1温対法改正を踏まえた温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度検討会(第2回)
議事録
日時:令和3年 11 月 18 日(木)14:00〜16:10
場所:Web による開催
しろまる事務局
ただいまから温対法改正を踏まえた温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度検討会 第
2回を開催いたします。本日、事務局より事務運営の一部を委託されております、三菱総
合研究所の永村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、委員の皆様全員にご出席いただいております。また、オブザーバーの皆様にも
ご参加いただいております。お忙しい中をご出席いただきまして、誠にありがとうござい
ます。
本日の検討会は Web により開催させていただいております。開催の状況につきましては
YouTube で同時配信し、動画は会議後、議事録公開までの間、Web 上で公開予定です。
Web 会議の開催に当たりまして何点かご協力をお願いいたします。通信環境に伴うトラ
ブルの低減のため、原則としてカメラの映像をオフにしていただき、ご発言の際のみオン
にしていただきますようお願いいたします。また、発言する際以外はマイクの設定をミュ
ートにしていただきますよう、あわせてご協力をお願いいたします。
ご発言がある場合、ご自身のお名前の右側にございます手の形のアイコンの挙手ボタン
をクリックしていただくか、チャットにてお知らせいただきますようお願いいたします。
通信の乱れなど何かございましたらチャットにご記入いただくか、あるいは事務局までお
電話をいただきますようお願いいたします。
それでは、まず本日の資料の確認をお願いいたします。委員の皆様には、事務局よりあ
らかじめ電子データにてお送りしております。まず資料1、委員名簿。資料2、報告の電
子化の取組状況及び今後の方向性について。資料3、公表データの活用促進に向けた方策
について。資料4、任意報告の拡充について。以上の資料2〜4は第1回検討会の改定版
となります。資料5、算定・報告・公表制度の改善に向けた当面の取組(案)
。それから参
考資料として3点つけておりますが、参考資料1は第1回の議事録。参考資料2-1は第
1回検討会に関する日本経済団体連合会からのご意見。参考資料2-2は第1回検討会に
関する日本商工会議所からのご意見です。資料の不足などがございましたらお知らせいた
だければと思います。
前回第1回検討会では、オブザーバーの方からの意見をいただく時間を取ることができ
ませんでした。そこで、先ほどご紹介しましたように、オブザーバーのうち日本経済団体
連合会様、日本商工会議所様より、第1回検討会の議事について、参考資料2-1、2-
2としてご意見をいただいております。こちらについて、それぞれ2分程度でご説明いた
だきたいと思います。まず、日本経済団体連合会の長谷川様、参考資料2-1についてご
説明いただけますでしょうか。
しろまる日本経済団体連合会 長谷川様
本日は発言の機会をいただきまして感謝を申し上げます。参考資料2-1に基づいて簡
単に意見を申し上げたいと思います。 2前回の資料3-2、報告の電子化の取組及び今後の方向性について、本日の資料2-1
のp1のEEGS構築の進め方に記載されているとおり、EEGSの開発に当たっては業
務の効率化につながるよう、事業者との引き続きのコミュニケーションをお願いします。
前回の資料4について、事業者は事業全体の中で最適化を考えて温暖化対策を行ってお
りまして、
事業所単位のデータのオープン化については引き続き慎重な意見もございます。
横並び比較がしやすいといった資料上の記述も見受けられますが、データ活用者をミスリ
ードすることのないように、具体的な公表の方法の検討においては対象となる事業者の意
見も丁寧に聞いていただきたいと考えています。
また、任意報告事項を融資先の判断における1次スクリーニングに使用するという記載
がありましたが、任意報告事項はあくまで任意ですので、これを想定した活用事例を挙げ
ることは不適切ではないかと考えています。金融機関については、本来、事業の実情に照
らして融資先を判断すべきところを、1次スクリーニングとしての使用の推奨は形式的・
一律的判断を助長することになりかねないと危惧しているところです。
この点については、
本日の資料3のp22 に意見を反映していただいていると理解しています。
前回の資料5、任意報告の拡充について、前回の検討会においては任意報告の充実化の
方向性として、基本的な考え方と具体的な内容の案が示されました。先ほど申し上げたと
おりこれはあくまで任意と認識していますが、将来の義務化を懸念する声や開示しないこ
とで不利益を被ることに対する懸念もありますので、引き続き納得感のある形での説明を
お願いしたいと思います。
また、任意報告に追加する項目については、再生可能エネルギーの使用状況が上げられ
ていましたが、CO2排出削減手段について様々なものがある中で再エネ活用を一つの項
目として特出しすることは適当かという疑問の声がありました。この点は本日の資料4の
p23 において一定の配慮をいただいたと理解しており感謝しているところです。
私からは
以上です。どうもありがとうございました。
しろまる事務局
YouTube での音声の配信はまだ回復していませんが、会議は継続させていただきたいと
思います。なお、音声については別途、皆さんに共有できるように公開することとしたい
と思います。
それでは続きまして、日本商工会議所より参考資料2-2のご説明を大下様からいただ
きたいと思います。よろしくお願いいたします。
しろまる日本商工会議所 大下様
お時間をいただきましてありがとうございます。ペーパーにも書いていますが、また先
ほどの長谷川様の意見とも重なるところがありますが、基本的には算定・報告・公表のデ
ジタル化・迅速化によってデータを活用していく、それによって温室効果ガスの削減を加
速していくという趣旨については賛成です。
ただし、
今日も改定版がお示しいただけるようですが、
任意報告事項の設定に関しては、
報告しないことで他社との比較で企業のマイナスイメージにつながる、あるいは中小企業
にとっては報告作業そのものの負担が過大になるという懸念もあります。また、様々なデ
ータを公開することによって結果として経営状況が類推されるような状況もあります。こ
うした懸念がありますので、より幅広くデータの活用・公表を進めていくにあたり、任意 3報告事項の追加・拡大については慎重に検討していただきたいという意見を出させていた
だきました。
個別の項目についての意見は、後ほどその議論の中で発言させていただければと思いま
す。私からは以上です。ありがとうございました。
しろまる事務局
どうもありがとうございました。それではここから議事に入りたいと思います。議事進
行について、大塚座長よろしくお願いいたします。
しろまる大塚座長
それでは議題に入りたいと思います。よろしくお願いします。まず議題1、第1回検討
会でのご意見等を踏まえた各改善方策の在り方についてですが、第1回検討会では電子報
告の原則化、公表データの活用促進、任意報告の拡充の3つの改善方策についてそれぞれ
ご意見をいただきました。今回は議論を2つに分けて行いたいと思います。まず、電子報
告の原則化と公表データの活用促進についてまとめて議論を行い、その後で任意報告の拡
充についての議論を行いたいと思います。
まず電子報告の原則化及び公表データの活用促進について、資料2及び3に基づいて事
務局から説明をお願いいたします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
資料2、資料3について説明させていただきます。まず資料2です。報告の電子化の取
組状況及び今後の方向性についての改定案です。前回の検討会にていただいたご意見をま
とめてあります。
振り返りとして、
まず電子申請のEEGSの構築の進め方ということで、
先ほどもご意見をいただきましたが、EEGSについては事業者ニーズを十分に反映する
ということと、主要なスケジュールに関して早めに情報提供してほしいといったご意見を
頂戴しています。
EEGSの機能については、具体的な機能について意見や質問を頂戴しており、例えば
事業者側でのエラーチェックの話、またEEGSを利用開始する時のID・パスワードの
電子化、また各社独自のシステムから出力されるデータとの連携といったことについての
意見をいただいています。
EEGSの周知については、動画の配信、オンラインの説明会といった提案、また周知
の仕方として自治体との連携、サプライヤーを通じた周知といった提案をいただいたとこ
ろです。
その他として、EEGSのシステムにおいても権利利益保護請求に配慮する必要がある
のではないかという意見と、質問の形でいただいて宿題になっていますが、現状で 36%い
る電子報告システムの利用者の属性について質問をいただいています。以上が前回の振り
返りで、今回、資料をアップデートしています。
電子報告システム利用者の属性です。
今回は 36%となっている電子報告の利用者と報告
者全体を比べて何か傾向の違いがあるかというところを確認しました。下のグラフにある
とおり、排出量の規模・業種でそれぞれ比較してみたところ、結論から申し上げると、規
模や業種に大きな違いは見られないと受け止めています。なお、最新の電子報告率は 46%
まで上昇している状況です。 4p3は事業者からのご意見です。システムの設計に当たって令和元年度に 11 事業者に
ヒアリングし、
機能の設計を行ってきました。
主な意見はこちらの表にあるとおりですが、
このようなプロセスを経て設計しているという紹介です。
