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相続登記の義務化は2024年4月1日開始|概要や手続き方法を解説

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相続登記の義務化は2024年4月1日開始|概要や手続き方法を解説

「相続登記」が、2024年に義務化されましたが、具体的にはどのような手続きなのでしょうか。人が亡くなった際に残された財産が法律で定められた相続人に引き継がれることを「相続」といいます。そして、相続において重要な役目を果たすのが相続登記です。

相続の専門的な知識がないと、一人で相続登記の手続きを進めるのは難しいかもしれません。この記事では、この相続登記について、わかりやすく解説します。

目次
  1. 相続登記とは
  2. 相続登記の義務化とは
    1. 相続登記義務化の背景
    2. 相続登記の義務化は「2024年4月1日」から
    3. 相続登記の義務化における罰則
    4. 過去の相続分も義務化の対象
  3. 相続登記をしない場合の相続人のリスク
    1. 権利関係が複雑になる可能性がある
    2. 不動産の売却や担保提供ができない
    3. 不動産の差押や共有持分を売却されるリスクがある
  4. 相続登記の手続き方法
  5. 相続登記の必要書類
  6. 相続登記の課題
    1. 手続きが煩雑
    2. 費用がかかる
    3. 相続人全員が関与する必要がある
  7. 相続人申告登記の新設について
    1. 相続人申告登記の概要
    2. 相続人申告登記のメリット
    3. 相続人申告登記の注意点
  8. まとめ

相続登記とは

相続登記とは、亡くなった方の不動産の名義を相続人の名義に変更する手続きです。

不動産の所有者は法務局の登記簿に記録されており、この登記簿を更新することで、誰がその不動産の所有者なのかを明確にします。

例えば、父親が亡くなって子供がその不動産を相続した場合、子供は法務局で手続きを行い、不動産の名義を父親から自分自身に変更する必要があります。誰がどの不動産を相続するかが決まってから登記を行う必要があるため、遺産分割協議も早めに行うことが大切です。

相続登記は、不動産の所有者を明確にするための手続きで、将来のトラブルを予防するために重要なものです。

相続登記の義務化とは

2024年4月から、相続登記が義務化されました。過去の相続分も義務化の対象となり、期限内に手続きを行わないと罰則が科せられる場合があります。相続登記の義務化の経緯や内容について、詳しく解説していきましょう。

参考:法務省|相続登記の申請義務化について

相続登記義務化の背景

近年、相続登記がなされないまま放置された土地が、日本全国で深刻な社会問題となっています。この問題は、単に土地が放置されているだけでなく、周辺環境の悪化や公共工事の妨げ、さらには治安悪化といったさまざまな事態を引き起こしています。

国土交通省が行った2022年の調査によると、不動産登記簿だけでは所有者が特定できない土地は全体の24%にも及びますが、その多くが相続登記がされていないことが原因です。このような状況は、不動産取引や都市開発を阻害し、社会全体の損失につながっています。

この問題に対処するため、相続登記が義務化されました。これにより、不動産の所有者を明確にし、放置された土地の問題を解消し、社会全体の活性化につなげることが期待されています。

相続登記の義務化は「2024年4月1日」から

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。これは所有者不明の土地問題を解決するための義務化で、相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内に、相続登記の手続きを行うことが法律で定められました。

この義務は、2024年4月1日以降に発生した相続だけでなく、それ以前の相続にも適用されます。つまり、過去に相続した不動産についても、まだ登記を行っていない場合は、3年以内に手続きを行わなければなりません。また、正当な理由なく3年以内に登記しなかった場合は、罰せられる可能性があります。

相続登記の義務化における罰則

複数の相続人がいる場合、もっとも遅く相続の発生を知った相続人がその相続を認知した日から3年以内が相続登記の期限です。遺産分割協議をしたとしても、相続登記の期限は「もっとも遅く相続の発生を知った相続人が、その相続を認知した日から3年以内」のため、遺産分割協議は速やかに行わなければなりません。

