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遺産相続とは?手続きの流れや相続税について解説

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遺産相続とは?手続きの流れや相続税について解説

「遺産相続」というと、財産の分割や手続きなど、複雑で難しいと感じている方も多いかもしれません。遺産相続は、「今はまだ関係ない」と思っている方も含め、誰もが関わる可能性のある出来事です。

本記事では、手続きや相続税など、遺産相続について詳しく解説します。いざというときにトラブルにならないよう、あらかじめ相続について理解しておきましょう。

目次
  1. 相続とは
    1. 相続の定義
  2. 相続の開始時期
  3. 相続の対象となる財産
  4. 相続の対象とならない財産
  5. 相続人の範囲と相続順位
    1. 遺言書がある場合
    2. 法定相続の場合
    3. 代襲相続とは
  6. 相続割合とは
    1. 遺言書がある場合
    2. 遺留分とは
    3. 法定相続分とは
  7. 相続全体の手続きの流れ
  8. 遺産相続した場合の相続税について
    1. 相続税の基礎控除額とは
    2. 相続税計算の課税価格とは
  9. まとめ

相続とは

そもそも相続とは何でしょうか。まず、相続の定義について説明します。

相続の定義

相続とは、亡くなった人が保有していた財産・権利・義務を、配偶者や子どもなどが受け継ぐことです。

相続では、亡くなった人のことを「被相続人」、配偶者や子どもなど亡くなった人の財産を受け継ぐ人のことを「相続人」といいます。

相続の開始時期

相続の開始時期は、民法で「相続は、死亡によって開始する」と定められています(民法882条)。

また、「死亡」には病気や怪我といった自然的なもの以外にも、以下のような法律上の死亡も含まれます。

  • 失踪宣告(行方不明により7年間生死が明らかでない場合など)

  • 認定死亡(事故や災害などで生死が不明だが、亡くなった可能性が非常に高い場合)

相続の対象となる財産

相続の対象となる財産は、プラスの財産のみでなくマイナスの財産もあります。プラスの財産、マイナスの財産の代表例は以下のとおりです。

プラスの財産例

  • 金融資産(現金、預貯金、有価証券など)

  • 不動産(土地、建物、借地権、借家権など)

  • その他(宝石、貴金属、自動車、骨董品、船舶など)

マイナスの財産例

  • 借金

  • 連帯保証債務

  • 未払いの税金

  • 未払いの費用(水道費、光熱費、家賃、医療費など)

マイナスの財産が多ければ、その分相続人の負担が大きくなります。マイナスの財産を受け継ぎたくない場合は、相続開始から3ヶ月以内に「相続放棄」または「限定承認」を申し出ましょう。

「相続放棄」とは、被相続人の財産を一切受け継がないこと、「限定承認」とは、相続で取得したプラスの財産を限度としてマイナスの財産を受け継ぐことです。

相続の対象とならない財産

財産の中には、民法上の相続対象にならない(遺産分割の対象にならない)財産もあります。具体的な例を紹介します。

  • 香典(喪主に送られたものとされる)

  • 祭祀財産(墓地、墓石、仏壇、神棚など。承継者が単独で引き継ぐものとされる)

  • 遺族年金(受給の権利を持つ人の財産のため)

  • 生命保険金(被相続人が保険料を負担していた契約の死亡保険金など)

  • 死亡退職金(被相続人が受け取る予定だった退職金を、被相続人の死亡が理由で相続人が受け取った場合)

「生命保険金」や「死亡退職金」は遺産分割の対象ではありませんが、税法上の「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象です。ただし、遺族の生活を保障するため、生命保険金や死亡退職金には非課税枠が設けられています。

相続人の範囲と相続順位

「遺言書」があるかないかで相続人の範囲や相続順位は変わります。本章で詳しく解説します。

遺言書がある場合

遺産を相続できるのは、主に以下に該当する人です。

  • 法定相続人(被相続人の配偶者、子ども、両親、兄弟姉妹など)

  • 受遺者(遺言書で指定された人)

