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ゼロの使い魔の用語一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


国名・地名

物語の舞台であるハルケギニア大陸の地図。ヨーロッパ大陸との類似性が見て取れる

ハルケギニア

平賀才人が召喚された異世界。広大なハルケギニア大陸を中心とした世界で、トリステインを始め大小多くの国家が存在する。夜には赤と青の二つの月が浮かぶ。文化レベルは中世近世 ヨーロッパのものに近い。魔法が発達しており、魔法を使える者は貴族として敬われ、多くの人々は平民として暮らしている。貴族には横暴な者が多いため、不満を抱いている平民も少なくない。レコン・キスタの反乱が鎮圧された後、トリステイン・ゲルマニア・ガリア・ロマリアの4カ国によって、それぞれの国内で共和政を掲げる反乱が勃発した場合、反乱軍を4カ国共通の敵とみなして残りの3カ国が王政府を援助する「王権同盟」が締結されている。
物語はハルケギニア大陸の西部(地図参照)が舞台になっており、ヨーロッパ大陸を南北に長くしたような姿をしている(中央部、トリステイン王国は現オランダとベルギーを合わせた程度の広さ)。西方のアルビオンは空飛ぶ大陸で地図の場所には定置していない。また地図の右辺以東においては砂漠地帯を挟んで『聖地』、『東の世界』が存在するらしいが、本編には未登場。
いわゆるファンタジー世界ではあるが魔法が特権階級の占有物で、一般にはほとんど普及していない事の影響のためか、火薬コークスなどが存在する。ただ、技術レベルは基本的には手工業レベルであり、工業製品を大量生産するという概念や技術は存在していない。
地球とは使われている言語や文字が違う。しかし、ゲートを通った(アニメ版ではルイズの魔法が作用した)才人はともかく、偶然迷い込んだ筈のシエスタの曾祖父や、オスマンを助けた兵士と何故言葉が通じたのかは語られていない。
ハルケギニア諸国の国名(ゲルマニアガリアアルビオン)や都市名は、ヨーロッパの古名から採られている。

トリステイン王国

ハルケギニア大陸の西方に位置する小国(国土面積はガリアやゲルマニアの1/10ほどで、オランダベルギーを合わせた程度だという)。王都はトリスタニア。王家の紋章は百合をかたどったもの(アニメ版では白地に意匠化された金色の百合が描かれていた)。これとは他に王女の紋章として、聖獣ユニコーンと水晶の杖を組み合わせたものがある。始祖ブリミルの三人の息子が作った国の一つ。
ルイズ達が通うトリステイン魔法学院はこの国にある。歴史ある国家故に伝統としきたりに固執し、その国力は年々低下している。現在は女王アンリエッタの施政の元、伝統に囚われない新しい体制へと移行しようとしている。アンリエッタの始祖に関する知識は常識レベルのものでしか無いが、始祖の秘宝のうち「始祖の祈祷書」、「風のルビー」、「炎のルビー」、「水のルビー」がこの地に集まっている。
固有名詞や生活習慣などから、中世〜近世のフランスがモデルとされる。しかし、作中でタバサが才人に言葉を教える際、「アー」「ベー」「セー」と発音する語句を教えていることから、オランダ語に類似した言語が公用語であるとも考えられる。
トリステイン魔法学院
ルイズたちの母校でサイトが召喚されたのもここ。王都トリスタニアから馬で2時間ほど(徒歩だと二日。距離にして推定40~60キロほどか)の距離にある。詳しくはトリステイン魔法学院を参照のこと。
トリスタニア
トリステインの王都。王城をはじめ白い石造りの建物が目立つ美しい街。アニメ版の設定画によれば王城と貴族の屋敷、下町の間に大きな川が流れている。貴族・平民が多数生活しているが、街一番の大通りとされるブルドンネ街でも道幅は5メイルほどしかなく、裏通りのチクトンネ街には多数の酒場や賭博場もあるので、実際の町並みはかなり雑多な雰囲気であるようだ。
ラ・ロシェール
トリステインの南側にあるらしい一都市で、魔法学院からは馬で2日ほどの距離にある。山あいの町ながら、浮遊大陸アルビオンが定期的に接近するので空飛ぶフネの港町となっている。古代の世界樹(イグドラシル)の枯れ木をくり抜いた立体型の桟橋に多数のフネを係留できる。スクウェアクラスのメイジが岩から切り出して作った建物群が特徴。
タルブ
ラ・ロシェールの近くにある村で、シエスタの故郷。見晴らしのいい大きな草原が特徴だが、そのためかアルビオン軍がトリステインに侵攻した際には降下ポイントにされた。かつてシエスタの曾祖父が持ち込んだ竜の羽衣は、その後何も無い村の名物として寺院に展示されていた。良質のブドウが採れるらしく、シエスタは将来に悩む才人に「2人の名前を付けたワインを作ろう」と持ちかけたことがある(間接的プロポーズ?)。村の郷土料理はシエスタの曾祖父が伝授した、山菜や木の根っこを鍋で煮るシチュー「ヨシェナヴェ」。
ラグドリアン湖
トリスタニアとガリアの間にある面積600平方キロメイルほどの湖(琵琶湖とほぼ同じ)で、ハルケギニア随一の名勝と謳われる。水の精霊の住処であり、精霊の前でかわされた誓いは決して破られないといわれている。物語が始まる三年前、アンリエッタとウェールズはこの湖畔で催された園遊会で出会い、恋に落ちた。また、ガリア側の湖畔は王家直轄領であり、かつてのオルレアン公領、つまりタバサの実家がある。
ダングルテール(アングル地方)
トリステイン西部の海岸沿いに位置する辺境部。数百年前にアルビオンから入植してきた人々が築いた土地で、時のトリステイン政府とたびたび悶着を起こしながら、100年程前には一種の自治区となっていた。しかし実体は寒村があるばかりでわずかな漁業以外には目立った産業は無い。独立独歩の気風が強い地方で、ロマリアの宗教改革「実践教義」を取り入れて住民は全て新教徒。それゆえ時のロマリア政府にまで目をつけられ、20年前には密約の下で大規模な異教徒狩りが行われた。いわゆる「ダングルテールの虐殺」で、公的には住人は疫病のため全員が死亡したとされるが、わずかな生き残りが存在する。作中の登場人物の幾人かにとっては、この地で全てが始まったともいえる。

帝政ゲルマニア

キュルケの祖国で、トリステインの北東にある広大な(トリステインの10倍ほど)国。首府はヴィンドボナ(ウィーンの古名)。もとはひとつの都市国家だったが、周辺地域を併呑して版図を広げた。貴族同士が利害関係の上で寄り集まって出来た国で、大国ながら王への忠誠心は高くはない。現在の元首は皇帝アルブレヒト三世。
ゲルマニアとは現在のドイツを指す古代ローマ時代の地名であり、建国の経緯や政治体制、人名、地名などからモデルはドイツ帝国ないしオーストリア帝国、あるいは神聖ローマ帝国と推定される。
若い国であり魔法の伝統が乏しいからか、冶金など非魔法的技術ではハルケギニアでも随一を誇るようである。
また、社会風習や政治制度もハルケギニアの他の国とは一線を画しており、金があればメイジではない平民であっても領地を買い取って貴族になることができる[1] ため、他国から「野蛮」と言われている。恋愛に関しては男女どちらからであっても積極的にアプローチするのが当然という気風があり、慎み深いとされるトリステイン人にとってはそれがしばしば「ゲルマニア人は好色で多情」と思われる原因になっているが、この点に関しては国境を挟んだキュルケとルイズ両家両者の事情を見る限りは、事実に基づく部分が多いようだ。ロマリア、トリステイン連合とガリアとの戦争に加勢するのか不明である。しかし、トリステインとアルビオン戦役のあと加勢同盟を結んでいるため参戦する可能性はある。

ガリア王国

タバサの祖国。王都の名はリュティス。王城はヴェルサルテイル宮殿。王家の紋章は組み合わされた2本の杖。アニメ版では2本のラインが入ったねじくれた杖のデザインをしており、これはタバサの持つ魔法の杖と同じ姿である。始祖ブリミルの三人の息子が作った国の一つ。
本編中ではトリステインとほぼ同じ文化形式を持つ国とされている。人口約1500万人のハルケギニア一の大国で、貴族の数も多く、軍事力は非常に高いとされるが、実際には政争に明け暮れており、その体制は一枚岩ではない。ハルケギニアでは魔法先進国ともいえる国で、様々な形の魔法人形(ガーゴイル)が使われている。
アルビオンとトリステインの戦争時には中立を標榜していたが、大義や国家理念からではなく内部抗争に手一杯で外患にまで手が回らないというのが実状らしい。一方で長期戦を見越したトリステインに戦費を融資している事から、実質的な行政を行う家臣団も、戦争の長期化による諸外国の弱体と混乱は企図していたらしい。ジョゼフは始祖に関する知識を持ち、様々な謀略を用いて秘宝を集めている。現在のところ「始祖のオルゴール」、「始祖の香炉」、「土のルビー」を所有する。
ガリアが現在のフランス、スイスなどを指す古代ローマ時代の地名であることや、人名や地名、トリステインとほぼ同じ文化形式という点から中世から近世にかけてのフランスがモデルと推測されるが、アーハンブラ城など設定の一部にスペインを髣髴とさせる部分もある。
リュティス
ガリア王国の王都。トリステイン国境部(旧オルレアン王弟領はこの辺り)から1000リーグも離れた内陸ながら、大洋に流れるシレ河の沿岸に位置し、人口30万というハルケギニア最大の都市。河の中洲を中心に発展した大都市で、主たる都市機能に加えて魔法学校をはじめ貴族の子弟が通う様々な学校を内包しており、街並みは古いながらも壮麗なものとなっている。
都市の郊外には王族の居城たるヴェルサルテイル宮殿が存在する。ジョゼフの先々代の王ロベスピエール3世[2] によって森を切り開いて造られた宮殿は、世界中から招かれた建築家や造園師の手による様々な増築物によって現在も拡大を続けている。薔薇色の大理石と青いレンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』には国王ジョゼフが、薄桃色の小宮殿『プチ・トロワ』には王女イザベラが生活している。
エギンハイム村
王都リュティスから徒歩で5日、馬で2日ほどかかる距離にある、ゲルマニアとの国境付近のアルデラ地方に存在する村。両国の国境を跨いで存在する深い森(両国ともに「黒い森」と呼ぶ)に覆われており、ガリアとゲルマニアの間に戦争が起こるたびに領有者が変わる(ガリアとゲルマニアの争奪地域となっている模様)。
翼人を掃討してほしいという村人と領主の要請を受け、タバサが派遣された。
アーハンブラ城
人間とエルフの領土のほぼ境界線上(オルレアン公領とは、王都リュティスをはさんでほぼ正反対の方角)に位置する砂漠の丘の上にある城で、城壁は細かい幾何学模様に彩られている。元々は千年近く前にエルフが建設した城であり、その後は幾度と無く人間のエルフ討伐・聖地奪回軍とエルフ側の熾烈な攻防が繰り広げられ、数百年前に聖地回復軍が得て以来ガリア領となっている。 城の規模が小さいため、現在は廃城となっており軍事拠点としては機能していないが、丘の麓にオアシスが存在するため城下町は交易地として栄えている。
10巻においてエルフのビダーシャルに捕らえられたタバサとその母はここに移送・幽閉されたが、ルイズ達によって救出された。
名前や建設の経緯から、モデルはスペインのグラナダにあるイスラム建築、アルハンブラ宮殿と推測される。
サン・マロン
海沿いに存在するガリア王国の街であり、大規模な海軍(水上艦隊)及び空軍(空中艦隊)の基地が存在する。先住魔法と四系統魔法のハイブリッドゴーレム「ヨルムンガント」とその鎧や武器もこの基地の内部に存在する製造工房及び実験場(機密保持のため「実験農場」と呼ばれている)で製造された。

