外壁工事とは?種類や費用相場を解説
- 屋根/外壁
築年数が経った家屋の外壁は、見た目が古びて耐久性も低下します。
家の価値や耐久性の維持のために外壁工事を実施すれば、長く快適に、安全に住み続けることができるようになり、おすすめです。
この記事では、外壁工事の種類や費用についてご紹介しています。家の外壁についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
外壁工事とは
外壁工事とは、建物の最も外側にある外壁の黒ずみやひび割れ、はがれなどを修繕して耐久性を高める工事のことです。
建物の外壁は日々雨や紫外線などにさらされており、外からのダメージを受けています。
外壁には耐用年数があるため、これらのダメージにより劣化した箇所を修復することは非常に重要です。
外壁工事は居住性の悪化を防ぐためにも、約10年に一度のスパンで実施することが望ましいでしょう。ただし、ある程度大きな費用が発生するため、工事業者を選ぶ際には何社かの見積り比較し、依頼先を決定することをおすすめします。
外壁工事の必要性
建物は定期的なメンテナンスが必要です。しかし、見た目が綺麗だからといってメンテナンスを放置してしまうと、さまざまな問題が発生する可能性があるため、注意しましょう。
ここでは外壁工事の必要性について、項目ごとに解説します。
断熱・遮熱効果
外壁は雨や風、太陽光から建物内部を守る非常に重要な役割を持っています。
特に太陽光による熱は、外壁を通じて室内の温度に大きな影響を与えるのです。
断熱効果の高い材料を使用することにより、断熱・遮熱効果を発揮することができます。
断熱・遮熱効果は劣化した外壁では機能が低下してしまうため、室内の温度管理が難しくなり、電気代も高くなってしまいます。
断熱・遮熱効果を十分に発揮するため、定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
耐久性の向上
外壁工事を実施することは、耐久性の向上と外壁を保護する効果があります。
外壁のひび割れや傷などの小さなトラブルを放置すると、壁内部に湿気や水が侵入しやすくなり、建物自体にダメージを与えることもあるでしょう。
外壁には耐用年数があり、塗装の耐用年数は10年、外壁そのものの耐用年数は30年と言われています。
周辺環境によっては劣化の進行が早いこともありますので、定期的な点検とともに、数年ごとに外壁工事を行い、耐久性を保つことが重要です。
防水性・透湿性の向上
外壁の材料として使用される、サイディング、タイル、モルタル、軽量気泡コンクリート(ALC.)には、製造時または施工時に防水加工を施します。
しかし、この防水機能は年数が経つにつれて低下していくものです。
防水と透湿の機能を維持することは、外壁とその内部の腐食や結露を防ぐ意味もあります。
梅雨時期以外にも雨がよく降る日本の住宅では、防水性・透湿性が低下した場合、工事をすることで機能を向上させておき、建物を守る必要があるのです。
外壁工事の種類と費用相場
外壁工事にはいくつかの種類があり、それによって費用が変わります。
ここではそれぞれの工事の特徴と費用の目安を解説します。
塗装工事
塗装工事とは、外壁表面に塗料の塗り替えを実施することです。
外壁の表面を塗り替えることにより、色落ちした家の外観をリフレッシュし、まるで新しい住宅のような印象になるでしょう。
塗装工事に使われる塗料の種類は、ウレタン、シリコン、無機、フッ素、断熱、遮熱、光触媒などがあります。
塗装工事の費用相場は、建物の大きさや塗料にもよりますが、約100万円程です。
塗装工事はいくつかの工程を経た上で、塗料を塗り替えることが一般的です。
これにより、家の外観の印象が変えられるのみならず、防水機能や耐久性、遮熱性を復元することもできるという重要なポイントもあります。
適切な塗装工事は、建物の耐久性を維持し、建物の外観を保つためにも重要な工事なのです。
重ね張り工事
重ね張り工事は、別名「カバー工法」と呼ばれ、既存の外壁の上から新しい材料を貼り付ける工事です。
最初に外壁を撤去する必要がある張り替え工事と比べて、撤去・処分費用が発生しないため、費用は安くなります。
ただし、新しい材料を上から貼り付けることにより、家全体の重量が増すため、建物への負担は大きくなります。
建物への負担を減らすために、材料の選択肢は少なく、比較的軽い金属サイディングや、樹脂サイディングを使用する工事が主流です。
費用相場は2階建ての住宅で150〜200万円程です。
外壁工事を手軽に済ませたい人には向いている工事ですが、工事前に外壁の状況を確認し、重ね張り工事で問題ないかを必ずチェックしてもらいましょう。
張り替え工事
張り替え工事では既存の外壁材を取り除き、新しい外壁に交換します。
シンプルな工程でないため費用はその分高くなりますが、重量が増すことがないため、好きな材料を選ぶことができ、見た目も大きく変えられる点がメリットだと言えるでしょう。
張り替え工事は外壁材の劣化や、ひび割れ、反りが見られている場合に適した工事です。
外壁の張り替えにかかる費用相場は200〜250万円程です。
重ね張り工事よりも費用は高いですが、外壁の劣化による雨漏りや水漏れを防ぐために必要な工事になります。
補修工事
外壁の補修工事では、ひび割れや欠損などの箇所を部分的に補修します。現地調査の上で、全面的な工事は不要と判断された場合にできる工事です。
