12球団合同トライアウト
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12球団合同トライアウト(12きゅうだんごうどうトライアウト)とは、2001年より、日本野球機構に属するプロ野球球団全12球団が合同で行う、自由契約 選手を対象としたトライアウトである。
概要
日本においては、球団が保有する選手との契約を次年度も希望する場合、11月末日までに日本野球機構に契約保留選手として提出する必要があり、この名簿が12月の最初の平日に公示される。逆に言えば翌シーズンに契約を結ばれない選手、もしくは現役引退を発表した選手はこの名簿を外れる12月をもって正式に戦力外選手として示されることとなる。
しかしながら、12月では各球団の戦力編成は基本的に終了している時期であり、自由移籍と再入団の弊害となるため実際には各球団はシーズン終了後に先に戦力外通告を行う事が慣例化していた。ただこの場合球団側の自由裁量に任されるため、一部球団、例えば日本シリーズに出場した球団の戦力外通告が遅れる傾向にあり、そのため、戦力外通告を受けた選手が他球団の入団テストを受けようとしてもすでに他球団のテストや戦力編成が終了している、或いは先に通告を受けた選手が既にテストに合格してしまったなどの問題が発生した。
そこで2001年に日本プロ野球選手会は戦力外選手の機会均等を求めて球団側と協議し、その解決策としてこれまで各球団毎に行っていた球団テストとは別に12球団合同のトライアウトの実施とそれ以前に戦力外通告を行うことを認めさせた。しかし、選手会と球団側との合意内容には、トライアウト以外の入団テストを実施させないとの拘束力はなかったため、当該年から既にトライアウト前に個別に入団テストを実施する球団も多く、形骸化していった。
2004年に起こったプロ野球再編問題において、選手会側はこの問題にも触れ、結果としてこの年は12球団合同トライアウト実施前に各球団が独自の入団テストを行わないことを申し合わせた。ただし、選手会と球団側との妥結事項としてはこの問題は盛り込まれておらず、翌年以降も入団テストとは銘打たないもののトライアウト前に秋季キャンプに練習参加させるなどの実質上のテストが行われている例がなくなってはいない。またトライアウトのみで合否判断が下されず、その後に球団個別のテストを経て契約されることも多い。トライアウト以前のテストを制限する問題に関しては自由契約となった選手への自由競争問題にも関連しており、今後も合同トライアウトが選手再雇用の場として機能するかは未知数である。
また、合同トライアウトの副次的効果として、現役続行を希望する選手のほとんどをまとめて見られる貴重な機会として日本のプロ野球球団以外の野球関係者も参加することとなり、社会人野球チームや台湾など海外球団との契約が決まる選手も現れている。さらには日本競輪学校や大相撲の峰崎部屋など、プロ野球選手としての身体能力の高さに着目した他種目の関係者もブースを出すなどしている。
一般のファンもスタンドから見学できるが、雨天などで室内練習場で行われる場合は非公開となる。
テスト方式
例年東西1箇所ずつ2箇所でトライアウトが行われる事となっている(2006年は球界再編問題の余波もあって例外的に仙台と千葉)。1回目のトライアウトで合格にならなかった選手であっても2回目のトライアウトに参加できる。ここ数年、シート打撃方式(試合同様に守備されてバッティングする)で行われている。
シート打撃形式であるので、ルールは厳密に決められておらず、時間の都合上カウント1-1からスタートしたり3アウト制ではなかったりするなど様々であり、塁審もつかない場合がほとんどである。走者としての能力を見たかったり、セットポジションでの投球を見たい関係者の要請があれば、打者が凡退しても走者に残ったりする。また、トライアウト受験者が守備側につくが、人数が足りない場合は球団スタッフが守備についたりもする。
前述の通り、雨天等の場合は当日中に室内練習場で行う。この場合、打球がヒットになるかもはっきりとは判断できず、守備・走塁の機会が無くなるため、それらを売りにする選手にとっては見せ場が減ってしまう。初めは球場で行っていたが、途中から天候が悪くなり室内練習場で行うこともある。これについて機会の公平性という問題がある[独自研究? ]が、予備日等を設けて解消される予定はない。
再契約までの道および問題点
各球団は参加選手に対し、興味がある場合評価に応じてテスト終了後1週間以内を目安として合格(来季契約)、或いは入団テスト招致の通知をしているが、近年は暮れが押し迫ってからの再契約や年明けのテストによる「復活」など、大幅に過ぎても活発なスカウト活動が見られる。
上述の通り、トライアウト開催前に獲得希望球団が現れる選手もおり、トライアウトが字面どおりに「再チャレンジのための第一のゲートウェイ」として完全に機能しているわけではない。2006年の場合、日本ハムを解雇された横山道哉(投手)に対し、古巣である横浜ベイスターズがトライアウトを待たず来季契約に向け本格的に接触との報道が流れ、オーナーサイド、選手会をも巻き込み物議を醸した。
