「スティール・ボール・ラン」の版間の差分
2005年10月30日 (日) 10:31時点における版
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『スティール・ボール・ラン』 (STEEL BALL RUN) は、荒木飛呂彦の漫画作品。集英社の少年向け 漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」にて2004年に、集英社の青年向け漫画雑誌「ウルトラジャンプ」に2005年から連載されている。略称はSBR。
「週刊少年ジャンプ」では週刊31ページ連載という驚異的なペースで掲載されていたが、さすがに人間として無理があるため、10週前後でいったん連載を中断し、その間に描きためておく手法を取った。しかし、内容が少年向きでないことや休載期間が長いこと、スタンド能力の設定などがいいかげんマンネリ気味になり、アンケート、単行本売り上げともによくなかった。本来なら「週刊少年ジャンプ」では即打ち切られるのだが、作者のジャンプに対する貢献度から他誌にうつることとなった。
2005年からは「ウルトラジャンプ」にて、4月号にプロローグ編が掲載。5月号からの本格連載で、タイトルが『ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティール・ボール・ラン』 (JOJO'S BIZARRE ADVENTURE Part7 STEEL BALL RUN) に改められ、『ジョジョの奇妙な冒険』の正当なPart7となっている。
あらすじ
19世紀アメリカ。6,000kmにもおよぶアメリカ大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」に参加する冒険者達の姿を描く活劇であると同時に、主人公ジョニィが「青春から大人へ」歩き出す人間ドラマでもある。 『ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン』の終盤で展開されたパラレルワールドを下敷きにしており、Part1 - Part6中盤以前との直接的な繋がりはないと考えられる。
しかし、『スティール・ボール・ラン』第1巻において、実質的には『ジョジョの奇妙な冒険』Part7であると作者も公言している。事実、物語の視点はジョニィ・ジョースター(ジョジョ)なるアメリカ人におかれており、パラレルワールドでの新たなジョジョシリーズの始まりを予感させている。また、Part3 - Part6で物語を飾ったスタンド能力も登場している。ここでスタンドは、かつての守護霊的な意味あいの「傍に立つ (stand by me)」から、大陸横断のような試練・困難に「立ち向かう (stand up to)」へと再解釈がなされている。
シリーズを彷彿とさせる人物や設定がさりげなく盛り込まれ、往年のファンをにやりとさせつつも、ジョジョであってジョジョではない、新たな世界を構築しつつある。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
レースの概要
- 1890年 9月25日 午前10時/サンディエゴビーチよりスタート
- ニューヨークをゴールとする
- 総距離約6000kmに及ぶ、 史上初の乗馬による北米大陸横断レースである
- コースは9つのチェック・ポイントにより9つのステージに分けられる
- チェックポイントごとに、順位によってポイントが与えられ、9ステージのスコアを合計して王者を決定する
- ゴールまでの予測日数...60 - 80日(馬の1日辺り走行高距離限界を70 - 100kmとして)
- 主催/スティーブン・スティール
- 参加者総数/3852名
- ステージによっては、コース中に通過義務のあるチェック・ポイントがある。それ以外はどのコースを取ろうが、いつ宿泊しようが自由である。
- レース中リタイヤを表明する場合はゼッケンを旗にして掲げ、ルートに止まり、救助の幌馬車隊を待つ事。なお、走行可能であっても救助隊に水や食料を要求すればリタイヤと見なされる。
【賞金】
- 優勝/5000万ドル+南極の氷に入れられた優勝トロフィー
- 2位/100万ドル
- 3位/50万ドル
- 4位/25万ドル
- 5位/12万ドル
- 以下10位までの賞、並びにチェックポイント賞など各賞
- (例:第一チェックポイントの優勝者には1万ドルと1時間のタイムボーナスが与えられる)
※(注記)この作品世界では、本来アメリカで使われているフィート、ガロン等の単位がメートルやリットルで表される他、賞金などの額は、現代に換算した額として描かれる。すなわち、この優勝賞金は現在の価値にして5000万ドル相当という意味である。
