「塩釜線」の版間の差分
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貨物線の貨物支線?
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|電報略号 = シホセ<ref name="tetsudoudenpouryakugou-p21">{{Cite book |和書 |author=日本国有鉄道電気局 |date=1937年02月15日 |title=鉄道電報略号 |url= |format= |publisher= |volume= |page=21}}</ref>
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'''塩釜線'''(しおがません)は、かつて[[宮城県]](削除) に存在し (削除ここまで)た[[日本貨物鉄道]](JR貨物)の[[鉄道路線]](削除) 。[[1956年]](昭和31年)までは'''塩竈線'''と表記した (削除ここまで)。[[1997年]](平成9年)に廃止された。
'''塩釜線'''(しおがません)は、かつて[[宮城県]](追記) [[多賀城市]]の[[陸前山王駅]]と同県[[塩竃市]]の[[塩釜埠頭駅]]とを結んでい (追記ここまで)た(追記) 、 (追記ここまで)[[日本貨物鉄道]](JR貨物)の[[鉄道路線]]。[[1997年]](平成9年)に廃止された。
== 路線データ ==
== 路線データ ==
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東北本線の岩切駅 - [[利府駅]] - [[品井沼駅]]間には急勾配があり、長大列車の運行に[[補助機関車]]を要するなど、鉄道輸送における支障箇所になっていた。それを解消する目的で、塩竈線の[[陸前山王駅]]から分岐して品井沼駅に至る貨物専用線が戦時中の[[1944年]](昭和19年)に開通した<ref>『塩竈市史2』本編2、641-643頁。</ref>。この貨物線は東北本線の支線扱いで「東北海岸線」と呼ばれたが、その際に岩切駅 - 陸前山王駅間が東北本線に編入されたため、塩竈線は陸前山王駅 - 塩竈駅間の路線となった。
東北本線の岩切駅 - [[利府駅]] - [[品井沼駅]]間には急勾配があり、長大列車の運行に[[補助機関車]]を要するなど、鉄道輸送における支障箇所になっていた。それを解消する目的で、塩竈線の[[陸前山王駅]]から分岐して品井沼駅に至る貨物専用線が戦時中の[[1944年]](昭和19年)に開通した<ref>『塩竈市史2』本編2、641-643頁。</ref>。この貨物線は東北本線の支線扱いで「東北海岸線」と呼ばれたが、その際に岩切駅 - 陸前山王駅間が東北本線に編入されたため、塩竈線は陸前山王駅 - 塩竈駅間の路線となった。
戦後、東北海岸線には[[急行列車]]などを中心に旅客列車が設定されるようになるが、輸送量増加に伴う東北本線の複線化に当たって、海岸線(削除) (海線) (削除ここまで)の方が勾配区間がない上に沿線人口も多かったことから、国鉄は「山線」と呼ばれた旧線を廃止して、東北海岸線を正式な本線に格上げすることにした。これに先立って[[1956年]](昭和31年)、新線上に[[塩釜駅]]と新松島駅(現在の[[松島駅]])が設けられた。この時に、塩竈線が'''塩釜線'''に、塩釜線の塩竈駅が塩釜港駅に、塩竈港駅が塩釜埠頭駅にそれぞれ改称され、塩釜線の旅客列車は帰省[[臨時列車]]を除いて廃止された。[[1965年]](昭和40年)には塩釜港駅から塩釜魚市場駅への支線が開通したが、この直後、塩釜魚市場の水揚げ量は大きく減少し、この支線は開通から13年後の[[1978年]](昭和53年)に廃止された。この支線跡地は[[1981年]](昭和56年)の仙石線の西塩釜 - 本塩釜 - 東塩釜間移設に転用された。この時に、塩釜港駅と本塩釜駅は同一敷地内となり、下馬駅北側 - 本塩釜駅間が塩釜線との並行区間となった。なお、この移設時には塩釜線が塩竈魚市場まで再開する可能性を考慮して、西塩釜駅 - 本塩釜駅間で塩釜線が仙石線に乗り入れられる構造となっていた<ref>{{Cite web|和書|date= |url=https://www.city.shiogama.miyagi.jp/toshikei/documents/08keikankeikaku.pdf |title=塩竈市景観計画「第8章 景観重要建造物及び景観重要樹木の指定の方針」 |format=PDF |publisher=[[塩竈市]] |page=87 |accessdate=2019年08月19日}} </ref>。