アルビオン王国

平野部は地上3000メイルもの高さに位置する浮遊大陸の国。王都はロンディニウム(ロンドンの古名)。王城はハヴィランド宮殿。アニメ版に登場したアルビオンの国旗は縦長の赤地に3匹の竜が並んで横たわるという意匠だった。始祖ブリミルの三人の息子が作った国の一つ。
「白の国」アルビオンとはイギリスの古名のひとつであり、ニューカッスルなどの地名も登場するため同国がモデルと思われる。こちらのアルビオンは大陸の下半分が白い雲で覆われているため、この名が付いているようだ。一定のコースでハルケギニア上空を周回浮遊し、2つの月が重なる夜にトリステインの港町ラ・ロシェールに最接近する。
アルビオン王族はレコン・キスタ軍により滅んだ。王族が貴族派によって粛清された後はレコン・キスタの拠点となり、戦艦なども全て接収された。王国軍の軍艦はイギリス海軍、貴族派の軍艦はアメリカ海軍の軍艦からそれぞれ名がついている。レコン・キスタ崩壊後は各国の戦後交渉でトリステイン・ゲルマニア連合軍の進駐地は両国が直轄地として統治、残された領土はアルビオンから代王、トリステインとゲルマニアからそれぞれ副王を出しての共同統治となった。次期国王はまだ決まってないが、王権(つまりブリミルの血を引く者による統治)を復活させることは決定している。戦役で国庫が空になったトリステインのため、アンリエッタはこの交渉で自国に有利になるよう積極的に発言したらしい。
なお、アルビオンはアルビオン浮遊大陸上の国であり、ハルケギニア大陸とは明確に区別される。
ロサイス
アルビオン大陸の軍港施設。アルビオン軍の一大駐屯地で、鉄塔型の桟橋ではフネを係留するのみならず、艤装を行える設備も整っている。軍港としての施設は整っているが、反面大人数を一気に乗船させるような構造にはなっていないらしい。赤レンガで出来た由緒ある建物が施設の中央となっており、敵味方を問わず司令部として利用された。
軍艦レキシントン号の再艤装シーン以来度々登場しているが、場所の記述が「ロンディニウム郊外」、「ロンディニウムから馬で2日」、「ロンディニウムから南へ300リーグ」などはっきりしていない。
サウスゴータ
アルビオンの一地方で、港町ロサイスと王都ロンディニウムを繋ぐ交通の要衝。「土くれ」フーケこと元太守の娘マチルダの出身地。中心都市「シティオブサウスゴータ」のみならず、同市に水源を提供する山脈一帯までもがこの地方に含まれる。範囲が広いためか地方行政は議会によって運営され、地方の太守は名目上の存在だったらしい。
シティオブサウスゴータは人口4万を数えるアルビオン有数の大都市で、円形状の城壁と内面に作られた五芒星形の大通りが特徴。始祖ブリミルが最初にアルビオンに降りた土地とも言われるが真偽のほどは不明。

神聖アルビオン共和国

王族を打倒したレコン・キスタがアルビオンの地に新たに建国した国。かつての王城において貴族の集まりによる「貴族議会」が合議のもとに政治を行う、非民主型の共和制国家。議長であるクロムウェルは「神聖皇帝」とも称していたので、アルビオン帝国とも呼ばれる。
ゲルマニアに嫁ぐアンリエッタを親善訪問した際の「事故」を口実にトリステインへ宣戦布告、同国のタルブに降下戦をしかけるも失敗。その後は謀略によって国力を削ぐ策をとるが、女王アンリエッタの決断によって逆にトリステイン・ゲルマニアの両国に侵攻される。タルブ戦から半年以上に及ぶ戦いは、中立を標榜するガリアの参戦によって転機を迎え、議長クロムウェルの死によって同国の歴史は終わった。

ロマリア連合皇国

ガリア王国の南にある都市国家群のひとつ。始祖ブリミルの弟子フォルサテ(デルフリンガーによれば「そりゃもういけすかないヤツ」)が興した国であり、ブリミルの三人の息子が興したガリア、アルビオン、トリステインと並ぶ古い国。かつては王国だった時代もあったが、現在は王族ではなく教皇が治めている。始祖ブリミルの予言、及び虚無を研究している神官たちの最高権威『宗教庁』が存在する。世俗の権力や戦乱には無関心とされるが、最終的にはエルフに占拠された聖地の奪還を目指しているらしく、打倒の為に信仰の名のもと「始祖の秘宝」を集めようとしているらしい。三人の担い手、二人の使い魔、三つの指輪、一つの秘宝があつまり、神学の研究が最も進んでいるので、ジョゼフより多くの情報を握っている可能性もある。"場違いな工芸品"についても何百年も以前から収集されており、才人の様な異世界(地球)人との接触も、表沙汰にはされていないが何度となくあったという。この国にジョゼフやミョズニトニルンが攻めてくることで、結果的には担い手が四人とも(そしてルビーと秘宝と使い魔も)集結することになると思われる。政治はゲルマニアに近いらしい。「光の国」とは思えないくらい、神官と難民の生活さが激しい、本音と建前の例とも言える国でもある。
優秀な密偵団("聖地"付近から"場違いな工芸品"の数々、特にタイガー戦車の様な大物を、エルフの目を盗んで運んで来る事が可能な程)が存在するらしい。これらの密偵を各国に派遣し、虚無についての情報収集を行っている模様で、ルイズと才人に関してだけでなく、秘密であったはずのティファニアの存在、コルベールが隠し持っていた炎のルビー、もう一人の担い手ジョゼフやミョズニトニルンについてもかなり詳細な情報を得ていた事が、ジュリオや教皇の言動から窺われる。
教皇が治める等の描写からローマ教皇領、又はバチカン市国をモデルにしていると思われる。

クルデンホルフ大公国

ベアトリスの祖国。正確な位置は不明だが、トリステイン王国近郊だと思われる。初代大公が、アンリエッタから見て先々代のフィリップ三世より大公領を賜り、新興した国家。ただし、ルイズがベアトリス(あるいは大公家)を「ゲルマニア生まれの成金」呼ばわりしたり、ベアトリスの苗字[3] や空中装甲騎士団の呼び名「ルフト・パンツァー・リッター」のようにドイツ語式の呼び方をしているなど、建国の経緯とやや矛盾しているように見える描写がある。
軍事および外交ではトリステイン貴族と同じく、王政府に依存している。しかしながら、名目上とはいえ独立国であるため、大公家にはトリステイン貴族を睥睨する者も存在する。
経済力は、国全体については不明だが、大公家は富裕さでは有名で、借金をしているトリステイン貴族も少なくない(ギーシュやモンモランシーの実家も、クルデンホルフ大公家から借金をしている)。また、軍事力に関しては、大公国親衛隊「空中装甲騎士団」という竜騎士団が有名である。モデルは恐らくルクセンブルク大公国と思われるが、名前はゲランの『ミツコ』で有名なクーデンホーフ家と思われる。今後のロマリア、トリステイン連合とガリアとの戦争に加勢するのか不明である。

『聖地』

ゲルマニアの東にある砂漠の彼方、始祖ブリミルがハルケギニアに初めて降り立ったとされる伝説の地域。数千年前に砂漠に住みついたエルフによって聖地への道は閉ざされ、今ではどんな土地なのか誰も知らない。時々エルフ討伐・聖地回復のための軍隊が派遣されている(最後の聖地回復軍は数百年前)が、エルフの10倍の兵力でもって戦ったとき以外勝てた試しは無いという。レコン・キスタやロマリア皇国の最終目標はこの聖地の奪還にある。恐らくモデルはエルサレム
エルフはこの地を「シャイターン(悪魔)の門」と呼び、六千年前(始祖ブリミルの降臨も六千年前である)に大いなる災厄をもたらしたとして封じている。ビダーシャルによればここ数十年活動が活発になっているとのことで、エルフはこれを悪魔の目覚めの兆候として虚無の復活を警戒している。
この「門」は、ハルケギニアと異世界(地球)をつなぐものであるとも考えられる。ジュリオ・チェザーレによれば、聖地の周辺で"場違いな工芸品"が多く見出される事も、この傍証といえる。

『砂漠』(サハラ)

エルフが自らの住む土地をこう呼ぶ。具体的な地域ではなく「我らの土地」という意味で使う事もあるようだ。ハルケギニアの東方から聖地にかけて存在するようだが具体的な範囲やどう言った土地であるのかは現在の所不明。エルフは砂漠を人が住めるようにする技術を持っているらしいので我々の想像する「砂漠」とはやや異なる可能性もある。
人間の地域との行き来がまったくないわけではなく、人間の行商人との取引やガリアとの交渉など、ある程度の往来はある模様だが詳しいことは不明。

『東の世界』(ロバ・アル・カリイエ)

聖地のさらに東にあるという人間の居住する領域。聖地への往来が不可能になってからは直接の往来がなく、こちらも現在はどんなところなのか、どんな人間が住んでいるのか判明していない。緑茶の茶葉など珍しいものが、東方産という触れ込みでしばしば世間に流通しているが、本当に東から流通しているのか真偽の程は不明。細かい素性を隠すため、異世界人である才人は使い魔召喚の魔法でここから来たという事になっている。シエスタの曽祖父が東の方角から飛んで来たため、自分の世界に戻る手がかりを求めて、才人はいつかこの地に旅立つ事を決意している。

組織・機関

トリステイン王国の組織・機関

トリステイン王国の教育・研究機関

トリステイン魔法学院
ルイズたちの母校。王都トリスタニアからは馬で2時間ほど(徒歩だと二日。距離にして推定40~60キロほどか)の距離にある施設。本塔とその周囲を囲む壁、それと一体化した5つの塔(魔力の象徴、水・土・火・風、そして虚無を表す)からなる。長い歴史を誇る由緒正しい魔法学校で、魔法をはじめメイジ=貴族に必要とされる様々な教育を行う。ちなみにガリア、ゲルマニアの王都にも同様の魔法学校は存在する。制服はマントの下に白いブラウスとグレーのプリーツスカート(男子は同色のスラックス)。だが実際にはマントと生徒の証である五芒星のタイピンさえつけていれば、細かい部分は生徒の自主性に任せている模様(ギーシュなどは上下ともに私服、モンモランシーはセーラー服を着たことがある)。マントは1年生が茶色、2年生が黒、3年生が紫と学年別に色分けされている(進級した後も以前と同色のものを使用する模様でルイズ達が3年生になった時は新1年生は紺色、新2年生は茶色、新3年生は黒だった)。
トリステインの貴族子弟だけでなく、他国からも留学生が集まっている。全寮制で、貴族の生徒達に仕える平民も学院内にある宿舎に居住している。使い魔はそれぞれの性質に応じてめいめい勝手な場所に寝泊りしているが、才人やフレイムはおもに主人の部屋に寝泊りする。毎年春に一学年ずつ生徒の入れ替えがある3学年制らしいが、入学年齢は一定のものでは無い。本編の1年前、ルイズとモンモランシーは15歳、ギーシュは16歳、タバサは14歳、キュルケは17歳で同一の学年に入学している(5巻)。2年生の春に使い魔の召喚および契約の儀式を行う。
教師はみな優秀なメイジであるため、その護りは並の施設よりも余程強固と認識されている。そのためか「破壊の杖」など貴重な宝物も多数保管されている。ただし、小説1巻では、そのことに慢心して当直をサボる教師がはびこっていることが言及されている。他には、警備を担う衛兵がいるが、「しょせんは平民」と大してあてにされていない。
公式・非公式を問わず、外国の王族や大貴族の子息・令嬢も何人も在学しているため、ささいなことが戦争の火種になることが危惧されている。
アカデミー
正式名称は「王立魔法研究所」。トリステインの王都トリスタニアにあって、新しい魔法の使い方の研究やマジックアイテムの解析などを行う。かつては「実験小隊」と呼ばれる下級貴族で編成された特殊部隊を使って、戦にかこつけては様々な魔法の実験から、大規模魔法による破壊行為をも請け負っていた。ルイズによれば伝説の使い魔「ガンダールヴ」を渡そうものなら、身体をバラバラにするくらいの事はしでかすらしい。アカデミーにはルイズの姉・エレオノールが勤めており、実の姉の職場がここまでこき下ろされるからには、風聞もあながち嘘ではないのだろう。
ゼロ機関
王室直属の秘密組織で、アカデミーの研究内容とは比べ物にならない新魔法や飛行機械を極秘裏に実戦投入しているとされているが、実際は、ルイズの『虚無』や異世界から来た伝説の使い魔『ガンダールヴ』の存在を知られてルイズと才人に迷惑が及ばないように、アンリエッタが考案した方便である。アルビオン戦役においてルイズはこの組織のエージェント『ミス・虚無(ゼロ)』として参加していた。

