「閑職」の版間の差分
2014年6月10日 (火) 12:27時点における版
閑職(かんしょく)とは組織の中で職責や職務が無いか非常に少ないため、あまり重要と思われていないポストのこと。
海外
イギリス
イギリスでは伝統を重んじるお国柄ゆえ、中世以来国王の陪臣として歴史的には意味があったが現在は官僚システムの発達などにより実質的意味を失っているポストであっても、そのまま存置されることが多い。内閣の大臣ポストでは王璽尚書やランカスター公領大臣がこれに当たり、現在は無任所大臣のようなポストとして扱われている。
中世中国
南北朝時代の中国(4世紀〜6世紀)では貴族政治の影響で、世間で重んじられるが実務にわずらわされない官職こそが「清官」と呼ばれて人気があり、上級貴族はもっぱら清官ばかりをたどって昇進するのが常であった。これに対して世間で尊重されず仕事ばかり多いものを「濁官」と呼び、主に身分の低い者の就くポストとされた(宮崎市定「九品官人法の研究」中公文庫)。つまり後世でいう「閑職」のほうが人気があったことになる。
日本
歴史
江戸幕府は武家政権であったが、大坂の役が終了し元和偃武が宣言されると、武士の職、なかでも戦闘を担うものに名目化したものが生じ、閑職が急増した。一例として槍奉行が挙げられる。
現状
仕事が暇で手腕のふるいようのない職務もあり、組織内出世を目標にしている者にとっては、組織の中での長期的目標を失うことになる。
組織内の不祥事や損失に関与した人物について、解雇などして不祥事や損失を組織外に公にされると組織の社会的地位を損なうために、当該人物を閑職にして飼い殺したりする場合もある。また組織の不祥事を内部告発した人物に対して、報復人事として閑職に追いやる例[1] もある。ほかに退職させたい人物に対して退職勧奨させる一環として閑職に追いやる例や、軽度の不祥事や損失に関与した人物を再教育の名目として関係会社に出向させて閑職に追いやる例もある。
窓際族とも表現される。
ごくまれに、閑職時代に研鑽を積み能力を養って復活・出世してからの業務に生かした例もある。元首相・海相の米内光政など。
フィクション
現実社会においての事実であるかは別論として、小説などでは、以下の組織が閑職としてステレオタイプ的に取り扱われる。
- 社史編纂室
- (作品例)
- 清水義範『商道をゆく』(短編集『蕎麦ときしめん』ISBN 4061845428 収録)
- (作品例)
- 人材(人間)開発室
- 庶務課
- 知的財産権本部,特許庁
脚注
- ^ 例.トナミ運輸#内部告発と報復参照
関連項目
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