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カムイエクウチカウシ山

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カムイエクウチカウシ山
東南東側のピラミッド峰とのコルより
標高 1,979.5 m
所在地 北海道 日高郡 新ひだか町
河西郡 中札内村
位置 北緯42度37分30秒 東経142度45分59秒 / 北緯42.62500度 東経142.76639度 / 42.62500; 142.76639 座標: 北緯42度37分30秒 東経142度45分59秒 / 北緯42.62500度 東経142.76639度 / 42.62500; 142.76639
山系 日高山脈
種類 氷食尖峰 [1]
初登頂 正木照信(1900年)
カムイエクウチカウシ山の位置
プロジェクト 山
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東北東から望むカムイエクウチカウシ山(右)、ピラミッド峰(左の右奥)
八ノ沢カール

カムイエクウチカウシ山(カムイエクウチカウシやま)は、北海道日高山脈に位置し、日高管内日高郡 新ひだか町十勝管内河西郡 中札内村にまたがるである。日高山脈襟裳十勝国立公園内にあり、日本二百名山の一つに数えられる。名称はアイヌ語の「熊(神)の転げ落ちる山」に由来する。登山者の間ではカムエクと略して呼ばれる[2]

標高1,979 m[3] [注釈 1] で、幌尻岳に次ぐ日高山脈第二の高峰であり、日高山脈主稜線上に男性的な山容をもって聳える。山頂には1900年陸地測量部正木照信 [4] により一等三角点(点名「札内岳」)が選点されている[5]

地理

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アイヌ語の名称の通り峻険な山容であり、日高山脈の高峰に特徴的な圏谷地形が見られる。十勝側山腹に八ノ沢カールと日高側山腹にコイボクカールを抱き、カールの下流側ではモレーンも確認されている[6] 。当山のほか、幌尻岳およびエサオマントッタベツ岳など日高山脈の山々では圏谷が見られるが、北アルプス薬師岳穂高岳に比べると小規模である。これは2万年前の氷期日本列島が大陸と陸続きとなり対馬海流日本海へ流入しなくなり、降雪が現在よりも少なかったことが原因であると考えられている[7]

南東側にはピラミッド峰 (1,853m) と呼ばれる四角錐型のピーク(支峰)があり、本峰を望見する展望台となっている。

山名の由来

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そもそも山名の「カムイエクウチカウシ」(ヒグマの転げ落ちる所)は、ヒグマを神と崇めるアイヌによって命名されたものではない。黎明期には「札内岳」と呼称されていた。1929年北海道大学伊藤秀五郎らが戸蔦別川上流の「カムイエクウチカウ」という場所で小屋を建設して幌尻岳に登頂する際に、案内人の勘違いでこの地名を誤って山名として伝えたために定着した[4]

登山

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当山に登るための整備された一般登山道はない。このため、当山が日本二百名山の中で最難関の山と呼ばれることがある[8]

最も容易なのは、夏期に札内川支流の八ノ沢を溯るルートで、札内川沿いの北海道道111号静内中札内線札内川ダムを過ぎた先にある札内川ヒュッテ前のゲートがスタート地点となる。札内川ヒュッテは無料で利用でき、トイレとストーブが備わっているが、水場はない。ゲートから道道111号を約7 km進むと七ノ沢出合に至る。ここからは札内川本流に沿って徒渉をくり返しながら踏み跡を辿り、八ノ沢出合に至る。八ノ沢を詰め、八ノ沢カールを経由して稜線に出て山頂に至る。難度の高い滝の登攀はないが、へつりや徒渉箇所がある。

他に九ノ沢を辿るコース、コイボクシュシビチャリ川本流を詰めるもの、カムイエクウチカウシ沢左俣直登沢などもあるが、いずれも沢歩きの熟達者にのみ許された登路である。

冬は沢のコースを避け、八ノ沢左岸尾根、ガケ尾根、カムイエクウチカウシ山南西稜が登られている。

北大山岳部雪崩遭難事件

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1965年(昭和40年)3月14日未明、日高山脈を縦走中の北海道大学山岳部の登山隊6人が十ノ沢での露営中に大規模な雪崩に巻き込まれ、全員が死亡した。6人は決して危険な場所に雪洞を掘っていたわけではなかったが、走行約3 km、デブリの長さ1 km、幅30 - 100 m、量約40万トン(いずれも推定)という、国内最大級の雪崩に巻き込まれた。初期捜索は困難を極め、雪融けを待って再開された捜索でようやく全員の遺体を発見、奇跡的に即死を免れていたリーダー澤田義一が雪の中で地図の裏にしたためた遺書がポケットから発見され、大きな話題を呼んだ。

福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件

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1970年(昭和45年)7月、日高山脈を縦走中だった福岡大学 ワンダーフォーゲル同好会のパーティー5人が、九ノ沢カールでヒグマに遭遇、後に追跡・襲われ、5人中3人が死亡した。残りの2人は無事下山し、討伐隊が当該ヒグマを射殺した。北海道の山岳史上で最も悲惨な事件の一つである。

ギャラリー

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カムイエクウチカウシ山から北面の山々を望む

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カムイエクウチカウシ山から南面の山々を望む

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近隣の山

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脚注

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注釈

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  1. ^ GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は1,980 m。

出典

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  1. ^ 日本の典型地形 氷食尖峰 - 国土地理院、2016年10月閲覧
  2. ^ 荒井魏『日本三百名山』毎日新聞社編、1997年
  3. ^ "標高値を改定する山岳一覧 資料2". 国土地理院. https://www.gsi.go.jp/common/000091073.pdf 2014年3月26日閲覧。 
  4. ^ a b 日本山岳会『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年
  5. ^ 国土地理院 基準点成果等閲覧サービス
  6. ^ 田代博、藤本一美、清水長正、高田将志 『山の地図と地形』山と溪谷社、1996年
  7. ^ 梅沢俊、瀬尾央『新版・空撮登山ガイド1 北海道の山々』山と溪谷社、1995年
  8. ^ "憧れのカムイエクウチカウシ山". 環境省北海道地方環境事務所 (2022年11月17日). 2024年8月25日閲覧。

関連文献

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  • 岩村和彦『北海道沢登りガイド』北海道新聞社、2015年。
  • 山と谷作成会議編『新版 北海道の山と谷2 日高・道東』富士コンテム、2018年。

関連項目

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外部リンク

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