相続登記の義務化により、定められた期間内に登記を行わないと、罰則が科されることがあります。どのような罰則なのでしょうか。

正当な理由なく3年以内に相続登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。これは、相続登記を怠ったことに対する行政上の罰金です。また、不動産の所有者の氏名や住所に変更があった場合も、2年以内に変更登記を行わなければ、5万円以下の過料が科される可能性があるので注意が必要です。


相続登記の期限内に登記できない「正当な理由」とは、相続人の数が極めて多い、遺言の有効性が争われているなど、個々の事情によって異なります。ただし、これらの理由が認められるかは、最終的に法務局の登記官によって判断されます。

過去の相続分も義務化の対象

相続登記の義務化は、過去の相続分にも適用される点が大きな特徴です。つまり、2024年4月1日以前に相続した不動産であっても、登記が完了していない場合は、原則として2027年3月末までに手続きを行わなければなりません。これは、過去の相続によって取得した不動産についても、所有者を明確にするためです。

「遡及適用」という言葉で表されるように、この義務化は過去にさかのぼり、既に発生した相続にも影響を及ぼします。もし、法改正後になって初めて自分が相続人であることを知った場合でも、その時から3年以内に相続登記を行う必要があります。

相続登記をしない場合の相続人のリスク

面倒で煩雑な相続登記をしなかった場合、相続人にどんなリスクがあるのでしょうか。主なものを紹介します。

権利関係が複雑になる可能性がある

相続で不動産を複数人で共有する場合、売却などの処分に際し、全員の同意が必要となり、手続きが複雑化します。また、相続人が増えるほど、遺産分割協議が難航する可能性が高まります。登記をせずに放置すると、相続人がさらに増え、権利関係がますます複雑になる恐れがあります。

不動産の売却や担保提供ができない

相続登記がされていない場合、たとえ実際に相続した不動産であっても、売却や担保提供ができません。登記簿上の所有者が変わっていないため、法的に所有権を証明できないためです。

複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議が完了し、相続登記が完了するまで、個人の判断で売却することはできません。相続登記は、不動産を売却したり、ローンを組んだりするためにも必要な手続きなのです。

不動産の差押や共有持分を売却されるリスクがある

相続人に債務がある場合、債権者によって相続人の相続分を差し押さえられる可能性があります。また、相続人が自分の持分を売却したり、担保に提供したりすることも可能になり、相続人以外の者が権利を取得してしまうケースも考えられます。相続登記をせずに放置すると、このようなリスクが生じるため注意が必要です。

相続登記の手続き方法

相続登記の手続きは、法務局で行います。まず、亡くなった方の遺言があるか確認し、なければ遺産分割協議で相続人全員で遺産の分割を決めます。決まったら、登記事項証明書など、必要な書類を揃えて申請しましょう。

登記申請の手続きは、法務局の窓口や郵送、またはマイナンバーカードを使ったオンラインでも行えます。手続きが完了すると、登記識別情報通知書が交付され、新しい所有者として登記されたことを確認できます。

相続登記は自分で手続きできます。ただし、相続登記は専門的な知識が必要なため、自分で行うことが難しい場合は、代理で手続きをしてもらうことも可能です。ただし、登記申請の代理行為は、法律で司法書士などの専門資格を持つ人に限定されているため、資格を持つ専門家に依頼するようにしましょう。