遺言書がある場合、原則として遺言書の内容が優先です。遺言書で指定された人が受遺者となり遺産を受け取ります。受遺者には民法上の法定相続人のほか、内縁関係の人や血縁関係のない人、団体なども指定できます。また、一定の相続人には「遺留分」が認められるため、必ずしも遺言書の内容どおりに相続されるとは限りません。

法定相続の場合

遺言書がないとき、または遺言書で指定されていない財産があるときは、法定相続人が遺産を受け取ります。法定相続人の範囲と順位は、次のとおりです。

法定相続人の順位

法定相続人

常に相続人

配偶者

第一順位

直系卑属(子や孫など)

第二順位

直系尊属(父母や祖父母など)

第三順位

兄弟姉妹など

このように、法律上の婚姻関係にある配偶者は常に法定相続人となり、配偶者以外の親族は、相続する順位が決まっています。

第一順位の子が生きていれば子が相続人となり、子が亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっている場合はひ孫が相続人となります。直系卑属が誰もいない場合は、第二順位の父母などが相続人です。先の順位の人が1人でもいれば、後の順位の人は相続人にはなれません。

代襲相続とは

代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人が相続開始時に亡くなっており、代わりにその人の子どもなどが相続人になることをいいます。

代襲相続人になれる人は、相続人となるはずだった人の子や孫、ひ孫などの直系卑属です。具体的には、下記のようなケースが代襲相続です。

  • 第一順位の子が亡くなっている場合、孫が相続人となる。孫も亡くなっている場合はひ孫が相続人となる。

  • 第三順位の兄弟姉妹が亡くなっている場合、その子である甥や姪が相続人となる。

なお、直系卑属以外には代襲相続は発生しません。

相続割合とは

被相続人の財産は、相続人の間でどのような割合で分割するのでしょうか。相続割合について、以下で詳しく解説します。

遺言書がある場合

遺言書がある場合、相続割合についても遺言書の内容が優先です。遺言書に財産や相続の割合について指定があれば、指定どおりに財産を分けます。

ただし、「遺言書の書き方が曖昧」「必要なことが記載されていない」などの不備がある場合、遺言書が無効となる可能性があります。また、「特定の人のみに全財産を相続させる」など、遺言書の内容が大きく偏っている場合は、後述する遺留分に気をつけなければなりません。遺言書の書き方や内容には注意が必要です。

遺留分とは

遺留分とは、特定の法定相続人に対して、民法で最低限保障されている相続割合のことです。


遺留分が認められる法定相続人は、配偶者、直系卑属(子や孫など)、直系尊属(父母、祖父母など)です。兄弟姉妹や甥、姪に遺留分は認められていません。遺言の内容などにより遺留分を侵害された場合は、遺留分の侵害額請求を行うことができます。


遺留分の割合は、以下のとおり誰が相続人になるかによって異なります。

相続人

遺留分の割合

配偶者のみ

直系卑属(子や孫など)のみ

配偶者と直系卑属

配偶者と直系尊属(父母や祖父母など)

2分の1

直系尊属のみ

3分の1

兄弟姉妹のみ

遺留分なし

法定相続分とは

法定相続分とは、民法で定められている法定相続人ごとの相続割合のことです。法定相続分は、遺産分割協議(相続人同士での遺産分割の話し合い)で合意できなかった場合に適用される割合となります。


具体的な法定相続分は以下のとおりです。

相続人

相続割合

配偶者のみ

すべて配偶者

配偶者と子

配偶者:2分の1

子:全員で2分の1

配偶者と父母

配偶者:3分の2

父母:全員で3分の1

配偶者と兄弟姉妹

配偶者:4分の3

兄弟姉妹:全員で4分の1

子、父母、兄弟姉妹で同じ順位が複数人いる場合は、原則として均等に分けます。例えば、法定相続人が「配偶者と子2人」の場合、次のような分け方になります。

  • 配偶者:2分の1

  • 子1:4分の1、子2:4分の1(子2人で2分の1を均等に分ける)