戦後、東北海岸線には[[急行列車]]などを中心に旅客列車が設定されるようになるが、輸送量増加に伴う東北本線の複線化に当たって、(追記) 東北 (追記ここまで)海岸線の方が勾配区間がない上に沿線人口も多かったことから、国鉄は「山線」と呼ばれた旧線を廃止して、東北海岸線を正式な本線に格上げすることにした。これに先立って[[1956年]](昭和31年)、新線上に[[塩釜駅]]と新松島駅(現在の[[松島駅]])が設けられた。この時に、塩竈線が'''塩釜線'''に、塩釜線の塩竈駅が塩釜港駅に、塩竈港駅が塩釜埠頭駅にそれぞれ改称され、塩釜線の旅客列車は帰省[[臨時列車]]を除いて廃止された。[[1965年]](昭和40年)には塩釜港駅から塩釜魚市場駅への支線が開通したが、この直後、塩釜魚市場の水揚げ量は大きく減少し、この支線は開通から13年後の[[1978年]](昭和53年)に廃止された。この支線跡地は[[1981年]](昭和56年)の仙石線の西塩釜 - 本塩釜 - 東塩釜間移設に転用された。この時に、塩釜港駅と本塩釜駅は同一敷地内となり、下馬駅北側 - 本塩釜駅間が塩釜線との並行区間となった。なお、この移設時には塩釜線が塩竈魚市場まで再開する可能性を考慮して、西塩釜駅 - 本塩釜駅間で塩釜線が仙石線に乗り入れられる構造となっていた<ref>{{Cite web|和書|date= |url=https://www.city.shiogama.miyagi.jp/toshikei/documents/08keikankeikaku.pdf |title=塩竈市景観計画「第8章 景観重要建造物及び景観重要樹木の指定の方針」 |format=PDF |publisher=[[塩竈市]] |page=87 |accessdate=2019年08月19日}} </ref>。
末期の塩釜線では[[タンク車]]による[[石油]]輸送が行われていたほか、空のコンテナ列車の留置、不要になった貨車の解体などが行われていた。そして[[モータリゼーション]]発達に伴う貨物輸送の[[貨物自動車|トラック]]への移行や、塩釜港の仙台港への機能移転、さらに唯一の収入源であった石油輸送の廃止により、塩釜線は収入源と需要を失い[[1994年]](平成6年)に休止、[[1997年]](平成9年)には廃止となった。
末期の塩釜線では[[タンク車]]による[[石油]]輸送が行われていたほか、空のコンテナ列車の留置、不要になった貨車の解体などが行われていた。そして[[モータリゼーション]]発達に伴う貨物輸送の[[貨物自動車|トラック]]への移行や、塩釜港の仙台港への機能移転、さらに唯一の収入源であった石油輸送の廃止により、塩釜線は収入源と需要を失い[[1994年]](平成6年)に休止、[[1997年]](平成9年)には廃止となった。
=== 年表 ===
=== 年表 ===
* [[1887年]]([[明治]]20年)[[12月15日]]:'''[[日本鉄道]](削除) 線 (削除ここまで)'''(削除) (削除ここまで)郡山 - 仙台 - 塩竈間が開業。塩竈駅開業
* [[1887年]]([[明治]]20年)[[12月15日]]:'''[[日本鉄道]]'''郡山 - 仙台 - 塩竈間が開業。塩竈駅開業(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1888年]](明治21年)[[10月11日]]:仙台 - 塩竈間に岩切駅が開業
* [[1888年]](明治21年)[[10月11日]]:仙台 - 塩竈間に岩切駅が開業(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1890年]](明治23年)[[4月16日]]:日本鉄道(削除) 線 (削除ここまで)岩切 - [[一ノ関駅|一ノ関]]間(削除) 延伸 (削除ここまで)開業(削除) で (削除ここまで)、岩切 - 塩竈間(4[[マイル|M]]23[[チェーン (単位)|C]]≒6.90km)は支線となる
