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2007年7月4日 (水) 01:03時点における版

和太鼓の演奏

和太鼓(わだいこ)は、打楽器のひとつ。日本の太鼓の総称。締太鼓桶太鼓宮太鼓がある。祭礼歌舞伎神社仏閣における儀式等に用いられ、木でできた胴に皮を張り、それを振動させて音を出すものである。

撥(バチ)で叩くものを太鼓と呼び、手で叩くものは(つづみ)と呼ばれる。

特徴

和太鼓は、一般的に非常に残響が良く響き、余韻が残る音を特徴とする。

構造上の特徴をあげると、円筒状の胴、もしくは桶のように板を組んで作られた胴の両面もしくは片面に皮が張られ、その胴の長さと皮の張られた面の直径によって音が微妙に変わることである。これは、物理学的には一般的なことであるが、歴史で述べるように太鼓主体の音楽が生まれてこなかった歴史上、このことは太鼓を主体化するという革新的事実(後述)に貢献しており、単純且つ明快ながら重要な特徴である。

歴史

概論

和太鼓は、縄文時代には既に、情報伝達の手段として利用されていたといわれており、日本における太鼓の歴史は非常に古く、日本神話天岩戸の場面でも桶を伏せて音を鳴らしたと伝えられている。長野県 茅野市にある尖石遺跡では、皮を張って太鼓として使用されていたのではないかと推定される土器も出土している。中世に入ると、田楽などの発達などによって、お囃子太鼓が隆盛した。

戦国時代になると、戦国大名達が、自軍の統率をとるために太鼓を利用した、陣太鼓が興る。人間の生命の根元である心臓の鼓動に太鼓の鼓動がシンクロすることによって、自らを鼓舞する性質があるという説もあり、戦における太鼓の使用はこの説に従えば有効な活用法であったと言える。

近年までは、時刻を知らせる為にも太鼓が使用されていた。今日では、盆踊りの主役として演奏されたり、神と意思を伝達する手段、呪具として神社寺院に置かれている。

太鼓という場合広狭二つの理解がある。何らかの仕方で張った皮を打って音を出すという広義の理解ではアジアの先住民に認められる団扇太鼓(日蓮宗の打つ太鼓)から能楽に使用する鼓類までを含んでしまう。しかし通常和太鼓と呼ばれる場合は、筒あるいは椀型のものに皮を張った狭義の理解をする。どちらも楽器としては膜鳴楽器と分類される。以下では狭義の太鼓としての和太鼓に限定して述べる。

芸能、音楽としての太鼓

雅楽

舞楽「抜頭」の演奏。左奥に楽太鼓が見られる

雅楽では楽太鼓と呼ばれ、舞台の正面に構えられる。楽節の終わりごとに太鼓の一撃が入り、楽曲全体を統率する重要な要素である。また見た目も支柱の漆塗りをはじめ本体にも色とりどりの装飾が施されており、大変美しい。

宗教音楽

神道では古くから太鼓が多く用いられた。神楽(囃子)などにその一端が見られる。単体での演奏の他、篠笛などと組み合わせる演奏も多く見られる。

仏教では、通常太鼓を使うことはあまり見られず打楽器としてはもっぱら木魚が使われるが、大規模な行事には銅鑼鉦鼓などと一緒に太鼓が用いられる。

このほか仏教と神道の境界が曖昧である農村信仰として、田楽イタコの口寄せ(交霊)にも太鼓が使われることが多い。

歌舞伎

江戸時代、歌舞伎が隆盛すると、下座音楽に使われ、効果音として取り入れられた。

下座音楽における太鼓の使用方法は、打ち方によって表現する情景が高度に体系化されている。例えば細めの撥で細かく叩くと雨の音、布を巻いた撥で弱く柔らかい音を低く響かせると雪の音、それらの合間に別の撥を水平に宛て、鼓面の震えを拾ってビリビリという音をたてると雷や雪崩の音を表現するといった具合である。また幽霊の出現など、本来ありえない音響を抽象的に表現する場合にも用いられる。

組太鼓

昭和になるまで和太鼓はそれを主体とする音楽に発展することはなかったが、太鼓奏者の小口大八は、胴の長さや直径等の違いで音が違ってくることを利用し、これを組み合わせることによって太鼓をひとつの音楽に仕立て上げた。これが、複式複打法(後述)とよばれる、大人数によって様々な種類の太鼓が合奏のように演奏されるようになる組太鼓のはじまりである。これが編み出されるまで、他の芸能の脇役を務めることが多かった和太鼓は、複式複打法の確立により、和太鼓を主体とした音楽の地位を確立する。

太鼓の種類

両面を打つタイプと片面を打つタイプがある。前者は宮太鼓、桶胴太鼓などで、音量が大きく低音がよく響くのが特徴である。和太鼓としてはこの種類が大多数をしめる。後者は、うちわ太鼓等が該当し、日蓮宗等で用いることがある。高音、響きは少ない。

胴材

ケヤキが主であったが国産は近年不足しているためシオジセンが主流、また海外からはカリンナラなどの堅い木材をくり抜いたふくらみのある円筒形の胴、もしくは板を寄せて円筒を作りのようにしたものを用いる。

皮面

牛の皮(メスは、オスまたはホルスタイン木綿に例える)を鋲や紐、ターンバックル等で張りとめてつくられ、(ばち)と呼ばれる木の棒で皮を叩いて演奏される。皮には基本的に数回の出産を経た雌牛が最良とされるが、大きなものでは、雄牛の皮が利用されることもある。