相続登記の必要書類

相続登記には、いくつかの書類が必要になります。状況によって必要な書類は異なりますが、一般的に以下の書類が必要になります

  • 戸籍謄本:被相続人(亡くなった方)と相続人それぞれの出生から死亡までのもの

  • 住民票(除票):被相続人および相続人のもの

  • 固定資産評価証明書

  • 登記申請書: 登記を申請するための書類

  • 遺言書: 遺言がある場合は、その原本または謄本

  • 遺産分割協議書: 遺言がない場合や遺言の内容に異議がある場合

  • 印鑑証明書: 遺産分割協議などが必要な場合、相続人全員の印鑑証明書

これらの書類は、状況によって必要となるものが変わります。 例えば、単独相続で遺言もない場合は、印鑑証明書や遺産分割協議書は不要な場合もあります。

専門家に相談すれば、書類の準備で迷うことなくスムーズに手続きを進めることができるでしょう。書類の準備に手間取っているうちに、相続登記の期限を過ぎてしまいかねません。不安がある場合は早めに相談しましょう。

相続登記の課題

必ず行わなければならない相続登記ですが、いくつか課題もあります。

手続きが煩雑

相続登記は必要な書類が多く、手続きも煩雑なため、個人で行うにはハードルが高い手続きです。 戸籍謄本などの書類収集や申請書の正確な作成には時間と労力がかかり、専門的な知識も必要となります。

費用がかかる

相続登記には、思わぬ費用がかかります。登記申請のときに国に納める税金である「登録免許税」だけで不動産評価額の0.4%が必要です。

さらに、必要書類の取得費用や、司法書士への報酬も加算され、高額になることも珍しくありません。複数の不動産を相続する場合や、相続人が多い場合は、費用はさらに高額になる可能性もあります。

相続人全員が関与する必要がある

相続登記は、相続人全員の合意が不可欠です。 遺産分割協議では、全員が納得できる結論を出す必要があり、特に相続人が多い場合や、関係性が複雑な場合は、合意に至るまで時間がかかることがあります。相続人全員の協力なしには、相続登記をスムーズに進めることは困難です。

相続人申告登記の新設について

相続登記は手続きが複雑で時間がかかるため、遺産分割協議が長引くと、法定期限内に手続きが完了しない可能性があります。

そこで、改正法では、相続人全員の合意が得られない場合でも、各自が相続人であることを申告できる「相続人申告登記」制度が導入されました。この制度を利用すれば、法定期限内に手続きを完了することができます。詳しく解説していきましょう。

相続人申告登記の概要

相続人申告登記は、相続人が法務局に「自分が相続人である」と申告することで、相続登記義務を履行したものとみなされる制度です。

従来の相続登記は、複雑な手続きや時間がかかることが課題でした。相続人申告登記は、この手続きを簡素化し、相続人がより簡単に登記手続きを進められるようにすることを目的としたものです。

利用する際のメリットと注意点を次の項で解説していきます。

相続人申告登記のメリット

相続人申告登記には、どんなメリットがあるのでしょうか。主なメリットをご紹介しましょう。

  • 手続きの簡略化: 相続人全員の同意がなくても個人が単独で申請できるため、手続きがスムーズになります。

  • 書類の簡素化: 必要な書類が少なく、戸籍謄本など、比較的入手しやすい書類で手続きを進めることができます。

  • 迅速な手続き: 手続きが簡略化されているため、従来の相続登記よりも短期間で完了できます。

  • 柔軟な対応: 相続人の間で遺産分割がまとまらない場合でも、個人が相続人であることを申告することで、登記義務を履行できます。

相続人申告登記の注意点

メリットがたくさんある相続人申告登記の制度ですが、注意点がいくつかあります。この制度は、相続登記の義務を履行したとみなされますが、遺産分割協議は完了しません。つまり、誰がどの財産を相続するかまでは決まらず、不動産の売却などもできないということです。

また、申告後も相続登記は必要です。遺産分割協議がまとまり次第、正式な相続登記手続きを行う必要があるため注意しましょう。

まとめ

相続に関係する手続きは複雑で、個人で対応するには難しい面が多いものです。迷う場合は、速やかに専門家に相談しましょう。個々のケースに合わせた適切なアドバイスを受けることができ、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

執筆年月日:2024年10月

(注記)内容は2024年10月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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