p4、p5は前回お示ししたものと同じ内容です。こういったご意見を踏まえながらス
テップバイステップでシステム構築を進めていくということです。
p6は具体的なスケジュールです。こちらも前回お示ししたものと内容は同じです。そ
の上で、前回は中身の機能のところを細かく紹介できませんでしたので、p7にEEGS
で実現する主な機能の詳細と実現時期について資料を追加しました。機能分類のところは
EEGSの利用から最後の集計・公表までのステップにおいてそれぞれに実装する機能と
実現時期を記載しています。
次に周知について、前回はリーフレットということでしたが、それ以外に例えばパンフ
レットの作成、ダイレクトメールで報告実績のある事業者にリーフレットを送るといった
取組も年内に行っていこうとしています。また、事業者向け説明会ということで、前回ご
提案いただいたように Web も活用して来年4〜5月頃に説明会のようなものを開催できな
いか考えているところです。
p9は参考としてリーフレットをつけております。以上が資料2の説明です。
続いて資料3について説明させていただきます。資料3は公表データの活用促進に向け
た方策についての改定版です。まず第1回検討会でいただいたご意見ですが、データ活用
という側面についていくつかのご意見を頂戴しました。デジタル化・オープンデータ化、
公表の迅速化に期待するというお声をいただきました。一方で、2段階公表という方向性
については誤解を生まないようにという意見をいただきました。
活用されやすい公表という切り口では、公表画面のダウンロードの話、また過去の排出
量として目標の基準年になっているところの排出量データを含めた閲覧について意見をい
ただきました。また、検索の利便性を向上する観点から証券コード等との紐づけという提
案をいただきました。
GHGプロトコル、PCAFとの関係については事務局では資料を用意できていません
でしたが、GHGプロトコルと算定ルールとの関係がデータの利活用に影響するのではな
いかというコメントをいただきました。GHGプロトコルへの準拠の有無や第三者認証の
有無といったデータクオリティについての指摘もいただきました。
公表データの活用促進については、報告者自らが活用する側面とステークホルダーが活
用する側面の両面があるという指摘をいただきました。また、バリューチェーン全体での
削減に活用できるのではないかという意見がありました。金融機関の1次スクリーニング
に排出量データを使用すると形式的・一律的判断を助長するのではないかといった指摘や、
任意報告は限定的という指摘をいただいています。こうしたご意見を踏まえながら資料を
アップデートしています。
まず公表方法の現状と課題ですが、こちらについては前回の資料と同じですので割愛し
ます。公表の迅速化に向けた方向性としては前回、電子システムを活用することに加えて
2段階公表について議論していただきました。2段階公表については誤解を与えないよう
に留意することを記載しています。
活用されやすい公表に向けた検討についてはp11 に現状の公表イメージをつけていま
す。その上でp12、今回のEEGSにおいて公表の機能を実装することを前回説明しまし
た。具体的にはp13 以降の画面の構成を前回ご覧いただきました。 5今回改定した部分としてp14、検索画面です。上場・非上場の別や株式銘柄コード、I
SINコードを追加した仕様のイメージになっています。
p15 は各事業者の画面となりますが、改定した点として 2009 年度からの排出量を表示
できるような仕様としています。p16 の事業所別の画面については変更はありません。
活用の観点での算定方法の課題については新たに一つ追加しました。p18 です。活用の
観点から算定・報告・公表制度のデータとGHGプロトコルなどとの相違点について前回
ご指摘いただきました。この制度とGHGプロトコルは目的や成り立ちが異なっています
が、それを踏まえつつどういうふうに考えていくかということで専門的・技術的観点で算
定の全体を考えていく必要があると考えており、別途算定ルールを検討する場を設けるこ
ととし、その中でこういった論点を含めて議論していくことにしてはどうかという形でま
とめています。
p19・20 は参考として、PCAFの概要をつけています。
公表データの活用促進に向けた方策については、前回いただいたご意見を踏まえて報告
者自身の活用とステークホルダーの活用という2つの側面に着目してデータの活用・周知
を図っていくとしています。具体的なイメージとしてはユースケースを整理し、それを踏
まえて活用促進に向けた周知活動を行っていってはどうかということです。資料3の説明
は以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。
今の説明に関してご意見、
ご質問等はございますでしょうか。
松原委員、お願いします。
しろまる松原委員
議事の内容ではないのですが、資料2の冒頭からp6まで事務局の説明が聞き取れませ
んでしたので、もう一度かいつまんで説明していただけませんか。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
改めて資料2のp1〜6について説明させていただきます。p1は前回いただいたご意
見をまとめています。EEGSの構築の進め方については事業者ニーズを十分に反映する
ということ、それから主要なスケジュールについて早めに情報提供してほしいという意見
を記載しています。EEGSの機能については具体的にエラーチェック、ID・パスワー
ド発行、独自システムとの連携インタフェースの工夫といった3つの指摘をいただいてい
ます。周知については動画やオンラインの活用、自治体との連携、サプライヤーとの連携
といったことについて提案をいただきました。その他として、権利利益保護請求に配慮す
る必要があるという指摘と、36%の利用者の属性について質問をいただきました。
p2に利用者の属性を整理しています。報告者全体と比べて排出量の規模や業種といっ
た切り口では大きな違いは見られなかったと認識しています。
p3は新システムに対する事業者のご意見です。システムを設計する段階で令和元年度
に 11 事業者からご意見をいただきましたので紹介しています。
p4・5は前回と同様でシステム構築の背景や全体像となっています。
p6はスケジュールです。ステップ1〜3として追加しています。以上です。 6しろまる松原委員
ありがとうございました。
しろまる大塚座長
工藤委員、お願いします。
しろまる工藤委員
事前のレクも受けて理解しているつもりではありますが、改めていくつかコメントさせ
てください。
資料2のp2ですが、この資料の構成を考えると、利用者の属性を調べておいて、後ろ
のほうでこれから普及促進というかプロモーションを行っていくという構成になっている
ので、p2の結果を受けてプロモーションのやり方としてこういった工夫をしたらいいの
ではないかという何かしらのインプリケーションが得られたのかどうか。私が気になった
のは、どちらかというと排出規模の小さい人たちがこういったツールを使っていないので
はないかという仮説を持っていたのですが、必ずしもそうではないようだというお話があ
ったように思います。いずれにせよ、制度を構築してプロモーションをやるに当たって、
p8の内容はある意味で一般的なプロモーションの方法に見えるのですが、具体的な実態
に即してどういった点に留意するかといったことを是非今後考えていっていただければと
思います。利用者が拡大するような形でプロモートするにはどうしたらいいかということ
を是非工夫していただければと思いました。
2点目は資料3ですが、冒頭に経団連と商工会議所の方がおっしゃっていた考え方の中
で、言ってみれば公平性というような話をしっかりと事業者の規模や能力に応じて留意し
た公表内容にしてほしいということがあったと思っています。そういう意味では、個票の
中でいろいろな情報を出すということもありますが、総論的に見てそれぞれの公表項目、
特に後ほどの議論になる任意項目もそうでしょうが、対象となっている事業者は相当数あ
るわけですが、その中で何%もしくは何社がこの項目については報告しているといったこ
とも全体概要的なところでしっかり記載して、なぜ報告率が少ないかといった理由のよう
なものをこの公表情報の中で説明していただくのがいいと思います。
一番懸念されるのは、
公表しなかった項目について誤解を持ったような比較をされることが問題というようなご
意見だったと思いますので、この項目は算定が難しいといったいろいろな背景があると思
うので、そういった概要的なことを各報告項目の説明の中に組み込んでいくようなことを
是非ご検討いただければと思いました。
3点目は早期にという時間軸の話ですが、この時点では報告していない事業者もあると
いうような形で説明するという説明がありましたが、私はその説明では多分まずいと思う
のです。早期に報告することが推奨されていても、いつまでに報告しなければいけないと
いうルールにはなっていないと思います。ということは、報告制度の中での一般的なタイ
ミングよりも早く報告した事業者であって、そこには差異はないということまで丁寧に説
明する必要があると思います。
報告している人としていない人がいるということについて、
これは一部ですというだけの表現になると要らぬ誤解を生む可能性はあるので、その辺の
説明の仕方は丁寧にしていただいたほうがいいのではないかと思います。その辺が公平性
の観点や報告しているかしていないかについて、間違った評価がされないように配慮する
上で大事かなという気がしました。 7PCAFなどについては、この文章が公表されるものであれば、いきなり略語で出さず
に初出については説明を入れるようにしておいたほうが良いと思います。分かる人に分か