トリステイン王国の軍事機関

王軍
時の国王を最高司令長官とする、王政府直属の軍隊。王政府に属する貴族の将軍や士官が、金で集められた傭兵を兵卒や下士官として指揮する。地上部隊の主力であり、連隊を基本構成単位とする。後述の空海軍や魔法衛士隊などの近衛騎士隊と異なり戦時にのみ編成されるため緊急展開能力に乏しく、アルビオンのタルブ降下作戦においてトリステイン軍は迎撃に2千人しか兵力を用意できなかった。
アルビオン侵攻作戦において、トリステイン王国は2万人の傭兵を雇用して12個連隊と1個独立大隊(ド・ヴィヌイーユ独立大隊)を編成したが、あまりに急激な規模拡大により士官が不足したため、魔法学院の生徒に即席の士官教育を行って臨時に士官を補充しなければならなくなった。
他国も同じような形式の王軍を抱えているのかは不明。
諸侯軍(国軍)
各地の貴族の中でも広い領地をもつ大貴族が、領内の領民を徴兵して編成する軍隊。素人の農民を中心とした部隊であるため、常にあちこちの戦争に参加している傭兵を中心とした王軍と比べて練度に劣る。こちらも戦時にのみ編成されるため、緊急展開能力の低さは王軍と変わらない。現在の軍隊に例えれば予備役部隊か民兵、あるいはアメリカの州兵に相当する存在。
ラ・ヴァリエール公爵家もこの諸侯軍一個軍団(具体的な規模は不明)の編成と派兵を命じられたが、公爵はこれを拒否して軍役免除金を支払った。逆に派兵したグラモン家の諸侯軍では、規模は不明であるが長男(ギーシュの一番上の兄)が指揮を執っていた。
空海軍
空や海に浮かんだ艦艇を動かす軍隊。各艦では艦長を頂点に、副長、各部門の長、平海尉、下士官、水兵といった六階層構造となっている。ちなみに、士官候補生(魔法学院の男子生徒)は水兵と下士官の中間に位置づけられている。
王軍や諸侯軍、すなわち陸軍と異なり熟練した乗組員が必要なため、士官・兵卒を問わず日常的に軍に属して訓練を積み重ねている常備軍である。このため、狭き門ではあるが平民でも教養と功績次第では士官になることが可能である。
トリステイン魔法衛士隊
トリステインの王家と王城を守る近衛隊で、若い男子ならばその黒マント姿に一度は憧れ、その花嫁になることを望む女性も多いという、まさにトリステイン騎士の花形。彼らが駆る3種の幻獣、グリフォンヒポグリフマンティコアにちなんだ3つの隊に分かれており、隊員は剣術・体術を組み込んだ独自の呪文詠唱形式を扱う。しかしグリフォン隊は隊長のワルドが国を裏切った影響で規模を縮小、ヒポグリフ隊はアンリエッタ誘拐事件の折に壊滅させられており、現在は残るマンティコア隊を中核とした一隊体制となっている。
  • マンティコア隊
当初はトリステイン魔法衛士隊の一隊だったが、諸般の事情から小説5巻より衛士隊全体の中核を担うようになる。
先代隊長は「烈風カリン」(実はルイズの母カリーヌ)で、当時のマンコティア隊の掟たる「鉄の規律」をもたらした。
現隊長はド・ゼッサール。ちなみに、先代隊長「烈風カリン」が引退したのが本編より30年前であるため、読者の間で当時のマンティコア隊の状況について様々な憶測が展開された(曰く「30年前に、青年期だったド・ゼッサールが隊長職を引き継いだ」、曰く「カリンの引退後、しばし隊長不在の状態が続いた」)。
銃士隊
魔法衛士隊の再編にあたって、女王アンリエッタが新設した近衛隊。メイジ不信になった若い女王の身辺警護を行うため、隊員は平民、それも女性のみで組織された。宮廷内での発言権と他部隊との連携を取るため、初代隊長のアニエスにはシュヴァリエの地位が与えられたが、平民を元帥位にも匹敵する近衛隊長に抜擢した事への反発は大きい。一方で平民の女性は貴族間に面が割れる心配も少ないため、隊ぐるみで女王直々の汚れ仕事も行う事もある。
文字通り銃や剣で武装して戦うが、これらはメイジ相手には即有効な武器では無い。それでも本編中では夜襲をかけてきた傭兵メイジと互角の戦いをしており、隊員たちの実戦能力は相当なものと推測される。
水精霊騎士隊(オンディーヌ)
アルビオン侵攻の後、アンリエッタが設立した新たな近衛騎士隊。名前の由来は王家と深い関わりのある水の精霊から。隊の創設は千年前にも遡るが、過去の宮廷騒動の折に再編され解散していた。7万の追撃から友軍を守った才人の功に報いるべくアンリエッタが復活を決めたが、周囲への影響を考え、最終的に隊長職はギーシュが就き、才人は副隊長となった。彼らが指揮しやすいよう魔法学院の生徒たちから隊員を募った事で、結果として宮廷派閥に影響されない若い騎士たちの部隊が出来上がった。とはいえ実戦経験は甚だ不足しており、宮廷貴族からは「学生の騎士ごっこ」と揶揄されている。
隊員は在学中に余暇の時間で訓練を行い(隊員の殆どがドットメイジなので、アニエスに鍛えられた才人により、近接格闘に力を入れている。その甲斐あってロマリア聖堂騎士隊と近接格闘だけならほぼ互角に戦えるまでになっている。)、卒業後に正式に王城に勤務する仕組みになっている模様。
なお、12巻の風呂覗き騒動により、魔法学院内部におけるその権威は失墜した。

ガリア王国の組織・機関

ガリア花壇警護騎士団
ガリア王国の国家騎士団。所属者は総じて「ガリア花壇騎士」と呼称される。名前はヴェルサルテイル宮殿に点在する花壇を王を守る騎士になぞらえたもので、集団ごとに「東」、「西」、「南」の3つの方位と植えられた花の名前が付けられており、作中では「東薔薇騎士団」「南薔薇騎士団」「東百合騎士団」の名が登場している。各騎士団の規模は不明だが、確かな魔力を備えた立派な騎士から、親の七光りで叙された名前だけの者まで個々の実力は様々であるらしい。
「北」の名が付いたガリア花壇騎士団は公には存在しない(北側には陽光が当たらないから、という喩え)が、実際には「ガリア北花壇警護騎士団」という名の非公開組織が存在する。これはガリア国内外から持ち込まれた要人暗殺・怪物退治から、貴族の家庭問題まで、大小様々な揉め事を内々に処理する機関である。番号で呼ばれた団員たちは自らの素性を隠しながら、与えられた命令を忠実に果たす。当然ながら所属者は実戦慣れした者揃いであるが、団員は自分以外の誰が北花壇騎士なのか、どんな使い手なのかも知らない。しかし強力な雪と風の使い手「北花壇騎士・七号」(タバサ)は、その実力から北花壇騎士の間でも噂になった存在らしい。
物語中で名前が出てきた騎士団長は、モリエール夫人(ジョゼフに稀少な人形を贈った功で、騎士団名不明)、ジョゼフの娘・イザベラ(北花壇騎士団、非公開)、バッソ・カステルモール(東薔薇騎士団、外伝1巻ではまだ団員)。
ガリア両用艦隊(バイラテラル・フロッテ)
ガリア王国の艦隊で、トリステイン王国の空海軍同様にフネを主戦力とする。所属艦艇は全て水上と空中の両方で運用可能なため「両用艦隊」と呼ばれている。旗艦は現国王ジョゼフによって暗殺されたオルレアン公シャルルの名前を冠した「シャルル・オルレアン」。
本編第7巻のクライマックスにてレコン・キスタの援護を名目にロサイスへ出撃し、司令部にいたオリヴァー・クロムウェルを艦隊の一斉砲撃によって葬り、レコン・キスタ壊滅の決定的な役を担った。さらに、第13巻ではジョゼフの命令でハイブリッドゴーレムの「ヨルムンガント」を乗せた上で、表向きは反乱を起こした形でロマリアへの侵攻を行うために出撃した。
余談ではあるが、両用艦隊(バイラテラル・フロッテ)の名前が登場したのは外伝「タバサの冒険」第2巻(本編では第13巻)からであり、それ以前には単に「ガリア艦隊」と呼ばれている。

アルビオン王国の組織・機関

アルビオン竜騎士団
空飛ぶ国家アルビオンが誇る、竜騎士たちの騎士団。風竜、火竜を多数擁したその数は100を超える。竜騎士部隊としては質・量ともにハルケギニア最大最強といわれていたが、レコン・キスタ指揮下のトリステイン侵攻から一連の戦争においてその数を著しく減らしている。

ロマリア連合皇国の組織・機関

聖堂騎士隊 (パラディン)
信仰のためになら死さえ恐れない、宗教騎士団。宗派別に複数あるらしい。異教徒からは死さえ恐れないやっかいな騎士団と恐れられるが、ここでいう異教徒にアニエスをはじめとする「新教徒」が含まれるのか否かは不明。しかし、アニエスは「新教徒の私を守るとは思えない。」と発言している。
また、この騎士団には自分たちを侮辱した者をその場で宗教裁判にかける(=死刑にする)特権も持ち合わせているため、全員が司祭の資格と宗教庁発行の異端審問状を有している可能性もある。

クルデンホルフ大公国の組織・機関

空中装甲騎士団(ルフト・パンツァー・リッター)
クルデンホルフ大公国の大公家親衛隊として編成された竜騎士団で、重厚な甲冑を着用するのが特徴。レコン・キスタの支配下の時期のトリステインとの戦争で著しい損害を被ったアルビオン竜騎士団に取って代わってハルケギニア最強の竜騎士団の地位を得たが、トリステイン・ゲルマニア連合軍とアルビオンとの戦争には「虎の子」という理由でクルデンホルフ大公が参加させていない。
ベアトリスがトリステイン魔法学院に入学した際、ベアトリスの護衛という名目で(実際は見栄を張っているだけのもよう)、20騎ほどが学院付近の平原にテントを張って駐留していた。この護衛たちに限って言えば、学院の女生徒に下品なナンパをしたり、竜に乗っていない状態とはいえ学生の集まり相手に敗北したり(とはいえ、相手は水精霊騎士隊ルイズだが)と、最強騎士団としての品位と力量を疑いたくなる有様を見せる。ただし、この護衛たちが騎士団の全人員とは限らず、大公国本土に良質な騎士団員が控えている可能性もある。
呼び名のルフト・パンツァー・リッターとは空中装甲騎士のドイツ語訳であるLuft-Panzer-Ritter(本来のドイツ語式表記法ではLuftpanzerritterと綴るべきであろうが、分かりやすくするためにこのように記述)である可能性が非常に高い[4]

国際的な組織・機関

レコン・キスタ
アルビオン王国を中心に起こった宮廷革命運動及び、その中心組織。「聖地」の奪回と貴族の共和制による統治という大義を掲げ、国家の枠を越えたメイジたちの集まりで結成された。空飛ぶ大陸アルビオンの王族を打倒して国を奪い、地上のハルケギニア諸国にとって戦略的脅威となった。しかし所詮は利害で集まった貴族たちであり、その企ては遠からず失敗するだろうとロマリア教皇は見越していたようだ。また、レコン・キスタの代表者であるクロムウェルが有する長射程の新型大砲、アンドバリの指輪などの切り札はいずれも、ガリア王ジョゼフがシェフィールドを通じてもたらした物ばかりである。運動そのものも平民や大半の貴族から支持されていたとは云い難いようで、結局のところはアルビオンとトリステインが持つ始祖の秘宝を手に入れるためにガリアが作り、ロマリアが黙認した道具に過ぎなかったという事だろう。
なお、史実における「レコンキスタ」とはイスラム教徒が8世紀に征服したイベリア半島を(キリスト教徒の視点からすれば)「奪回」する為の活動のことである。原語の意味合いからすればレコン・キスタで切るよりはむしろレ・コンキスタ(再・征服)とする方が妥当であるが、あくまで異世界の話という設定なのでそういった点については殆ど考慮されていない(それに加え、主人公である平賀才人が歴史に詳しくないから疑問に思われない、という背景もある)。
アニメ版ではフランスの国旗と同じ三色の旗がシンボルとして使われていた。

