ツァトゥグァ
ツァトゥグァ (Tsathoggua) はクラーク・アシュトン・スミスの作品などに登場する架空の神格。『ン・カイで眠るもの』
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
蝙蝠のような耳と、柔毛で覆われたナマケモノのような胴を持ち、全体的には太ったヒキガエルに似ている異形の神。ただし、その肉体は可塑性を持っており、本質的には不定形で、環境によっては大幅に姿を変える。
性格は穏和だが極めて怠惰であり、空腹の時すらじっと動かず、殆どの時間を微睡みながら過ごしている。その反面、几帳面な部分もあり、地下で起こる全てのことを注意深く観察している。また、崇拝者には友好的で、生け贄を捧げるなどの献身を続ければ、驚異的な知識や助力を授けてくれる事もある。ただし、彼の逆鱗に触れた場合は他の神格同様ただでは済まされない。
クラーク・アシュトン・スミスの設定では、生まれは宇宙の何処かで幼少の頃、父のギズグスと叔父のフジウルクォイグムンズハー、彼らの親のクグサクスクルス、母のズストゥルゼームグニ等に連れられてユゴスへ飛来したと言う。成長して後、既に叔父が渡っていたサイクラノーシュへ渡り、その後、地球へ飛来した。[1]
なお、叔父のフジウルクォイグムンズハ-は極めて温厚で人肉を好んで食すクグサクスクルスと合わず、ヤクシュへ渡って神として崇拝されたが熱狂的な崇拝を嫌ってサイクラノーシュへ渡り、ここでも熱狂的な崇拝を受けたので人目につかない所で液体金属を食しながら隠遁生活を送っている。ツァトゥグァに似た顔が丸い体から垂れ下がり、足は短く歩行に適していないので長い腕を使って移動する。誰かと遭遇しても排除しようともせず逃げようともしない。遭遇しても危険ではないが、会ったところで益にならない。[2]
過去、古代大陸ハイパーボリアや地下世界クン・ヤンなどで崇拝され、その信仰は人間のみならず、亜人間や森の獣にまで及び、隆盛を極めた。今ではその勢力も衰退しており、世界の各地で細々と礼拝されている。 彼は豊富な知識を持つ神でもあるため、真理を探究する魔術師などに信者が多い。
一時期、ハイパーボリア大陸西部、ヴーアミタドレス山の洞窟に住んでいたが、同大陸の滅亡とともに移動し、現在は北アメリカ大陸の地下にある、暗黒世界ン・カイに住む。ン・カイでは[3] ペットにショゴスを飼っていたが、人間に盗まれてしまった。
クトゥルフ神話と深い関係があり、テーブルトークRPG「クトゥルフの呼び声」や市販の神話事典類ではクトゥルフなどと同じ旧支配者に分類されている。
ツァトゥグァの親族一同
- ギズグス(GHISGUTH)・・・ツァトゥグァの父。ユゴスにいる。「エイボンの書」では詩篇に「膨らんだ巨体」と謳われている。
- フジウルクォイグムンズハー(HZIURQUOIGMNZHAH)・・・ツァトゥグァの叔父、ギズグスの弟。サイクラノーシュにいる。やはり「エイボンの書」に謳われている。
- クグサクスクルス(CXAXUKLUTH)・・・ギズグスとフジウルクォイグムンズハーの父にして母。両性具有。アザトースの子。アザトースが分裂生殖によって産み落とした。ユゴスにいるらしく、人肉を好んで食す。「エイボンの書」では自身の詩篇の他、アザトースを謳った詩篇にもその名が見える。
- ズストゥルゼームグニ(ZSTYRZHEMGNI)・・・ツァトゥグァの母。ギズグスの妻。「エイボンの書」には「ギズグスの情婦」「群がるものたちの女主人」と謳われている。
- イクナグンニスススズ(YCNAGNNISSSZ)・・・分裂生殖によりズストゥルゼームグニを産んだ。暗黒星ゾスの出。「エイボンの書」には、やはり彼自身を謳った詩篇がある。
- シャタク(SHATHAK)・・・ツァトゥグァの妻。ツァトゥグァとの間にズヴィルポググーアを産んだ。
- ズヴィルポググーア(ZVILPOGGUA)・・・ツァトゥグァとシャタクの一子。やはり「エイボンの書」に詩篇がある。配偶者は不明だが、娘はスファトリクルルプ。
- スファトリクルルプ(SFATLICLLP)・・・ズヴィルポググーアの娘。[4] ヴーアミの一個体との間に不死身のクニガティン・ザウムをもうけた。ヴーアミたちから崇拝されていたようで、詩篇では「大いなる母にして姉」と謳われている。