ればいいという資料ではなく、
丁寧な資料集を組み込むことが必要ではないかと思います。
用語集のようなものを別途作って組み入れるといったことが必要ではないかと思います。
考え方を教えていただきたいのですが、GHGプロトコルとの関係性の話が最後のほう
に出ています。そもそも論として、算定・報告・公表制度はどういったガイダンスやルー
ルに基づいて構築されているかというところが改めて気になりました。確かに Scope1〜
3という表現は一般化していますが、算定・報告・公表制度はそもそもGHGプロトコル
準拠で作られていないと私は認識しています。その考え方は間違いないでしょうか。そう
なると元々使っていた用語があるのではないかと思うのでその辺を確認させていただきつ
つ、この制度は何のスタンダードに準拠しているかという立ち位置が非常に重要だと思っ
ているので、そういったことについて改めて確認させていただきたいと思いました。以上
です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。加藤委員、お願いします。
しろまる加藤委員
前回いくつかコメントしたのですが、例えば前倒しの公表が重要ということで開示のタ
イミング。時間が経てば経つほどデータの使い勝手が劣っていくと思っていますので、前
倒しの公表が必要ということを資料に反映していただいてありがとうございました。
GHGプロトコルの関係は非常に気になっているところで、冒頭に経団連様からご発言
がありましたが、企業の負担にならないようにということだと思いますし、GHGプロト
コルに準拠することは二度手間にならないということにもつながっていくと思います。準
拠についてはこれから検討していくということで専門的・技術的なところも含めて別途検
討会を立てて検討していくということなので、是非前向きに検討していただければと思い
ます。それ以外は大きな違和感はないと思っています。ありがとうございました。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。他にはよろしいでしょうか。浅野委員、どうぞ。
しろまる浅野委員
資料3のp22 の内容の確認ですが、
公表データの活用場面として以下の2種類とありこ
の表というのは一般論としてこういう情報はこういうふうに使われるという整理なのか、
今回検討しているスコープの中で目指すのがこういうものだという整理なのか、どちらと
理解すればいいでしょうか。
しろまる大塚座長
では、事務局から回答をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
まず工藤委員からいくつかご指摘いただきました。まず、現状の分析を周知に活かして 8いくべきという点ですが、全体のインプリケーションとして、私も工藤委員と同様に排出
規模の小さいところが電子報告率が低い可能性があると思っていましたが、結果的にそう
いうことでもなかったということで、そういったことも含めて周知のターゲッティングを
検討したいということで、どういうことをすべきかということは考えていきたいと思いま
す。
また、説明が必要というご指摘があったと思います。公表画面のところと、任意報告の
公表が少なかった部分と、データ欠損があるというだけでなく、どういうところが前倒し
で報告されているかといったことも丁寧に説明していく必要があるというご指摘だったと
思いますので、そういうところでどのように誤解のないように丁寧に説明していけるかと
いうことを、しっかり考えていく必要があると思っています。
資料の作りが丁寧でなかったことについては大変申し訳ありません。用語がしっかり分
かるようにというご指摘をいただきました。
この算定・報告・公表制度の立ち位置というか、元々どういうルールに準拠していたか
ということを一言で説明するのは難しいような気がしていて、今後はそこも含めて整理が
必要だと思っています。省エネ法とバウンダリというかリンクした部分、特にエネルギー
起源CO2のところはそうなっている部分がありますし、算定についてはおそらくISO
などを参照しながら考えてきたところがあるだろうと思っていますが、様々な要因で現状
が作られているということで、そこはご指摘のとおり丁寧に解きほぐした上で立ち位置を
明確にし、国際的なスタンダードとの関係性の議論に入っていく必要があるのかなと思い
ました。
加藤委員からは、前倒しの公表やGHGプロトコルとの整合のところについて改めてご
指摘をいただきました。ありがとうございます。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・内藤室長)
浅野委員からのご質問で一般論かどうかということについては、確かに一般論的なとこ
ろもあるのですが、こちらについては前回の検討会で工藤委員から、活用促進に当たって
は報告する側とステークホルダー側の2側面があるので、そういう整理をした上で考えて
いくのが重要ではないかというご指摘がありましたので、それを踏まえて表を作成しまし
た。
しろまる浅野委員
その趣旨でまとめていただいているのは分かるのですが、例えばステークホルダーのと
ころで言うと、ここにまとめられているようなステークホルダーはCO2の排出を含めて
脱炭素に向けた情報をこういうふうに使っているという整理なのか、こういう使用目的に
資するような情報の提供をEEGSのプラットフォームで目指していこうという方向性の
打ち出しなのか、どちらで捉えればいいでしょうかという確認です。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・内藤室長)
後者のほうです。
しろまる浅野委員
ありがとうございます。その確認を得た上で、この場には投資家や金融機関の方もいら 9っしゃるので私が申し上げるべきかどうかということはありますが、投資家が投融資先の
判断に活用するというところまで情報を拡充していこうとすると、かなり網羅的かつ詳細
な情報がないとその目的を果たせないのではないかと想像するのですが、逆にこれでそれ
を目指していこうとすると、参考資料2-1、2-2のご意見も含めて企業側の手間をあ
る程度軽減していく必要があるというところと少しジレンマがありますので、その部分を
どう捉えるべきかというのは、さじ加減が難しいところだと思ったので確認させていただ
きました。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ご指摘の内容は理解しました。
しろまる大塚座長
オブザーバーの日本商工会議所様、よろしくお願いします。
しろまる日本商工会議所 大下様
最初に工藤委員のおっしゃった利用者の属性の調査結果とそれに基づいたプロモーショ
ンについて、コメントさせていただきたいと思います。私もこれを見て意外な感じがした
のですが、逆に進め方によっては排出量が少ないところであっても取り組めるということ
かと思っています。
ただ、
商工会議所で会員企業に調査を行うと、
カーボンニュートラル、
温室効果ガス削減、デジタル活用、いずれも思ったように進んでいないのが現実です。そ
ういう意味では、こうした Web のシステムを使って何かを行うということ自体にハードル
がある企業もありますし、また、デジタル活用とカーボンニュートラルの両方に言えるこ
とですが、個々の企業によって進み具合は本当にばらばらです。ですから、プロモーショ
ンとしては、ツールを活用したり説明会を開催するというのが基本的なやり方と思います
が、できる限り幅広に繰り返しやっていくことと、可能であれば個別のコンサルや指導の
ようなことまでできるような仕組みがあると、なお幅広く活用が進んでいくのではないか
と思います。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
周知の詳細については、またご意見を踏まえて考えていきたいと思います。
しろまる大塚座長
他にはよろしいでしょうか。
しろまる工藤委員
浅野委員のご意見を少し補足するような形でよろしいでしょうか。ご意見はもっともで
はないかと私も思ったのですが、多分これは表現を変えればいいだけの話だと思っていま
す。多分活用の中にいろいろなバリエーションが含まれた概念になっているのかなと思い
ますが、ここのところは、是非投資家や金融機関の方にヒアリングしながら表現を改めて 10考えていただければと思います。例えば「把握のための参考資料の一つとして活用」とい
ったような書き方にすれば、それぞれの投資家なり金融機関によってアプローチの仕方が
違うということも含まれるので、
「こういう成果を生み出す形で使っている」
というような
書き方が公表内容に対するリクワイアメントを高めてしまうという懸念については、でき
るだけ緩和するような表現に工夫されればいいのではないかという気がしました。以上で
す。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。松原委員、どうぞ。
しろまる松原委員
浅野委員からの言及がありましたので、投資家としてこれらの活用の可能性について発
言させていただこうと思います。実際のところは、投資家も加藤委員のお話のとおり、G
HGとの関係性については高い関心がります。その意味では、p18 の算定方法の課題でP
CAFとGHGプロトコルについての整合性あるいは違いについて理解していくことは、
算定・報告・公表制度を考えていく上では非常に重要な要素ではないかと思っています。
そういった意味では今後、算定方法に関する検討会ができるとのことですので、その議論
を待ちたいと思いますが、いずれにしてもGHGプロトコルの関心が高まっていることは
事実だと思います。理由は、多くの金融機関・投資家がTCFDの署名をし、それらに向