* [[1890年]](明治23年)[[4月16日]]:日本鉄道岩切 - [[一ノ関駅|一ノ関]]間(追記) が (追記ここまで)開業(追記) し (追記ここまで)、岩切 - 塩竈間(4[[マイル|M]]23[[チェーン (単位)|C]]≒6.90km)は支線となる(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1906年]](明治39年)[[11月1日]]:日本鉄道が国有化
* [[1906年]](明治39年)[[11月1日]]:日本鉄道が国有化(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1909年]](明治42年)[[10月12日]]:[[国鉄・JR線路名称一覧|国有鉄道線路名称]]制定。岩切 - 塩竈間が'''塩竈線'''となる
* [[1909年]](明治42年)[[10月12日]]:[[国鉄・JR線路名称一覧|国有鉄道線路名称]]制定。岩切 - 塩竈間が'''塩竈線'''となる(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1930年]](昭和5年)[[4月1日]]:マイル表示からメートル表示に変更(岩切 - 塩竈間4.3M→6.9km)
* [[1930年]](昭和5年)[[4月1日]]:マイル表示からメートル表示に変更(岩切 - 塩竈間4.3M→6.9km)(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1933年]](昭和8年)
* [[1933年]](昭和8年)
** 8月1日:長町-塩竈間ガソリンカー運転開始<ref>[{{NDLDC|1114644/103}} 『鉄道省年報. 昭和10年度』](国立国会図書館近代デジタルライブラリー)</ref>。
** 8月1日:長町(追記) (追記ここまで)-(追記) (追記ここまで)塩竈間ガソリンカー運転開始<ref>[{{NDLDC|1114644/103}} 『鉄道省年報. 昭和10年度』](国立国会図書館近代デジタルライブラリー)</ref>。
** [[8月15日]]:多賀城前駅開業
** [[8月15日]]:多賀城前駅開業(追記) 。 (追記ここまで)
** [[9月25日]]:(削除) 貨物支線 (削除ここまで)塩竈 - 塩竈港間 (1.9km) 開業。(削除) (貨) (削除ここまで)塩竈港駅開業
** [[9月25日]]:塩竈 - 塩竈港間 (1.9km) (追記) の支線が (追記ここまで)開業。塩竈港駅開業(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1944年]](昭和19年)
* [[1944年]](昭和19年)
** [[5月1日]]:多賀城前駅を陸前山王駅に改称
** [[5月1日]]:多賀城前駅を陸前山王駅に改称(追記) 。 (追記ここまで)
** [[11月15日]]:陸前山王 - 品井沼間に東北本線の貨物迂回線(東北海岸(削除) 線、海 (削除ここまで)線)が開業し、岩切 - 陸前山王間 (2.0km) を東北本線に編入
** [[11月15日]]:陸前山王 - 品井沼間に東北本線の貨物迂回線(東北海岸線)が開業し、(追記) 塩竃線 (追記ここまで)岩切 - 陸前山王間 (2.0km) を東北本線に編入(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1956年]](昭和31年)
* [[1956年]](昭和31年)