【参加資格】
- 16歳以上
- 国籍、人種、性別、プロ・アマチュアなどは問われない
- 参加料1200ドルを支払うこと
【出資者、出資条件】
- イースト アンド ウエスト・トリビューン紙(独占取材権)
- 各出版社
- ルート沿いのホテル群
- B&C精肉会社
- ウィンチェスター連発銃製造会社
- ホリゾンタル大陸鉄道株式会社
- スピードワゴン石油株式会社
【ルール】
- 自動車・ラクダ・徒歩での参加は可能
- 馬の交換は失格となる
- ニューヨーク〜サンディエゴ間の間に設けられた9つのチェックポイントを通過する事
- ※(注記)チェックポイントでは「レース順位」「走行タイム」「不正行為の有無」が確認される
- リタイヤ時には、レース主催者により交通費、医療費、宿泊費等がまかなわれる
- 「犯罪に関わる」行為以外、武装等に制限は行われない
- スタートの2分前からスタートまで、自分の番号のグリッドにいない、 あるいは出た者はフライングと見なされ、ペナルティが加算される
- 体当たりによる妨害はルール違反にはならない
- 審議が必要な場合は審判員5名と、史上初の導入となる"映写機撮影"を元に着順が判定される
【スティール・ボール・ラン・レースの成り立ち】
- スティール・ボール・ラン・レースは、40年のキャリアを持つプロモートの達人、スティーブン・スティール氏による一大レース企画である。レースの2年前、不幸なトラブルにより借金まみれのドン底にあったスティール氏は起死回生の策として、騎馬によるレース企画を思いつく。スポンサー探しは難航したが、偶然出会ったある少女...のちのスティール婦人のヒントにより、新聞社の人間との話が進み、結果として、わずか2年でこの巨大レースが開催される運びとなった。
【その他】
- 大会マスコットは「手乗り馬」である
登場人物
- ジャイロ・ツェペリ
- 国籍: ネアポリス王国(イタリア)
- 愛馬: ヴァルキリー(4歳、ストック・ホース)
- 能力名: 鉄球No.1, No.2
- 主人公。法務官で元死刑執行人。25歳。謎の「鉄球」を使ってレースを動かす。国家反逆罪によって処刑されることになった靴磨きの少年マルコを救うには、国王が出す恩赦しかないと国王の使いに言われ、それを得るために優勝を目指しレースに参加するが、それにより、テロリストに命を狙われるようになる。口癖は「ニョホ」。
- ジョニィ・ジョースター(通称:ジョジョ、ジョーキッド)
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: スロー・ダンサー(11歳、アパルーサ)
- スタンド名: タスク(牙)
- 主人公。元一流騎手。19歳。SBRの語り部。競馬界で有名になっていくうちに高慢な性格になったが、その性格のせいで男に銃で撃たれ下半身不随となる。ジャイロ・ツェペリと出会い、ジャイロ・ツェペリが使う謎の「鉄球」の秘密を知るためにレースに参加することに。(なお、1stステージでの雑誌掲載時にはジョニーと表記されていた。)
- サンドマン(砂男)
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: なし
- スタンド: 砂
- インディアン。白人居住者たちに奪い取られた土地を買い戻すためにスティール・ボール・ランに参加した。レースでは馬を使わず、自分の足だけで戦う。特殊な走法としなやかな筋肉により、馬並の早さで長距離を走る事ができる。
- ポコロコ
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: ヘイ!ヤア!(4歳、クオーター・ホース)
- スタンド: 幸運(人形のようなビジョン)
- 21歳の黒人青年の農民。彼の両親は必死になって働いて奴隷から解放され自由の身となるが、息子の彼はサボり好きでだらしがなく、呑気な性格。Part3の「エンヤ婆」そっくりのジプシーの占い師によりレースが開催される2ヶ月は50億人にひとり(雑誌掲載時には10億人にひとり)の「幸運」が訪れると聞き、レースに参加する。幸運を味方にしレースを混乱させることに。
- ディエゴ・ブランドー(通称:ディオ)
- 国籍: イギリス
- 愛馬: シルバー・バレット(4歳、アラブ・サラブレッド混血)
- スタンド: 恐竜
- もとは下層階級の出で、イギリス競馬界の貴公子となるほどの実力を持つ天才ジョッキー。馬特有の「走るクセ」を見抜く才能がある。今大会、優勝候補の一角である。
- マウンテン・ティム