けて情報開示を進めている状況だからです。この開示では企業のカーボンフットプリント
が非常に重要になってきますので、その観点では Scope1・2が必須になってきます。
一方、金融のポートフォリオベースのカーボンフットプリントを算定する場合、非開示
企業のカーボンフットプリントは、業種平均等で補完する部分がありますので、やはりで
きるだけ実態に近い情報が重要ではないかと思っています。したがって、算定・報告・公
表制度の利活用という観点では網羅性や正確性が担保できるとすれば、
p22 にあるような
利活用が行われる可能性は高まると考えますし、参考資料としての活用という枠組みに止
めることで全体的な機能性を向上させることが可能となると考えます。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。重要なご指摘だと思いますが、事務局はよろしいですか。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
重要なご指摘と認識していますので、今後の検討に当たってご意見を踏まえたいと思い
ます。ありがとうございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。加藤委員、ご意見はございますか。
しろまる加藤委員
金融機関の活用にはいろいろなことがあるのではないかと思っています。単に投融資先
のクレジット的なものを判断するだけでなく、前向きな活用もあると思っています。例え
ば、私たちはサステナビリティ・リンクローンを供与していますが、サステナビリティ・ 11リンクローンは一定の目標を個別企業との間で定め、その達成度合いに応じて金利が変動
するような仕組みになっています。そうした目標をこうした開示されている情報に求めて
自動的に連動するような仕組みにしていくといった前向きな活用の方法もあると思います
し、
そのような広い範囲での活用が金融機関においてもありえるのではないかと思います。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。では次の議題に移りた
いと思いますが、よろしいでしょうか。任意報告の拡充について資料4に基づいて事務局
から説明をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
資料4、任意報告の拡充についての改定版です。前回いただいたご意見を改めて整理し
ています。まず基本的な考え方です。任意報告の効果・活用については前回、行政の立場
からご意見をいただき、任意報告の情報を表彰等で活用するといったことで事業者のPR
の機会、まだやっていない事業者への動機づけとインセンティブといった意見をいただき
ました。投資家の立場からは任意報告に追加する項目や、企業が計画している目標とギャ
ップを評価する可能性といったことについて意見をいただきました。
任意報告の対象等の考え方については、相対比較のための前提条件の統一と、一方で任
意報告という枠組みも含めて自主性やフレキシビリティとトレードオフの関係にあるので
はないかということで、その間のバランスを取ることが必要というご指摘をいただきまし
た。積極的な取組の見える化ということを前回提示させていただきましたが、積極的な取
組の定義についての議論が必要という意見をいただきました。TCFDのフレームワーク
との整合については、望ましいことではあるが、算定・報告・公表制度の裾野は広いため
にハードルが高い事業者もいるのではないか、配慮が必要ではないかという意見がありま
した。対象については、例えば金融市場に向き合っている事業者といったステークホルダ
ーの関心に即した対象の絞り込みもありうるのではないかという指摘をいただきました。
また、日商様からのご意見として、任意報告でありながら報告しないことがマイナスイメ
ージにつながる懸念、また中小企業にとっての負担感といった留意事項を提示していただ
きました。経団連様からも、任意報告が将来の義務化につながることのないようにという
ご意見を頂戴しています。
検討の時間軸としては、オープンデータ化・デジタル化と任意報告事項の拡充について
は国際的に様々な議論がある中で時間軸をずらした検討も必要ではないかという指摘をい
ただきました。一方で、任意報告についての議論自体を後回しにすると議論のきっかけが
失われるおそれがあるのではないかという指摘もいただいています。
p2は具体的な記載項目についてです。前回、任意報告として追加を検討する項目を列
挙して議論していただきました。この点について基本的な違和感はないといったコメント
や、すでに開示している項目についてコメントをいただきました。いろいろなステークホ
ルダーのニーズのすべてに任意報告で対応することは難しいので、任意報告に含める項目
の判断基準が重要という指摘を頂戴しました。客観性や社会的なニーズといった提案をい
ただいています。
それぞれの取組については事業者によって様々な前提条件があるので、IFRS財団の
公表している開示基準を見ていく必要があるのではないかという意見をいただきました。 12特に Scope3排出量については、算定の制約、算定方法が事業者によって異なるという指
摘があり、その反映については慎重に判断すべきという意見をいただいています。技術開
発やイノベーション、新規ビジネスモデル等の機会の創出といった取組についても記載で
きるとよいという提案をいただきました。排出量削減の要因について、排出量の変化が実
際にエネルギー消費の効率化によるのか、排出係数の低減なのか、クレジットの活用なの
かといった点について時系列で分かるとよいのではないかという指摘もいただきました。
TFCDについては賛同状況という項目を提案しましたが、賛同だけでは評価されない
のではないかということで、実際の開示レポートのURLのリンクといった提案もいただ
きました。排出量データについてのGHGプロトコルとの関係、第三者認証の有無といっ
た点についても指摘をいただきました。また冒頭、経団連からご意見がありましたように
再エネを特出しすることは中立性の観点からどうなのかというコメントもいただきました。
記載方法については、より詳細な情報が分かるレポートが別途開示されているケースで
はそのURLでもって代替可能とすることで事業者の負担が軽減されるのではないかとい
う意見をいただきました。また、任意報告については様々な項目がある中で、ある程度定
量的なものについてフォーマットがあるとよいのではないかという提案もいただきました。
これらの意見を踏まえて今回新たに資料を改定しています。現在の任意報告様式、任意
報告に対する期待、改定の方向性としてまとめています。
様式は前回お示ししたものです。
p6は報告の様式そのものです。
左下に記載欄があり、
右側は備考欄となっています。前回と同じです。p7、p8についても前回と同じです。
p9の任意報告に対する期待についても基本的には前回と大きく変えていません。p10
は算定・報告・公表制度の特徴を改めてまとめたものです。p11 以降はいろいろな立場の
方から任意報告についていただいたコメントをまとめたもので、これも前回と同じです。
p15 も前回お示ししたTCFDのフレームワークです。
p16 は今回新たに追加した資料です。TCFDのフレームワークに関連して今年 10 月
にTCFD付録文書の改定がありましたので紹介しています。TCFDの4つの中核的要
素のうち「戦略」と「指標と目標」についてのガイダンスが改定されています。トランジ
ションに向けた計画や中間的な目標等に関する開示の要請、また Scope3の排出量の開示
が推奨されています。具体的には下の表の下線の部分です。
p17 のCDPについては前回と同じです。
p18 は今回追加した部分ですが、
国際的な動
きということで今年 11 月にCOP26 の開催にあわせてISSB(国際サステナビリティ
基準審議会)が設立されました。前回もIFRS財団の動きを注視すべきといったコメン
トをいただきましたが、
具体的な動きとして 11 月に審議会が設立されたということと、気候変動関係の要求事項のプロトタイプが公表されました。来年6月に向けて基準の最終化
を目指すといったスケジュールが示されています。
p19 は具体的な気候関連情報についてのプロトタイプの概要です。こちらを見る限り、
TCFDのフレームワークに基づいた内容になっていると受け止めています。
こういった周辺情報も踏まえ、p20 以降に任意報告の改定の方向性をまとめています。
p21 は任意報告の改定の基本的な考え方ですが、
こちらも前回提示した内容と同じですが、
改めてこの算定・報告・公表制度の趣旨として、
排出量の算定と国による公表を通じて様々
なステークホルダーの活用を促し、事業者の自主的な削減を促進するというのが趣旨とな
っています。この制度趣旨を踏まえた上での任意報告として、ステークホルダーの関心を
踏まえた形での事業者の積極的な取組の見える化されることが望ましいとしています。 132つ目に具体的な様式について、現在の様式では排出量の増減の状況等の補足事項が中
心となっていますので、様々なステークホルダーの関心事項とは必ずしも整合していない
のではないかという課題認識を記載しています。このため、制度の趣旨を前提としてTC
FD等のフレームワークと照らし合わせながら任意報告の項目を整理してはどうかと考え
ています。
既に取組を進めている企業においては、この制度を通じて情報が一覧性のある形で公表
されることによって取組が幅広く見える化されるというメリットがあるのではないかとい
うことと、活用するステークホルダーの利便性が高まるのではないかと考えています。一
方で、取組はまだこれからという事業者にとっては、今後取り組むに当たってどのような
