「干物」の版間の差分
2012年2月28日 (火) 15:04時点における版
干物(ひもの、英語 Dried fish)とは、魚などの魚介類の身を干した加工食品。干すことで水分含有量を減らすと共に表面に膜を作る事により、保存性が高まり、独特の食感とそれに伴う食味が形成されている。身を開き、内臓を取り除いてから干す加工法が一般的だが、いわしなど小型の魚はそのまま干して「丸干し」として食用に供することもある。乾燥度の高いもののほうが保存性は高いが、硬くなる。完全乾燥したものは乾物として、しばしば区別して扱われる。
魚が豊富に捕れる地域で行われる加工法であり、日本のみならず世界各国で作られている。 和食においては、ご飯、味噌汁、漬物、卵焼き、海苔と並んで朝食には欠かせない一品である。また生魚と比べて保存性があることから全国の海辺では土産品としてよく使われている。
干物は、素材を乾燥させる風が重要であり、適度な湿度や温度など(海風など)が必要とされる。また、夏場は日光に当てると煮立ってしまうため日陰干しをする場合もある。天日干しは、1時間程度干すだけであとは影にて干す事が多い。本稿の写真では天日で干しているが、その時間も短時間で、干したあと1時間程度で直ぐに販売される。
加工や味付けの都合により魚類は海水や塩を振る事もあって、その場合は一匹につき塩分は一日の摂取量半分に達する事もある。
干物の種類
- 素干し
- 生干し(若干し)や一夜干し
- 丸干し
- 内臓を取らずに生干ししたもの。目刺
- 開き干し
- 調味干し
- 味醂干し
- 味醂に漬け込み、干したもの。小魚を開いて作った味醂干しのことを桜干しとも言う。
- 寒風干し
- 潮風に当てて干したもの。鮭とば。
- 塩干し
- 塩漬けにしたものを干したもの。
- 焼き干し
- 焼いて水分を抜いたもの。
- 凍干し
- 乾物と同じ方法で何度も凍結させて乾燥させたもの。
- 灰干し
- 紙などの中で上下に火山灰を敷き詰め、身の水分を吸収させたもの。
- 煮干し
主な干物
- イワシ - 主にカタクチイワシを使い、しらす干しや煮干し、目刺、ゴマメにする。
- からすみ - ボラの卵巣を加工したもの。
- 数の子 - ニシンの魚卵。塩蔵ではなく乾燥させたものがある。
- 棒鱈
- 鯵 - 内臓を取り除いて開き干しにしたり、小型のものは丸干しにも
- 鯖 - 2枚卸しにした身を乾燥させる。文化干しにも。
- さんま - 開き干しにしたり、小型のものは丸干しにも。稚魚の丸干しは特に「針子」(ハリゴ)ともいう。
- キンキ - キチジ、メンメとも。開き干しにする。
干物の干し方
ほとんどの干物では天日乾燥が基本であり、最近では虫付きを防ぎ乾燥を早めるため、つり下げた魚を回転させる干し台が作られている。工場など大量生産などを行う所では人工乾燥機が使われており、生干しでは水分を保つため低温の乾燥機を使うこともある。なお乾燥する時に魚をセロファンで包む方法は、特別に文化干しと称されている。
青色などのネットでできており中が数段に仕切られている干物ネット(ドライバスケット)は、主に家庭での干物作りに利用される。
一般的な干物の作り方
魚を頭まで腹開きあるいは背開きにし、内臓を取り除いて水洗いしたあと、海水程度の塩水に一晩漬けるか、もしくはそのまま、半日ほど風に当たるよう日干しにする。
日本国外の干物
アジア、アフリカ、ヨーロッパなど、漁業の盛んな地域では、さまざまなタイプの干物が製造されている。
- 咸魚(ハームユー(広東語)、シエンユー(北京語)) - 中国のマカオや広東省などで作られる、塩の中に直接漬けた後に、天日干ししたもので、塩分が強い。
- バカリャウ(Bacalhau) - ポルトガルで食べられるタラの塩漬け干物。グラタン風など、各種料理に再加工される。生産地は北欧で同様のものが各地に輸出されており、イタリアではバッカラ(Baccalà)、スペインではバカラオ(Bacalao)の名で呼ばれている。
- タンバジャン - セネガルのボラの干物。一昼夜塩漬けしたのち天日で乾燥させる。
関連項目
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