なお、遺産分割協議で相続人全員の同意が得られれば、どのような割合で分割しても構いません。

相続全体の手続きの流れ

被相続人が亡くなると、必要になる手続きは多岐に渡ります。相続開始から必要な手続きの流れは以下のとおりです。


被相続人の死亡(相続開始)から7日以内に行う手続き

  • 死亡届の提出

  • 死体火葬(埋葬)許可申請書の提出


被相続人の死亡(相続開始)から14日以内に行う手続き

  • 国民健康保険・介護保険資格喪失の手続き

  • 国民年金・厚生年金の受給停止の手続き

  • 住民票の抹消届

  • 世帯主の変更届


被相続人の死亡(相続開始)から3ヶ月以内に行う手続き

  • 遺言書の有無の確認

  • 遺言書検認申し立て

  • 相続人・相続財産の調査

  • 相続人の確定

  • 相続放棄または限定承認


被相続人の死亡(相続開始)から4ヶ月以内に行う手続き

  • 遺産分割協議

  • 準確定申告準備(死亡した年の1月1日から死亡日までの被相続人の所得を確認)


被相続人の死亡(相続開始)から10ヶ月以内に行う手続き

  • 遺産分割協議書の作成

  • 相続税の申告・納税


その他、なるべく早めに行うとよい手続き

  • 取引金融機関の手続き(解約・名義変更など)

  • 不動産などの相続財産の名義変更(3年以内の相続登記が必須)

  • 生命保険請求手続き(3年以内に請求しなければ消滅)

  • 遺族年金(5年以内)


上記のように、相続開始後に必要な手続きはさまざまです。中には期限が長いものや決まっていないものもありますが、早めに手続きを行うようにしましょう。

遺産相続した場合の相続税について

遺産相続というと、「相続税」が気になる方も多いかもしれません。財務省のホームページでは、相続税について次のように説明されています。


"
相続税は、相続又は遺贈により財産を取得した個人に対して、その財産の取得時における時価を課税価格として課税される税です。"

(引用:相続税に関する基本的な資料|財務省 )


相続をしたからといって、必ずしも相続税が発生するわけではありません。
また、相続税法上の相続財産には、民法上の相続財産以外のものも含まれるため注意しましょう。

相続税の基礎控除額とは

基礎控除額とは、相続税を計算する際に、相続した財産の総額から差し引くことができる金額のことです。相続税は、相続した財産の総額が基礎控除額を超えた場合に課されます。相続した財産が基礎控除額以下であれば、相続税の支払い義務は発生しません。


基礎控除額は、以下の計算式により算出します。


3,000万円+(×ばつ法定相続人の数)=「基礎控除額」


法定相続人の数は、以下の点を考慮して計算します。

  • 相続放棄した人がいた場合は放棄がなかったものとする

  • 被相続人に養子がいる場合に法定相続人に含められる養子の数は、実子がいるときは1人まで、実子がいない場合は2人まで

相続税計算の課税価格とは

課税価格とは、相続税を計算する基本となる価格のことです。財産を取得した人ごとに課税価格を計算します。


各相続人の課税価格の計算方法は、以下のとおりです。

1.純資産価額の算出

「相続・遺贈により取得した財産の価額」+「みなし相続等により取得した財産の価額」−「非課税財産の価額」+「相続時精算課税適用財産の価額」−「債務・葬式費用の額」=「純資産価額」

2.課税価格の算出

「純資産価額」+「相続開始前3年以内の生前贈与財産の価額」=「各相続人の課税価格」


各相続人の課税価格を合計し、基礎控除額を上回った部分に相続税がかかります。


なお、生前贈与財産の価額については、2024年1月1日以降の贈与分から対象期間が段階的に7年に変更されるため注意してください。

まとめ

遺産相続は必要な手続きも多く、相続の内容によっては複雑な問題となる場合があります。実際に相続が発生したときにトラブルなどにならないよう、生前から必要な手続きの流れを確認し、財産の把握や整理をしておくとよいでしょう。


執筆年月日:2024年10月

(注記)内容は2024年10月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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