【確定】温対法改正を踏まえた温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度検討会(第1回)議事録

1温対法改正を踏まえた温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度検討会(第1回)
議事録
日時:令和3年9月 13 日(月)15:30〜17:30
場所:Web による開催
しろまる事務局
ただいまから温対法改正を踏まえた温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度検討会の
第1回を開催いたします。本日、事務局より事務運営の一部を委託されております三菱総
合研究所の山本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は委員の皆様全員にご出席をいただいております。お忙しい中、ご出席いただきま
して誠にありがとうございます。
本日の検討会では、新型コロナウイルス感染症対策のため、Web により開催させていた
だいており、
開催の状況につきましては YouTube で同時配信をさせていただいております。
動画は会議後、議事録公開までの間、Web 上で公開予定となってございます。
Web 会議の開催に当たりまして、何点かご協力のお願いをいたします。通信環境に伴う
トラブルの低減のために原則としてカメラの映像をオフにしていただき、ご発言の際のみ
オンにしていただきますようお願いいたします。またハウリング等を防ぐため、ご発言す
る際以外はマイクの設定をミュートにしていただきますよう、あわせてご協力をお願いい
たします。
ご発言される場合につきましては、ご自身のお名前の右側にございます手の形のアイコ
ンの挙手ボタンをクリックしていただきますようお願いいたします。また、発言が終わら
れましたらボタンを再度クリックしていただき、挙手を解除いただきますようお願いいた
します。あわせて、挙手ボタンを押しているにもかかわらず事務局側が気づかない等ござ
いましたら、チャットでお知らせをお願いいたします。これ以外に何か通信トラブル等が
ございましたら、同じくチャットにご記入いただくか、あるいは事務局までお電話をいた
だきますようお願いいたします。
それでは始めに、検討会の開催にあたりまして、事務局である環境省地球温暖化対策課
及び経済産業省環境経済室からご挨拶をお願いいたします。まず環境省地球環境局地球温
暖化対策課の小笠原課長、お願いいたします。
しろまる小笠原課長
環境省地球温暖化対策課長の小笠原でございます。
本日はお忙しい中をご参加いただき、
ありがとうございます。
2050 年カーボンニュートラル、2030 年度 46%削減に向け、政府として対策の検討を行
ってきたところでございます。それがほぼ取りまとまりまして、地球温暖化対策計画、長
期戦略、エネルギー基本計画等について現在パブリックコメントを実施中でございます。
今後は、地球温暖化対策計画等の実施をどうしていくかというフェーズとなってまいりま
す。先の国会で成立した地球温暖化対策推進法の改正についても同様でございます。46%
削減に向け、しっかりと施行していく必要がございます。 2ビジネスの世界でも気候変動への対応が喫緊の課題となっております。気候変動はビジ
ネスにとってもリスクであり、機会でもあるとの認識が広がり、ESGや気候変動に経営
課題として取り組む企業も増えてきております。そうした中で企業を取り巻く様々なステ
ークホルダーが排出量を含む気候変動関連情報への関心を深めているところです。
本日の検討会のテーマである算定・報告・公表制度は、定期的な排出量算定や公表を通
じて事業者の自主的な削減を促すものであり、その効果的な活用が重要であります。改正
温対法ではデジタル化、オープンデータ化を図ることとされており、これを円滑かつ効果
的に遂行すると共に、制度の更なる見直しに向けて検討していくことが重要であります。
本日は事務局から制度を巡る最近の動きについて報告させていただいた上で、公表デー
タの活用促進や任意報告の拡充について議論をお願いしたいと考えております。様々なお
立場の皆様から幅広く意見をいただき、活発な議論となることを期待しております。以上
です。
しろまる事務局
ありがとうございます。続きまして経済産業省環境経済室の内野企画官、お願いいたし
ます。
しろまる内野企画官
経済産業省の環境経済室、内野と申します。よろしくお願いいたします。2050 年カーボ
ンニュートラル宣言が出され、2030 年の削減目標として野心的な目標が設定される中で、
事業者が自ら温室効果ガスの排出量を把握し、削減に取り組んでいくということは非常に
重要な課題であります。また、企業を取り巻く環境は変化しておりまして、ESG金融の
流れやサプライチェーンからの要請があり、企業が温室効果ガスに関する情報を開示する
要請も高まりつつある状況です。
こうした中で事業者の温室効果ガスに関する情報に関して、どのような情報をどのよう
に国として収集し、それを発信していくかということが非常に大きな課題であります。こ
うした観点で本日の検討会においては、情報をどのように活用していくのか、それからど
のような情報を出していくのか、この2つの視点から活発なご議論をいただければと考え
てございます。よろしくお願い申し上げます。
しろまる事務局
ありがとうございます。次に本日の資料の確認をお願いいたします。委員の皆様には事
務局よりあらかじめ電子データにてお送りしてございます。議事次第のファイル以外に資
料1〜資料5まで合わせて6点ございます。まず資料1としてこの検討会の委員等の名簿
でございます。資料2として、温対法改正を踏まえた温室効果ガス排出量算定・報告・公
表制度検討会開催要領でございます。資料3-1、温室効果ガス排出量算定・報告・公表
制度を巡る最近の動向について。資料3-2、報告の電子化の取組状況及び今後の方向性
について。資料4、公表データの活用促進に向けた方策について。資料5、任意報告の拡
充について。以上6点をお配りしてございます。もし資料の不足等がございましたら事務
局までお知らせをお願いいたします。 3続きまして本日ご出席の委員のご紹介をさせていただきます。資料1の委員等名簿に記
載されている順に、委員の皆様の役職とお名前を読み上げさせていただきます。
早稲田大学大学院法務研究科教授、大塚様。
一般財団法人日本エネルギー経済研究所理事、
電力・新エネルギーユニット担任の工藤様。
三菱商事株式会社サステナビリティ・CSR部ステークホルターエンゲージメントチーム
リーダーの淺野様。
株式会社三菱UFJ銀行サステナブルビジネス部部長の加藤様。
株式会社日経BP、日経ESG編集長の馬場様。
りそなアセットマネジメント株式会社責任投資部長の松原様。
大阪市環境局環境施策部環境施策課長の三原様。
住友化学株式会社コーポレートコミュニケーション部長の山内様。
委員の皆様、よろしくお願いいたします。本検討会の座長につきましては早稲田大学の大
塚委員に、座長代理につきましては一般財団法人日本エネルギー経済研究所の工藤委員に
事前にお願いし、ご両名からご了承をいただいてございます。
またオブザーバーとして日本経済団体連合会、日本商工会議所、内閣府、総務省、法務
省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、防衛省、警察
庁、金融庁の皆様にご参加いただいてございます。
それではこれ以降の議事進行については大塚座長、よろしくお願いいたします。
しろまる大塚座長
座長を務めさせていただきます大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
先程、小笠原課長、内野企画官からお話がございましたように地球温暖化対策を巡っては
2050 年カーボンニュートラルを踏まえた改正法が本年5月に成立いたしまして、
また現在、
地球温暖化対策計画や長期戦略等の見直しが行われています。
事業者にとっては、金融との関係やサプライチェーンの中で気候変動が重視されるよう
になるなど、温室効果ガスの排出量やその削減等の取組に対して多様なステークホルダー
から非常に高い関心が寄せられるようになってきております。
この検討会ではこうした状況も踏まえまして、
温対法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度につきましてデジタル化、オープンデータ化を進めつつ、事業者の削減取
組の更なる促進につながるような方策について検討を深めていきたいと思っております。
より具体的には、この公表の迅速化、公表データの活用の促進、それから任意報告の拡充
につきましては活用する方は何が欲しいか、どういうデータが欲しいか。事業者の方につ
きましては何をPRされたいかということを探っていきながら、任意報告を通じて脱炭素
に取り組む事業者が評価されるような方策を検討していきたいと考えております。皆様の
忌憚ない活発なご議論をお願いいたします。
それではまず本検討会の開催につきまして、資料2に基づいて事務局から説明をお願い
いたします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
大塚座長、
ありがとうございます。
事務局の地球温暖化対策課の岸と申します。
資料2、 4本検討会の開催要領ということでございます。まず目的でございますが、温対法の改正に
ついて背景を記載しておりまして、本検討会では2つ目のパラグラフにあるデジタル化、
オープンデータ化のための方策や、昨年度の検討会の取りまとめ等を踏まえた任意報告の
拡充等につきまして、検討するということを目的とした検討会でございます。