取組を見える化していくことがステークホルダーに対して効果的かというところについて
の一定のガイドの役割を果たすのではないかということで、算定・報告・公表制度は裾野
が広い制度ですので様々な立場の方がいらっしゃることを踏まえて整理しています。
また、企業の報告とその活用を促すために、現在は自由記述が多数となっていますが、
期待される項目をできるだけ明確にすることが重要ではないかということで、具体的な記
載項目をできる限り明記したいと考えています。あわせて電子報告の利点を活かし、電子
システム上で可能な限り簡単に報告できる工夫をしていく必要があることも記載していま
す。
具体的な項目案についてはp22〜24 に記載しています。
前回は項目の頭出しという形で
提示していましたが、今回は検討する理由や具体的な項目のイメージを追加しています。
排出量に関連する項目は1〜3としていますが、1は企業グループ全体の排出量ですが、
本制度はGHGプロトコルと自社のバウンダリが異なるということで、補足情報として記
載できるというイメージです。
2はサプライチェーン排出量です。
こちらについては Scope
別の排出量、あるいは Scope3のカテゴリー別排出量を考えています。Scope3については
前回も慎重に検討する必要があるという意見をいただいていますが、
追加検討理由として、
Scope 別排出量への注目度の高まりやTCFD等での位置づけを記載しています。
Scope3
の排出量は重要である一方で、本制度の対象には多くの中小企業・非上場企業が含まれる
ことやデータ・方法論の課題があることも記載しています。項目そのものとして Scope1・
2に加えて Scope3の項目を設けるか、独立した項目とはせずに現行のようにその他の情
報の中での例示に止めるべきかといった点についても記載しています。いずれにしても国
際的な動向等を踏まえて継続的な検討が必要と考えています。3は第三者検証/保証の有
無です。この項目については、信頼性の観点から記載できるようにしてはどうかというこ
とです。算定方法や算定範囲等については、定量的なものについては付随説明は必要とい
うことも記載しています。
p23 は取組の中身となります。前回提示した「排出原単位・排出量削減に関して実施し
た措置の詳細」についての意見を踏まえ、取組の中身として再エネ、省エネ、エネルギー
転換、クレジットといった内訳を考えています。また、他者の削減に貢献する取組とその
定量化、
吸収の取組とその定量化といった項目を挙げています。
更に
「その他」
として様々
な取組の記載を想定しています。
p24 は目標・方針の項目です。こちらは前回示したものとほぼ同じですが、
「TCFD
等の国際的イニシアティブへの賛同」という項目に「取組状況」を加えています。また、
削減目標、その目標達成に向けた計画という項目を考えています。計画については、前回
の意見を踏まえてビジネスモデルの転換やイノベーションといったことの記載もイメージ 14しています。
p25 は任意報告と適切な評価の促進です。任意報告を通じて積極的な取組の評価、報告
情報についての正しい理解が重要ということで、環境整備といった観点から任意報告を含
めた報告・公表情報の活用についての事例創出や横展開ということ。それから積極的な取
組についても整理が必要という指摘を踏まえ、事業者の取組メニューや水準についての情
報の整理を記載しています。任意報告の趣旨の周知ということで、積極的な事業者の取組
の見える化が趣旨である旨、また任意報告がされていないからといって必ずしも取組が遅
れているわけではないことを丁寧に説明していくことも重要と考えています。説明は以上
です。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございました。ただいまの説明に関連して、ご意見、ご質問をいただ
ければと思います。いかがでしょうか。工藤委員、お願いします。
しろまる工藤委員
p21 を見て思ったのですが、
今後議論するであろうGHGプロトコルとの整合性やTC
FDのフレームワークなどについて、この制度をどう考えるかということに関連して議論
されるということなので、その場でしっかりやるべきだと思うのですが、先ほどのそもそ
もこの算定・報告・公表制度が拠って立つものという話について、私自身はISO規格開
発に関わっていて組織のMRVの算定・報告・公表・検証のガイドラインは既にできあが
っていて、かつ 2018 年に改定版が出ています。それを見ると、直接排出や間接排出、ここ
で使っている Scope3という言葉はISOでは使っていないのですが、そういったものに
関してこれは報告すべきである、これは必要であれば報告してもいいというような区分け
がしっかり書かれています。
そこで意識したのは何かというと、プログラム・ニュートラルという考え方です。例え
ばTCFDなど様々なプログラムができていて、説明を聞いていると今回はそこに相当フ
ォーカスしているのですが、これはあくまで任意の報告項目であり、そういうものは多分
特定のプログラムに当たるのです。
繰り返しになるのですが、政府の制度が何に準じて構築されているかという基本的な考
え方と、それに対して国際的に動いているいろいろなプログラムの中の項目に関して任意
報告の中で記載していくという構造をしっかり認識しておかないと、任意報告であるにも
かかわらず、TCFDなどにいろいろな意味で焦点が当たっているのでそれをやらなけれ
ばいけないという雰囲気が感じられてしまうような構造にしてはいけないのではないかと、
今の説明を聞いていて強く感じました。
もし可能であれば、
この制度が拠って立つものは何ですかと先ほど私は聞いたのですが、
ISOを参照してMRVを始めたと私は認識しているので、資料の中ではISO14064 フ
ァミリー規格群についての紹介もある程度しておいたほうがよいのではないかという気が
します。GHGプロトコルについての詳細説明はありますが、これはあくまでもプログラ
ム・ニュートラルという観点から見ると特定の取組なので、一般的にこの制度下で必要と
される報告内容や検証とはどういうものかということがまずあって、それに対して任意の
報告があるという構成をクリアにする必要があると感じました。
そういう意味では、例えば第三者の検証をどうするかという話も、基本的に検証は第三 15者のみならず一者、二者というパターンがあるわけで、それは企業が決めるかプログラム
が決めることです。おそらく温対法の報告制度上は検証を要求していないので、任意報告
の中では、企業がどんな検証をしているか書いてもよいという程度に止めるべき内容だと
思います。そういうことはISO14064 規格群を見れば、およそ何をしなければいけなく
て何が任意かということが整理されているので、その辺についても一度、温対法の報告制
度との関係も含めて是非参照していただきたいと思います。
今はちょうどISO16064 改定版のパート1という組織のMRVのガイドラインについ
てJIS化の作業が進んでいるので、そういったものが出てくればより広く皆さんの目に
も触れるようになると思いますので、その辺の参照もイメージして今後整理していってい
ただければと感じました。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。加藤委員、お願いします。
しろまる加藤委員
p22 の排出量に関連する項目、特に Scope3のところですが、あくまで任意報告という
前提ではあるのですがその他の情報として取扱うと漏れてしまうと思います。前向きに情
報収集して開示していきたい企業もあると思いますので、開示したい情報が漏れないよう
に分かりやすく独立項目としたほうがよいのではないかと思います。
ただ、何度か話していますように、企業の負担にならないということが一方では重要だ
と思いますので、あまり細かいものというより、例えばGHGプロトコルを参照するので
あれば1〜15 のカテゴリーごとの数値の枠とその補足説明の枠くらいでよいのではない
かと思います。
工藤委員からもあったように、この項目の作り込みはそもそも何に則ってこの制度が成
り立っているかということによってくると思いますので、その辺も検討しながらというこ
とかと思います。p22 に書いてあるとおり、国際的な動向と企業の準備の状況も重要と思
いますので、そういった点も踏まえて継続的な在り方を検討していくことが重要ではない
かと思います。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。山内委員、お願いします。
しろまる山内委員
2点、申し上げたいと思います。一つ目に、任意報告については「基本的な考え方」に
書いてあるとおり、積極的に取り組む事業者が評価されるのが望ましいというのはまさに
そのとおりと思う一方で、第1回でも意見がありましたが報告しないことがマイナスの評
価につながったり、報告の負担が過大になり過ぎることは避ける工夫をしていかなければ
いけないだろうと思います。この点については、p25 に任意報告の適切な評価の促進のと
ころで趣旨の周知の中で触れられていますが、本来は積極的な取組の評価というところと
マイナス評価にならないというところはある意味で一対かなと考えますので、場合によっ
てはこのことは基本方針のところに書いていただくことも一つの案と考えますが、いずれ
にしても今後、具体的な工夫については検討していただきたいと思います。 16非財務情報の開示については、各企業において企業価値や業績に与える重要性に応じて
濃淡をつけて開示するということが、投資家による投資判断の視点や費用対効果の視点か
らも効果的と考えているところです。こうした中で現在、金融庁の金融審議会ディスクロ
ージャーWGにおいて気候変動を含むサステナビリティに関する開示の有価証券報告書へ