補修箇所によってはDIYで行うことも可能かもしれませんが、専門家ではない人の判断により根本的な原因がわからず、さらなる劣化につながる恐れもあります。
外壁の補修は高所での作業を伴うこともあり、怪我や失敗のリスクを回避するために専門業者に依頼することをおすすめします。
補修工事の費用目安は20〜70万円ほどです。部分的な補修なので、外壁全体を修理するよりも費用は安くなります。
ただし、部分的な補修を行うと、補修した部分と既存の外壁との間に色合いや質感の差が生じる可能性がありますので、慎重な対応が必要です。
外壁工事の期間
外壁工事は数日で終わる簡単なものから数週間かかる大がかりのものまであるため、工事にかかる期間を事前に確認しておきましょう。
例えば、範囲が狭い補修工事であれば、期間は1日〜1週間程で終わります。
塗装工事は1〜2週間、新しい外壁を張り付ける重ね張り工事は1〜3週間、張り替え工事になると約1ヶ月かかります。
外壁工事の期間は外壁の状態や天候に左右されやすいので、最初に提示された期間より延びる可能性も視野に入れておきましょう。
また、ここで紹介した期間の目安には現地調査から見積もりまでの期間は含まれていません。余裕を持って外壁工事を依頼すると予期せぬトラブルを防ぐことができるでしょう。
外壁工事の実施時期を判断するポイント
「いつ外壁を工事するべきなのかわからない」と不安に思われている方は、以下のチェックポイントを参考にしてみてください。
該当する症状が現れている場合は、外壁工事を実施するべきサインかもしれません。
カビやコケが発生している
建物の立地や自然環境が原因で、外壁にカビやコケが発生することがあります。また、外壁材そのものの機能の低下もカビやコケの原因です。
放置していると人体にも影響する可能性がありますので、自分で除去できない場合は外壁工事を検討しましょう。
防カビや防藻機能がある塗料などの、機能的な塗料を選ぶことも選択肢に入れると良いでしょう。
色褪せがある
外壁塗装に使用されている塗料の耐久年数は、一般的に10〜15年と言われており、外壁の色褪せも同時期から始まります。
毎日見ている外壁は、新築時に比べて色褪せているかどうかを判断しづらいため、過去の写真と見比べて判断してみましょう。
外壁の色褪せは、次に解説するチョーキングよりも先に発生する症状です。
チョーキングがある
外壁を手で触ったときに白い粉のようなものが付着していたら、それは外壁の劣化のサインでもある「チョーキング」という現象です。
その白い粉は外壁の塗料が外部からの刺激によりダメージを受け、粉状になって外壁表面に現れるものです。
チョーキングは自然に元通りになることはなく、放置しておくと劣化が進んでしまうため、補修や工事を検討しましょう。
筋状のシミが発生している
建物の外壁に黒っぽい筋状のシミの付着を見たことがある人は多いのではないでしょうか。
これは外壁の防水性が低下していることが原因であるため、塗装工事をして防水機能を復活させることが必要です。
シミを放置しすぎると、セルフクリーニングでは除去できなくなります。
頑固なシミになってしまった場合は業者への依頼を検討しましょう。
反り・浮き・はがれ・膨らみがある
外壁の反り、浮き、はがれ、膨らみは、主に湿気や温度変化や劣化によって発生します。
これらは経年劣化が原因で、放置すると悪化する可能性があります。
外観にとどまらず、建物の耐久性や防水性にも影響を与えるため、早期の点検と対策が重要です。
外壁工事をお得に実施するポイント
外壁の補修に比べて費用が高い外壁工事は、実施をためらう人も多いかもしれません。
なるべく費用の負担を減らしたい場合にチェックしておきたいポイントを紹介します。
住んでいる地域の助成金を利用する
市民が行う外壁工事やリフォームに、助成金や補助金を出している自治体があります。
指定の条件を満たしていると、自治体から助成金が支給されるというものです。
全ての自治体で助成金の交付が行われているわけではないため、自分が対象になるかを確認したい方は、住んでいる地域の相談窓口に問い合わせをしてみましょう。
火災保険を利用する
台風の影響やひょうなどの自然災害による外壁の損傷には、火災保険の利用が可能な場合があります。
一定の条件を満たしている必要がありますので、該当するか不明な場合は契約内容を保険会社に確認してみましょう。
水害や経年劣化、故意による破損について火災保険は適用されないので注意しましょう。
複数の業者に相見積もりを依頼
複数の業者に相見積もりを依頼することにより、外壁工事の正当な費用を把握できるので、工事依頼前の欠かせない事前準備です。
「一括見積もりサイト」は便利な上に、サイトの登録業者は一定の審査基準を満たしているのでおすすめです。
それぞれの業者には「相見積もりをしている」旨を必ず伝えておき、より丁寧な見積もりを提出してもらえるようにしましょう。
まとめ
初めての外壁工事を検討する際、どこをどのように工事をするのか、費用の相場はいくらぐらいなのかなど、知らないことが多く、不安に感じる方が多いかと思います。単なる補修とは異なり、費用が高額になる傾向もあるため、実施には慎重になりがちです。
しかし、適切なタイミングで工事を行えば、長く快適に住み続けることにつながります。まずは自分の家の外壁の状況をチェックしてみてはいかがでしょうか。
執筆年月日:2024年9月