構成につきましては、委員のほかオブザーバーという位置づけを記載しております。そ
れから運営につきまして、座長、座長代理を定めること。会議は原則として公開する旨、
会議録につきましては1カ月以内を目途に公開する旨を記載しております。
それから事務局でございます。環境省地球温暖化対策課と経済産業省環境経済室の共同
ということでございます。また事務運営の一部について三菱総合研究所に担っていただい
ております。以上でございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。続いて議題に入りたいと思います。議題1、制度を巡る最近の
動向等について資料3-1、3-2に基づきまして事務局から説明をお願いいたします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。引き続き事務局から説明させていただきます。資料3-1、3
-2をまとめて説明させていただきます。
資料3-1は制度の概要、制度の課題と法改正、事業者を巡る動きのバックグラウンド
情報の紹介でございます。本制度、算定・報告・公表制度の概要でございます。こちらは
温対法に基づく制度で、一定規模以上温室効果ガスを排出する事業者に国への報告を義務
づける制度ということでございます。制度の趣旨としては、自主的取組のための基盤の整
備、それから自主的取組促進の機運の醸成といったことが目的とされてございます。
現行の仕組みは下に記載しておりますが、エネルギー起源CO2の部分につきましては
省エネ法と連携した形になってございます。p4〜5は本制度の対象となる排出量なり事
業者についての記載でございます。p4は、この制度はすべての温室効果ガスを対象とし
ておりまして、基礎排出量とクレジット等を活用した調整後排出量を報告いただいており
ます。
報告対象となる事業者はエネルギー起源CO2については省エネ法と同じ、
それ以外
の温室効果ガスにつきましては 3,000 トン/年というところで裾切りを設けております。
この制度の対象の規模感でございますが、報告事業者数は合計1万 3,525 事業者という
たくさんの事業者に報告をいただいております。
排出量のカバー率は右のページの通りで、
我が国全体の温室効果ガス排出量の5割強。特にエネルギー起源CO2の産業部門では9
割以上ということでございます。
この制度は、国が皆さんから報告していただいたものを集計して公表するということに
なっておりまして、現状で集計して公表しているのは以下の3パターンでございます。1
つは事業者別排出量を一覧として公表。それから右上のグラフの通り業種別の排出量。そ
れから日本地図のように都道府県別の排出量を集計しております。
p8は本制度の特徴でございます。3つ書いてございますが、一定規模以上の事業者を
カバーしているということで先程紹介しましたカバー率。それから、報告事業者には大企
業に加えて中小企業の報告もあります。報告者の6割以上が中小企業、85%程度が非上場 5企業といった形になっております。また、自治体も含めた制度になっております。それか
ら報告義務があるということと、国のほうで集計して公表しておりまして一覧性が担保さ
れているということ。それから無料での活用ができるということでございます。
次に制度の課題と法改正でございます。こちらについては昨年の検討会でもご議論いた
だきましたが、1つは報告していただいて集計する部分について、報告から公表までが約
2年という時間を要しているという点。それから、公表するデータは公表に加えて開示と
いうことで、一定の請求行為をいただいて情報を出すという手続が入っておりますが、開
示請求が必要という点について課題として指摘されております。
p11 は昨年の検討会についての紹介でございます。
関連する部分として1つは電子シス
テムによる報告を原則とすること、それから事業所等の情報について開示請求の手続なく
公表するという方向性。それから2つ目に、任意報告を充実させるべきということで方向
性をまとめていただいておりまして、こういったことを踏まえて温対法の改正が本年5月
に成立しているところでございます。
p12 は温対法の改正についての概要資料でございます。
本日の検討会で対象としている
ところは排出量情報のオープンデータ化やデジタル化といった点になってございます。
p13 は算定・報告・公表制度の見直しのイメージでございます。元々のプロセスから電
子システムを中心としたプロセスへと改善していくということでございます。インプット
の報告の部分については電子報告システムへの入力を原則化するといったことや、排出量
の任意報告について記載してございます。また、アウトプットの部分の公表のところでは
開示請求手続によることなく公表するということで、ここは法改正によって手当てされて
ございますが、
このあたりの詳細についてさらに議論をいただくということでございます。
p14 以降は事業者を巡る動きでございます。
今の世界中のカーボンニュートラルに向け
た動き、特に 2050 年カーボンニュートラルに向けた取組を表明する国が増えているとい
うことでございます。こうした政策が事業者に大きな影響を与えるということがございま
す。
p16 は企業の取組ということで、代表的な情報開示の枠組みとしてのTCFD。また削
減目標ではSBTやRE100 といった国際的なイニシアティブがございます。こういった
ところに賛同なり参加される日本企業は世界でもトップクラスになっている状況でござい
ます。
p17 はサステナビリティ、気候関連情報開示に関する直近の動向でございます。我が国
においてはコーポレートガバナンス・コードの改定がございまして、TCFDまたはそれ
と同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきといった流れがございます。ま
た欧州委員会でのサステナビリティ情報開示に関する指令の改定の動き。また、IFRS
財団の議論などが注目されているところでございます。
次ページ以降は各ステークホルダーの関心を簡単にまとめておりまして、
p18 はESG
投資でございます。投資家・金融機関のESG投資に対する関心の高まりをあらわしてお
ります。p19 は金融機関のカーボンニュートラルに向けた取組ということで、例えば取引
先のGHG排出量の把握といった点も含めて様々な金融機関の取組が進んできているとこ
ろでございます。
p20 はサプライチェーンということで、
企業が他の企業の排出量にも関心を高めている 6ということでございます。SHK制度は基本的には国内の Scope1・2を対象に義務的に
報告をいただいていますが、
これに加えて近年は Scope3という概念が出てきております。
Scope3と一口に言っても様々なカテゴリーがあることを紹介しております。地方自治体
もいわゆるゼロカーボンシティといった取組を進めており、以前から地球温暖化対策計画
書制度といった事業者の取組促進の仕組みを導入されているところもあるということでご
ざいます。以上が資料3-1の説明でございます。
続きまして資料3-2、電子化の取組状況についてでございます。新電子システムEE
GSの構築の背景ということでございます。先程の課題でも出てきましたが、現状でも電
子報告システムがございますがそちらの利用率は約4割といった状況で、報告いただく皆
様、また情報を集計して公表する私ども行政の立場双方の取組を効率化することを目的に
新しい電子システムを構築しているということでございます。
電子システムの全体像でございますが、真ん中の青い部分がシステムの機能として考え
ているところでございます。まず事業者からの報告を受け付けるステップ1、それからそ
の情報を集計するステップ2、そしてそれを公表するステップ3という3段構成で考えて
ございます。
次のページはスケジュール感でございます。原則電子報告化ということを打ち出してお
りまして、そこに向けて報告のためのインタフェースを整えるということでステップ1を
来年5月に運用を開始すべく開発を進めている状況でございます。こういった状況を踏ま
えながら原則電子化の実現を目指していくということでございます。また、集計・公表の
機能も順次開発し、ステップ3は令和5年度からの実装を予定してございます。
最後のページは周知ということで、この電子システムを活用していただくべく経済産業
省と一緒に周知をさせていただいている状況でございます。私からは以上でございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。ただいまの説明につきまして、何かご質問等はございますでし
ょうか。工藤委員、お願いします。
しろまる工藤委員
2つ、後の議論との関係も含めて教えていただければと思います。1つは、集計したデ
ータについては地方自治体ごとにも集計して開示するというお話だったのですが、地方自
治体への按分というのはあくまで事業所ベースで集計しているのか。もしくは本社機能、
すなわち1社1自治体という形での数字となっているのか、後の議論の参考にしたいので
教えてください。
それから2番目にEEGSの全体像のスケジュール感の資料を見せていただいたのです
が、ステップ1〜3で動いていくという話と、右のほうに外部連携ということがあってそ
こにもステップ1〜3が書いてありますが、外部連携のステップ1〜3は真ん中のステッ
プ1〜3とリンクしているのか。あくまでも外部連携は時間軸の中で真ん中のステップ1
〜3とは違った形で段階的に入っていくと解釈すればよろしいのでしょうか。特に、この
省エネ法と温対法のみならず地方自治体等の報告書制度との連携というようなことは事業