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: ゴースト・ライダー・イン・ザ・スカイ(5歳、マスタング)
- スタンド: ロープ
- 保安官。31歳。3千頭の牛を連れて4千kmの旅を毎年している、伝説のカウボーイ。イケメンルックスでナンパ好き。馬は彼に敬意をし頭を下げる。ロープの使い手で、過去に「悪魔の手のひら」という砂漠で遭難した騎兵隊のひとり。その時に「ロープを体に絡めて自身の体をバラバラに出来る」スタンド能力を得た。その能力にスタンド(立ち向かうもの)という名前をつけたのも彼である。そのため、スタンドには詳しい。優勝候補の一角である。
- ウルムド・アブドゥル
- 国籍: エジプト
- 愛馬: ラクダ(?歳)
- ドット・ハーン
- 国籍: モンゴル
- 愛馬: #1(4歳、ブーロンネ)
- 東洋の馬術の名人。チンギス・ハンの子孫。優勝候補の一角。
- Mr.スティーブン・スティール
- 国籍: アメリカ
- 「スティール・ボール・ラン」レースの主催者。身長190cm以上の長身で若い頃は騎兵隊に入っていたが、除隊後は多数のプロデュース業を営んでいた。自身のプロデュース業に失敗し途方に暮れていたところ、とある少女の話を聞き、「スティール・ボール・ラン」を思いつきレースを開催する。そのときに出会った少女は騎兵隊時代に恋をし馬車の事故で亡くなった少女にそっくりだった為に彼は求婚を申し入れ結婚した。ちなみにその少女(妻)の年齢は14歳でスティーブンとは年齢が数十歳も下である。
- ミセス・ロビンスン
- 国籍: メキシコ
- 愛馬: エル・コンドル・パサ(7歳、アバルーサ)
- ジャイロ・ツェペリの追っ手。暗殺者。体内に甲虫を飼い、その虫を操ってサボテンの針を自由に飛ばすという特殊能力を持つ。
- ブンブーン一家
- ジャイロ・ツェペリの追っ手。一家揃って殺人鬼。
- ベンジャミン・ブンブーン
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: クロスタウン・トラフィック(4歳、クォーター・ホース)
- スタンド: 鉄
- ブンブーン一家の父。周囲の鉄分を操るスタンド能力を持つ。顔の内部に鉄を仕込み、顔の形を変えて別人に変装することもできる。
- アンドレ・ブンブーン
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: フォクシーレディ(3歳、クォーター・ホース)
- スタンド: 鉄
- 兄。性格は父親似。周囲の鉄分を操るスタンド能力を持つ。アンドレの血を浴びた人間は、磁力を持つようになってしまう。
- L.A.ブンブーン
- 国籍: アメリカ
- 愛馬: リトル・ウイング(3歳、クォーター・ホース)
- スタンド: 鉄
- 弟。気弱な優等生タイプで、外見は母親似。周囲の鉄分を操るスタンド能力を持つ。
- オエコモバ
- 国籍: ネアポリス王国(イタリア)
- 愛馬: ???
- スタンド: 爆弾(スタンドビジョン:カラス)
- ジャイロ・ツェペリの追っ手。爆弾テロリスト。触れた物を爆弾に変えるスタンド能力を持つ。
- フリッツ・フォン・シュトロハイム
- 国籍: ドイツ
- 愛馬: ヨーロッパ・エクスプレス(4歳、トラケーネン)
- ジャイロ・ツェペリの追っ手。テロリスト。右手の義手に銃を仕込み、ジャイロに迫る。
- ノリスケ・ヒガシカタ
- 国籍: 日本
- 愛馬: ホノオ(4歳、バーバリアン ウォーム・ブラッド)
- ポーク・パイ・ハット小僧
- 国籍: 不明
- スタンド名: ワイアード
- ジャイロ・ツェペリの追っ手。テロリスト。釣り針のようなスタンドを使い、ジャイロとジョニィに迫る。
- フェルディナンド博士
- 国籍: 不明
- スタンド名:スケアリー・モンスターズ
- ジャイロ・ツェペリの追っ手。地質学・古代生物学者。感染したものを恐竜化させて支配下に置くスタンドを使い、ディオや村人を恐竜化させ、ジャイロとジョニィに迫る。
その他
この作品中で行われている「スティール・ボール・ラン」は、かつて実際に行われていたアメリカ大陸横断レース「キャノンボール・ラン」(現在も名前を変えて行われているらしい)をもとにしていると思われる。この「キャノンボール・ラン」を題材とした映画は現在までに数本作られている。
登場人物や馬の名称は洋楽のアーティスト名、バンド名や曲名などをアレンジしたものが多い。
関連項目
- Part1 ファントムブラッド
- Part2 戦闘潮流
- Part3 スターダストクルセイダース
- Part4 ダイヤモンドは砕けない
- Part5 黄金の風
- Part6 ストーンオーシャン
- Part7 スティール・ボール・ラン