** [[6月10日]](削除) :(貨) (削除ここまで)塩竈港駅を(削除) (貨) (削除ここまで)塩釜埠頭駅に改称
** [[6月10日]](追記) : (追記ここまで)塩竈港駅を塩釜埠頭駅に改称(追記) 。 (追記ここまで)
** [[7月9日]]:(削除) 東北海岸線に[[塩釜駅]]が開業、塩竈線は (削除ここまで)'''塩釜線'''に改称、旅客営業を廃止。塩竈駅を(削除) (貨) (削除ここまで)塩釜港駅に改称
** [[7月9日]]:'''塩釜線'''に改称、旅客営業を廃止。塩竈駅を塩釜港駅に改称(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1965年]](昭和40年)[[10月1日]]:(削除) 貨物支線 (削除ここまで)塩釜港 - 塩釜魚市場間 (2.1km) 開業。(削除) (貨) (削除ここまで)塩釜魚市場駅開業。同区間には[[鮮魚貨物列車]]が運行
* [[1965年]](昭和40年)[[10月1日]]:塩釜港 - 塩釜魚市場間 (2.1km) 開業。塩釜魚市場駅開業。同区間には[[鮮魚貨物列車]]が運行(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1978年]](昭和53年)[[12月1日]]:(削除) 貨物 (削除ここまで)支線(削除) (削除ここまで)塩釜港 - 塩釜魚市場間(削除) (2.1km) (削除ここまで)廃止
* [[1978年]](昭和53年)[[12月1日]]:支線塩釜港 - 塩釜魚市場間廃止(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1981年]](昭和56年)[[11月1日]]:(削除) 本線 陸前山王 - (削除ここまで)塩釜港(削除) 間・貨物 (削除ここまで)支線(削除) 塩釜港 - 塩釜埠頭間の区間表示 (削除ここまで)を(削除) 、陸前山王 - 塩釜埠頭間 (削除ここまで)に(削除) 変更・ (削除ここまで)統合
* [[1981年]](昭和56年)[[11月1日]]:塩釜港(追記) 駅起点の営業キロを廃止し、 (追記ここまで)支線を(追記) 本線 (追記ここまで)に統合(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1986年]](昭和61年)[[10月21日]]:塩釜港駅を塩釜埠頭駅へ統合(削除) し廃止 (削除ここまで)
* [[1986年]](昭和61年)[[10月21日]]:塩釜港駅を塩釜埠頭駅へ統合(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1987年]](昭和62年)4月1日:[[国鉄分割民営化]]により、日本貨物鉄道が承継(削除) (6.8km) (削除ここまで)
* [[1987年]](昭和62年)4月1日:[[国鉄分割民営化]]により、日本貨物鉄道(追記) (JR貨物) (追記ここまで)が承継(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1990年]]([[平成]]2年)4月1日:塩釜埠頭駅が旧・塩釜港駅に移転 (-1.9km)
* [[1990年]]([[平成]]2年)4月1日:塩釜埠頭駅が旧・塩釜港駅に移転 (-1.9km)(追記) 。 (追記ここまで)
* [[1994年]](平成6年)4月1日:塩釜港のタンク車による貨物輸送が廃止され、定期運用が(削除) なくなったため、陸前山王 - 塩釜埠頭間休止 (削除ここまで)
* [[1994年]](平成6年)4月1日:塩釜港のタンク車による貨物輸送が廃止され、定期運用が(追記) 消滅。 (追記ここまで)
* [[1997年]](平成9年)4月1日:(削除) 陸前山王 - 塩釜埠頭間 (削除ここまで)廃止(削除) 、塩釜線全廃 (削除ここまで)
* [[1997年]](平成9年)4月1日:(追記) 全線 (追記ここまで)廃止(追記) 。 (追記ここまで)
== 旅客列車運行概要 ==
== 旅客列車運行概要 ==
2024年3月24日 (日) 06:10時点における版
| 塩釜線 | |
|---|---|
| 仙石線西塩釜駅構内を横切り 廃枕木柵の内側と法面の間に線路があった。 | |
| 基本情報 | |
| 現況 | 廃止 |
| 国 | 日本の旗 日本 |
| 所在地 | 宮城県 |
| 種類 | 普通鉄道(在来線・貨物線) |
| 起点 | 陸前山王駅 |
| 終点 | 塩釜埠頭駅 |
| 駅数 | 2駅 |
| 電報略号 | シホセ[1] |
| 開業 | 1887年12月15日 (1887年12月15日) |
| 廃止 | 1997年4月1日 (1997年4月1日) |
| 所有者 | 日本貨物鉄道 |
| 運営者 | 日本貨物鉄道 |
