「ISDB」の版間の差分
2006年6月10日 (土) 20:27時点における版
ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)とは、日本において開発され、放送されているデジタル放送の規格であり、同様の規格であるATSCやDVB-Tに比較して優れた方式であると言われている。
概要
ISDNと語感が似ているが、複数のデータチャンネルを用いて伝送する点ではコンセプトも似ていると言える。また、複数の放送が一つの送信機から放送される点でDABといったデジタルラジオの規格や、複数チャンネルのデジタルテレビ放送方式であるATSCやDVB-Tとも似ている。ISDBは未使用のTV用チャンネルを用いて運用される。このアプローチはTV放送においては他の国でも見られるが、ラジオ放送については他の国では見られたことはなかった。
現在ブラジルは地上アナログ放送にはPAL(PAL-M)方式を用いているが、地上デジタル放送(デジタルテレビ)の開始へ向けた検討を進めている。2006年4月13日には、ブラジル政府のアモリン外相、コスタ通信相、フルラン開発商工相ら閣僚による使節団と、麻生太郎外務大臣の間でデジタル放送に関する覚書が調印された。なお、ブラジルを含むメルコスールといわれる南米諸国もブラジルと同じ放送方式を採用すると言われている。
方式
移動体向けテレビ(1セグメント放送)、地上デジタル音声放送の動画圧縮方式はH.264/AVCである(当初計画ではMPEG-4となっていたが特許料の安いこの方式になった)。
固定受信向け動画圧縮方式はMPEG-2である。従来のハイビジョンはフレーム/秒が60Hzだがデジタルでは59.94Hzである。映像モードは次の通り(プログレッシヴ=ノンインターレース=順次走査)。
- ×ばつ720インターレース。ノーマル、ワイド
- ×ばつ720プログレッシヴ。ワイド
- ×ばつ1280プログレッシヴ。ワイド。
- ×ばつ1920/1440インターレース。ワイド
ワイド放送でも識別信号を入れることによってノーマルサイズの映像を流すことができるが、識別信号を入れられていない場合、ノーマルテレビでは(4:3)上下左右に黒幕が付き額縁のように表示されてしまう。
ISDB-S(衛星放送)
BSデジタル、110°CSデジタル放送で使用されている。
- デジタル変調はトレリス。
- 1トランスポンダーは48スロット、1スロット標準約1.06Mbps。
- ハイビジョン放送では22スロット、NTSC画質(SD)では6スロット使用される。
- 双方向通信のために電話端子が装備される。地上デジタル放送対応機種にあるLAN端子も使われている。
- B-CAS
- STD-B20電波産業会
ISDB-T(地上波)
地上デジタルテレビジョン放送で使用されている。
- デジタル変調方式はOFDM。
- キャリア変調方式はDQPSK、QPSK、16QAM、64QAMの4つである。
- 1セグメントとは約429Khzで、4つのキャリア変調方式のうち任意の3種類のいずれかをそれぞれのセグメントで指定できる。
- 地上デジタルテレビジョン放送では13セグメント(約5.57MHz)使用されているが、将来的には拡大できる。双方向通信は電話端子とLAN端子が装備される。
- 携帯端末向け放送は中央の1セグメントで行われる(通称:1セグメント放送)。
- ハイビジョン(HDTV)の送信は中央の1つを除く12セグメントを使用。搬送波の変調方式は64QAM、畳み込み符号化率(符号長と情報長の比)は3/4。伝送量は、16.851Mbpsとなる。
- B-CAS
- STD-B31電波産業会
ISDB-T SB(移動体向け、地上波)
地上デジタル音声放送で使用されている。まだ民生用受信機は発売されていない。 ISDB-Tの移動体向け放送規格(1セグメント放送)と基本的に同じであり、1セグメント、もしくは3セグメントを利用する。
限定受信・再生
WOWOWやスター・チャンネル、CS 110°などは契約者のみ受信できるように暗号化されている。
STD-B25電波産業会
コピーワンス
ISDB-T(地上波)ISDB-S(衛星)において、WOWOWは放送開始当初から(2003年11月から全面導入)、無料の民放とNHKは2004年4月5日以降、著作権保護を保護するためのコピー制御として録画管理、再生管理、放送内容の暗号化をするコピーワンスが有効になっている。そのため、DVDレコーダなどを使用して番組をDVDに記録する場合、記録型DVD向けの著作権保護技術「CPRM」に対応したDVD-R、DVD-RAM、DVD-RWを対応機種で使う場合を除いて記録はできない(DVDレコーダーによって特定の種類のDVDには録画・ムーブが不可等の制限もある)。またムーブと呼ばれる機能がある機種ではHDDからDVDにダビングした場合HDD側は消去され、この機能が無い機種ではダビングそのものが出来ない。一方、VHSなどのアナログ機器(DVD/VHSレコーダー内蔵のVHS等を除く)は影響を受けないので録画可能である。ただしアナログ信号・機器においてもCGMS-Aによりコピー制御の信号は除去されずに重畳・記録されるため、コピー制御対応機器に対してそのようなアナログ信号・媒体を入力とした場合にもコピー制御の影響は受けることになる。
コピーワンスではB-CASカードを差し込むことにより暗号が解除されるため、正規の受信機以外(コピーワンスの無い受信機では暗号解除できない)による受信を防いでいる。
NHK
BSデジタル放送では同梱されていたハガキでNHKに個人情報を知らせなかった場合、最初の受信から約1月後にNHKに電話するように促すメッセージが深夜などを除き表示される。コピーワンス導入以前はB-CASが差し込まれていない場合B-CASを差し込まれていない事を注意するメッセージが表示された。これは規格上、受信機側で消せないものとなっている。
パソコンなど
パソコンにISDB対応受信機を内蔵する場合、数々の制限があるため受信できる機種は大変少ない。
- NEC(SD画質)SONY
- DESKPOWER TX90L/D(ハイビジョン画質。一体型)
- VAIO typeX(外付ハードディスクとしての機能のみ)
- pc.watch
録画機器
ハイビジョン画質での録画ではデジタル放送をそのまま受信するため文字情報なども併せて録画される。デジタルチューナが内蔵されていない機器とはチューナ(内蔵テレビ)のi.LINKで接続する。
- D-VHS
- HDD(デジタル放送対応 i.LINK)
- Blu-ray Disc
- デジタルチューナ内蔵DVDレコーダー(ハイビジョン画質はHDDのみ)
- LAN接続されたパソコン用HDD(東芝32 37LZ150のみ、録画したチューナ以外では再生できない。)