の記載について議論されているところです。法定開示と温対法では任意開示という違いは
ありますが、有価証券報告書も約 4,000 社が提出対象になっていますので、温対法の1万
3,000 社に比べると少ないかもしれませんが裾野が広いという意味では開示の検討の参考
になる点があるのではないかと思っています。
例えば、TCFDの4つの中核的要素についても、ガバナンスとリスク管理については
開示を求めるということですが、戦略と指標・目標については企業にとって重要性がある
場合に開示するとされており、日本においても今後、開示の個別基準が議論されていくこ
とになると思いますので、そういった状況を見ながら段階的に適用することも考えられる
のではないかといった意見も紹介されています。そういうやり方も参考になるのではない
かと思いましたので紹介させていただきました。
2点目はp22 の Scope3排出量について、新たに項目として出すのか、
「その他」に含め
るかといったことですが、私は前回の検討会でも慎重に判断すべきではないかと申し上げ
ました。私としては「その他」に含めるのが適切ではないかと考えます。今日の資料でも
紹介されていますが、TCFDから付録のガイダンスが先日公表されましたが、その中で
も Scope3の排出量については開示が推奨されると紹介されていますが、この経緯をひも
といてみると元々のTCFDの公開草案では、Scope3の排出量については議論が進展し
てデータと方法論が成熟しているということですべてのセクターについて開示が妥当とし
ていましたが、最終決定された改定版においてはデータと手法について課題が残っている
ということで開示は義務ではなく強く奨励すると緩和修正されたという経緯があります。
私も委員を務めているTCFDコンソーシアムは、TCFD提言に基づく効率的・効果
的な開示を促進することを目的に企業と投資家の両方がメンバーになっている組織ですが、
その中でも Scope3については議論があります。TCFDの公開草案に対しては意見書を
送付しましたが、その内容としては、企業間の Scope3の排出量については単純な比較が
できないことに留意が必要ということと、柔軟性を持って投資判断に反映するのが適切で
あろうといった意見提言を行っています。こういった声も反映されたのかどうか、最終決
定がされたということです。こういった現状に鑑みると、任意適用と言いながら新しく項
目を設けて開示を促していくことは時期尚早ではないかと考えます。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。最近の動きにも沿ってありがとうございました。馬場委員、お
願いします。
しろまる馬場委員
p21 で、
制度の趣旨を前提としながらTCFD等のフレームワークで求められる事項と
できるだけ整合するように任意報告項目を整理することには引き続き賛同しています。
p22 ですが、先ほど Scope3の項目をどうするかという課題について山内委員から詳し
い説明があり、特に 10 月に発表された「指標と目標」と移行計画に関するガイダンスにつ
いての改定の際に、当初のパブコメにかけられた案と最終合意案とで緩和修正があった件 17の経緯をうかがった上でも、やはり Scope3の入力欄はあってもよいのではないかと私は
思っています。任意報告なので書かないならばスキップすればいいと思います。一方で、
こういった項目が注目されているということを入力しない企業にも意識していただければ
いいのではないかと思います。
というのも、今は住友化学も含めて多くの企業が Scope3の排出量を開示されているの
ではないでしょうか。カテゴリー15 まできちんと書いていらっしゃると思います。そうい
う現在の多くの企業の開示の実態から遅れてしまう、乖離があるのはどうなのかとも感じ
ます。
この任意報告のフォーマットの運用が実際に始まるのは今ではなく少し先ですよね。間
違っていれば修正していただきたいと思いますが、令和5年になると思っています。そう
考えると、
確かに私もLCAの算定については 2000 年代から取材してきて、
企業は非常に
苦労されていて難しいものであることは重々知っていますが、LCAや Scope3の情報を
示すことが企業や製品の価値を上げると考えて取り組んでいらっしゃる企業も非常に多い
ので、そういう企業もあるということを是非ご認識いただければと思います。そういう企
業は開示したいでしょうから、Scope3の入力欄はあってよいのではないかと感じていま
す。Scope3全体でもいいですしカテゴリーごとに入力できることでもよいのではないか
と思います。
それからp25 についてですが、積極的に取り組む企業の評価という話がありました。私
は、積極的に取り組む企業の評価というのはここで決めることなのかなと思っておりまし
て、不安というか疑問を感じています。というのも、日本政府の出している低炭素社会実
行計画でも業界ごとに、あるいは大企業と中小といった企業規模ごとにできる温暖化対策
はどういうものなのか、取り組むべき温暖化対策はどういうことなのかと様々な議論がさ
れている中で、ここで決められることなのだろうかと感じました。
もしここで、こういう企業は積極的に取り組んでいるということを示すのであれば、既
存の評価の枠組みとの整合が大事ではないかと思います。
「積極的に取り組む企業」
という
のが算定・報告・公表制度の下で開示に積極的に取り組む企業ということであれば、存分
にこの場で議論するとよいのではないかと思います。そうであれば、開示を促すものにな
るかと思います。
p25 についてもう一つ、
任意報告の趣旨の周知と書かれていてこれは大事だと思います
が、加えて任意報告の部分を充実させるためにどんなことをすればいいのかといったセミ
ナーや説明会の開催は検討されていますか。先ほどの Scope3の開示について、あるいは
TCFDに沿った開示についてもやったことのない企業にとっては非常に難しいことなの
で、そういった入力欄を設けるのであれば、実際にどう取り組めばよいかということを教
えるようなセミナーや説明会は大事かなと思います。一方で、環境省で Scope3やTCF
Dの支援事業をやっていると思うのでそういったことを紹介するのでもいいかと思います。
TCFDの情報開示については、コーポレートガバナンス・コードでプライム市場に上場
するような会社については義務とされたり、最近のTCFDの改定でも Scope3を開示す
ることが推奨されている中で、そういったことと整合するような情報開示が任意報告で進
んでいくことはよいことなのではないかと見ています。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。令和5年から任意報告が始まるということは資料5で出てく 18るところです。この辺でいったん事務局から回答をいただき、また続けてお話を伺いたい
と思います。事務局からお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
工藤委員からISOについてご指摘いただきました。私もこの制度のMRVの部分はI
SOを見ながらつくってきているような印象を持っています。改めて算定の考え方も含め
てそこをクリアにしていくことや、プログラム・ニュートラルといった考え方が大事では
ないかというご指摘をいただきました。
加藤委員からは、Scope3の項目についてはまたこれから議論があると思いますが、
「そ
の他」では埋もれてしまうのではないかというご意見があったかと思います。
山内委員からはいろいろな経緯を紹介していただき、Scope3は項目に入れないほうが
よいのではないか、時期尚早というコメントをいただきました。金融庁の議論が参考にな
るのではないかという提案もいただきました。ありがとうございます。
馬場委員からは、
Scope3についてはあくまで任意だからということと、
書ける人が書け
るようにしておくべきという趣旨のコメントと理解しています。時期については先ほど座
長からありましたように資料5でまとめておりますが、令和5年度と考えています。積極
的な取組ということについての新しい基準というよりは、ここに書いたのは既存のいろい
ろな情報を整理することを想定しています。開示自体に積極的という考え方も指摘してい
ただいたと思います。
セミナー・説明会、
支援についてはおっしゃっていただいたとおり、
環境省で Scope3の算定について必要なガイドブック類を出していたり、個別の支援セミ
ナーや事業をしているということで、環境省による取組の後押しもあわせてやっていく必
要があると考えています。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。馬場委員がおっしゃった実行計画は最近「カーボンニュート
ラル実行計画」に名前が変わっていますが、あれは業界ごとであってこの制度の事業者ご
ととは違いますので、そこで若干違ってきているところがあるかと思います。では続けて
委員の先生方にご意見、ご質問を伺います。浅野委員、お願いします。
しろまる浅野委員
先ほどから出ている意見と重複する部分もありますが、
改めて申し上げます。
Scope3に
ついてです。TCFDのアップデートにせよ、IFRS財団のプロトタイプにせよ、基本
的には開示していくというのが世の中の方向性であることは間違いないと思いますし、特
にTCFDに沿った開示の充実が求められているCGコードも踏まえると、プライム上場
企業は開示していかなければならなくなっていく流れという理解です。一方で、その前提
となる考え方や算定基準のようなところは様々なところでまだ議論が続いているというこ
とですので、ダブルスタンダードにならないように留意することは必要と思いますし、開