太鼓の例

長胴太鼓宮太鼓
胴は一本の木をくりぬいたものが利用される。皮は胴に鋲を用いて留められていることが多い。社寺、公共施設等によくあり、多くの太鼓の団体がこれを演奏する。一般的によく目にするものである。(ページ上部の写真の前列及び鼓面が見えている、奥の太鼓の左側がこれにあたる。)
桶太鼓
縦に割られた板を寄せて円形にして胴をつくったもの。低音、音響も大。檜やサワラなどで胴が作られ、比較的軽いのが特徴である。紐締めのものが主流である。(ページ上部の写真の奥の鼓面が見えている太鼓の右側がこれにあたる。)
締太鼓
紐やボルト ナットターンバックルで皮と胴を接着させ、張っているもの。締め付け具合によって音質の調節が可能である。歌舞伎、民謡、三味線等に用いられたり、リズムを取るために利用されることが多い。

撥の材質は、樫や檜製のものが出回っている。しばしば竹で作られたものを使用することもある。 ラワン白樺等、もろいもの、ささくれるもの、ヤニがでて皮を痛めるものは、撥には適さない。

演奏形態

数による分類

太鼓の演奏形態は、太鼓の種類による分類と打ち手の人数による分類を合わせたものが最もよく用いられる。 前者を「複式」(多種多様の太鼓によって演奏されるもの)と「単式」(一種の太鼓によるもの)と分類し、後者を「複打」(二人以上で演奏されるもの)と「単打」(一人で演奏されるもの)に分類する。以上を組み合わせてできるのが下記に示す4種類の形態である。分類方法の考案者は西角井正大。

現在は、御諏訪太鼓宗家・小口大八によって考案・確立された複式複打法(組太鼓)が演奏の主流となっている。

置き方による分類

  • 据置形(すえおきがた)
地上に据え置いたまま演奏する形。単式複打についていえば、能登半島周辺の日本海側に主に分布。
  • 抱持形(かかえもちがた)
体に背負ったり、手で持って演奏する形。
  • 舁山形(かつぎやまがた)
山・御輿として担ぐ形。単式複打についていえば、瀬戸内海沿岸地方に主に分布。
  • 曳山形(ひきやまがた)
山車のように曳行する形。単式複打についていえば東北地方日本海側に主に分布。

舁山形や曳山形には太鼓台などがある。

分類と団体の例

服装、化粧

半タコ(トランクス)、腹巻き(さらし1反)に半天(半纏袢纏法被)というのが一般的だが、創作和太鼓においては、集団によっては、白い着物に赤、紫、紺、等の袴、又、一部の集団に於いては男性(ごく稀に少年)は曲目によってはふんどし一丁、という所もある。女性、少女の場合はアイシャドー口紅を濃く入れる、等、厚化粧する場合が多い。

創作和太鼓と服装・化粧の関係

創作和太鼓集団の多くは祭りの太鼓からの派生なので、ほとんどの場合、祭りと共通する服装・化粧となる。只、ふんどし一丁で上演する集団は比較的少数派であることもあってかなり人気が高い。又、撮影可能な行事においてはアマチュアカメラマンの間での人気も高く、とりわけ、ふんどし一丁の集団の人気が高い。中でも、少年の和太鼓集団自体は非常に多数あるものの、ふんどし一丁、というところは皆無といってよく、その様な集団が最後の曲で半天、半タコを脱いで、ふんどし一丁になると多大な拍手喝采が起こるらしい。逆に、ふんどしでの上演を避けると観客からの不満が多いらしい。これらの集団は固定ファンを獲得したところも多い。もちろん、これらは技術的水準の高さにもよる。

楽曲

和太鼓の楽曲は、古くからの楽曲を元に復元したものや、近現代に新たに作曲されたものがある。

小口大八:『勇駒、信濃田楽、万岳の響き』
長野オリンピックの閉会式等で演奏された。複式複打法(組太鼓)作品。
西村朗:『星辰神楽』8人の日本打楽器アンサンブルのための(1992年)
国立劇場委嘱作品。春秋社より楽譜出版。普段は西洋打楽器を演奏する作曲者と縁の深い「パーカッショングループ72」が初演した。太鼓以外にも多くの日本の打楽器が登場する作品だが、第2楽章は太鼓ソロ(単式単打法)。複層リズムによるヘテロフォニーや不規則なアクセントによるケチャの影響など、作曲者の初期作品の語法が和太鼓ひとつで見事に再現されている。

オーケストラとの共演作品

ソリストとして主役で扱われる作品

石井真木:日本太鼓とオーケストラのための『モノプリズム』(1976年)
尾高賞を受賞。同じ作曲者の作品に日本太鼓のための『モノクローム』・『モノクロームII』もある。それぞれ組太鼓作品で、鬼太鼓座が初演。
松下功:和太鼓とオーケストラのための協奏曲『飛天遊』(1993-94年)
太鼓奏者は一人(ソロ)。「鼓童」代表の林英哲が初演。
伊福部昭:『倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスク』(1983年)
太鼓奏者は一人(ソロ)。単式単打法。
伊福部昭:『日本の太鼓「ジャコモコ・ジャンコ」』(1984年)

打楽器編成の一部に和太鼓を使う作品

外山雄三:『ラプソディ』

和太鼓に関する主な行事

個人が参加可能な行事

  • 日本太鼓講習会:毎年数回、全国各地で開催

複数のアマチュア和太鼓集団が参加する各種行事

現在行われているもの

屋外で行われ、録音、撮影が可能なもの
屋内で行われるもの(録音、撮影禁止の場合有り)

過去に演奏等が行われた大きな舞台

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、和太鼓 に関連するメディアがあります。
(注記)は、ふんどし一丁で出演する集団

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