者ニーズが高いのではないかと思っているのですが、この辺の時間軸について確認させて 7いただければと思います。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございます。ほかにもしございましたら、まとめて事務局から答えて
もらおうと思いますが、よろしいですか。では事務局、工藤委員の質問に対してお願いし
ます。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
まず1点目の都道府県ごとの集計については事業所ベースでの集計ということでござい
ます。2点目のEEGSの外部連携のところですが、こちらのステップの表記は本体のス
テップと連携するというか同じ意味合いでございまして、同じようなスケジュール感で検
討していくということでございます。以上でございます。
しろまる大塚座長
工藤委員、よろしいですか。
しろまる工藤委員
どうもありがとうございました。
しろまる大塚座長
ほかにはいかがでしょうか。電子化の取組状況についてはいろいろおありかもしれませ
んが、いかがでしょうか。三原委員、お願いします。
しろまる三原委員
EEGSの周知に関して、現在も進められているということでございます。リーフレッ
ト等の媒体に加えまして、例えば Web などを使いまして報告者側、あるいは活用する側の
団体にもオンラインで説明の機会を与えればいいのではないかと思っているところでござ
いまして、この場合は、例えば地元の自治体と連携して地域の温暖化対策の取組とあわせ
ましてEEGSの活用について説明できれば、特に大阪市のように計画書制度を導入して
いない自治体への活用の後押しになるのではないかと考えるところです。以上でございま
す。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。馬場委員、お願いします。
しろまる馬場委員
三原委員からもご指摘のありましたEEGSの周知のところなのですが、どういったと
ころにリーフレットを配布しているのかお聞かせください。またぜひ三原委員もおっしゃ
っていたように、例えば業界団体、あるいは大きな会社のなかには、バリューチェーンで
のCO2削減に取り組むため温暖化対策のサプライチェーンマネジメントを始める企業も 8出はじめているのですが、
そういった企業にこのリーフレットを渡すなど、
CO2排出量の
データを利用したい企業に積極的に配布したり、周りのサプライヤーに周知してもらい、
取組を促していけるといいのではないかと思います。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。では事務局、お願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。三原委員、馬場委員から周知についてご指摘いただきました。
現状は役所のほうに報告をいただいている方へのアプローチとかホームページへの掲載と
いうことで周知を図っていると思っておりまして、
ご提案にあったような自治体との連携、
またそれ以外の事業者との接点で周知していくといった提案をいただきましたので、具体
的な周知のやり方は検討していきたいと思っております。ありがとうございます。
しろまる大塚座長
どうもありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。工藤委員、お願いします。
しろまる工藤委員
先程の質問の追加的なところですが、地方公共団体等が行っている計画書制度との連携
のところで、どちらかというとステップ2やステップ3は集計や分析のところにリンクし
ているというように図からは見えるのですが、入力のところ、共通するデータというもの
をこういった省エネ法なり温対法といろいろな意味でリンクして、入力の段階で事業者等
の業務負荷の低減や効率化などは視野に入っているのか、
教えていただければと思います。
しろまる大塚座長
事務局、お願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・金澤係長)
図がわかりにくいかもしれませんが、外部連携というところは必ずしも集計のところだ
けではなく、例えば、計画書制度などの報告をEEGSで一元的に行うといった、報告の
面でも外部連携を考えているところでございます。以上です。
しろまる工藤委員
ありがとうございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。山内委員、お願いします。
しろまる山内委員
後のほうで申し上げようかと思ったのですが、企業側からの報告についての話題が少し 9出ましたので、弊社の対応も含めて申し上げたいと思います。元々事業者の報告について
は、官庁から指定されたフォームをダウンロードして、そこに数値をすべて転記して印刷
して紙媒体で提出するというのが元々のプロセスだったと思うのですが、私どもでもその
作業を効率化するといった観点から、社内の各工場の1次データを基にして各種の区分の
集計ですとかデータの編集・解析、いわゆる弊社の中での分析・報告・資料の作成といっ
たものをすると同時に、提出書式に従った紙の自動出力まで行うようなソフトを開発して
運用しているところでございます。
したがって弊社も、今は電子による入力はしていなくて紙で報告させていただいている
状況でございます。同業他社に聞きましても、自社のシステム開発や、市販のツールも出
ているようでそういったもので対応していることが多いと聞いています。こういった形で
今現在、作業の最適化というものが事業者側で行われているような状況がありますので、
新電子システムの活用に当たりましてはデータを1つ1つ転記していくような手間をでき
るだけ省きたいと考えておりまして、例えば入力フォームをダウンロードしてそこに弊社
のシステムから自動でデータを流し込んで、それをアップロードすれば報告ができるとい
ったようなデータ入力のインタフェースはぜひ工夫していただければと考えております。
以上でございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。各社の実情として、今お聞かせいただいたような状況があるの
かなと思っていまして、今システムの構築を進めている中で来年5月からということで仕
様が決まっている部分もあるかと思いますが、ステップ・バイ・ステップで改善していく
といったことも含めてご意見を承りました。ありがとうございます。
しろまる大塚座長
転記しなくても済むようにできそうですか。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・金澤係長)
現行のシステムは報告書をアップロードするだけのようなシステムですが、今まさにご
指摘のあったように報告書の作成段階からシステムで行えるようにということでやってお
りまして、例えば活動量などをシステムに直接入力できて自動計算されるような機能など
を想定しているのですが、データの管理や分析などの機能をどの程度持たせることができ
るかというのは今後、ご指摘も踏まえて検討していきたいと思います。以上です。
しろまる大塚座長
分かりました。ほかにはいかがでしょうか。淺野委員、お願いします。
しろまる淺野委員 10山内委員から事業者の立場での意見もありましたので、それに少し補足させていただき
ます。資料で述べていたような方向感、すなわちデジタル化していくこと、オープンデー
タ化していくこと、それから公表を迅速化して期間を短縮していくということは非常にす
ばらしいことだし、事業者としてもありがたいと考えております。
その上で、EEGSというシステムそのもののカバー範囲も広いと思いますし、ステッ
プも組まれている中で時間的制約もあるだろうと理解するものの、こういう新しい形式に
移行する場合の社内での体制構築であったり段取りのようなこともございますので、ある
程度具体的に全体の仕様やスケジュール感みたいなものが見えてきたところで、前もって
概要をご案内いただけると、おそらく事業者は対応しやすいのかなと思います。
あとは、先程の入力の方式を効率化するという意見と少し関連させて申しますと、使い
勝手の部分にもなるかもしれませんが、例えば今の報告のシステムは利用の届出の申請を
紙媒体で行うことになっていると伺っています。ID・パスワードの管理、そのあたりも
含めて電子化されることがおそらく望ましいでしょうし、そういうことも含めて、タイミ
ングやスケジュール感は難しいかもしれませんが使う側の「この部分がこうなっていると
いいのかも」という声を拾うタイミングがあるとより良いものになっていくのかなと思っ
た次第です。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。松原委員、お願いします。
しろまる松原委員
山内委員、淺野委員の話に関係しますが、今回の話は先程の事務局からの説明の通り、
デジタル化とオープンデータ化が肝というお話をいただいたかと思います。EEGSの構
築の背景として利用率が 36%にとどまるということですが、逆に言うと 36%もこういう
形で電子報告システムを利用しているという見方もできるかなと思います。
つきましては、
この 36%の利用率の主な人たちは提出機能のみ使っているので 36%にとどまるという理
解でよろしいか。加えて、利用率 36%というのはどういう属性の人たちが主に使っている
のか、もし分かれば教えていただきたいと思います。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。この辺で質問は打ち切ろうと思いますが、よろしいでしょう
