「クトゥルフ」の版間の差分
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2009年4月30日 (木) 11:53時点における版
クトゥルフ(Cthulhu)は、クトゥルフ神話などに登場する架空の神性。
日本語ではクトゥルー、ク・リトル・リトル、クルウルウ、クスルー、トゥールー、チューリュー、九頭龍などさまざまな表記があるが、本項では日本で一般的な表記のひとつである「クトゥルフ」を用いる。 「クトゥルフ」という発音は、TRPG『クトゥルフの呼び声』から入った人に多い。
本来、人間には発音不能な呼称を便宜的に表記したものであるため、英語でもCathulu, Kutulu, Q'thulu, Ktulu, Cthulu, Kthulhut, Kulhu, Thu Thu, Tuluなどと複数の綴りが存在する。 S. T. Joshiは、ラヴクラフトは「Khlûl'hloo(クルールー)」もしくは「Kathooloo(カトゥルー)」という音を「Cthulhu」と書き写したと述べている。
ラヴクラフト自身は「Cthulhu」の発音について、「舌の先をぴったり口蓋に押しつけて、不完全な二つの音節、Cthu-lhuを唸るように、吼えるように、咳きこむように発音する」と記述している。これをカタカナで表現すると「クルールー」になる。
一方、「クトゥルー」という発音は、オーガスト・ダーレスの「ラヴクラフトはCthulhuを「Koot-u-lew」と発音していた。」という記述に由来する。 少なくともダーレスがCthulhuを「クトゥルー」と発音していたことは明らかである。
これらを踏まえた上で翻訳家の大瀧啓裕氏はラヴクラフトが作り出した神話作品内(特に東京創元社刊行のラヴクラフト全集の大瀧氏翻訳分)では「クルウルウ」と表記し、オーガスト・ダーレスが作り上げた神話体系は「クトゥルー」と表記している。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
オーガスト・ダーレスの体系付けたクトゥルフ神話においては旧支配者の一柱で、「水」を象徴し、「風」の象徴である(一説にはクトゥルフの兄弟とも言われる)ハスターと対立するものとされた。
タコに似た頭部、イカのような触腕を無数に生やした顔、巨大な鉤爪のある手足、ぬらぬらした鱗に覆われた山のように大きなゴム状の身体、背にはコウモリのような細い翼を持つ。
眷属には、"父なる"ダゴン、"母なる"ハイドラ、水棲種族「深きものども」(deep ones)などがいる。 又、[1] ゾスの星から飛来した時に同行した三柱の息子としてガタノトーア、イソグサ、ゾス・オムモグがいる他、クティーラという娘がいる。
海底に沈んだ古代の石造都市ルルイエ(R'lyeh、ニュージーランドと南米大陸と南極大陸の中間付近、南緯47度9分、西経126度43分に沈んでいる。周囲に島の全く無い海域である)に封印されている。この幾何学的に狂った角度と暗緑色の巨石で構築された都市は、星辰が適切な位置に近づいたごくわずかの期間や地殻変動によって海面に浮上することがある。ルルイエ(とそこに眠るクトゥルフ)の浮上する時期には、クトゥルフの夢がテレパシーによって外界へ漏れ、ある種の精神的なショックを世界的に及ぼすことが知られている。 1925年 2月28日に海底火山の活動に伴ってルルイエが浮上した際には、子供や芸術家など感受性の強いものの間に、同時多発的な激しい悪夢、精神異常、自殺の頻出などが見られたとされている(『クトゥルフの呼び声』より。ラブクラフト全集文庫版であれば2巻に収録)。
南太平洋のポナペ諸島や、アメリカ合衆国 マサチューセッツ州の港町インスマス(Innsmouth)、ペルー山岳地帯の深部などがクトゥルフ崇拝の拠点となっており、その祭祀については、ミスカトニック大学図書館に所蔵されているレーバン・シュリュズベリィ博士による学術論文『ネクロノミコンにおけるクトゥルフ』(Cthulhu in the Necronomicon、1915)が詳しい。
旧支配者たちの中でも、司祭の役割を果たしていたという仮説がある。 なお水神と解釈されることがあるが、ラヴクラフトによる元来の設定では自らの墓所を含むルルイエが水没したために活動を制限されているのであり、水や水棲の者を統べるといった要素は見られない。クトゥルフ自身の持つテレパシー能力も、大量の海水によってほとんどが遮られている。
クトゥルフの登場する神話作品は数多いが、初出はハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説『クトゥルフの呼び声』(The Call of Cthulhu、1926年)。
- ^ ブライアン・ラムレイ「タイタス・クロウの帰還」