また、トライアウトが解雇された選手のお披露目ではなく、最終テストになっている側面や球団側とのコネクションがないと合格できない側面があることを元現役選手が明かしている。その証言によれば、戦力外通告は夏頃からリストアップされ、他の友好のある球団に耳打ちをし、相手球団側から該当選手を2軍戦に出すよう要請される。そこで好感触を得れば、戦力外通告を受けた際、トライアウトに出てみないかという誘いを受けるという半ば出来レースのようなところもある[1] 。
各年の開催概要
当項目で取り上げる「主な合格者」は、日本野球機構に属する球団に移籍した選手のみとし、社会人野球、独立リーグ、海外のプロ球団に移籍した選手は含まない。
2001年度
- 1回目
2001年 10月30日 ナゴヤ球場(愛知県 名古屋市 中川区)
2001年度1回目参加選手- 2回目
2001年11月26日 読売ジャイアンツ球場(神奈川県 川崎市 多摩区)
2001年度2回目参加選手- 2001年度の主な合格者
- 吉田好太(近鉄→横浜)
2002年度
- 1回目
2002年 11月6日 横須賀スタジアム(神奈川県横須賀市)
2002年度1回目参加選手- 2回目
- 2002年度の主な合格者
合格者なし
2003年度
- 1回目
2003年 11月5日 広島市民球場(広島県 広島市 中区)
2003年度1回目参加選手- 2回目
- 2003年度の主な合格者
- 宮地克彦(西武→ダイエー)
2004年度
- 1回目
- 2回目
- 2004年度の主な合格者
- 井出竜也(巨人→ソフトバンクへ)
- 宇野雅美(社会人・リースキン→ヤクルトスワローズへ)
- 河本育之(日本ハム→楽天)
- 酒井忠晴(中日→楽天)
- 代田建紀(ロッテに復帰)
- 富岡久貴(横浜→西武)
- 野村克則(巨人→楽天)
- 林孝哉(日本ハム→ロッテ)
- 福井敬治(巨人→広島)
- 三澤興一(巨人→ヤクルト)
- 吉井理人(オリックスと再契約)
2005年度
- 1回目
2005年 11月7日 ファイターズスタジアム(千葉県 鎌ケ谷市)
2005年度1回目参加選手- 2回目
2005年11月25日 神戸総合運動公園サブ球場(兵庫県神戸市 須磨区)
2005年度2回目参加選手- 2005年度の主な合格者
- 石橋尚至(広島→阪神)
- 岩下修一(その後、日本ハムの入団テストに合格。オリックス→日本ハム)
- 上田佳範(日本ハム→中日)
- 小倉恒(楽天と再契約)
- 小島昌也(楽天→オリックス復帰)
- 佐久本昌広(その後、横浜の入団テストに合格。阪神→横浜)
- 芝草宇宙(日本ハム→ソフトバンク)
- 田上秀則(中日→ソフトバンク)
- 鳥谷部健一(その後、中日の入団テストに合格。西武→中日)
- 仲澤忠厚(中日→ソフトバンク)
- 瑞季(ソフトバンク→ロッテ)
2006年度
- 1回目
2006年 11月6日 フルキャストスタジアム宮城(宮城県 仙台市 宮城野区)
2006年度1回目参加選手- 2回目
2006年11月27日 千葉マリンスタジアム(千葉県 千葉市 美浜区)
2006年度2回目参加選手- 2006年度の主な合格者
- 石橋尚到(阪神→西武)
- 内田和也(ヤクルト→西武)
- 遠藤政隆(中日→ヤクルト)
- 大須賀允(その後、広島の入団テストに合格。巨人→広島)
- 川岸強(その後、楽天の入団テストに合格。中日→楽天)
- 定岡卓摩(ソフトバンク→ロッテ)
- 高波文一(その後、楽天の入団テストに合格。西武→楽天)
- 高橋光信(その後、阪神の入団テストに合格。中日→阪神)
- 坪井智哉(日本ハムと再契約)
- 三澤興一(その後、中日の入団テストに合格。ヤクルト→中日)
- 横山道哉(日本ハム→横浜復帰)
- 吉田修司(その後、オリックスの入団テストに合格。ソフトバンク→オリックス)
- 吉崎勝(その後、楽天の入団テストに合格。日本ハム→楽天)
2007年度
- 1回目
2007年 11月7日 読売ジャイアンツ球場(神奈川県川崎市多摩区)
2007年度1回目参加選手- 2回目
2007年11月27日 ナゴヤ球場(愛知県名古屋市中川区)
2007年度2回目参加選手- 2007年度の主な合格者
- 石川賢(中日→楽天)
- 小関竜也(巨人→横浜)
- 川口容資(その後、巨人の入団テストに合格。ソフトバンク→巨人)(育成選手契約)
- 木村一喜(その後、楽天の入団テストに合格。広島→楽天)
- 斉藤宜之(巨人→ヤクルト)
- 斉藤秀光(ソフトバンク→横浜)
- 谷中真二(楽天→西武)
- 田村領平(その後、ロッテの入団テストに合格。阪神→ロッテ)(育成選手契約)
- 萩原淳(日本ハム→ヤクルト)
- 三浦貴(巨人→西武)
- 吉川元浩 (その後、ソフトバンクの入団テストに合格。巨人→ソフトバンク)(育成選手契約)
2008年度
- 1回目
2008年 11月11日 横浜ベイスターズ総合練習場(神奈川県横須賀市)
2008年度1回目参加選手- 2回目
2008年11月26日 広島市民球場(広島県広島市中区)
2008年度2回目参加選手- 2008年度の主な合格者
- 上原厚治郎(その後西武の入団テストに合格。ヤクルト→西武)
- 大西正樹(ソフトバンクと再契約)(育成選手契約)