| 路線諸元 | |
| 路線距離 | 4.9 km(陸前山王-塩釜埠頭間 1997年の全廃時点) |
| 軌間 | 1,067 mm(狭軌) |
| 線路数 | 全線単線 |
| 電化方式 | 全線非電化 |
| 閉塞方式 | 通票閉そく式 |
| テンプレートを表示 | |
| 停車場・施設・接続路線 | |||
|---|---|---|---|
| 東北本線 | |||
| 仙台 | |||
| 2.0 | 岩切 | ||
| 東北本線利府方面 | |||
| 0.0 | 陸前山王 1944- | ||
| =多賀城前 1933-1944 | |||
| ←仙台臨海鉄道 臨海本線 | |||
| 国府多賀城 | |||
| 塩釜 1956- | |||
| 東北本線 | |||
| 仙石線 | |||
| 西塩釜 | |||
| 仙石線旧線 -1981 | |||
| 仙石線現在線 1981- | |||
| 本塩釜 | |||
|
4.9
0.0*
|
塩釜埠頭 1990-1997 | ||
| =塩釜港 1956-1986 | |||
| =塩竈 -1956 | |||
| 6.8 | 塩釜埠頭 1956-1990 | ||
| =塩竈港 1933-1956 | |||
| 東塩釜 -1981 | |||
| 東塩釜 1981- | |||
| 2.1* | 塩釜魚市場 1965-1978 | ||
塩釜線(しおがません)は、かつて宮城県 多賀城市の陸前山王駅と同県塩竃市の塩釜埠頭駅とを結んでいた、日本貨物鉄道(JR貨物)の鉄道路線。1997年(平成9年)に廃止された。
路線データ
廃止時点のもの
歴史
東北本線の前身である日本鉄道は、福島県から宮城県への鉄道敷設に当たり野蒜築港を使って資材の輸送を行う計画を立てていたが、野蒜築港が台風で損壊し廃港に追い込まれたために、計画を変更し塩釜港を使って資材を搬入した[2] 。そのために福島県の郡山駅から、資材搬入に用いた路線を含む形で宮城県の塩釜港に至る鉄道路線が形作られることになった。この区間は1887年(明治20年)12月15日に開通し、塩釜港には塩竈駅が置かれた。日本鉄道は青森県へ向けて鉄道の敷設を続けるが、この時、仙台駅 - 塩竈駅間の中間駅である岩切駅から分岐して松島丘陵を越えるルートを採用したために、岩切駅 - 塩竈駅間は支線となった。この支線は、日本鉄道が鉄道国有法に基づいて国有化された後の1909年(明治42年)、国有鉄道線路名称に基づいて塩竈線の名が与えられた。
塩釜港は、昭和後期に仙台港へ多くの役目を譲るまで漁業や商工業の面で東北地方を支える重要な地位を占める港湾だった。また、1926年(大正15年)に現在の仙石線の前身である宮城電気鉄道が開業するまで、塩竈線が塩竈における唯一の鉄道路線だった。そのため、支線となった後も貨物輸送などの面で重要な地位を占め続けた。1933年(昭和8年)には塩竈駅から塩竈港駅まで貨物線が開業し、昇開式の可動橋も設置された。宮城電気鉄道は塩竈市内で2キロメートルほど塩竈線と並行して敷設されていた。
東北本線の岩切駅 - 利府駅 - 品井沼駅間には急勾配があり、長大列車の運行に補助機関車を要するなど、鉄道輸送における支障箇所になっていた。それを解消する目的で、塩竈線の陸前山王駅から分岐して品井沼駅に至る貨物専用線が戦時中の1944年(昭和19年)に開通した[3] 。この貨物線は東北本線の支線扱いで「東北海岸線」と呼ばれたが、その際に岩切駅 - 陸前山王駅間が東北本線に編入されたため、塩竈線は陸前山王駅 - 塩竈駅間の路線となった。
戦後、東北海岸線には急行列車などを中心に旅客列車が設定されるようになるが、輸送量増加に伴う東北本線の複線化に当たって、東北海岸線の方が勾配区間がない上に沿線人口も多かったことから、国鉄は「山線」と呼ばれた旧線を廃止して、東北海岸線を正式な本線に格上げすることにした。これに先立って1956年(昭和31年)、新線上に塩釜駅と新松島駅(現在の松島駅)が設けられた。この時に、塩竈線が塩釜線に、塩釜線の塩竈駅が塩釜港駅に、塩竈港駅が塩釜埠頭駅にそれぞれ改称され、塩釜線の旅客列車は帰省臨時列車を除いて廃止された。1965年(昭和40年)には塩釜港駅から塩釜魚市場駅への支線が開通したが、この直後、塩釜魚市場の水揚げ量は大きく減少し、この支線は開通から13年後の1978年(昭和53年)に廃止された。この支線跡地は1981年(昭和56年)の仙石線の西塩釜 - 本塩釜 - 東塩釜間移設に転用された。この時に、塩釜港駅と本塩釜駅は同一敷地内となり、下馬駅北側 - 本塩釜駅間が塩釜線との並行区間となった。なお、この移設時には塩釜線が塩竈魚市場まで再開する可能性を考慮して、西塩釜駅 - 本塩釜駅間で塩釜線が仙石線に乗り入れられる構造となっていた[4] 。
