通科部隊(第1普通科連隊、第32普通科連隊)
• 空挺部隊(第1普通科大隊)
• 海上自衛隊部隊(海上自衛隊第3術科学校)
• 航空自衛隊部隊(航空教育隊)
• 女性自衛官部隊(陸海空から士クラスの女性自衛官が各自衛隊100名ほど臨時招集される^[6] )

• 観閲部隊指揮官(2010年)
  観閲部隊指揮官(2010年)
• 防衛大学校学生隊(2010年)
  防衛大学校学生隊(2010年)
• 高等工科学校生徒隊(2010年)
  高等工科学校生徒隊(2010年)
• 空挺部隊(2010年)
  空挺部隊(2010年)
• 海上自衛隊部隊(2010年)
  海上自衛隊部隊(2010年)
• 航空自衛隊部隊(2010年)
  航空自衛隊部隊(2010年)

括弧で囲んだ部隊名は指揮部隊を示す。

陸上自衛隊編隊群指揮官:第1ヘリコプター団副団長

• 指揮編隊(CH-47)(第1ヘリコプター団 第103飛行隊)
• OH-6編隊(第12ヘリコプター隊本部付隊)
• UH-1編隊(東部方面ヘリコプター隊)
• AH-1S編隊(第4対戦車ヘリコプター隊)
• UH-60編隊(第12ヘリコプター隊第1飛行隊)
• AH-64D編隊(航空学校霞ヶ浦校)
• CH-47編隊(第1ヘリコプター団 第104飛行隊)
• LR-2編隊(第1ヘリコプター団 連絡飛行偵察隊)

• P-3C編隊(第1航空隊)※(注記)指揮官は司令
• U-36A編隊(第31航空群 第91航空隊)

• C-130H編隊(第1輸送航空隊 第401飛行隊)
• F-2編隊(第8航空団 第8飛行隊)
• F-15編隊(第7航空団 第303飛行隊)

括弧で囲んだ部隊名は指揮部隊(主に第1師団隷下)を示す。指揮部隊が平時において装備しない装備は、主に武器学校・高射学校・富士教導団など東部方面隊管区の諸部隊・諸学校により増強を受けている^[7] 。

• 国際平和協力活動派遣部隊(中央即応連隊)
• 偵察部隊(第1偵察隊)
• 普通科車両部隊(第31普通科連隊)
  • 89式装甲戦闘車中隊
  • 96式装輪装甲車中隊
  • 高機動車中隊
  • 120mm迫撃砲および96式多目的誘導弾中隊
• 即応予備自衛官部隊(第48普通科連隊)
• 予備自衛官部隊
• 施設科部隊(第1施設大隊)
• 通信科部隊(第1通信大隊)
• 化学科部隊(第1特殊武器防護隊)
• 衛生科部隊(第1後方支援連隊 衛生隊)
• 需品科部隊(第1後方支援連隊 補給隊)
• 情報科部隊(東部方面情報処理隊)
• 西部方面普通科連隊(第1中隊)※(注記)指揮官は隊員
• 航空自衛隊ペトリオット部隊(第1高射群 第3高射隊)※(注記)指揮官は副隊長
• 高射特科部隊(第1高射特科大隊)
  • 93式近距離地対空誘導弾および11式短距離地対空誘導弾中隊
  • 03式中距離地対空誘導弾中隊
  • 87式自走高射機関砲中隊
• 野戦特科部隊(第1特科隊)
  • 155mm榴弾砲FH-70中隊
  • 88式地対艦誘導弾および12式地対艦誘導弾中隊
  • 多連装ロケット砲MLRS中隊
  • 99式自走155mm榴弾砲中隊
• 戦車部隊(第1戦車大隊)
  • 10式戦車中隊
  • 90式戦車中隊

• 祝賀飛行部隊
  • 第1編隊 UH-60編隊(キャンプ座間・在日米陸軍航空大隊)
  • 第2編隊 MV-22オスプレイ編隊(嘉手納基地・第1海兵航空団)

• 観閲行進部隊(行進曲「グランディオーソ」)
  • 第7歩兵師団(第2歩兵師団第2旅団ストライカー戦闘団第23歩兵連隊)第4大隊ブラボー中隊(ルイス・マコード統合基地) ストライカー装甲車中隊

前回開催の平成25年度中央観閲式とは以下の部分で変更が発生している。ここでは観閲式参加部隊等の変更については明記しない。

• 一部部隊で、指揮官を部隊の長が務めない部隊が増加した。
• 指揮官名の呼称が苗字のみから、フルネームに変更された。
• 自衛隊中央病院高等看護学院が廃止されて防衛医科大学校(看護学科)になり、中央病院高等看護学院学生隊が廃止された。
• 観閲飛行で、OH-1編隊、US-1およびUS-2部隊が不参加となった。
• 地上部隊で、輸送防護車、12式地対艦誘導弾、11式短距離地対空誘導弾が初参加した。
• 中央即応連隊の、国連平和維持活動参加部隊の部隊旗が省略された。
• 81式短距離地対空誘導弾、74式戦車が不参加となった。

• 自衛隊関係者や外国武官、会場周辺自治体の住民^[8] などが招待される。東部方面隊創立記念行事観閲式と同様^[9] に招待者以外は観覧できないが、当日の一週間前に実施される総合予行は観覧が一般公募される^[10] 。総合予行に先立ち、第1師団副師団長を観閲部隊指揮官に、師団予行、方面隊統一予行など、規模を縮小した予行を一部部隊長を替えて実施している。

• 車両部隊の車両に記載されている所属表記(例として、第31普通科連隊の"31普")や、機甲車両に描かれる部隊マークなどの部隊認識表記はすべて消されている。
• 2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降世界各地で多発するテロ事件の影響もあり、会場内への飲食物の持ち込みは著しく制限されている。^[11]

• 2010年の第57回観閲式以降は、生中継映像の公式ライブ配信がUstreamを通じて行われた。^[12]
• 2010年は車両行進後、日米安全保障条約改定50周年記念在日米陸軍・空軍日米祝賀飛行部隊による観閲飛行が行われた。編隊は以下の通り。
  • UH-60編隊(キャンプ座間)
  • F-16編隊(三沢基地)

• 2016年は行事後に展示飛行が行われた。
  • C-2・C-1編隊(岐阜基地)による試験飛行
  • ブルーインパルスによる展示飛行(第1区分)

• 観兵式

• 防衛省・自衛隊

• 自衛隊の行事・イベント

• 出典を必要とする記述のある記事/2016年9月