魔法関連

四系統魔法

単に「系統魔法」とも。始祖ブリミルが6000年の昔、ハルケギニアにもたらした魔法。火、水、風、土の四系統が存在しており、さらに四系統の他に伝説の系統として「虚無」が伝えられている。ゆえに正確には「五系統魔法」と呼ぶべきだが、「虚無」の系統を使えるメイジは久しく存在していないので通常、数に含まれない。魔法を使える者はメイジと呼ばれ、最低でもいずれか一つの系統の魔法が使える。メイジが魔法の杖を振るい、魔法語(ルーン)を唱え、精神力を消費する事で魔法は発動する。
「地・水・火・風」は「四大元素」として魔法に限らず多くの作品で登場しているが、この作品においてはそれぞれの元素そのものを操る以外に風の魔法として飛行や分身、水の魔法として治癒や精神操作、土の魔法として物質の変換・加工の魔法などが登場している(火の魔法は11巻現在「着火」以外は攻撃魔法のみ登場)。また複合魔法としてタバサの得意とする「ウィンディアイシクル(氷の矢、風と水の複合)」などが登場している。
メイジは系統のどれか一つを自らの系統とし、それを専門的に学ぶ。『火』のツェルプストー家、『水』のモンモランシ家など代々特定の系統で知られる家系が複数存在しており、得意系統はある程度遺伝するようである。
自身のそれとは異なる系統の魔法を使用することは可能であり、作中でもたびたび見られる。ただし異なる系統単独で使用された魔法は、いずれも低レベルのものであり、複数の系統を組み合わせた強力な魔法を使う際には、必ず自身の系統をメインにしていることから、高位のメイジであっても、自身の系統以外の属性の魔法は低レベルのものしか扱えないようである。また、ルイズは火のキュルケに対して「あんたに『水』系統の『治癒』が使えるわけない」と語っており、火系統と水系統は相性が悪い可能性がある。
前述のとおり系統魔法を使うときは魔法語(ルーン)で呪文を詠唱する。ルーンは地水火風の各系統でそれぞれ異なっており、虚無も独自のルーンを持つ。故に詠唱を聞けばどの系統かは簡単に分かる。魔法語を使わないコモン(口語)マジックについては下を参照。また先住魔法もルーンは唱えず口語で詠唱を行う。
なおアニメではルーンではなく口語で呪文を唱える(呪文の名前を叫ぶ)場面が多々見られたが、原作ではコモン以外の魔法を口語で唱える事はない。ただしアニメでも例えば「ファイヤーボール」と言った呪文名以外はちゃんとルーンを詠唱して呪文を発動していたので、呪文そのものは口語で唱えていたわけではない(演出上ルーンの詠唱を省略したと考えることが出来る)。なお「サモン・サーヴァント」は四系統に含まれないコモンマジック(後述)であり、口語で呪文を唱えているのは原作の設定と矛盾しない。
魔法を使うと精神力を消耗する。通常は魔法が使えなくなるほど精神力を消耗しても精神的な疲労などは起こらないようであるが、過度に消耗した場合は気絶することもある。消耗した魔力は休息によって回復し、概ね一週間もあれば全快する。高位のメイジと云えども自身の扱える最高クラスの呪文の使用はかなり限定されるらしく、連続ではせいぜい数回、呪文によっては一週間から一月に一度程度らしい。
精神力だけでなく何らかの触媒(作中では治療に使う水の秘薬、戦闘に使う火の秘薬(火薬?)が登場している)を消費する呪文もある。例えば治療呪文の場合、秘薬なしでは重い傷を治すのは難しいらしい。
一般的にメイジの力の強さは、各系統の属性を(同系統の重複も含め)幾つ足せるか(同時にいくつ使用出来るか)で示される(ここでいう「力の強さ」はあくまでメイジとしての能力の強さであって戦闘力を意味しない。故に戦闘においては以下で説明する「ドット」が「トライアングル」を圧倒することもあり得る)。1つの系統しか使えない者は「ドット」(学院の生徒は殆どこのレベル)、2つの系統を足せる者は「ライン」(学院では優等生レベル)、3つ足せる者は「トライアングル」(学院では教師やごく一部のエリートのみ)、4つ足せる者は「スクウェア」(超一流の使い手)と呼ばれ、呪文もいくつ系統を足したかによって「ドットスペル」「ラインスペル」「トライアングルスペル」「スクウェアスペル」とランクアップしていく。なおメイジのランクが一つ上がるごとに呪文の消費精神力は約半分になり、呪文のランクが一つ上がるごとに精神力の消耗は約2倍になる。
(注記)なおドットは『(一つの)点』、ラインは二つの点を結んだ『線』、同様にトライアングルは三つの点を繋げた『三角』、スクウェアは『四角』、後述のヘクサゴンは『六角形』(作中では三角と三角を組み合わせた六芒星=ヘクサグラムが出現していたが)の意で、頂点の数が足せる系統を示している。
例えば風のトライアングルメイジであるタバサは「水・風・風」を足したトライアングルスペル「ウィンディ・アイシクル」を使う事が出来、スクウェアに昇格すると「水・水・風・風」を足したスクウェアスペルとしてより強力になった「ウィンディ・アイシクル」を使えるようになる。
個人差はあるが多くの系統を足せるほど使用回数や基本の魔力など、その他の魔法能力も概ねそれに準じて増大するらしい。同じドットの呪文を使っても、ドットメイジとトライアングルメイジでは威力に天と地の差が出るし、同じ呪文でも高位になるほど使用回数は多くなる。つまり強力な魔法が使えるがすぐ種切れ、あるいはその逆で弱い魔法しか使えないが使用回数は非常に多い、などと言った極端なメイジは存在しないか一般的ではないようである。
コミック版では説明が少々違い、「一度に組み合わせることが出来る系統の数」ではなく「使える系統の数」でドット、ライン、トライアングル、スクウェアの各ランクが決定されるとしている。これが間違いか、或いは単なるニュアンスの違いなのかは不明。
複数の系統を組み合わせる事ではじめて使える呪文もあるが、個人で唱えられるのは「スクウェア」レベルのスペルまで。特殊な例として、トライアングル以上の強力なメイジである王族が力を合わせることによって、6つの系統を足した「ヘクサゴン・スペル」と呼ばれる非常に強力な魔法を行使することができる。作中ではアンリエッタ(×ばつ3)とウェールズ(×ばつ3)が使用し、城塞をも破壊する巨大な水の竜巻を作り出した。
「強い感情は魔力に影響する」という描写があり、感情の昂ぶりによって実力以上の力を引き出すことも可能らしい。作中ではタバサとルイズにこの現象が起こっている。特にタバサは後に正式にランクが上昇しているので、メイジとしての成長の引き金となっている可能性もある。
なお、鍵の開け閉めや明かりなどの簡単な呪文は「コモンマジック」と呼ばれ、系統に関係なくメイジなら誰でも使えるらしい。こちらは魔法語(ルーン)ではなく、一般的な口語(コモン)の詠唱によって発動するのが特徴である。ルイズがサイトを呼び出した「サモン・サーヴァント」もコモンマジックの一種。

メイジと杖

メイジとは魔法を使える者を意味し、その多くは貴族ないし王族としてハルケギニア各国の支配階級を形成している。貴族ではない者も、系譜を辿れば先祖に貴族が存在する。魔法を使うための能力は親から子に遺伝するものであり、メイジを親に持たない平民はいくら修行をしても魔法を使うことはできない。なお、メイジと平民の間に生まれた子供が魔法を使えるか否かは不明。
メイジはその象徴として様々な形の魔法の杖を持ち、その扱いや精神的な意味合い・価値は我々の世界における『剣』に近い。杖を持たないメイジはどれほどの達人だろうと魔法を唱える事が出来ず、杖自体も何日もかけて契約した専用のものでなければならない。形式的な決闘では相手の杖を叩き落すのがスマートな勝ち方とされている。
携帯性や利便性を考えてか、殆どのメイジは「ハリー・ポッター」で見られるような指揮棒のような短い杖(ワンド)を使うが、タバサのように長い杖(スタッフ)を使う者もいればギーシュの造花のバラのように自分の趣味に合わせた特殊な形状の杖を使う者もいる。また軍人の間では剣のような拵えを施して近接戦闘にも使えるようにしたものが一般的である模様(一般的なものであるかは不明だが、一例としてグリフォン隊隊長であるワルドの杖は刀身に当る部分が鋼鉄であり、相当の強度を持つと推測される)。

虚無

「きょむ」あるいは「ゼロ」と読む。伝説の中にしか存在しないと言われる第0の系統。この魔法は他の四系統のいずれとも異なり、爆発、幻影、記憶の消失など不可思議な効力を持つ。また、詠唱に掛かる時間が長く、途中で詠唱を止めても長さに応じてある程度は魔法が発動する...など、四系統の魔法とは異なる点が多い。「虚無」の呼称は恐らく仏教における五大の一つである「空」に由来する。
ブリミルによると四系統の魔法は、この世の全ての物質を構成するとても小さな粒に影響を与える。そして虚無の魔法は、それよりさらに小さな粒に影響を与えるとされており、この虚無の魔法を完璧に使いこなせた者は、世の理さえ思うままにすると言われている。
ルイズは虚無の系統に目覚めた後、コモンマジックは使えるようになったが四系統の魔法は依然として使用できないでいる(小説13巻時点)。前述のとおり四系統魔法の使い手であれば他系統の呪文も使えるが、それが出来ないのは単にルイズが未熟なのか、虚無の特性ゆえかは不明であるが、ガリア王ジョゼフやティファニア、ロマリア教皇聖エイジス三十二世も四系統魔法を(ティファニアについては先住魔法も)使用している描写は無い。
また四系統魔法の使い手は一週間もあれば精神力は上限まで回復するが、ルイズは精神力を最低でも年単位で溜め込むことが可能。故に、長年溜め込んだ精神力をつぎ込んだ「エクスプロージョン」の呪文はアルビオン艦隊を一撃で全滅させる威力を発揮した(デルフリンガーによればあれほどの威力は撃てて年に一度、とのこと)。虚無は四系統魔法に比べると基本的な消費精神力も多大であり(始祖の言によれば「時に命を削る」ほどとされる。実際ルイズは呪文を唱えた後気絶する事が多い)、また精神力のキャパシティが圧倒的に大きいとはいえ、その回復速度自体にさほどの差はないようなので、虚無は強力な反面使いにくい系統だとも言える。ただし精神状態によって大きく変化するようである。ルイズの場合怒り・嫉妬(他もあると思われるが13巻までで)などの負の精神状態で溜まりやすく、幸福状態だと溜まりにくいらしい。タバサと才人のキス(タバサの演技)では、ほぼゼロの状態から数か月分と思われる精神力が溜まった。したがって、見方を変えれば他の四系統の使い手と違い、担い手の特性に合った状況さえ作り出せれば精神力を溜めるのに休養すら必要としないとも言える。
虚無を扱うには彼の始祖ブリミルが三人の息子と一人の弟子(トリステイン、アルビオン、ガリア、そしてロマリアの4王国の始祖)にそれぞれ与えた四系統のルビーと秘宝、そして王家の血が必要とされている(ルイズの先祖はトリステイン王家の庶子)。さらに4人の虚無の担い手にはそれぞれ伝説の使い魔が与えられ、「四つの四」(担い手、使い魔、ルビー、秘宝)が揃った時「始祖の虚無」が復活すると予言されている。
人間と敵対するエルフは虚無を「悪魔の力」と呼び、世界を滅ぼしかけた力として忌み嫌っているが、エルフの言う「世界」が「エルフの世界」を指すのかそれともハルケギニアを含む「この世界そのもの」を指すのかは現在の所不明。「四つの悪魔が揃いしとき真の悪魔は目覚め、大災厄をもたらす」と言う予言もあり、これは「四つの四が揃ったとき〜」という人間側の予言に対応していると思われる。
人間側では一般には知られていないようだが、ビダーシャルの言によれば、作中の時点だけでなく、これまでの歴史上にも何度か四つの虚無が揃いそうになったことがあるという。

虚無の種類

虚無も攻撃、移動などに分けることができる。
攻撃系
「爆発(エクスプロージョン)」
移動系
「世界扉(ワールド・ドア)」
その他
「幻影(イリュージョン)」、「解呪(ディスペル)」、「忘却」

「始祖の秘宝」

火・水・風・土を象徴する4つの指輪と、指輪を嵌めた資格ある者に「虚無」の魔法を伝える4つの秘宝。指輪に嵌まった宝石は「ルビー」と称されるが、宝石の色は赤色に留まらない。これは実際のルビーとは異なり、始祖ブリミルの赤い血から作られたという伝説に基づいた呼び名らしい(実際のルビーにも似たような伝承はある)。
現時点では4つの指輪と3つの秘宝(始祖の祈祷書、始祖のオルゴール、始祖の香炉)が登場しているが、残る1つの秘宝が何で、どこに存在し誰が所有しているのかは不明。現在判明している「始祖の秘宝」と所有者(保有者)は以下の通り。使い魔と主の位置を同じにするため、順番は変更した。アニメでは指輪なしでも虚無は取得できる模様。また、同じ秘宝でも担い手によって覚える虚無は異なる。
水のルビー
トリステイン王家に伝えられていた指輪。石の色は「鮮やかな青」。ルイズが所有。
炎のルビー
ロマリア皇国に代々伝えられる指輪。石の色は「赤」。教皇が所有。
土のルビー
ガリア王家に代々伝えられる指輪。石の色は「茶色」。ガリア王ジョゼフが所有。
風のルビー
アルビオン・テューダー王家に伝えられていた指輪。石の色は「透明」。ティファニアが所有。
始祖の祈祷書
トリステイン王家に伝えられていた、始祖ブリミルが記述したというボロボロの古書。トリステイン王族の婚姻の際に立ち会う巫女が儀礼的に使っていたが、複数存在する紛い物や複製本の類と違って常人には白紙を束ねた冊子にしか見えない。アンリエッタ王女とゲルマニア皇帝アルブレヒト三世の婚姻巫女に選ばれたルイズに貸し出されたが、その後レコン・キスタによるトリステイン領タルブ村降下戦をきっかけに、ルイズには部分的に読めるようになっている。
伝説の剣・デルフリンガー曰く「必要になったら内容が読めるようになる」とのこと。現在、ルイズが解読できた虚無の魔法は「爆発(エクスプロージョン)」、「幻影(イリュージョン)」、「解呪(ディスペル)」の初歩の3種。教皇もこれによって中級の呪文「世界扉(ワールド・ドア)」を覚えた。ティファニアはまだ時期がきてなかったため、本を読むことはできなかった。
ロマリアの秘宝
教皇が地球をのぞく虚無を覚えたロマリアの秘法。名前すらでてきてない。
始祖の香炉
ガリア王ジョゼフが所有する香炉。おそらくはガリア王家に代々伝えられてきたものであろう。ジョゼフは瞬間移動のような魔法を使った。
始祖のオルゴール
アルビオン王家に伝えられていた古いオルゴール。虚無の素質を持つ者が4種のルビーの指輪のいずれかを嵌めると、その調べを聞く事ができる。ハーフエルフ・ティファニアはその調べを聞いた事で、記憶消去の魔法を身に付けた。現在はガリア王ジョゼフが所持している。入手経過は不明だが、ジョゼフの傀儡であったクロムウェルの手から渡ったものと思われる。ジョゼフは「爆発(エクスプロージョン)」を覚えた。