- 小山桂司(日本ハム→中日、現楽天)
- 加藤康介(オリックス→横浜、現・阪神)
- 歌藤達夫(その後巨人の入団テストに合格。日本ハム→巨人)
- 木興拓哉(その後入団テストに合格。ロッテ→阪神)(育成選手契約)
- ユウキ(オリックス→ヤクルト)(育成選手契約)
- 中村泰広(日本ハム→阪神)(育成選手契約)
- 森岡良介(中日→ヤクルト)
- 吉本亮(ソフトバンク→ヤクルト)
2009年度
- 1回目
2009年 11月11日 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)※(注記)当日は雨天のため、球場横の室内練習場で非公開にて実施。
2009年度1回目参加選手- 2回目
- 2009年度の主な合格者
- 今岡誠(その後入団テストに合格、阪神→ロッテ)
- 西谷尚徳(その後入団テストに合格、楽天→阪神)(育成選手契約)
- 的場直樹(その後入団テストに合格、ソフトバンク→ロッテ)
- 山田秋親(その後入団テストに合格、ソフトバンク→福岡レッドワーブラーズ→ロッテ)
2010年度
- 1回目
- 2回目
- 2010年度の主な合格者
- 荒川雄太(ソフトバンク→西武)
- 大城祐二(阪神→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 大西宏明(横浜→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 木下達生(日本ハム→中日)(育成選手契約)
- 小林雅英(巨人→オリックス)
- 多田野数人(日本ハムと再契約)
- 松坂健太(西武→日本ハム)
2011年度
- 1回目
2011年 11月24日 ほっともっとフィールド神戸(兵庫県 神戸市 須磨区)
2011年度1回目参加選手- 2回目
2011年12月5日 QVCマリンフィールド(千葉県 千葉市 美浜区)
2011年度2回目参加選手- 2011年度の主な合格者
- 阿部健太(阪神→ヤクルト)
- 木下達生(中日→ヤクルト)
- 紺田敏正(巨人→日本ハム復帰)
- 加藤大輔(オリックス→楽天)
- 中谷仁(楽天→巨人)
- 石井義人(西武→巨人)
- 小林高也(中日→巨人)(育成選手契約)
2012年度
- 1回目
- 2012年 11月9日、日本製紙クリネックススタジアム宮城(宮城県仙台市宮城野区)
- 2回目
- 2012年11月21日、ファイターズスタジアム(千葉県鎌ケ谷市)
- 2012年度の主な合格者
- 星野智樹(西武→楽天)
- 大立恭平(巨人→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 蕭一傑(阪神→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 柴田亮輔(オリックス→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 松本幸大(ロッテ→オリックス)
- 林啓介(ロッテ→阪神)(育成選手契約)
2013年度
- 1回目
- 11月10日、静岡県草薙総合運動場硬式野球場(静岡県 静岡市 駿河区)
- 2回目
- 11月22日、ナゴヤ球場(愛知県名古屋市中川区)
- 2013年度の主な合格者
- 岸敬祐(その後入団テストに合格、巨人→ロッテ)(育成選手契約)
- 金森敬之(その後入団テストに合格、愛媛マンダリンパイレーツ→ロッテ)(育成選手契約)
- 工藤隆人(その後入団テストに合格、ロッテ→中日)
- 細山田武史(DeNA→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 勧野甲輝(楽天→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 有馬翔(ソフトバンク→楽天)(育成選手契約)
- 松冨倫(巨人→ソフトバンク)(育成選手契約)
2014年度
- 1回目
- 11月9日、静岡県草薙総合運動場硬式野球場(静岡県静岡市駿河区)
- 2回目
- 11月20日、読売ジャイアンツ球場(神奈川県川崎市多摩区)
- 2014年度の主な合格者
- 佐藤祥万(日本ハム→広島)
- 八木智哉(オリックス→中日)
- 梅津智弘(広島→楽天)(育成選手契約)
- 田中大輔(中日→オリックス)
- 東野峻(オリックス→DeNA)
- 堂上剛裕(中日→巨人)(育成選手契約)
- 矢地健人(中日→ロッテ)
- 陳冠宇(DeNA→ロッテ)
- 森越祐人(中日→阪神)
- 北方悠誠(DeNA→ソフトバンク)(育成選手契約)
- 井野卓(巨人→ヤクルト)
脚注
関連項目
- プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達 毎年12月TBS系で放送されている自由契約後トライアウトに挑戦する選手たちを捉えたドキュメンタリー番組。
この項目は、野球に関連した書きかけの項目 です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(PJ野球/P野球)。