か。では事務局、回答をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。様々なご意見をいただきまして、利用者の皆様のお声をうかが
いながら徐々に改善していく部分も必要だと思いますし、早めのアナウンスというご示唆
もいただいておりますので、スムーズにシステムの活用を進めるために何をすべきかとい
うことをしっかり考えていきたいと思います。松原委員からご質問いただいた属性につい
ては手元に情報がございませんので、宿題とさせていただきます。 11しろまる大塚座長
そういうことでございますが、よろしいでしょうか。では、次に議題2、公表データの
活用促進に向けた方策について、資料4に基づきまして事務局から説明をお願いいたしま
す。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
資料4の簡単な説明をさせていただきます。ここでは制度のアウトプットである公表デ
ータの活用促進ということでございまして、現状と課題を紹介した上で迅速化、活用され
やすい公表、そして活用促進に向けたその他の方策という3点について説明させていただ
きます。
まず現状と課題でございます。
こちらの制度で報告していただいた情報については現在、
環境省の算定・報告・公表制度のホームページにおいて集計した情報を公表しております。
先程申し上げた事業者別、業種別、都道府県別をレポートのような形にしてPDFまたは
エクセルでダウンロードできる形になっております。また、年度ごとにそういったレポー
トを掲載するという体裁になってございます。
公表方法における課題でございます。検討の論点として書いておりますが、まずは公表
の迅速化ということで、早く鮮度のよい情報を公表してほしいという指摘をいただいてお
り、そこをどうするかということ。それから、活用されやすい公表方法ということで、先
程システムの公表の機能と申し上げましたが、そちらで分かりやすく公表する工夫。それ
からこの制度のデータなり活用についての認知や普及をどう進めるかという3点の課題で
ございます。
p5はご参考として自治体での活用状況、事業者の活用状況でございますが、概ね2割
程度の活用状況となってございます。
その改善ということですが、まず迅速化という点でございます。p7が全体のプロセス
になってございます。報告いただく事業者が一番左にあり、一番右が集計・公表というこ
とで、報告をいただくのは紙またはPDFなどの電子媒体がございまして、事業所管省庁
でいったん受け付け、電子媒体でないものは電子媒体の形にしたりというプロセスがござ
います。この中で疑義が生じたものについては逐次、確認させていただくというプロセス
がございます。また、基本的なチェックが終わった上で制度所管省庁の経済産業省・環境
省で最終的に確認する部分がございます。このようにいくつか確認するプロセスがござい
まして、その結果として時間を要しているということでございます。
そこで、事業所管省庁での確認についてはEEGSによって電子システムへの入力を促
進することで効率化を図って短縮するというアプローチがあります。一方で、制度所管省
庁での確認は、システム上では疑義を確認しづらい、エラーなのか本当の値なのかという
確認になっておりますのでこの部分は残るわけですが、実情を申し上げるとこの疑義照会
にかかる事業者は全体の約1割ということで、残り約9割の事業者にはこの疑義照会が解
消するまでお待ちいただいている状況になっています。そこで今回提案させていただくの
は2段階公表ということで、制度所管省庁による疑義照会が不要な約9割の事業者の報告
を先に公表することはできないかと。それによって、試算ではありますが9カ月以上の短
縮ができるのではないかという見込みを持っております。この点について留意点があれば 12というのが1つ目でございます。
2点目の分かりやすい公表という論点については、
p10 の記載が私どもで公表している
現状のエクセルのイメージでございます。
これは年度ごとのエクセルになっておりまして、
これをダウンロードして活用していただくという手続になります。このデータの検索につ
いても課題があり、公表データに業種データがひもづいていないという点も含めて検索が
難しいということがあります。それから、経年変化を見ようとすると各年度のエクセルフ
ァイルを見ていかなければいけないという形になっております。
p11 はEEGSのステップ3なりステップ2も含めてやっていくということで、
公表機
能はステップ3なので 2023 年4月を予定しておりますが、この部分でどう改善していく
かということは具体的には検索機能、また事業者・事業所ごとのページをつくって経年変
化を見られるようにするといったことを想定しているところですが、このあたりについて
の留意点をいただきたいということでございます。
今回紹介するのは上の工程で、事業者・事業所ごとの公表画面です。検索はp13、事業
者別はp14、事業所別はp15 となってございます。検索については、トップページから事
業者・事業所を検索表示するということと、事業者ごとに事業所を検索表示する画面がご
ざいます。またデータ活用について、事業所別の表示に当たっての留意点も記載してござ
います。
p14 は事業者別排出量の公表画面でございます。
報告いただいている事業者の集計値の
公表画面でございまして、排出量の経年を見られる部分と任意報告。本日の議論のテーマ
としておりますが任意報告についてもあわせて表示できるような形で考えております。画
面のイメージ感でございます。
p15 は事業所別のページでございまして、排出量の情報が左側、任意報告に関する事項
が右側という構成を考えてございます。以上が公表画面のイメージということで、いかに
分かりやすく示していくかという点についての留意点があればいただきたいということで
ございます。
論点の3つ目は公表データの活用促進に向けた方策でございます。この制度の活用促進
に向けて迅速化、公表の工夫に加えてさらにどのようなことが考えられるかということで
ございます。こちらに例として書いていますのは、認知度向上に向けた取組の例でござい
まして、ステークホルダーごとにお知らせしていくといった周知の話。また、具体的なデ
ータ活用事例や想定活用事例の整理ということで、どのような方がこのデータをどのよう
に使えるかといったことについて整理させていただくことが考えられるのではないかとい
うことで例示として記載しております。
公表の活用が進むように迅速化、見やすさ、更なる方策の3点についてご議論いただけ
ればと思います。説明は以上でございます。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきましてご意見、ご質問等はございます
でしょうか。なお、報告項目の拡充などについては議題3でご意見をいただきたいと思っ
ております。加藤委員、お願いします。 13しろまる加藤委員
最初に三菱UFJ銀行について少しだけお話させていただいてからコメントしたいと思
いますが、私たち三菱UFJ銀行はMUFGとしてこの5月にカーボンニュートラル宣言
を出していて、投融資のポートフォリオも含めてカーボンニュートラル化を目指すという
ことで「Net-Zero Banking Alliance」にも加盟してアジアを代表する銀行としてステアリ
ンググループにも入っております。またPCAFにも入っていますので、私たちが投融資
で資金を拠出している先も見据えたカーボンニュートラル化を考えなければいけないとい
う立場で、お話させていただければと思います。
一番気になっているところは、今のグローバルの大きなトレンドとして、私たちがそう
するかどうかはまだ議論中なのですがPCAFの手法を用いて Scope3のような排出算定
を行う方向にシフトしてきていると理解しているのですが、PCAFはGHGプロトコル
の算定基準に沿って対応していますので、この制度において算出される情報・データと、
Scope3自体はオプションなのかもしれませんがGHGプロトコルで言われているような
データと、どこに差異が出てくるのかどうかということで使い勝手、利用の頻度が変わっ
てくるのではないかと思っています。
すなわち、
ここで得られる情報がそのまま活用できれば非常にありがたいと思いますし、
もし何かの差異があるのであればその差異を埋めるようなシステムなのか枠組みなのか、
そういうものがあれば利用頻度が上がるのではないかと思っています。
もう1つの観点はタイミングが非常に重要と思っていて、先程申し上げた通りですが、
我々もお客様と一緒に脱炭素化を進めていかなければいけないという立場にございますの
で、本当に様々な議論をさせていただいていて、エンゲージメント活動という言い方をし
ていますが、そういう活動を今進めているところです。
そういう意味では、2年前のデータをベースに議論するとなるとなかなか厳しいと思っ
ていて、情報がタイムリーに入ってそれをベースにお客様と議論する、エンゲージメント
活動ができるということが非常に重要だと思っていますので、タイムリーに情報が把握で
きるようになることが非常に重要かなと思っております。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。工藤委員、お願いします。
しろまる工藤委員
今回の目的として、データ公表までの期間の短縮化の中で疑義照会を必要としない事業
者については、先行的に開示しましょうというようなご提案があったと思いますが、そう
言いつつ、後半のほうでは実際のステークホルダーのニーズに適応していろいろな意味で
対応していくと。できるだけ早いほうが活用の可能性は高いと言いながらも、一方で、主
立ったと言っては語弊があるかもしれませんがいくつかの企業が公表していない中でのデ
ータの開示の仕方は、ステークホルダーが全体を評価するに当たっていろいろな意味で留
意するというか、それで適切かどうかという視点で評価していただいたほうがいいという
気がします。
期間の短縮を最優先するという気持ちは非常に分かるのですが、データの示し方によっ 14ては、
例えば温対法での数字が報道などで公表される時には、
1位から 10 位まではどうい
う企業ですというような非常にシンプルな報道のされ方をするようなことがまま見受けら
れるのですが、そうなった場合に公表タイミングのずれというのが客観的なデータに対す
るカバレッジなどにうまくつながっていけばいいのですが、誤解を生まないような形を考
えていただきたいという気がします。
2点目は活用の促進についての考え方ですが、どちらかというと使われる側の視点で物
事を捉えているのですが、そもそもこの報告書制度というのは最初に説明があった通り、
企業等の自主的な取組を促進するということが1つのポイントになりますから、そういっ
た観点からいくと、いろいろな意味で開示されるデータというものを第三者的に評価する
ということもありますが、自らの立ち位置を同業他社も含めて客観的に評価し得るような
情報の活用の仕方も考えられます。企業名を特に出さずとも、言ってみれば自らのパフォ
ーマンスであるとか他社と比べた立ち位置というものをお伝えして、自らのPDCAなど
の検討に活かしてもらう。そういった視点もあっていいかと思います。
そういう意味では活用促進には2つの側面があって、おそらくは報告している企業自ら
がフィードバックを受けて自社の取組を再検討できるような側面と、ステークホルダーが
そういったデータを活用し、結果として企業等の取組を促進するという、そういう二面性
があるのではないかと思いますので、そういう整理の仕方をどこかできちんとしておく必
要があるという気がします。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。では事務局、お願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。加藤委員から銀行の立場からコメントをいただきました。GH
Gプロトコルとの差異については本日は資料を用意しておりませんが、一定準拠しつつ一
定の差異があるというのが現状の認識だと思っております。また、公表のタイミングにつ
いては早めが良いというご意見をいただきました。
工藤委員からは2段階公表の件で誤解がないようにということでございまして、実際に
進めるに当たっては誤解の点について留意が必要との御意見と受け止めております。
また、
情報の活用における二面性ということで、報告者の立場で他者との比較をするということ
と、ステークホルダーの活用ということで、その整理の仕方についてご示唆いただいたと
思っております。ありがとうございます。
しろまる大塚座長
よろしいでしょうか。淺野委員、お願いします。
しろまる淺野委員
今のお二方のご意見も踏まえてなのですが、今回の算定・報告・公表制度の中でターゲ
ットになっているデータと、事業者の実態をあらわすデータというのは必ずしも合致しな
いケースがあると認識しています。先ほどおっしゃったようにプロトコルの話もあります 15し、あるいは事業者の業態や業種によっても異なると思いますが、この制度のスコープが
単体であり国内がベースになっている中で、連結であったり海外事業が主たる事業者もい
らっしゃると思いますので、こういったことを任意報告のところでどう補っていくかとい
うのはこの後の議論だとは思いますが、なかなか難易度が高く整理しなければいけないポ
イントがたくさんあると思うので、検討のタイミングを二段階に分けて考えることも一つ
ではと思います。すなわち、まず算定・報告・公表制度の中で今なされていることをしっ
かりとデジタル化しオープンデータ化していくということを最初のターゲットに置いて、
任意報告拡充は一拍置いて整理するという検討の仕方もあるのかなと思います。
しろまる大塚座長
ご提案ですので事務局にお答えいただいたほうがよろしいかと思いますが、いかがでし
ょうか。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
淺野委員、ありがとうございます。今おっしゃっていただいた通り、事業者の全体を表
すという部分と制度のスコープは合致するところもあれば差異があるところもあるという
ことかと思っておりまして、まさに任意報告の議論も含めていろいろとご意見をいただけ
ればと思います。まとめ方というかスケジュール感についてもいろいろとご意見をいただ
いた上で、どういう形で進めていくかということも含めて事務局のほうでも検討し、皆様
ともコミュニケーションを取らせていただければと思います。
しろまる大塚座長
よろしいでしょうか。任意報告のほうも、後に回してしまうときっかけが失われるおそ
れもありますので、その辺も含めてご検討いただければと思います。馬場委員、お願いし
ます。
しろまる馬場委員
任意報告のところでお話すべきかもしれませんし、これまでにも委員から問題提起され
ている話題ではありますが、金融機関から利用を促すという点では、PCAFの求めると
ころをどのくらいフォローするのか。フルでフォローするのか、あるいはある程度可能な
範囲でやっていただくか議論または確認が必要と思っています。しっかりフォローできて
いれば金融機関の利用も高まって世界から見ていただけて、活用されるすばらしいシステ
ムになると思いますが、一方で開示する企業の負担が膨らむといったことであれば、そこ
は段階的にやっていくとか、あるいは一部だけやっていくとかいった采配も必要になると
思います。
また、GHGプロトコルへの対応も大事と思っておりまして、組立メーカーが今後SB
Tに取り組み、
バリューチェーンでCO2を減らしていく目標を示してる中で、
このシステ
ムを使っていただければ嬉しいと思います。そうなればサプライヤーも取引先企業に報告
する手間が省けるといった期待もできるため、システムを使って効率化していただければ
と期待します。その場合、ある程度GHGプロトコルに則っていないとデータを集めても 16使えなくなりそうなので、開示されるデータの中で、これはGHG準拠でこれはそうでは
ないことが分かるチェックボックスや、あるいは第三者認証を受けている排出量データで
あるかどうかといった、情報が簡単なマークで示される機能があればいいのかなと思いま
した。
また、これもここで話す話ではないのかもしれませんが、SBTで目標を設定している
企業の一覧をCSVでダウンロードすると金融機関の使うISINコードが表示されてい
ます。システムをつくる方にとっては負担が増えるとは思いますがそういったものを加え
ていくということも一案ではないかと思います。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。最初の点については次の議題3で議論させていただければと思
います。続けて三原委員、お願いします。
しろまる三原委員
工藤委員と意見が重なるかもしれませんが、公表の迅速化は地域の温室効果ガス排出量
の算定に活用している大阪市としても非常にありがたいことだと思います。大阪市として
は、
公表に当たってはできるだけ最新のものということで、
今年度の公表であれば 2019 年
度の排出量を算定して公表することとしておりますが、それに当たっては今回の算定・報
告・公表制度のデータを開示請求して算定に用いているわけですが、データがすべて揃う
わけではないので暫定値として公表しています。これが迅速化によって確定値として公表
されればいいとは思うのですが、ただ、今日の事務局の説明にありましたように1割程度
が疑義照会の対象となっているということがありますので、できるだけその割合をなくす
方向で、例えば資料3-2で説明があったかもしれませんが、省庁側での入力エラーの確
認だけでなく、できるだけ報告者側でも入力のチェック、確認ができるようにしていただ
ければと思っているところでございます。
また、資料3-1に記載がありましたが権利・利益の保護については、新システムにお
いても十分に配慮していただければと思っているところでございます。
以上でございます。
しろまる大塚座長
加藤委員、お願いします。
しろまる加藤委員
流れがずれてしまったかもしれませんが、先程のPCAFの話に沿ってもう一度だけ申
し上げておきたいことがあります。
データのクオリティはすごく重要だなと思っています。
そういう意味でPCAFはデータのクオリティでスコアを付けたりしていますのでその観
点からも重要ですし、金融機関としてもデータのクオリティが重要だと考える中で、デジ
タル化されることによってデータの確からしさ、誤りのチェックなどがシステム上どうい
うふうにされているのかというところが非常に気になる点ですし、期待したい点でもあり
ます。
それから先程タイミングという話をしたのですが、タイミングということもPCAFの 17データクオリティのスコアに入っていますので、だいぶ先のものと近いものとでは差異が
あると思いますので、その点からもデータのクオリティが重要と考えています。
しろまる大塚座長
三原委員、先程発言が途中になってしまって、公表の迅速化は大阪市にとってもありが
たいというあたりで音声が途切れてしまいました。
しろまる三原委員
ではもう一度言います。公表の迅速化は地域の温室効果ガス排出量を公表する自治体と
しても非常にありがたいのですが、大阪市の場合は今年度であれば 2019 年度の温室効果
ガス排出量の算定をして公表するということで、国の算定・報告・公表制度を活用しなが
ら開示請求して算定しているわけですが、すべてのデータが揃うわけではありませんので
暫定値として公表していますので、迅速化より確定値として公表できればと思っていると
ころです。
一方で、先程の事務局の資料にありましたように報告する自治体の1割には疑義が生じ
ていますので、この1割をいかに減らすかということで、省庁のチェックだけでなく報告
する側でチェックする機能も高めていただければと思います。
もう1点は、資料3-1に権利・利益の保護の請求に関する事項の記載があったと思い
ますが、この新しいシステムについても権利・利益の保護に対する配慮を引き続きよろし
くお願いします。以上です。
しろまる大塚座長
では事務局から回答をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。馬場委員からいただいたPCAFをどこまでフォローするかと
いうことと、一方で報告する側の負担ということで、この制度の趣旨も踏まえながらその
バランスを考えていく必要があるということかと思います。また、GHGプロトコルとの
整合性、
第三者検証といったことについても区別がつくようにということでしたが、
一部、
任意報告のほうの議論もあるのかなと思いますがご意見として受け止めております。
また、
各コードとのひもづけということについても検索性なりが変わってくるということだと思
いますので、どういうことをやるべきかということについて引き続き検討してみたいと思
います。
三原委員からいただいたコメントに対しては、我々も理想的には確定値が早くなること
が重要と思っておりまして、そのために電子システムの活用率を上げていくといったこと
も含めて全体のプロセスの改善をしていく必要があると。そういう中で2段階公表といっ
たことも含めながら、
どうやったら少しでも早くという要請に応えられるかということで、
それだけではなく全体のプロセスの短縮化ということも含めて考えていくべきことかと思
います。
加藤委員からいただいたデータのクオリティという点についても、PCAFとの関係で 18我々も勉強しなければいけない部分があるかもしれませんが、ご意見として受け止めてお
ります。私からは以上です。
しろまる大塚座長
ほかにはいかがでしょうか。それでは議題3に移ります。任意報告の拡充について資料
5に基づいて事務局から説明をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
資料5は任意報告についてでございます。現在の任意報告様式、任意報告に関する参考
情報、それから任意報告の拡充に向けた方向性の議論でございます。
まず現在の任意報告ですが、事業者からいただいている義務の部分については基礎情報
に加えて排出量となっており、その上で、開示される情報に対する理解の増進ということ
で排出量に関連する情報について任意で報告いただく様式を用意しています。報告数は全
体の1%未満となっていますが、
実数としては 128 の事業者または事業所となっています。
具体的な任意報告の様式ですが、1は排出量の増減に関する情報ということで排出量そ
のものが増えた・減ったということについての説明。2は排出量原単位ということで、報
告いただいているのは総量ですが、原単位についての情報も記載していただけるようにな
っています。3は削減に関して実施した措置ということで、具体的な事業者の取組や他者
の削減貢献といった部分を記載していただける部分です。4は排出量の算定方法なりデー
タの管理方法ということで、算定方法の詳細について記載していただけます。5はその他
の情報ということで、制度側で例示しているのは吸収作用の保全強化措置、クレジット・
再エネ証書の購入量、
またサプライチェーン全体の排出量といった情報を想定しています。
p4は実際の任意報告の様式で、今申し上げた1〜5の内容を任意記載できるようにな
っています。右側に備考欄として、記載の例示等があります。
p5は任意報告様式への記載内容例です。
直近で報告いただいたものを整理しています。
1〜5のそれぞれの件数、それから具体的な記載例を整理しています。増減情報について
は排出量増減の要因について、また算定に関する補足情報がございます。また原単位につ
いては、原単位そのものの変化やどのような原単位を用いているかという補足説明が記載
されています。削減に関して実施した措置の内容としては、具体的な措置の内容について
様々に記載していただいています。算定方法については排出係数のほか、データのクオリ
ティに関連する部分かと思いますが、その管理方法といった記載があります。その他の記
載としては様々な内容がございますが、目標や指針、排出量の内訳などについての記載が
あります。
昨年の制度検討会の中でも任意報告についてのご意見を頂戴しています。ESG金融や
脱炭素経営を促すという観点、また積極的な取組を見える化するという観点での任意報告
の充実。留意点としては、既存の開示フレームワークとの整合性、電子システムにおける
報告の工夫、任意報告を通じた事業者の評価に関する方策、事業者等の実態を踏まえると
いったことに留意すべきである、また、国として社会的理解と適切な評価を促進するため
の啓発といった点について提言をいただきました。
p7以降は本日の議論の参考のための情報でございます。冒頭で本制度の特徴について 19説明しましたが、自治体の計画書制度、CDPやTCFD、また統合報告書による情報開
示といったものにある情報の重要な要素ということで、昨年の検討会で松原委員からご教
示いただいたクライテリアで評価しています。
この制度の特徴としては正確性、
範囲性(網羅性)
、継続性、比較可能性について優位性があるのではないかということでございます。
また、一覧性があり、中小企業も含めた幅広い取組につなげる基盤となりうるのではない
かということがございます。迅速性と切実性についても改善に向けてご議論いただいてい
るところと認識しています。
事業者からの意見として、こちらは先程工藤委員からもありましたが、報告者の視点と
活用者の視点の両サイドがあると思っておりまして、任意報告の必要性やその方向性につ
いてヒアリングやアンケートをさせていただいています。企業によって様々な温度感があ
るということと、一定程度は任意報告の実施意向を持つ方もいると認識しています。取組
の度合いが分かる制度にしてほしいという声もいただいています。
活用者の視点には、事業者の立ち位置と違うコメントも含まれています。この制度には
網羅性があるので、
中小企業や同業他社の情報を入手できる可能性があるという点。
また、
サプライチェーンの排出量の算定に活用できる可能性についても示唆をいただいています。
一方で、
グローバルな範囲と国内の制度の差異というところでの指摘もいただいています。
p11 は自治体のアンケートやヒアリングからの情報でございますが、
任意報告について
は自治体も自らが報告者である立場もありますので、その点については自らの取組をアピ
ールする機会という考え方もあるということです。活用者としての視点では、三原委員が
おっしゃっていたような地域の温暖化対策への活用ということで、温対法に基づく実行計
画や自治体の条例との連携についての意見をいただいています。
p12 は金融機関・投資家からの意見です。こちらは活用者の視点となります。自社で投
融資している企業の排出状況の把握、また、これから投融資を検討する先の気候変動対応
の評価に活用できる可能性について示唆をいただいています。情報開示については様々な
フレームワークの議論がある中で、国際的な動向との整合性についても意見をいただいて
います。
国際的な動きは様々ございますが、
p13 にTCFDのフレームワークを記載してござい
ます。p14 はCDPの気候変動関係の質問書のフォーマットです。
以上を踏まえてp15 以降で任意報告の改定に向けた考え方をお示しします。
任意報告の
充実を考えるに当たってはどういう観点から考えるかということですが、この制度の趣旨
は事業者の自主的削減の促進ということにありますので、この趣旨を踏まえてどう考える
かということですが、自らの立ち位置に加えてステークホルダーの活用もあるということ
で、そういったことを踏まえて積極的な取組が見える化されるという方向性があるのでは
ないかということでございます。
現在の任意報告様式は排出量の増減や排出量の補足事項が中心となっていて、積極的な
開示ということも含めてステークホルダーの関心事項とのすり合わせが十分にされていな
いと思っております。制度の趣旨をしっかり踏まえた上で、TCFD等の様々なフレーム
ワークで求められる事項との整合性を考えて項目を整理してはどうかと考えております。
既に様々な情報開示に取り組んでいる事業者があることは認識しておりまして、既にや
っている方にとってどうかということになると、この制度の強みとして一覧性がございま 20すので、幅広い見える化が可能であるということと、更なる活用の可能性があるのではな
いかということでございます。
また、比較的中小規模の事業者も含めてこれから情報開示に取り組む事業者に対して、
どのような取組の見える化がステークホルダーに対して効果的かということを示すような
一定のガイドの効果があるのではないか、という意義を書いております。
企業の報告や活用を促すという点では、期待される項目をできるだけ明確化することに
よって書きやすくするような工夫、また電子報告の利点を活かして可能な限り簡易に報告
できるような工夫が必要ではないかということで、例えば自由記述を減らして選択性を活
用する、あるいはURLで代替できるといったことが考えられるのではないかということ
でございます。
p17 には、任意報告に追加する項目の案をお示ししています。排出量に関連するより詳
細な情報として企業グループ全体の排出量、スコープ別排出量や Scope3のカテゴリー別
排出量を含めたサプライチェーン排出量、削減貢献量、吸収量、排出量や吸収量の算定方
法、第三者検証の取得の有無といった項目が考えられるかと思います。
削減・吸収に向けた取組としては、排出原単位なり総量の削減に関して実施した措置。
この項目についても自由記述から欄の具体化を検討してみたいということと、再生可能エ
ネルギーの使用状況ということで証書の購入量等が考えられるかと思います。
目標・方針については、
TCFDなどの国際的なイニシアティブへの賛同・参加の状況、
自社の排出削減目標、その目標の達成に向けた計画といった項目をあげております。
事業者による任意報告と適切な評価を促す方策として、報告を通じて積極的に取り組む
事業者が評価されるということ、報告された情報についての社会的な理解や適切な評価を
促すことが重要と考えられますので、活用については先程の資料4についてのご議論にも
ありましたが、さらに何かあればいただければと思っております。説明は以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等が
ございましたらお願いいたします。松原委員、お願いします。
しろまる松原委員
p17 に任意報告に追加する項目として、
3点あげていただいているのは非常にありがた
いと思います。事務局からの説明にもあったように、この制度の趣旨は事業者の自主的削
減にあるということと、ステークホルダーの関心事項との整合性ということがあると理解
しているのですが、後者について考えると、我々投資家としては現状の義務的報告事項は
マストだと思っていますが、現状と企業が計画している目標値、そしてそのギャップを記
述情報で評価したいと考えています。
その観点からすると、
p17 の1と3は我々が考えている大きなストーリーの中に位置づ
けられるかなと思っています。一方で2ですが、こういった要素は当然重要だと思ってい
るのですが、削減あるいは吸収というだけでなくおそらく企業のイノベーションとかそう
いったものもすごく重要ではないかと思っています。先般、GPIFがESG報告書を公
表した際には、日本のトータル・パテント・アセットにおける優位性が記述されていたと 21思います。そういった観点で、日本の枠組みの中でどういったイノベーションがこれから
考えられるのか、それに向けてどういった形で機会を創出しようとしているのかというこ
ともあわせてここで記述していただけると、リスクとリターンのバランスという観点から
も非常に望ましいのではないかと思います。感想ですが、以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。馬場委員、お願いします。
しろまる馬場委員
p9とp16 で気になったところがあります。p9の事業者からの意見のところに、しっ
かり取り組んでいる企業とそうでない企業の差を分かるようにしてほしいというコメント
があります。またp16 にも、積極的な取組が分かりやすくなるようにしたらいいのではな
いかという記述があります。しっかり取り組んでいる企業、積極的な企業はこういう場面
でアピールしたいだろうという気持ちはよく分かるのですが、一方で、どういう企業が積
極的であり、どういう企業がしっかり取り組んでいるのかという判断は非常に難しいとこ
ろです。例えば原単位で見て減っている企業はしっかり取り組んでいるということになる
のか、
原単位や総量が削減されていたとしても、
削減努力以外の理由があったりもします。
このご要望をこの制度で実施するのは難しいのではないかと感じます。
もしこの事業者の声をくんで積極的な取組が分かりやすく目立つような表現を行うので
あれば、どういうものを積極的と考えるかについての議論が必要ではないかと思います。
p17 に3つの項目が挙がっていますが、
3にあるTCFD等の国際的イニシアティブへ
の賛同状況について、特に「TCFDへの賛同」は企業にとって当たり前の状況で、賛同
したことだけをアピールされても評価されない時代です。どんな開示内容なのかが分かる
ように、有価証券報告書やアニュアルレポートのURLが張られるといったことも必要だ
ろうと思いました。
企業がどのような脱炭素の技術開発やイノベーションに取り組んでいるか、またはビジ
ネスモデルの転換に取り組んでいるのか、定性的でもいいので記述する欄が追加されると
いいと思います。これは2に入る項目かもしれません。そういう記述によって投資家は資
金が必要になる、ビジネスチャンスが眠っているといった情報が分かると思います。以上
です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。加藤委員、お願いします。
しろまる加藤委員
私もp17 を見ながら考えていたのですが、
これ自体には違和感はないですし皆さんのお
っしゃったこともその通りかなと思いますが、任意報告なのでもう少し踏み込んでお話す
ると、その企業の構造が時系列で見えるといいかなと思っています。構造というのは、例
えばエネルギー消費量の推移や排出係数の推移、オフセットクレジットや証書はどういう
種類でどういう量を使っているかとか、その辺が時系列で見えると分かりやすいかなと思 22います。
というのは、全体の排出量がエネルギー消費の効率化によって達成できたのか、排出係
数の低減によって達成できたのか。また、排出量の削減についてもオフセットクレジット
がどのくらい使われているか。それは既に項目に入っているのだと思いますが、そういう
ことが見えると全体の構造が分かりやすく時系列で見えていいのではないかと思います。
特にオフセットクレジットや証書のところはカーボンプライシング、クレジット市場を
活性化させていくことともつながるかもしれませんが、任意というよりこういう項目につ
いては開示してもらいたいと思いますし、それによってマーケットの状況、ニーズの見え
る化がされることによって市場の活性化にもつながっていくのではないかと思っています。
それから、業界内や企業間での比較が重要と思っていますので、任意項目であってもあ
る程度定量的に示されるものについてはフォーマットのようなものがあって、それに入力
すると業界ごとの比較が簡易にできるようになると良いと思います。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。では事務局、お願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。様々な視点をいただいたと思っております。松原委員からは、
イノベーション・機会ということも項目に入れてはどうかというご示唆をいただいたと思
っております。
また、馬場委員からも同様に機会なりビジネスモデルの転換ということで、おそらく単
年の排出量の増減というよりイノベーションなりビジネスモデルの転換も含めて企業とし
てどう取り組んでいるか、といった点についての項目というふうに受け止めております。
また、馬場委員からは、積極的ということについては判断軸が必要というご示唆をいただ
いたということと、TCFDについては賛同だけでなく開示していることが重要というこ
とでURLについてもコメントをいただいたということで、取組の内容についての項目へ
のご示唆と受け止めています。
加藤委員からは、比較という視点で時系列、また業界や他社との比較についてコメント
をいただいたと思っております。また、クレジットも含めた構造ということでしたが、具
体的にどういう取組をしているかについて分解するというご示唆と受け止めています。私
からは以上です。
しろまる大塚座長
よろしいでしょうか。山内委員、お願いします。
しろまる山内委員
任意開示の充実については、例えばTCFDに対応した開示を行っている企業は現時点
ではそれほど多くないと思いますが、コーポレートガバナンス・コードの改定もあって、
おそらく来年以降には急速に増えてくるということになると、ここで提示していただいて
いるような内容は各企業が統合報告書等で任意開示していくことになりますので、重複感 23をどう避けるかというところがポイントになってくるかと思います。資料の中では詳細情
報については関連URL等で代替可能という提案もあるので、ぜひそういった形で企業の
負担を減らすこともお考えいただければと思います。
それから、任意報告の各項目についてはTCFD等のフレームワークに整合するような
形で整理していくということで、グローバルもそういった方向で進んでいますので理想と
して望ましいと考えるところですが、本制度の対象は1万 3,000 社ということで非常に裾
野が広くなっておりますので、一般の会社にとってはハードルが高いところもあるのかな
と思います。現時点でTCFDに賛同している会社数は 500 社程度ですし、急速に広げる
ということであればそこはケアしていかなければいけないということで、各社のニーズや
重要度に応じて十分に時間をかけて取組をできるような形で配慮いただければと思います。
それからp17 の任意報告に追加を検討する項目については基本的に違和感はなくて、任意で開示しているところは既にこういった項目で開示していると思いますが、1点だけ申
し上げると、Scope3の排出量の開示についてはTCFDにおいても強制開示の範囲に含
めるかどうかの議論がされております。
Scope3の開示は非常に重要ではありますが、
排出
量の計測に当たっていろいろな制約があり、企業ごとに計算方法や集計範囲が異なる可能
性があるという性質のものですので、これを反映させるということについては現時点では
ある程度慎重に判断すべきではないかと思っています。
最後に、事業者による任意報告と適切な評価を促す方策についてですが、私ども企業と
してはステークホルダーから直接問われることが一番効果的で、かつ積極的にやる気も出
るというところがございます。こういう形で任意報告をしても誰からも何も聞かれないと
いうことではなく、
例えば投資家や金融機関、
または地方自治体から
「開示を見ましたよ」
と。
「こういう点は評価できるけれども、こういう点が課題ではないか」というようなお話
を実際にいただけると、最近はそういうことも多くなってきましたが、そういうやりとり
があると普及が進むのではないかと思います。最後の点は感想でございます。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。三原委員、お願いします。
しろまる三原委員
p17 の方策のところに書かれているように、
脱炭素化に積極的に取り組む事業者が評価
されることには大賛成です。行政として何か後押しできないかということで2点、考えて
おります。1つは、自治体ではいろいろな表彰制度を行っています。大阪市では環境に関
する表彰制度がありますが、
その審査に当たって活用できないかと思っているところです。
大阪市の環境表彰ですが、審査基準には独自性や先駆性、情報発信力のほか具体的な成果
としていろいろな数値化を求めていますが、そういった情報が任意報告の情報にもリンク
して審査の参考にできればと思っています。
そのほかにも例えばごみ減量や生物多様性といった特定の分野で表彰制度を設けている
自治体もあろうかと思いますので、そういった審査において温暖化の取組を何か加点でき
るようなことができればと思っているところです。
もう1つは、行政が関わって企業同士の勉強会やセミナーをやっておりますが、温暖化 24対策に率先して取り組んでいる事業者を探してもなかなか見つからないということがあり
ますので、こういった任意報告の情報を元に事業者がPRできる機会を設けたり、開示に
取り組んでいない事業者のインセンティブにつなげることができるのではないかと思って
いるところです。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。淺野委員、お願いします。
しろまる淺野委員
先程申し上げた点と若干重なるのですが、使う側の観点に立つと相対比較性や定量化と
いったものがどうしても必要になってくると思います。その時に、今の算定・報告・公表
制度の中で出しているものはカバー範囲やデータの前提が非常にクリアに定義されていま
すので前提条件が統一されていて、事業者によっては実態が反映しきれていないという部
分はありつつも、
一部の相対比較などについては有益な部分があるだろうと思いますので、
デジタル化は早急に進める意義があろうかと思います。また、実態を表せていないケース
もある中で、そこをしっかり見ていけるように任意報告の対象範囲を拡充するということ
も意義のあることだと思います。
一方で、
相対比較性をどこまで持たせるか、
前提をどこまで揃えるのかといったことと、
自主性や開示の手間なども含めて企業の状況に合わせたフレキシビリティをある程度認め
るということのバランスはジレンマ的な部分があると思っています。相対比較性の観点を
強めれば強めるほどハードルは高くなって、制度への理解や浸透がなかなか進まないとい
う側面もあろうかと思います。
その中で、IFRS財団が進めている開示基準の統一化が一つのデファクトになってい
くのではないかという見方が有力になりつつあり注目が集まっています。欧州での議論が
先行していますがまさにハードローとソフトローの使い分けのようなところは、我が国に
おいても法定開示でどこまで求めていくかという議論がなされていると理解していますし、
そういった議論の趨勢も注視していく必要があるだろうと思っています。
こういう状況にあって、任意開示の中に何をどこまで含めるかということは、世の中全
体の議論がある程度落ち着いたところで、それに沿って中身をしっかり詰めていくという
考え方もあろうかと思いますので、時間軸を今の制度の中でのデジタル化とは別に、それ
以外の拡充のところはターゲットに置くゴールを少しずらしてもいいのではないかと先程
申し上げた背景はそこにもあります。
具体的には、加藤委員がさっきおっしゃったようなポイント。すなわち Scope3や削減
貢献量、クレジットについては現時点において何をどこまで含めるのか、どれを使ってネ
ットゼロと言うのかという前提の置き方は企業によってばらばらだと思うので、今のばら
ばらの状況で各社が各様に出したとしても、注釈をどれだけ付けたとしてもかえって逆に
使う側にとっては混乱するのではないかと思う次第です。以上です。
しろまる大塚座長
工藤委員、お願いします。 25しろまる工藤委員
私自身がシンプルに考えているのは、どういう情報を任意で出してもらうかという判断
基準をもう少し明確にする必要があるという点です。おそらくいろいろな意味で時間軸の
中で世の中の重要度や認知度が高まってくるようなものではなく広く社会一般、例えばそ
ういった取組を認知させたいというステークホルダーに対するものなのか、かなり特殊な
目的に応じてデータを使いたいと言っているのかというような点に関して整理する必要が
あるのではないかと思います。
なぜかというと、既にいろいろなニーズが高まっていることは間違いなくて、ニーズに
対してすべからく任意報告でカバーするのかというような判断が大事ではないかと思って
います。例えばTCFDなり金融機関の中で求められているデータについては、そういっ
たデータの開示を主目的とする場が今後できてくるかもしれませんし、そういう場のリン
クを張れば済む話ということもあると思います。
一方で、馬場委員がおっしゃっていたのですが、努力しているところとしていないとこ
ろの定量的な評価みたいなことができるのか、ということについてはグレーな世界がある
と思っています。一覧性がこの制度のベースにあるという説明がありましたが、基礎的な
データの正確性というものもあって、それに付随した情報も基本的には客観性を持たせた
ものということがおそらく大事だろうと思います。算定方法の違うものが一覧になった時
に混乱する可能性があるということであれば、客観性をしっかりと担保した情報であるか
否かという判断基準を明確にし、そういうものが整備されていく、もしくは社会的ニーズ
が高まっていくのであれば継続的にそういった情報の開示についてもいろいろな意味で検
討して採用するかどうかを判断していくという姿勢もあっていいのではないかと思う次第
です。以上です。
しろまる大塚座長
ありがとうございます。松原委員、お願いします。
しろまる松原委員
先程の工藤委員からの話にも関係するのですが、任意報告をすべての事業者1万 3,525
社のすべてに求めるというのは無理な話で、ステークホルダーの関心事項との整合性の観
点で金融市場に向き合っている企業、特にプライム市場に上場する企業になろうかと思い
ます。そういう意味ではステークホルダーの関心事項がどのレベルにあるのかということ
もポイントになると考えますので、
十把一絡げにすべてに任意報告を求めるというよりは、
ステークホルダーがどういったところに関心を持っているかということも考慮しながら、
よりフォーカスしながら求めていく形もあるのではないかと思います。以上です。
しろまる大塚座長
現在も任意報告をしているのは1%程度ですので、そういう形になるだろうとは思いま
す。では事務局、お願いします。 26しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
ありがとうございます。たくさんのご意見をいただきまして、重複感を避けるという視
点、
対象の裾野を広げるかどうかといった視点をいただきましたし、
Scope3算定上の課題、
活用が進むことが重要というご意見を山内委員からいただいています。三原委員からは具
体的な活用についてのアイディアをいただきましたし、淺野委員からは時間軸についての
ご示唆をいただき、
また全体の議論や可能性についての議論をいただいたと思っています。
工藤委員からは判断基準や客観性といったことで、どういった項目を入れていくかという
検討に活かしていくということで、継続的に項目を検討しながら入れ替えていくというよ
うな時間軸に関するご示唆だったと思っています。松原委員からも、任意報告の対象者に
ついてどういうふうに考えるかということについてご意見をいただいたということで、い
ろいろな視点をいただきましたので事務局で検討していきたいと考えております。
しろまる大塚座長
ありがとうございました。本当はここでオブザーバーの方からコメントをいただきたい
ところですが、時間を過ぎておりますので、事務局に1週間以内にコメントなどのメール
をいただければありがたいと思います。
それでは今後の予定等について事務局から説明をお願いします。
しろまる事務局(地球温暖化対策課・岸補佐)
本日は活発なご議論をいただきましてありがとうございました。また、システムのトラ
ブル等で運営の不手際がありまして失礼いたしました。次回の検討会については詳細が決
まり次第、別途連絡をさせていただきたいと思います。本日の議事録につきましては事務
局で作成の上、委員の皆様にご確認いただきました後、環境省のホームページに掲載させ
ていただきたいと思っております。事務局からは以上です。
しろまる大塚座長
それではこれにて閉会といたします。本日はありがとうございました。
(了)

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