示する側の二度手間を避ける工夫も必要だろうと思います。
そういう意味で、先ほどの山内委員の発言とも重なりますが、金融庁のディスクロージ
ャーWGで話されているような法定開示に加えて経済産業省では別途、SXという形で非
財務の任意開示に関する議論が進展していると理解しています。こういった法定あるいは
任意開示に関する他省庁での議論もしっかりと横目で見ながら、それぞれの役割や位置づ 19けの整理や明確化が必要になると思います。以上が Scope3に関する話です。
それから任意開示全体についての考え方について、算定・報告・公表制度の良さでもあ
り特徴とも言える網羅している先が幅広いということ、
あるいはそのうちの 85%が非上場
企業であるという特性は活かしてもいいのかなと思います。つまり、情報の利用者である
ステークホルダーが任意開示情報ではなかなか情報を得られないような会社もこの制度の
対象先と理解していますので、そういった先に対して投資家や金融機関はどういう情報を
欲しているかというところにある程度フォーカスを当ててこの部分の設計を考えることも
一つのアプローチになるのではないでしょうか。EEGS上でしか見られない情報がある
となると、使いたい方は間違いなくいらっしゃり見に来られると思いますので、そういう
意味でEEGSの存在感が増していくのではないかと思いました。
それから、開示を促していくところに関して、考え方そのものに異を唱えることはない
のですが、一方で上場企業に求められるようなレベル感を任意とはいえ示し、それを裾野
が広い先に適用していくことが本当に適切なのか。実質的に利用者が必要とするような情
報にしぼっていく、あるいは濃淡をつけていくという考え方もあるのかなと思います。
3点目は補足的なことですが、
工藤委員がおっしゃったことも含めて改めて算定・報告・
公表制度の出自を考えてみると、エネルギー使用であり排出量をどう減らしていくかとい
う、ある意味で自助努力による削減ということが元々あって、だからこそ裾野が広くなり
やすいというか書きやすいといった部分があるのかなと思いました。そういう意味では先
ほどの2点目の話に重ねて申し上げると、Scope1・2の部分、自社の自助努力によって自
分たちの排出量をどう減らしていけるかというところのより詳細な情報を任意で書いてい
くということであれば、
対象になっている事業者も自分たちの取組を任意で書いていって、
それに基づいて削減努力をしているかどうかという判断もしやすくなっていく状況になる
のかなと思いました。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。松原委員、お願いします。
しろまる松原委員
任意報告の枠組みをどう位置づけていくかということについては確か第1回でも議論し
たかと思いますが、今回の報告は様々な形で負担をかけていく中で、任意で皆さんに自助
努力や活動について深掘りしていただく位置づけとして、リスクに着目する以上にオポチ
ュニティ、あるいは技術開発やイノベーションなどに対する取組を私たちもしっかり理解
していくことが重要ではないかと思っています。
今回議論になっている Scope3という枠組みを我々としては単にリスクと捉えるのでは
なく、日本のバリューチェーンを含めた産業構造において脱炭素社会に向けたコンペティ
ション(競争)社会からコクリエーション(共創)社会への転換を進めていく上で、この
開示にはメリットが大きいのではないかと思っています。
日本には数多くの脱炭素技術あるいは水素関連の技術、あるいは知財を有しており、こ
れが有機的にソリューションとして活かされていくのであれば、こうした取組が産業界や
脱炭素社会の大きな前進につながるのではないかと思います。全体的なソリューションビ
ジネス、あるいは知財ビジネスといったものをこういった情報開示の中でうまく位置づけ
ていければ、
この制度の位置づけも非常に重要な要素を持つのではないかと思っています。 20この開示が企業のデメリットにならないように、そして負担感が大きくならないように
という要素を持ちつつ、企業がこういう開示をすることは産業全体にとってもメリットが
あるということを伝えられるとすれば、任意開示の意味も非常に大きくなるのではないか
と思います。投資家もそういった観点から評価していくような枠組みとして位置づけてい
ただければいいのではないかと考えています。以上です。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございます。任意報告の基本的な考え方をお話いただき、ありがとう
ございました。加藤委員、お願いします。
しろまる加藤委員
馬場委員、松原委員のご意見には同意する部分が多かったかなと思います。そういう意
味では、今、弊行が見ている中でもGHGのアナログデータをデジタルデータ化するサー
ビスが広がりつつあると思っていますし、弊行のお客様の中でもGHGの排出自体をポジ
ティブに捉えて企業の評価や彼らの製品の評価につなげていこうという動きも出てきてい
ますので、そういった意味ではその後押しを私たちもしていきたいと思っています。
Scope3を開示することについては、
誤解のないように申し上げておきますが、
金融機関
としては企業同士を比較したいというよりも、前向きな開示が目に見える形であったほう
がよいと思いますし、それがポジティブなレピュテーションにもつながっていくと考えま
す。また、こういった動きが他の企業を刺激してその動きが広がっていくことにもつなが
っていくのかなと思っています。
GHGを可視化していくことはすごく重要と思っていまして、見える化することによっ
て企業としてはそれをどう減らしていくかという次の行動につながっていくと思いますし、
それが広がっていくことによって日本全体のカーボンニュートラル化につながっていくと
思っています。私たち金融機関としては、そうした動きをしっかり後押ししていく、その
ためのソリューションを提供していくことが使命と思っていますので、そういった観点か
ら進めていきたいと思っています。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。三原委員、お願いします。
しろまる三原委員
馬場委員のコメントと重なるところがありますが、私も評価について1点だけ。評価に
ついての議論は、各ステークホルダーがそれぞれの立場や場面で評価されることだと思っ
ていますし、もう少し広げて国民、また地元地域から任意報告した企業が評価されるよう
な仕組みになるとよいと思っています。前回はそういった意味で、p25 の取組の例にある
地方公共団体における企業の表彰制度への加点措置について私からコメントさせていただ
きました。今後、任意報告の趣旨の周知に当たって評価も含めて周知していくということ
であれば、もう少し評価の考え方について整理した上で周知していただきたいと思ってい
ます。以上です。
しろまる大塚座長 21ありがとうございました。日本経済団体連合会様からお願いします。
しろまる日本経済団体連合会 長谷川様
大きい点と小さい点とありますが5点、申し上げたいと思います。1点目は、p25 の趣
旨の周知のところで、
「任意報告がなされていないからといって必ずしも取組が遅れてい
るというわけではないこと」と書いていただきありがとうございます。こういった趣旨で
進めていただきたいと思います。
2点目として、p22 の企業グループ全体の排出量の追加・検討理由にGHGプロトコル
と整合をとるためという理由が挙げられています。今日も再三議論があったとおり、GH
Gプロトコルそのものがこの制度と整合していないので、これは理由にならないのではな
いかという気がいたします。
3点目として、
山内委員などからも指摘がありましたが、
Scope3については算定方法も
まだばらばらですので、独立した項目とするのは時期尚早ではないかと感じているところ
です。
4点目として、p23 の4-2にFIT非化石証書についての記載がありますが、これは
高度化法対応で使っている事業者もおり、法定の期間の中でいつ買うかというのは経営戦
略に関わるところでもあります。先ほどの総論のところとも絡みますが、開示がなされて
いないからといって否定的な評価がなされることのないようにお願いしたいと思います。
それに関連して、
「見える化することが必要であるため」
というのはやや任意開示を超え
たような表現があるように感じられ若干気になりました。
5点目は、4-4「クレジット取得状況」についてです。制度上で対象となっているク
レジットも、対象となっていないクレジットも同じ項目に書くということですが、制度の
対象外となっているクレジットについては「その他」にしてはどうかと思います。同列に
することには違和感を持ちました。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。では、事務局から回答をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
たくさんのご意見をいただき、ありがとうございます。浅野委員からいただいた指摘に
ついては、世の中の流れを紹介していただいたことと、算定・報告・公表制度の特徴に立
ち返るということで、幅広さや非上場もあるというこの制度でしか見られないことの重要
性を指摘していただいたと考えます。また制度趣旨のところで、自ら削減を進めていく取
組を書いていくという考え方をご指摘いただいたと考えています。
松原委員からはオポチュニティについての指摘と、Scope3との関連性について指摘し
ていただいたと認識しています。数字というより、その先にある技術の活用みたいなとこ
ろにつながり、それがオポチュニティにつながっていくという考え方を紹介していただい
たと考えています。