始祖ブリミル(ブリミル・ヴァルトリ)と虚無の担い手

この世で最も偉大なメイジ。正式なフルネームは、「ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ」。とても強大な力、虚無の魔法を扱い、強力な使い魔達を従えていた。ハルケギニアでは神と並んで崇拝される伝説の偉人であるが、その姿を描写する事は畏れ多い事とされており、大陸に多数存在する礼拝用の始祖像は「両手を前に突き出した人型のシルエット」という曖昧な姿のみで再現が許されている。また、この世界とは別のどこからやてっきたらしい。そのあまりに大きすぎる力を3人の子供と1人の弟子に指輪と秘宝という形で分けたとされる。現在ハルケギニアに存在する4つの王家(トリステイン、アルビオン、ロマリア、ガリア)は、その力を受け継いだ4人の子孫である。
その子孫たちの中から実際に「虚無」の力に目覚めたものを「虚無の担い手」と称し、その使い魔として契約した存在を「虚無の使い魔」と称する。虚無の担い手は、ルイズ、ロマリア教皇、ガリア王ジョゼフ、ティファニア。

虚無の使い魔

かつて始祖ブリミルと共に闘い、その名を伝説に残した4人の使い魔。虚無=ゼロなので虚無(ゼロ)の使い魔、という訳である。それぞれの名は「ガンダールヴ」平賀才人、「ヴィンダールヴ」ジュリオ・チェザーレ、「ミョズニトニルン」シェフィールド[5] 。最後の一人の名は不明。これらは北欧神話に精霊として見られる名前である。虚無のルーンを聞くとある種の安らぎ(安心感)のようなものを感じる(これは虚無の使い魔共通の特性か?)。虚無の使い魔たちは心の震え(喜怒哀楽いかなる感情でも可)の大きさに比例して力が上昇し、逆にそれに反比例する形で自身の能力を使える時間は短くなる(対ワルド戦以外で使用時間切れに陥った事例は無い)。
ガンダールヴ
あらゆる武器や兵器を自在に扱える使い魔。その証のルーンは左手に刻まれるため、「神の左手」と呼ばれている。その本来の役割は敵を倒すことではなく、虚無という強大な力を発動させる為に長い詠唱を行う間、無防備になってしまう主を守ること。それ故に「神の盾」とも呼ばれる。初代ガンダールヴは左手に大剣を握って主を守り、余った右手に長槍を掴んで敵を攻撃していたとされる。大剣とはデルフリンガーのこと(作中にて剣とは「護身用の武器」であると定義されている)であり、長槍とはその時代最強の武器を指す(六千年前、最強の武器は長槍だった)。なお、現在「槍」は地球から召喚されており、聖地付近で発見される。平賀才人がその役割を担う。主はルイズ。ブリミルのガンダールヴはエルフの女性。また、サイトは「ブリミルの唱える虚無のルーン」においてもルイズの時のような安心感を得ている。平賀才人がその役割を担う。主はルイズ。
ヴィンダールヴ
あらゆる獣を操る使い魔。証のルーンは右手に刻まれるため、「神の右手」と呼ばれている。その力を持って獣を操り、移動手段として用いていた。「神の笛」とも呼ばれる。ジュリオがその役割を担う。主はロマリア教皇。
ミョズニトニルン
あらゆる魔道具(マジック・アイテム)を扱える使い魔。額に証のルーンを刻んでおり、「神の頭脳」と呼ばれている。自身に戦闘能力はないが、その知識と様々な魔道具を扱い、主を勝利へと導く。「神の本」とも呼ばれる。魔道具自体にかなりの汎用性があるため、戦闘や移動にも応用できる(こと戦闘に関しては、現在ガリアがヨルムンガントという強力な魔道具の開発に成功した為、作中で「普通の戦闘では最強だ」とも述べられた)。シェフィールドがその役割を担う。主はガリア王ジョゼフ。
第四の使い魔
伝説の使い魔、最後の一体。記すことさえはばかられる[6] とされ、能力はおろか名前すら分かっていない。デルフリンガーの発言より、証のルーンは胸に刻まれると思われる。主は残った担い手であるティファニアだと思われる。

先住の魔法

始祖ブリミルが降臨する以前にハルケギニアで広く用いられた魔法の体系。デルフリンガーは使い手を「行使手」と呼ぶ。最大の特徴は杖使用無しで魔法が唱えられること。四系統魔法が人の意志によって世の理を変える魔法であるのに対し、先住魔法は自然界に存在する精霊の力を借りて世の理に沿った効果を発揮する魔法である。自然の力を借りる魔法であるため、人の意志によって発動される四系統魔法より強力な威力を持つが、最大の力を発揮するためには周囲の精霊との契約が必要。その為拠点防御には最大限の能力を発揮するが進行には不向きである。高位の「行使手」であるビダーシャルは城塞一つ分の範囲の精霊と契約してデルフリンガーを驚かせていた。精霊への呼びかけには特別な魔法語ではなく口語を使うのも特徴。始祖ブリミルがハルケギニアに四系統魔法を伝え広めてからは徐々に駆逐され、今ではエルフなどの人間以外の一部種族が使える程度で、人間の世界ではマジックアイテムや秘薬の原料としてわずかに残っているのみである。ティファニアが母から譲られた指輪や、水の精霊の秘宝「アンドバリの指輪」、禁制品である惚れ薬の原料「水の精霊の涙」などがこれに該当する。実はデルフリンガーもこの系統の魔法によって動いている。

マジックアイテム

読んで字の如く魔法の道具。高価なものではあるが、貴族向けにそれなりの数は存在する模様。人間が作ったものもあれば、エルフなどの先住魔法によって生み出されたものもある。ゴーレムや風石などは厳密には「道具」とは言い難いが便宜上ここに載せる。
眠りの鐘
トリステイン魔法学院の宝物の一つで、名の如く鳴らすと人を眠りに誘う。最初の登場は小説1巻で、ギーシュと才人の決闘を止めるために、使用許可をオスマン氏に求めていたが使用はされなかった。また、小説9巻でシェフィールドがこれを使って衛兵を眠らせていたが、複数あるのかそれとも学院のものを盗み出したのかは不明。
ワルキューレ
ギーシュの作る等身大の青銅のゴーレム。名前のとおり槍を構えた女戦士の姿をしている。キュルケの戦力分析によれば、七体で手だれの傭兵一個小隊とほぼ同等の戦闘力を持つ模様。ハルケギニアに来たばかりのサイトをさんざんに痛めつけたが、それ以降はオーク鬼に容易く蹴散らされたり、ドットメイジの風呪文で吹き飛ばされたりといい所がない。
デルフリンガー
才人が愛用している片刃の長剣で、意思を持ち言葉を話す魔剣「インテリジェンスソード」。デルフリンガーを参照。実は先住の魔法で動いている。
破壊の杖
トリステイン魔法学院の秘宝。場違いな工芸品を参照。
ゴーレム
土の魔法で作られた意志を持たない人形。様々な作業や戦闘に用いるが、一般に大きな物は余り器用ではない。術で即席に作る場合もあれば、時間を掛けて長持ちするように作られた物もある模様。現在までの所最大のものは土くれのフーケが作り出した30メイルクラスの土(または岩)のゴーレム。アルビオンとの戦争ではトライアングルクラスのメイジが作った20メイルほどの土のゴーレムが攻城兵器などとして活躍していた。またラ・ヴァリエール公爵家では跳ね橋の上げ下げに専用の石のゴーレム二体を使っている。フーケが作ったもの以外は20メイル級の物が殆どなので、このサイズが一種のスタンダードなのかもしれない。
アンリエッタの杖
正式名称不明。アンリエッタの所持する王家の杖。魔法の杖というよりは王笏(権威を示すための短い杖)に近い形状をしている。権威を示すだけでなく大きな水晶に水の力が蓄えられており、治癒を行うことが出来る。
風石(ふうせき)
風の力が凝り固まった石。どちらかと言えば先住魔法の系統に属する物だが、フネ(飛行する船。詳しくはその他を参照)がこれを用いて空に浮かんでいることから現在のハルケギニアでは重要な産業資源となっている。ちなみに物体を浮遊させることはできるが、それを推進力に変えることは今のところ出来ない模様(よってフネは風石以外の動力源を必要とする)。エルフのビダーシャルは指輪に仕込んだこれを用いて生身で浮いていたが、先住魔法の使い手でなくともこのような使い方が出来るかは不明。
硫黄
黒色火薬の原料になる。作中では「火の秘薬」と呼ばれていたのでこの世界では魔法的な力が秘められているのかもしれない。
水の魔法薬
ニューカッスルにあった火傷に効く魔法の薬。魔法といっても一晩で全快するほど便利な物ではない。
アンドバリの指輪
ラグドリアン湖に住む水の精霊が守っていた秘宝。指輪の石は水の精霊とほぼ同じ成分の結晶体=水の力の凝縮した物であり、数万の兵士の心を奪ったり、死者に偽りの命を与えたりと言った奇跡とも思える力を行使できる。シェフィールドとクロムウェルの手によって水の精霊から奪われ、アルビオン戦役まではクロムウェルが用いていたが小説11巻現在はシェフィールドの手にある。アニメ第一期では同じくクロムウェルが用いてルイズやキュルケ、タバサなどの心を操ろうとした。
魔法のランプ
杖で合図をするだけで消灯が行える魔法のランプ(アラビアンナイトのあれではなく、あくまでヨーロッパ風のそれ)。マジックアイテムとしてはそれほど大した物ではないが、やはり平民の手に入るような物ではない。アニメでは点灯も杖を振るだけで行っていたが、原作でもそうかは不明。
竜の羽衣
シエスタの曽祖父の形見でタルブ村に伝わる秘宝。場違いな工芸品 を参照。
始祖の秘宝
始祖ブリミルが四つの王家に残した「虚無」に関係する物品。始祖の秘宝 を参照。
魔法の拘束具
ルイズが才人をお仕置するために購入したもの。皮ひもで出来たサスペンダーのような形状で、結び目に当る部分に錠前がついている。本来は猛獣を飼い慣らすための物で、合言葉を唱えると装着者の身体に電撃が走る。
嘘つきの鏡
魔法学院にある魔法の鏡。醜いものを美しく、美しい物を醜く映し出す。宝物というほどのものではないのか、宝物庫ではなく普通の倉庫にしまってある。アニエスはこれを利用して傭兵メイジの奇襲をかわした。
ポーション
魔法の飲み薬のこと。モンモランシーが作った惚れ薬や眠り薬などのほか、様々な種類がある。なお惚れ薬はトリステインでは違法。
水の精霊の涙
水の精霊の体の一部を切り取ったもの。精神と生命にかかわる様々なポーションの原料となる。
魅惑の妖精のビスチェ
トリスタニアの繁華街にある酒場「魅惑の妖精亭」に代々伝わる魔法のビスチェ。どんな体型の人間が着てもぴったりフィットし、見た人間は着用した人間に魅惑されてしまう。400年前にこの店の給仕娘と身分違いの恋をした当時の王が贈った物だという。
ガーゴイル(魔法人形)
ゴーレムと同じく土系統の魔法で作られた人形だが擬似的な意志を持ち、魔力が供給されている限りはメイジの操作を受けなくても自律行動が可能(その分ゴーレムに比べて維持にかかる魔力は増えるらしい)。作中では主に戦闘に用いられているが様々な用途の物があるようで、宮廷の衛兵をしたり、人間そっくりに作られ御者をするものまでいる。
空飛ぶヘビくん
コルベールの発明した魔力追跡型ホーミングミサイル。厳密に言えばマジックアイテムなのは弾頭の魔力感知装置だけのようである。コルベールの発明品を参照。
ティファニアの指輪
正式名称は不明。ティファニアの母が彼女に残した、水の精霊の力の凝縮した指輪。デルフリンガーは「エルフの宝」と言っており、アンドバリの指輪と同種のアイテムと思われる。ティファニアはこれを治療に使っていたが、瀕死の重傷を負ったサイトを助けるために使い切ってしまった。
アルヴィー(小魔法人形)
ガーゴイルの一種で魔法のかかった小さな人形。サイズが小さいからか、常に魔力を送り込まなくても維持できるようである。実用よりはからくり時計のような「見て楽しむ物」としての側面が強いようで、例えばトリステイン魔法学院の食堂にあるアルヴィーは夜になると踊り出す。またこれを操って劇をする演芸がありそれなりにポピュラーらしいが、平民でも扱えるのかどうかは不明。
スキルニル
過去の魔法使いが作ったアルヴィーで、人間の血を与えるとその人間そっくりになる。外見のみならず記憶やしぐさ、身につけた技術まで再現出来る。古代の王達はこれを用いて戦争ごっこに興じたらしい。
真実の鏡
トリステイン魔法学院の宝物で、人の心の奥に持つ理想の姿を映し出し、その姿に変身させる。学院では毎年新入生歓迎会としてこれを用いた仮装舞踏会を行う。
水の精霊の薬
正式名称不明。心を壊すエルフの魔法薬。タバサの母親はこれを飲んで心を失った。
ヨルムンガント
ガリア王ジョゼフが系統魔法とエルフの先住魔法を組み合わせて作った、言わばハイブリッドのゴーレム、ないしはガーゴイル。作中では鎧を着た騎士のような姿から「剣士人形」と呼ばれる。25メイルという巨体ながらゴーレムではありえないほどの素早い動きとパワーを持ち、先住魔法「カウンター」を応用した魔法の鎧と剣まで装備している。試作品はスクウェアクラスのメイジが作り出した20メイルサイズのゴーレム三体を秒殺し、鎧は至近距離から放った大砲やデルフリンガーの刃をも弾き返した。現時点で確実に倒す方法はルイズの「エクスプロージョン」のみ(それもかなり強力な)。
ジョゼフは13巻の巻末で、完成した10体のヨルムンガントにロマリア侵攻を命じる。しかし14巻において才人の活躍により、ガンダールヴの"槍"であるタイガー戦車に粉々にされた。
名前は北欧神話ヨルムンガンドから。
メデューサの眼鏡
アニメ第2期第1話に登場するアニメオリジナルのマジックアイテム。ルイズの実家に代々伝わる秘宝で、メガネとは言うがレンズははまっていない。外見は沢山の宝石をちりばめた大きなメガネと言った所だが、舞踏会用の目元のみを隠す仮面にも見える(顔を隠す役には立たないだろうが)。着用者(才人)が送り主(ルイズ)以外の女の子をいやらしい目で見ると眼鏡の宝石が点滅する。一度身に着けると外すことができないが、ルイズの才人への度重なるお仕置きの魔法攻撃の末に壊れた。
エクレール・ダムール
アニメ第2期第12話(最終話)に登場するマジックアイテム。厳密には「マジックフラワー」と呼ぶ。小さなビンの中に花が入っていて、花の様子で相手のことが分かることから2つ1組で効果を発揮するように思える。ルイズがサイトとの結婚式の為に花屋から購入(譲り受けた)。花の意味は「永遠の誓い」。

種族

人間
種族としては我々の世界の人間とほぼ同じ。基本的に白人種のようであるが、キュルケは褐色の肌を持っているので一概には言えない。ただ黒髪はともかく黄色人種の顔立ちはハルケギニアでは珍しいようである。
エルフ
東方の砂漠(サハラ)に住み、「聖地」を支配(エルフの意識では「封印」)している美しい容姿と細身の長身を持つ人に似た異種族。ハルケギニア最高の先住魔法の使い手であり優れた戦士でもある。人間より遥かに長い寿命と歴史を持っており、多くのものは人間を蛮族として蔑視している。技術的にも人間より遥かに進んでいる(砂漠を居住可能にする技術もある模様)。指導者は世襲でなく入れ札(投票)で選ぶとのことなので共和制ないしは民主制を取っているらしい。基本的に平和主義者ではあるが、聖地を守るなどの目的のためならば戦うことを厭わず、恐るべき戦士と化す。
精霊の力の源である「大いなる意思」を信仰の対象としている。世界の全てに精霊の力が存在するというアニミズム的要素を持ってはいるものの、唯一の「大いなる意思」が全ての運命や事象を決定すると信じられているなど、一神教的要素も強い。なお「大いなる意思」はエルフ以外にも韻竜などの先住種族に広く信仰されている。
人間と意思疎通する場合のみならず先住魔法を使う際の精霊への呼びかけにも人間の言葉を用いていることから、基本的に人間と同じ言語を用いているようである。
「虚無」を闇の力、担い手を悪魔、聖地を「悪魔(シャイターン)の門」と呼び、かつて「大災厄」を引き起こしたものとして恐れている。かつての始祖ブリミルの敵ではあるが、一方でガンダールヴらしき存在が「大災厄」からエルフの土地を救った聖者アヌビスとして信仰されるなど、不可解な点も残る。
韻竜(いんりゅう)
知性を持つ竜(普通の竜は賢くはあるが人間には到底及ばない)。肉体的には普通の竜と差はないようであるが、高い知性を持ち、人間の言葉を喋り、高度な先住魔法すら操る。人間の世界では絶滅したと思われているが、どこかに隠れ住んでいる模様。本編中に登場したのはタバサの使い魔である風韻竜の幼生、シルフィードのみである。
水の精霊
ラグドリアン湖に住む巨大なアメーバのような知的生命体。どうやって発声しているかはわからないが人間の言葉を喋ることも出来る。自由に分裂・再結合することが出来るが、その場合でも肉体を統括する意志は一つ。また人間を「単なる者」と呼び、自らを「個にして全、全にして個」と称する。この事から一種の群体生命体と思われる。ほぼ不死であり、生きた水の力そのものとも言える存在。極めて強力な水の先住魔法を操り、またその肉体は貴重なポーションの材料となる。トリステイン王家と盟約を結ぶなど人間ともある程度の交流があり、モンモランシーの父親はその力を借りて領地を干拓しようとしていた(失敗したが)。なお同様の火や風などの精霊が存在するかは定かではない。先住魔法で力を借りる「精霊」は世界に存在する力そのものなので、水の精霊のような生命体としての形態は持っておらず、この水の精霊とは別種の存在である。
オーク
2メイルほどの身長と人間の5倍の体重、豚の顔と肥満した肉体を持つ亜人。手だれの戦士5人に匹敵する戦闘力を持ち、鬼の名の通り人間を喰らう。神聖アルビオン共和国の軍にも参加していた。
トロール
アルビオン北部の高地地帯(ハイランド)に棲息する身長5メイルほどの亜人。殺戮を楽しむために人間同士の戦に参加することがある。神聖アルビオン共和国軍に参加していた。
オグル
牙の大きな身長5メイルほどの亜人。神聖アルビオン共和国軍に参加していた。
亜人
種族ではなく、人間がエルフ、オーク鬼、トロール鬼など「人間に似た存在」をまとめてこう呼ぶ。その生体は様々で、エルフのように人間とほとんど変わらない外見と知性を有し、人間との間に子供をもうけることが可能なものから、オークのように2足歩行を行う以外は殆ど野獣同然のものまでいる。オークやトロルなどは怪物、巨人などとそれぞれ別の名で呼ばれることもある。翼人や吸血鬼がそう呼ばれているかは不明。
妖精
精霊とは異なる、伝説上の存在。少なくとも人間の世界ではいまだかつて確認されたことはなく、一般には架空の存在として捉えられている。ティファニアに助けられた竜騎士フェルナンが彼女のことを妖精に喩えていた事から、姿は美しい人間に似るらしい。

外伝「タバサの冒険」のみに登場

翼人
森に住む種族で背中に翼を持っていることを除けば人間そっくり。木の上に住居を作る。卵生ではなく胎生の模様。先住魔法の使い手。
吸血鬼
人間の血を吸う怪物で「妖魔」と分類される。外見は人間と全く変わらず、牙も血を吸うとき以外は隠しておける。その上魔法でも正体を暴くことはできず、その狡猾さとあいまって最悪の妖魔と称される。オーク鬼ほどではないが力も強く生命力も高い。初歩のものなら先住魔法を使う事も出来る。太陽の光に弱いが、ニンニク等それ以外の弱点は特にない模様。霧や獣への変身、視線で人を縛るなどの能力も持っていない。
いわゆるアンデッドではなく一つの種族として存在しており、生殖活動も行い人間より遥かに長いものの寿命もある。血を吸われた人間が吸血鬼になることはないが、血を吸って殺した人間を魔術師の使い魔同様の存在「屍人鬼(グール)」として操ることが出来る。屍人鬼は生前の容姿と知能をそのまま保持し、太陽の光の下でも活動でき、主人と同じく普段の外見は普通の人間と変わらない。
エコー
見た目はイタチとほとんど変わらないが、大きく青い目が外見上の特徴。韻龍と同じ幻獣であり、先住の魔法を使い変身する能力がある。
ミノタウロス
身長2.5メイルほど、牛の頭を持つ亜人で普段はほとんど棲み処の洞窟から出てこないが、オーク鬼と同様に人間の子供が好物であるため、恐れられている。怪力をもつ上にその皮膚は剣や矢、銃弾(マスケット銃の球形弾)も受け付けないために防御力も高く、首を刎ねてもしばらくは生きていられるほどの生命力も持ち合わせている。

ゲームのみに登場

獣人
ゲーム「小悪魔と春風の協奏曲」のみに登場する種族。エルフらと同じ先住の種族の一つで、外見的特徴は人間やエルフの耳よりも頭頂部寄りの部分についているネコ科動物のような三角形の耳であり、それ以外はほとんど普通の人間と変わらない。四系統以外の魔法を使うが、本編のエルフらの使う先住の魔法と同一のものかは不明である。その魔法は、人間の記憶を操作して人格を改変したり、一人の人間の中にもう一つの人格を作成し、必要に応じて自分が作成した人格を発動させることができるが、禁忌として忌み嫌われている。
ゲーム中ではこの獣人と人間とのハーフであるウェザリーのみが登場する。ウェザリーのモデルは、以下の共通点(人間と亜人のハーフである。父親は貴族であったが、両親共に殺される、記憶を操る魔法が使える)から、本編で登場するティファニアと思われる。
サキュバス(夢魔)
ゲーム「夢魔が紡ぐ夜風の幻想曲」のみに登場する種族。先住の種族の一つで、四系統以外の魔法を使う。この魔法について詳しく解明されていないが、人間に気分の良くなる夢を見せ、それを介して本人の理解できぬうちに段々と生気を吸い取るという効果を持っており、この生気を得ることによって生きている。この効果を逆手に取り、悪意ある人間が軍事目的で利用した場合、生気を過剰に摂取させ、死に至らせることも可能である。
軍事利用の結果、人間にとって危険な存在であるとの自分勝手な認識になり、人間のとある一族が、400年前に封印させる技術を開発、その後、ほとんどを封印させることに成功、その一族の末裔を除き、現在の人間は存在を知らなかった(タバサなどごく少数のみは伝承されているようである)が、トリスティン王国(のトリステイン魔法学院)に封印されていたある一体の封印が解けて、才人を狙った。
夢を見せる魔法を応用して、人間の精神・人格を入れ替えてしまうこともできる。

書物・文献

『始祖ブリミルの使い魔たち』
トリステイン魔法学院の教員用書庫に収められていた文献。召喚された才人の左手のルーンを不思議に思ったコルベールは様々な本を読み漁った結果、この本で「ガンダールヴ」の徴であると確認した。
本を見たオスマンが一瞥して「古くさい本」と言っていた事から、かなり以前に著された本であると思われる。神学の進んだロマリアや「始祖の秘宝」を扱えるものでなければ「虚無の使い魔」の正確な数や能力は解らない筈なので、実際の記述内容は玉石混交なのかもしれない。
『始祖の祈祷書』(偽書)
始祖ブリミルの偉業と教えを記したとされる書物。しかし世界中に複数存在する同名の書は微妙に内容が異なっており、そのうち幾つかは「これこそが本物である」と謳われている。実際には時代地方によって様々な貴族や聖職者が、自分たちに都合のいいように解釈した内容が書き散らされているので、どれが本物なのかは誰にも解っていない。
古いだけで内容は白紙であると広く知られるトリステイン王家秘蔵の『始祖の祈祷書』こそがオリジナルなのだが、それを知る者は殆どいない。オリジナルの効果については始祖の祈祷書 を参照。
『風の力が気象に与える影響とその効果』
タバサがトリステイン魔法学院の入学式最中に、オスマンの話を尻目に読んでいた魔法の研究書。隣席に座っていたキュルケは、子供にしか見えないタバサが難解な本を読んでいたので、怪訝な顔をしていた。
『炎蛇のヒミツ』
コルベールが出陣前の才人に渡した自筆の小冊子。お世辞にもセンスのいいタイトルではないが、ゼロ戦に搭載した発明品の使用方法が書かれていた。手紙が同封されていたが、それは戦場に赴く才人を自分の生徒と見込んで記した、コルベールの教師としての思いやりだった。
『恋愛の方程式〜男の子に好かれるためには』
才人の夢の中でタバサが読んでいた書物。読書内容をからかった才人に向かって、タバサの才人の心を抉るような毒舌マシンガントークが炸裂した。
『メイドの午後』
貴族の館で働く平民のメイドが、無体な主人に夜な夜なお仕置きをされるという小説。シエスタが同室の娘に読むように勧められ、才人の気を引くために内容のロールプレイを敢行した。才人は「そういや自分の世界でも少女誌って内容は過激だったな」と感心していた。
『幻の古代知性生物〜韻竜の眷属』
豊かな知識を持った古の賢者が、歴史の闇に消えた生物を記した一冊の書。ガリア王城に向かうタバサが退屈しのぎにたまたま読んでいたのだが、自分の背中で自分たちの種族に書かれた本を読んでくれていた事に、シルフィードはいたく感激していた。
『ハルケギニアの多種多様な吸血鬼について』
ガリアの領内に現れた吸血鬼掃討に先駆けて、タバサが読んでいた本。
『イーヴァルディの勇者』
ハルケギニアに伝わる英雄譚の中で最もポピュラーとされる物語。いじめられっ子のオリヴァン少年が鞄に入れて持ち歩いていた。
シャルロット(タバサ)が幼少の頃、母親から語って聞かされた本の中で最も多く聞かされたのがこの物語であった。
基本的に、始祖ブリミルの加護を受けた勇者イーヴァルディが剣と槍を用いて龍や悪魔、亜人や怪物など様々な敵を倒すというもの。主人公が平民であるためか平民に大きな人気があり、原典が存在しないために筋書きや登場人物に違いがあったり、伝承や口伝、詩吟、芝居、人形劇など数多くのバリエーションがある。
一方でイーヴァルディの素性ゆえに大人の貴族にとっては御伽噺と決め付けられており、様々な内容が伝えられているにも関わらず、イーヴァルディの実在の真偽など、学問的研究は未だなされていない。
エルフにも似た様な伝承が存在する。エルフの伝承に出てくる聖者アヌビスは聖なる左手を有し、勇者イーヴァルディは光り輝く左手を持っていたとされて良いおり、ビダーシャルもこの共通点に深い興味を抱いていた。
ガンダールヴとなった平賀才人には武器を持つと光る左手があり、この事と『イーヴァルディの勇者』や『聖者アヌビス』、伝承にあるブリミルの従者『聖者エイジス』との関連が注目される。
『召喚されし書物』
アニメ第4話に登場するアイテム。とある魔法使いが行った魔法の実験中の何らかの事故によって召喚された書物。未知の言語書体で文字が書かれており誰にも解読できなかったが、男性の欲情を駆り立てる効果があるという評判を聞きつけ、ゲルマニアの貴族フォン・ツェルプストー氏(キュルケの祖父)が買い取り、家宝とした。本自体は書物マニアの間では有名らしく、トリステインのモット伯爵もこの書物を所望していた。
実は才人の異世界のセクシーグラビア誌で、書名は「エロ凡パンチ・'75年4月号」。ハルケギニアには写真活版印刷技術がないらしいので、30年前のエロ本とはいえ、その効果というかカルチャーショックぶりは想像に難くない。留学してきたキュルケが嫁入り道具として託されていたが、内容を一瞥したキュルケにとっては何の感慨があるでもなく、モット伯にあっさりと譲渡した。
『バタフライ伯爵夫人の優雅な一日』
貴婦人マダム・バタフライと男性との関係を赤裸々に綴った小説本。第2章がすごいらしい。「高貴な女性の口にはできない欲求が積もり積もって...」という内容が受けているのか、トリスタニアで今人気の読み物らしく、倹約派のシエスタも自費で購入した。価格は55スゥ。

その他

シュヴァリエ
国家に対して大功あった者に与えられる騎士の称号。純粋に実力実績のみを評価されて叙せられるため、爵位号のように金で手に入れたり、世襲で受ける事は出来ない。任免は各国の王の裁量で行われ、シュヴァリエとなった者は叙勲式で始祖と王と祖国に忠誠を誓うならわし。トリステインでは軍務につく貴族諸侯への配慮もあって、軍役につく事も叙勲条件の一つとなっている。また近年のガリアでは国王ジョゼフの気まぐれからか、商家の権利証並みに乱発されているらしい。
本編中の描写では、トリステインではシュヴァリエの称号に年金がつくようで、これは隣国ガリアも似たような制度であるらしい。才人がシュヴァリエになって国庫から貰える年金は500エキューほどで、原則として毎月12分の1ずつ(前借りも可)財務省から受け取れるシステムになっている。
サント、メイル、リーグ
ハルケギニアでの長さの単位。作中での解説は特に無いが、その用法からサントはセンチ、メイルはメートルの言い換えであると推測され、尺度もほぼ同じである。より長い単位としてキロメイルも使われている。またリーグは才人の世界の距離に換算すれば約1kmの距離単位との記述があり、実在する単位のリーグとは一致しない。
エキュー、スゥ、ドニエ
ハルケギニアの通貨単位。エキューが金貨、スゥが銀貨、ドニエが銅貨である。エキュー金貨1枚が1エキュー、新金貨の場合は3枚で2エキューに相当する。因みに100ドニエで1スゥになり、100スゥで1エキューである。中世 フランスの通貨単位(ecu,sou,deniers )が基になっている。
トリステイン市民1人当たりが一年間に使う生活費は平民で約120エキュー、下級貴族は約500エキューほど。2000エキューもあればトリステインでは森のある庭付きの立派な屋敷が買えるらしい。
読んで字の如く、剣である。魔法使いである貴族は自ら武器を持たないため、武器が原因で死亡するのは貴族にとって不名誉な死に方とされている[7] 。世情不安から貴族が平民の下僕や手勢に優秀な武器を与えるのが流行しているが、それにしても錬金 鍛冶師が魔法で装飾を凝らした見た目優先の細身で優美なレイピアタイプが好まれているようだ。1.5メイル程度の大剣ならば安くても新金貨200枚が相場らしい。喋るボロ剣の姿をしていたデルフリンガーは武器屋の親父に厄介払いとして新金貨100枚で売られていた。
軍における平民の部隊の主力兵器で銃士隊の基本装備でもある。今までに火皿の火薬に火縄で着火する火縄銃火打石で着火するフリントロック銃の2種類の存在が確認されており、それぞれに長銃身のマスケット銃と短銃身の短銃が存在する。
現在のハルケギニアの技術レベル上の問題で近距離でしか当たらないうえに多少の銃創は魔法で治せるため、現在の所メイジにとって銃火器は後述の「場違いな工芸品」の銃でもない限りさほどの脅威ではない。銃剣もまだ発明されていないため、軍隊においては銃兵の護衛に短槍兵を充てる編成が取られている。
この他、軍艦には大砲が搭載されているが、野戦攻城戦などの地上戦においても空中のフネから直接砲撃を行う方式が主流のため、大砲はカロネード砲カルバリン砲などのような艦載式が主流で地球のようなカノン砲榴弾砲臼砲は存在しないか少なくとも一般的なものではない。火薬手工業で作られるらしいので、原料となる硫黄などは軍需物資として重要に扱われる。
フネ
「風石」と呼ばれる魔法の石を使って空を飛ぶ船舶の総称。本文中では水上を航行する「船」とは区別して「フネ」とカタカナで表記される(ハルケギニアには海を渡る通常船舶も存在する)。外見や基本的構造は我々の世界における中世時代の帆船に似ているが、違うのは風石を載せるスペースと翼があること。風石の魔力を発動すると船体が宙に浮き、あとはマストに帆を張って航行する。魔力を発動した風石は徐々に目減りし遂には消滅するので浮かび上げるための燃料と思えば解りやすい。目的地に向けてあらかじめ必要な風石の量を計算するのは、大量の荷物を載せる民間貨物船などでは特に重要。商船などでは経費と積荷の儲けのバランスを見てギリギリの風石しか積んでいない事もある。
大砲が実用化されているので、対空賊・対飛行魔獣用にほとんどのフネが大砲を備えている。民間船は甲板上を移動するタイプの大砲を数門、必要に応じて引きずり出して使うが、軍艦においては何十門もの大砲を砲甲板に備えた戦列艦が主流となっている。
なお、「Royal Sovereign」「Redoutable」「Bucentaure」はいずれもトラファルガーの海戦に参加した艦艇の名前からと思われる(ロイヤル・ソヴリンは英艦隊の副旗艦、ビューサントルは仏・西連合艦隊の旗艦。またルドゥタブルの狙撃手はネルソン提督を戦死させた)。
作中に登場した主なフネ
レキシントン
旧名「ロイヤル・ソヴリン(王権)」号。もとはアルビオン王国軍の旗艦だったが、反乱を起こしたレコン・キスタによって接収され、レコン・キスタ初の戦勝地の名を付けられた。その全長は200メイルにも及び、両舷あわせて108門の大砲を備えるほか、竜騎士隊の搭載機能すら有する当代一の巨大戦艦で、レコン・キスタの力の象徴ともいえる存在。
シェフィールドのもたらした長射程砲を装備し、再艤装の上でトリステインの空へと降り立ち、タルブの降下戦でその怪物じみた戦力をまざまざと見せつけた。しかし「虚無」の力に目覚めたルイズの超巨大「エクスプロージョン」で周囲の僚艦もろとも、帆と搭載していた風石を消滅させられ、不時着した。乗船していた乗組員には奇跡的に死者が出なかったが、タルブの草原に落ちた船体がその後どうなったかは不明。
レドウタブール号
アルビオン侵攻にあたってトリステイン軍が建造した新鋭艦。全長70メイルの船体に片舷48門の大砲を搭載している。600名からの乗組員が乗艦しているが、アルビオン上陸を前にした艦隊戦では右舷砲甲板が吹き飛んで、最終的に200名もの死傷者を出した。マリコルヌとスティックスはこのフネに乗り込んでいた。中破した後も後送される事は無かったようで、降臨祭直後の連合軍撤収の際にはロサイス軍港に残った兵士・非戦闘員を載せてアルビオンを出立した最後のフネとなる。
ヴュセンタール号
トリステインがアルビオン侵攻用に新規設計した『竜母艦』という艦種の一番艦。アルビオンは質量共に優秀な竜騎士隊を持っており、これと戦う上で大量の自軍竜騎士隊を運搬するための艦である。最大の特徴は竜の発着用に船体上面が平甲板になっている事。推進用のマストは両舷に3本ずつ突き出ており、帆を畳んだ船体はさながら肢を広げた昆虫のような姿をしている。構造上大砲を側舷から撃つ事が出来ず、実際搭載していない。船体内部には大量の竜を休めるための厩舎と竜用の糧食が、砲弾や火薬の代わりに満載されている筈である。
正確なサイズは不明だが軍艦としては大きめの部類らしい。同サイズの通常艦よりも内部スペースに余裕があるため大型の会議室が設けられ、トリステイン・ゲルマニア連合軍の作戦本部も艦内に設置されている。艦自体の戦闘力を犠牲にして情報処理能力を優先した、極めて異例の戦艦となった。
才人の操縦するゼロ戦を敵地で飛ばすために出撃5回分(満載で5回分だとすれば2850リットルに及ぶ)ものガソリンを、大量の「土」メイジによる「錬金」で作り上げて搭載している。才人とその主人ルイズの戦力を「切り札」と見なしているからこその処置であり、このような艦を建造してまでアルビオン打倒を決意したアンリエッタの覚悟と復讐の念がうかがえると言えよう。戦後はトリステイン王家の御召艦になったらしく(甲板の広さやペイロードの大きさ、また非武装であることが式典などに適している為と思われる)、国賓待遇の出迎えに使われたりしているようだ。
「東方(オストラント)」号
重傷を負い、キュルケの計らいでゲルマニアに身を潜めたコルベールが設計した空飛ぶ探検船。ハルケギニアの飛行船舶に自身の研究理論と、異世界の飛行機械「竜の羽衣」の理論を組み合わせた革新的なフネ。外観上最大の特徴は船体横に突き出した二等辺三角形の翼と船体後方に備え付けられた巨大なプロペラ。全幅150メイルにも及ぶ巨大な翼は浮力を生み出せる翼面構造をしているらしく、揚力を生み出して船体浮上に必要な風石の消耗を抑えられる効果がある。三基のプロペラは船体に内蔵された石炭で動く水蒸気機関で回り、風の無いところでも推進できる仕組み。巡航速度は、毎時50リーグ(およそ50km/h)。コルベール発案の魔力感知ロケット弾「空飛ぶヘビくん」を複数内蔵しているので、自衛戦闘も可能。
建造費は不明だが、コルベールに惚れこんだキュルケが実家フォン・ツェルプストー家の財力を惜しみなく注ぎ込んだらしい。そのため船籍はゲルマニアに属し、船にはゲルマニアの国旗とフォン・ツェルプストー家の旗が掲げられている。維持運用費も不明であるが、ゲルマニアから専属クルー(人数不明)を徴用し、数回飛行して13巻で東方へ旅立つつもりで風石を満載(おそらく石炭・食糧関係も)していることからかなりの額になると思われる。諸事情を考慮するとトリステインから東方を往復できる量(ガリア王国やエルフたちがこれらを供給してくれるとは考えられず、東方に至っては補給自体が不可能である可能性も高い)が必要であり、これだけの費用を出し続けるとすればとてつもなく裕福なのか、又は、コルベールが水蒸気機関などの技術供与で金銭的取引している可能性もある(魔法後進国のゲルマニアにすればコルベールの発明品の数々は、正に宝の山・金の生る木に見えるに違いない)。先駆的技術を多数盛り込んでいるゆえ、コルベール以外には動かす事は不可能(全体として兵器とは言い難く、才人に可能かどうかは不明)。コルベールはこのフネで「東方(ロバ・アル・カリイエ)」へ旅立つ事を決心している。しかしその為にはガリア領を通過しなくてはならず、困難が予想されている。

才人がガンダールヴとして使用した武器

ギーシュ・ド・グラモンの剣
ギーシュが才人と決闘を行う際に魔法で出した剣。
ゲルマニアの錬金術師シュペー卿が鍛えし業物
1.5メイルほどの大剣。武器屋で才人が気に入って欲しがったが、ルイズの持ち合わせが足りなくて買えず、そのことを知ったキュルケが購入し、才人にプレゼントした。鉄をも一刀両断するという触れ込みだったが、フーケの土ゴーレムとの対戦であっさり折れてしまった。
デルフリンガー(声:後藤哲夫)
才人が愛用している片刃の長剣で、意思を持ち言葉を話す魔剣「インテリジェンスソード」。デルフリンガーを参照。
破壊の杖
場違いな工芸品を参照。
竜の羽衣
場違いな工芸品を参照。
空飛ぶヘビくん
コルベールの発明した魔力感知型ミサイル兵器。コルベールの発明品を参照。
AK小銃
場違いな工芸品を参照。携行していたが、まだ実戦では使用していない。

コルベールの発明品

ゆかいな蛇くん
コルベール先生の偉大なる新兵器第1弾。ゼロ戦の照準機付近に搭載され、起動すれば蛇の模型が出てきていかなる逆境の中でもパイロットと同乗者を応援し、勇気付けてくれる。応援の内容は「サイトガンバレ! サイトガンバレ! ミスヴァリエールモガンバレ!」だった。実際に逆境の中で応援してもらった才人の感想は「あんのコッパゲ!」という、彼の感動をストレートに表現したものだった。
空飛ぶ蛇くん
コルベール先生の偉大なる新兵器第2弾。火薬式ロケットで推進し、『ディテクトマジック』で魔力を探知してその方向へ誘導し、近くに来たら爆発して爆風と破片を浴びせるという、要は魔力追尾機能と近接信管付のミサイルである。ゼロ戦への搭載時は主翼の下に取り付け、『ゆかいな蛇くん』の舌を引っ張ることで解放し、起動する。ただし、魔力を探知すると敵味方の区別無く突っ込んでいくのが難点であり、その為、誤射を起こしにくいように、ある程度の距離以内なら爆発しない安全装置が取り付けられている。アルビオンの竜騎士を突破したり、ガリアのガーゴイルをまとめて爆破するなど、多大な戦果を挙げている。ゼロ戦本体の飛行速度に及ばない為か、後ろ向きに発射するよう据え付けられていた。
エンジン
で気化させた油を内室に送り火の魔法で着火(発火装置は考案していたが製造できなかった)することで、中のクランクが断続的爆発で回転を続け、動力を生み出すという代物。要は初歩的な内燃機関。
コルベールは自分の授業でこの試作機を生徒達に公開し、発展型は荷車や船すら動かせるという自説を披露したが、メイジである彼らの感想は「そんなの魔法を使えばいいじゃない」という、にべもないものだった。エンジンという名前は、同じ物を自分の世界で見知っている才人の発言から付けられた。
水蒸気機関
才人の持ち込んだゼロ戦のレシプロエンジンを分解整備することで、大出力エンジンの仕組みを理解したコルベールが開発した蒸気機関。燃料は「錬金」で生成するガソリンではなく、ハルケギニアでも採掘される石炭。「東方」号のメイン動力で、前方推進用のプロペラをこれで回転させる。
バッテリーの充電法
ゼロ戦に搭載されていた発電機バッテリーから、充電状態と放電状態の内溶液の成分を分析・比較して「錬金」によって充電状態の成分を精製し、電池切れで使用できなかった才人のノートパソコンを使用可能にした。
機械を発明したわけではないが、その発想は天才的と言うべきである。才人も感動していた。
異世界(地球)からハルケギニアにもたらされた物品を指すロマリア側の呼称。東方「ロバ・アル・カリイエ」の聖地の付近で多く発見され、ジュリオが言うには、数百年前からロマリアの密偵たちが探索し、見つけ次第「固定化」の呪文をかけ、エルフの目をかいくぐってロマリアに送り込んでいた。それらの中には数百年以上前の火縄銃マスケット銃(ハルケギニアでは、これが現在最新型の銃であるが、地球の文字が刻まれている)や日本刀を含む刀剣類、ブーメランなどハルケギニアでも既に同じようなものが作られているものから、自動式・輪胴(リボルバー)式の拳銃小銃大砲 [8] 、ミサイルランチャー、ジェット戦闘機の機首のようにハルケギニアの技術では製造不可能なものまであり、保存状態も「固定化」の効果で新品同様のものから、錆ついたり故障・破壊されたりして使用不能なものまで様々である。
ジュリオによれば、始祖ブリミルの魔法が聖地に開いたゲートから、ガンダールヴの最強の「槍」として考え得る最強の武器を送り込んでくれるとのことで、地球からハルケギニアに迷い込んだ場違いな工芸品が武器・兵器ばかりで自転車や冷蔵庫などの民生品が存在しないのはこのためだと言う。才人が地球から召喚されたのは、ガンダールヴが扱うべきこれら"場違いな工芸品"の故郷であるからとも考えられる。
現在のハルケギニアの技術力では19世紀半ば以降の地球製兵器の銃弾砲弾を製造するのに必要不可欠な銃弾用の被甲弾やドングリ型の砲弾、金属製薬莢無煙火薬トリニトロトルエン(TNT)などの高性能爆薬、雷管信管などを製造することは不可能であるうえに部品を製造する金属精製・加工技術も現在の地球に比べて未熟であり規格化の概念も存在しないため、銃弾や砲弾、各種の修理交換用部品の補給は絶望的であり、すでに召喚されて存在しているものを使いつぶしていくしかないのが現状である。ただし、燃料のガソリンについてはコルベールが「錬金」魔法によって石炭を変性させて精製する方法を確立したため現地調達が可能となった。
主な「場違いな工芸品」
M72 LAW(破壊の杖)
アメリカ製の携帯式対戦車ロケットランチャー。才人がハルケギニアに召喚される30年ほど前、オスマンがワイバーンに襲われた際に地球から召喚された兵士(アニメ版では、服装からベトナム戦争時のアメリカ兵と考えられる)がこれを使用してワイバーンを吹き飛ばしオスマンの窮地を救うが、既に重傷を負っており程なく死亡。オスマンは彼が使用したLAWを彼の墓に副葬品として埋葬し、未使用のもう一本を「破壊の杖」と名付けてトリステイン魔法学院の宝物庫に保管した。だれもその使用法も効能も知らなかったが、第1巻で存在を聞きつけたフーケに盗まれ、才人がフーケのゴーレムを破壊するのに使用した。発射機は取り戻したが、LAWは使い捨てのため使用不能である。
上記の兵士がどうやってハルケギニアへ来たのかは、謎のままとなった。第13巻で「虚無」の呪文「世界扉」によって召喚されたらしい事が明らかになったが、誰が、何のために召喚したかは依然として不明。
ゼロ戦(竜の羽衣)
日本製のレシプロエンジン戦闘機。作中の記述から五二型もしくは五二型甲と推定される。シエスタとジェシカの曾祖父でもある佐々木武雄 海軍 少尉が飛行中、ハルケギニアの聖地付近に召喚され、そのまま燃料切れになるまで西に向かって飛び続けてタルブ村近くの平原に着陸した。ハルケギニアを訪れてまもない頃に佐々木少尉が貴族に依頼して「固定化」の魔法を施した為、当時の状態のまま佐々木少尉が建てた神社風の格納庫に眠っていた。「竜の羽衣」と呼ばれていたが、燃料のガソリンが切れたために飛ばすことができず、才人が召喚されるまでは「インチキ」扱いされていたが、才人とコルベールによって「錬金」魔法で石炭からガソリンを生成することが可能になったため、再び飛べるようになった。本来は1人乗りだが、使用しない(通信するべき相手がいない為)通信機を廃棄するなどして、才人とルイズが出撃する際は無理矢理2人乗りしている。
タルブ村での初戦闘においては、アルビオン軍の竜騎士隊を全滅させる戦果を挙げた。現在は弾切れを起こしているが、ハルケギニアには機銃弾を量産する技術が無いため、コルベールの発明品である「空飛ぶ蛇くん」を複数装備して戦力を補っている。
やはり「虚無」の呪文「世界扉」で召喚されたらしいが、詳細は不明。
アニメ版でもタルブ村での戦闘で戦果を挙げたが、中破して不時着、その後はトリステイン魔法学院の広場に置かれることとなった。
イギリス製の小銃
木製銃床から箱型の弾倉が突き出ている形状と、遊底に刻まれた"ENGLAND ROF(Royal Ordnance Factoryの略?)"の刻印から、リー・エンフィールドと推定される。
AK小銃
ロシア製のアサルトライフルで、才人がロマリアにおける水精霊騎士隊の訓練時に携行していたが、まだ才人による発砲シーンは無い。デルフリンガーは「こいつが一番頑丈で壊れにくい」というアドバイスをしたが、実際にAKの信頼性の高さは現用アサルトライフルの中でも最高水準にある。
AKには7.62mm口径のAK-47/AKMと5.45mm口径のAK-74が存在するが、どちらなのかを明確に示唆するような描写はない。
タイガー戦車
第二次世界大戦中にナチス・ドイツが開発した重戦車で、防御力と攻撃力の高さは米英ソの戦車部隊にとって脅威の対象であったが機動力の低さや燃費の悪さ、信頼性の低さなどが運用上大きな問題となった。13巻のイラストを見る限りでは、車体前面の装甲は傾斜のついた一枚板であることと砲塔前面の直線的な形状から、タイガーII(キングタイガー)のヘンシェル砲塔タイプと推定される。しかし、イラストでは十字マークと車体番号はともに砲塔にあるのに対し、本文中の記述では十字マークは車体で、車体番号は砲塔になっており、矛盾が生じている。また、実際のドイツ軍で、車体番号が白文字の324であるタイガーIIは記録には無い。しかし、タイガーIでならばいくつかの重戦車大隊で記録がある。以上の点から、イラストが作者の意向を忠実に描写したとは言い難く、作者が本文中で想定したのはタイガーIIではなくタイガーIである可能性は否定できない。なお、イラストの戦車は、実在のタイガーIIの写真(または模型)を参考にしたと思われ、その十字マークと車体番号の位置は1944年の西部戦線で鹵獲されたSS101(501)重戦車大隊所属のものとほぼ同じである。
ジュリオは、車に大砲を乗せるという発想と精巧なカラクリに感嘆するかのようなセリフを言っている。ハルケギニアの技術力ではタイガー戦車用の砲弾(徹甲弾榴弾)も補修用部品もまともに製造できないという補給上の問題と、ハルケギニアの橋や道路、フネがこのような重量物(タイガーIで56トン、タイガーIIで68トン)の走行や積載を想定して設計されている可能性は非常に低いという戦略的機動力の問題があるため、長期的に戦力として運用するのは極めて困難であろう。
コルベールたちの協力で操縦可能に。ヨルムンガルドを全滅させた。
ノートパソコン
正確には「場違いな工芸品」とは異なるが、便宜上ここに記しておく。
才人が召喚された時に一緒にハルケギニアに持ち込まれたもの[9] 。機種は不明。小説1巻で才人がルイズに対し自分が異世界人であることの証明として用いて以降、長らく放置されていた(バッテリー切れのため)が、小説13巻にてコルベールに預けられ、「錬金」の魔法によって「バッテリーに充電された状態」を再現することで再び電気を供給された。インターネットへの接続が可能で[10] 、そこには才人の母親や友人から送られた電子メールが届いていて、才人が地球では既に1年以上の間、行方不明扱いになっていることが判明している。
アニメ版では召喚の時に地球に取り残されたため登場していない。

脚注

  1. ^ トリステインでは法律で平民の領地の購入が禁止されており、特に記述はないが、アルビオンやガリアなども基本的に同様の制度であると思われる。
    後にアニエスや才人がシュヴァリエに叙される形で貴族の身分を得たが、彼らに領地は下賜されておらず、宮廷貴族などには彼らを「成り上がり者」と蔑視する者も多い。
  2. ^ ロベスピエールは本来ファミリーネームである。一例として、フランス革命期のジャコバン派首領のロベスピエールのフルネームは、マクシミリアン・フランソワ・マリー・イジドール・ド・ロベスピエールである。
  3. ^ トリステインの貴族の称号は「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・・ラ・ヴァリエール」や「ギーシュ・・グラモン」のようにフランス式の"ド"(de)であるに対して、ベアトリスの名前は「ベアトリス・イヴィンヌ・フォン・クルデンホルフ」であり、ゲルマニア出身の「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー」と同じドイツ式の"フォン"(von)になっている。
  4. ^ 現代ドイツ語では装甲PanzerungRüstungと綴るようになっており、Panzerの意味は戦車に置き換えられている。詳しくはパンツァーも参照のこと
  5. ^ ただしジュリオとシェフィールドは本名ではない。
  6. ^ 余談だが、本文中では「はばかれる」と誤って記述されている。
  7. ^ ガリア王のジョゼフが自らの手で弟のオルレアン公シャルルを殺した時も、天才的メイジであったシャルルを貶めるためか、魔法ではなく毒を塗った弓矢を使用した。
  8. ^ 大砲そのものはハルケギニアでもすでに実用化されているが、ハルケギニアの大砲は球形のむくの鉄製砲弾や散弾をライフリングのない砲身に砲口から詰めて 導火線で黒色火薬に点火して発射するものであり、どんぐり形の砲弾をライフリングのついた砲身に砲尾から詰めて無煙火薬で発射し、反動を駐退復座機マズルブレーキで軽減する地球の近代的な大砲(迫撃砲無反動砲ロケット砲を除く)から見れば大変原始的なものである。
  9. ^ 召喚された時、才人は修理の終わったノートパソコンを受け取って帰宅する途中だった。
  10. ^ 起動した時、偶然にも「虚無」の「世界扉」が開かれていた為。恐らく無線LANの環境設定がされており、「世界扉」の開いた場所がたまたま公衆無線LANアクセスポイントのある場所であったと考えられる。

外部リンク

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