末期の塩釜線ではタンク車による石油輸送が行われていたほか、空のコンテナ列車の留置、不要になった貨車の解体などが行われていた。そしてモータリゼーション発達に伴う貨物輸送のトラックへの移行や、塩釜港の仙台港への機能移転、さらに唯一の収入源であった石油輸送の廃止により、塩釜線は収入源と需要を失い1994年(平成6年)に休止、1997年(平成9年)には廃止となった。
年表
- 1887年(明治20年)12月15日:日本鉄道 郡山 - 仙台 - 塩竈間が開業。塩竈駅開業。
- 1888年(明治21年)10月11日:仙台 - 塩竈間に岩切駅が開業。
- 1890年(明治23年)4月16日:日本鉄道岩切 - 一ノ関間が開業し、岩切 - 塩竈間(4M23C≒6.90km)は支線となる。
- 1906年(明治39年)11月1日:日本鉄道が国有化。
- 1909年(明治42年)10月12日:国有鉄道線路名称制定。岩切 - 塩竈間が塩竈線となる。
- 1930年(昭和5年)4月1日:マイル表示からメートル表示に変更(岩切 - 塩竈間4.3M→6.9km)。
- 1933年(昭和8年)
- 1944年(昭和19年)
- 1956年(昭和31年)
- 1965年(昭和40年)10月1日:塩釜港 - 塩釜魚市場間 (2.1km) 開業。塩釜魚市場駅開業。同区間には鮮魚貨物列車が運行。
- 1978年(昭和53年)12月1日:支線塩釜港 - 塩釜魚市場間廃止。
- 1981年(昭和56年)11月1日:塩釜港駅起点の営業キロを廃止し、支線を本線に統合。
- 1986年(昭和61年)10月21日:塩釜港駅を塩釜埠頭駅へ統合。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、日本貨物鉄道(JR貨物)が承継。
- 1990年(平成2年)4月1日:塩釜埠頭駅が旧・塩釜港駅に移転 (-1.9km)。
- 1994年(平成6年)4月1日:塩釜港のタンク車による貨物輸送が廃止され、定期運用が消滅。
- 1997年(平成9年)4月1日:全線廃止。
旅客列車運行概要
- 1903年12月30日改正当時(日本鉄道)
- 全ての列車が仙台発着。
- 本数:日6往復
- 所要時間:仙台 - 岩切間14分、岩切 - 塩竈間12分
- 1950年10月1日改正当時
- 全ての列車が東北本線に直通し、仙台駅や長町駅などを起点にしていた。
- 本数:日8往復(仙台発着2往復半、長町発着5往復、岩沼発着上り1本)
- 所要時間:陸前山王 - 塩竈間8分
駅一覧
括弧内は起点からの営業キロ
- 1997年・1990年廃止区間
- 陸前山王駅 (0.0) - 塩釜埠頭駅(旧・塩釜港駅)(4.9) - 塩釜埠頭駅(移転前)(6.8)
- 1978年廃止区間
- 塩釜港駅 (0.0) - 塩釜魚市場駅 (2.1)
接続路線
脚注
[脚注の使い方]
- ^ 日本国有鉄道電気局『鉄道電報略号』1937年2月15日、21頁。
- ^ 『仙台市史』通史編6(近代1)192頁。
- ^ 『塩竈市史2』本編2、641-643頁。
- ^ "塩竈市景観計画「第8章 景観重要建造物及び景観重要樹木の指定の方針」" (PDF). 塩竈市. p. 87. 2019年8月19日閲覧。
- ^ 『鉄道省年報. 昭和10年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
参考文献
- 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』 2 東北、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790020-3。
- 塩竈市史編纂委員会 『塩竈市史2』本編2 塩竈市、1986年。
- 仙台市史編さん委員会 『仙台市史』通史編6(近代1) 仙台市、2008年。