加藤委員からも改めてポジティブな評価について指摘をいただきました。
また、
Scope3
自体は企業間評価ではないという指摘もいただいたかと思います。
また、
可視化の重要性、
それが取組につながっていくという点の指摘をいただいたと思います。
三原委員からは地域の目線での企業の評価という指摘をいただき、周知に当たっての考 22え方の整理をいただきました。
経団連様からも5点の指摘をいただきました。GHGプロトコルの整合については事務
局の説明が悪かったかもしれませんが、この制度で報告されている排出量と異なる排出量
についても任意で記載できるという意味で、GHGプロトコルに準拠する形で算定されて
いるものも書けるという趣旨であったかと思います。Scope3については時期尚早という
コメントをいただいたことと、FIT非化石証書については使うかどうかは企業判断とい
うことで書いていないからだめだという話ではないという指摘がありました。また、言葉
遣いについてはおっしゃるとおりで、任意であるのに「必要である」という強めの表現が
あることについて指摘をいただきました。クレジットの部分の書き方の整理についても、
制度の対象と対象外のものについてのコメントをいただきました。
ありがとうございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。算定・報告・公表制度が 2005 年に最初に入ったときの制度趣旨
には、自己の排出量を把握して削減の努力につなげるということに向けていくということ
と、ステークホルダーや国民に知らせることによって社会全体で減らしていくということ
の2面がありますので、この2つ目の面についてどう考えるかということに関してご議論
いただいたということかと思います。日本商工会議所様、お願いします。
しろまる日本商工会議所 大下様
Scope3について、
中小企業の現場を見ている立場から申し上げたいと思います。
任意報
告の項目に入れることについては慎重な検討をお願いしたいと思っています。先ほど申し
上げた中小企業のこの制度についての理解、あるいは算定の手続の負荷ということを考え
るとやや厳しい感じがします。サプライチェーン全体で取り組もうとする企業がサプライ
チェーンの中にいる中小企業に対して、結果的にそれによってサプライチェーン全体の脱
炭素化が進んでいくのが望ましいのですが、取り組むことへのプレッシャーのようなもの
をかけてくる可能性もあると思っています。今の時点ではまだ厳しいと考えており、中小
企業に対する理解促進に向けた取組と同時並行で検討を進めていくべきと考えます。再検
討をお願いできればと思います。ありがとうございました。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございます。では議題2の算定・報告・公表制度の改善に向けた取組
について、資料5に基づいて事務局から説明をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
資料5については、
今回検討会での議論を1枚にまとめたものです。
当面の取組案です。
今日の3つの議論について整理しています。電子報告の原則化、公表データの活用促進、
任意報告の拡充という3つのテーマについて、それぞれに実施の内容とスケジュール感を
まとめています。
電子報告の原則化については2つの内容を書いています。一つは電子システムの着実な
整備と改善。2つ目に周知等を通じた電子報告の原則化を進めるということです。一つ目
の点については開発をしっかりやっていくことで、来年5月を目途にEEGSでの報告を
開始しつつ必要な改善を図っていくこと。また、EEGS自体の周知を今年度はしっかり 23やっていって電子報告率を高めていくこと。また、その更なる周知や省令整備等の検討も
進めながら電子報告の原則化に向かっていくことを考えています。
公表データの活用促進については12段階公表、2分かりやすい公表、3活用方法等の
周知、4算定方法の見直しの4点です。2段階公表のスケジュールとしては、今年度に必
要なルールなどを整備し、最速で令和5年度の中で行われる令和4年度報告分からの開始
としています。2については来年度のシステム構築、そして再来年度からの公表というス
ケジュールになっています。3については制度の活用方法を整理し、来年度以降に適宜周
知していくことを考えています。4については今年度のどこかから別の場で検討していく
ことにしています。
任意報告の拡充については1点目が様式の改善、2点目が環境整備的なところで理解の
促進ということです。様式については様々なご意見をいただきましたので、それらを踏ま
えつつ今年度に整理していくことを考えています。その上でシステムへの反映や周知を経
た上で令和5年度報告から新たな様式を考えています。あわせて国際動向等も踏まえての
見直しも並行してやっておりますので、その継続的な検討も考えています。環境整備につ
いては今年度から順次やっていくとしています。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。ただいまの説明についてご意見、ご質問等がありましたらお
願いいたします。いかがでしょうか。特にご意見、ご質問はないということでよろしいで
しょうか。では、本日のご議論を踏まえて当面の取組としては資料5を基本として事務局
において座長及び座長代理が確認の上、公表させていただき、今後はこれに沿って本検討
会での議論を踏まえて政府内で各改善方策について進めていただくということでよろしい
でしょうか。異論はないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、最後に私から一言申し上げますが、この検討会においては温対法に基づいて温室
効果ガスの排出量算定・報告・公表制度についてデジタル化・オープンデータ化を進めつ
つ、
事業者の削減取組の更なる促進につながるような方策について議論を行ってきました。
本日の資料にもありましたように、
検討会の期間中にCOP26 が開催されて国際的な基
準の検討が進む等、
様々なステークホルダーからの関心が高まる中での議論となりました。
各論点について様々な視点からご意見をいただき、具体的な取組につながる議論をいただ
いたと思っています。当面の取組については本日いただいたご指摘を踏まえた形で後日、
公表することとなりますが、政府においては本検討会の議論を踏まえて速やかに具体的な
方策に着手することを期待しています。また、本検討会での様々な議論を今後の更なる検
討の際に是非活用していただくよう、検討会の座長としてお願い申し上げます。
私の挨拶は以上としまして、本検討会はこれが最終回ということですので事務局のある
環境省地球温暖化対策課及び経済産業省環境経済室から一言、ご挨拶をお願いしたいと思
います。まず環境省地球環境局地球温暖化対策課脱炭素ビジネス推進室の内藤室長からお
願いいたします。
しろまる内藤室長
今日は貴重なご意見をたくさんいただきまして、
本当にどうもありがとうございました。
また、事務局の機材のトラブルで時間が延長してしまって大変に申し訳ございませんでし
た。馬場委員もグラスゴーに行かれていましたが、先週COP26 が終わり、説明にもあり 24ましたが、COPにあわせて国際的なイニシアティブの動きが加速する中で、今回の検討
会ではまさにその中で日本の算定・報告・公表制度がどうあるべきかということについて
じっくりご議論いただけたのではないかと思っています。改めて感謝を申し上げます。
少し私事になるのですが、私自身が 15 年前に算定・報告・公表制度を導入する時の温対
法の改正を担当していました。当時は京都議定書が発効するかしないかという時期でした
ので、比べるまでもないのですが、今ほど企業のGHG算定ニーズが高まっている時はな
いのではないかと思いますので、時代にあわせてデジタル化も含めてこの制度をしっかり
アップデートしていきたいと思っています。
そのためにも、ご議論いただきましたとおりまず日本の企業がグローバルスタンダード
で算定する際に二重負担にならないように、算定方法の何が違っていてどういうふうにし
たら補正できるのかということも含めてタスクアウトされた検討会で議論し、早く改善し
ていきたいと思っています。また、議論にも出てきましたが、この制度では中堅・中小企
業にもたくさん報告をいただいています。そういった企業も含めてESG金融やサプライ
チェーンからの要請に応えていく中で、この算定データを基礎として是非活用していただ
けるように国際動向なども踏まえながら制度を改善していきたいと思いますので、今後と
もご指導のほどどうぞよろしくお願いいたします。
本当にどうもありがとうございました。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございました。続きまして経済産業省環境経済室の内野企画官、お願
いします。
しろまる内野企画官
この検討会におきましては事業者の温室効果ガスの排出量等の情報をいかにして迅速に
分かりやすく使いやすく、そして意味のある情報を発信していくのかといった観点から
様々な視点で委員の皆様、オブザーバーの皆様から貴重なご意見をいただけたと思ってお
ります。今後、この検討会の議論も踏まえて環境省とも相談させていただきながら制度の
改正を進めていきたいと思っておりますので、
引き続きご知見をいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございました。それではこれにて閉会としたいと思います。本日はど
うもありがとうございました。
(終了)

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /