公表データの活用促進に向けた方策について
(改定版)
資料3 1第1回検討会にていただいた主なご意見
公表の迅速化
 デジタル化・オープンデータ化を図るという方向性には賛同。デジタル化・オープンデータ化にあたっては、公表タイミングを含む
データのクオリティも重要である。
 公表の迅速化は重要であり、期待したい。報告後2年経過した情報では活用が難しく、1年以内が望ましい。一方で、
2段階公表とする場合にはランキング化される等の誤解をうまないよう、配慮いただきたい。
活用されやすい公表
 公表画面については、データのダウンロード機能や目標の基準値の排出量データを閲覧できるようにしたりする等、事業者・
活用者の意見を反映させたものにしていただきたい。
 証券コードとの紐づけがなされていると、投融資機関にとって活用しやすい可能性がある。
GHGプロトコル、PCAFとの関係
 PCAFで投融資先排出量の算定が求められるようになっているところ、本制度のデータがPCAFで利用できるかどうかで活用度
は変わると考えられる。国際的なスタンダードであるGHGプロトコルの算定基準との違いを整理した上で、整合させるか、又は
差異があっても埋める仕組みがあれば、利用頻度が上がると考えられるので、事業負担も考慮しながら検討いただきたい。
 各データのGHGプロトコルへの準拠有無、第三者認証の有無が分かると良い。
公表データの活用促進
 活用促進には、報告事業者自らがフィードバックを受けて自社の取組を再検討する側面と、ステークホルダーが報告事業者の
排出量等の情報を活用した結果として事業者の取組を促進する側面とがある。そういった整理を行ってはどうか。
 組立メーカーが今後SBTに取り組み、バリューチェーンでCO2を減らしていく目標を示している中で、このシステムを使っていただ
けると良い。
 公表データの活用にあたって、金融機関の一次スクリーニングに排出量データの使用を推奨すると形式的・一律的判断を
助⻑しないか。また、任意報告は現状では少なく、業界内比較等が困難ではないか。 21. 公表方法の現状と課題
2. 公表の迅速化に向けた方向性
3. 活用されやすい公表に向けた検討
4. 活用の観点での算定方法の課題
5. 公表データの活用促進に向けた方策
について
目次 31. 公表方法の現状と課題
2. 公表の迅速化に向けた方向性
3. 活用されやすい公表に向けた検討
4. 活用の観点での算定方法の課題
5. 公表データの活用促進に向けた方策
について
目次 4現在の集計結果の公表方法
 現在の集計結果は、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度ホームページにてPDF・Excel形式で公表。
 URL:https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/result
 当該年度の排出量について、
事業者からの報告状況、事業者別・業種別・
都道府県別の温室効果ガス排出量の集計結果等を、
PDF・Excel形式でホームページにて公表。
 法改正により、令和3年度排出量からは、
事業所ごとのデータも公表予定。
出所)温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度HP https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/result
(最終閲覧日:2021年9月9日) 5現在の公表方法における課題
 本制度は、集計結果が無料で誰でもアクセス可能であり、中小企業を含む多くの企業の情報を
集約しており横並び比較がしやすい等の特徴があることから、有効に活用されることが望ましい。
 一方、現状では自治体・事業者等において、本制度の公表データの認知度は高くなく、認知されて
いても活用はあまり進んでいない。そこで本議題では、公表の迅速化、活用されやすい公表方法、
その他の公表データの活用促進に向けた方策について検討を行う。
目的 検討の論点
活用を阻む要因(報告から公表までの
時間)の排除
1公表の迅速化
活用にあたっての利便性の確保 2活用されやすい公表方法
制度外での関係者への認知度向上や
活用の働きかけ
3その他の公表データの活用促進に
向けた方策
制度自体の
見直し
制度の普及 6【参考】自治体・事業者における集計結果の活用状況18%52%19%10%
( n=105 )
活用している
公表・開示されていることは知っていたが、活用はしていない
公表・開示されていることを知らなかったが、今後活用を考えたい
公表・開示されていることは知らなかったし、今後も活用するつもりはない
自治体における集計結果の活用状況 事業者における集計結果の認知・活用状況
1.上位500 社 (n=290)
2.その他1,000 社 (n=477)22.152.646.918.031.029.4
0% 20% 40% 60% 80% 100%SA公表されていると知っており、活用している
公表されていると知っているが、活用していない
公表されていることを知らない
出所)再生可能エネルギーの導入及び温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度
に関するアンケート(2020年10月環境省実施)28.142.734.634.934.921.52.41.0
0% 20% 40% 60% 80% 100%
上位500社( n=335 )
その他1,000社( n=522 )
報告したデータが公表されるまでに2年かかっていても、集計結果の活用にあたっては特に問題ではない
報告したデータが公表されるまでに2年はかかりすぎであり、1年程度で公表されると活用価値があがる
報告したデータが公表されるまでに2年はかかりすぎであり、報告年度内に公表されると活用価値があがる
その他
出所)令和元年度 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 実態調査(2020年1月環境省実施)
公表期間と活用価値の関係
出所)令和2年度 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表に関する意向調査
(事業者アンケート)(2020年10〜11月環境省実施)
 現状では、本制度の集計結果を活用している自治体は18%に留まる。事業者については、排出
量上位500社は約47%が活用しているものの、その他の報告事業者は18%に留まる。
 報告から公表までに2年かかっていても、活用にあたって問題ないとした事業者は半分以下であった。 71. 公表方法の現状と課題
2. 公表の迅速化に向けた方向性
3. 活用されやすい公表に向けた検討
4. 活用の観点での算定方法の課題
5. 公表データの活用促進に向けた方策
について
目次 8公表の迅速化・データのオープン化に向けた課題
約2年
事業所管省庁
事業者
電子化に伴う
疑義
制度所管省庁(環境省・経産省)報告書電子化
報告書提出公表資料作成排出量の集計報告書デタの確認
基本情報等に
関する疑義
排出量等に
関する疑義
疑義照会1報告書デタの共有
排出量情報の通知
PDF形式
電子報告システムからの
エクスポートデータ
疑義照会2 疑義照会3
紙、PDF等疑義照会3回答内容の確認報告書作成XML形式報告書の受理
疑義照会内容:【疑義照会1】様式に欠落等がある報告書等、【疑義照会2】基本情報の欠落や不備、公表漏れの恐れがある報告書等、【疑義照会3】重複データや不整合のある排出量
データなど、集計結果に影響を及ぼす恐れのある排出量情報等
集計結果公表
開示データ
 現状は、事業者から提出される報告書は紙媒体が中心であり、報告書情報の電子化作業を行っているが、
報告書様式に欠落のある報告書が一定数報告されている。
 また、集計に必要な基礎情報の不備や整合の取れない排出量情報等の報告が散見しており、公表に至るま
での集計作業において多くの疑義事項が発生している。
 疑義事項の解消に向けた集計工程の⻑期化が、集計結果公表までに2年を要する大きな要因となっている。 9公表の迅速化に向けた方策
 排出量情報に関して疑義対象となる事業者は、報告事業者全体の約1割である。疑義事項が
生じない9割の事業者について、集計結果公表の前に事業者情報および排出量情報を公表する
ことで、集計結果公表より約9ヵ月以上の前倒しが可能となる。
 2段階公表にあたっては、1段階目のデータには一部事業者データが欠けている旨を注記する等、
誤解を与えないよう留意する。
事業所管省庁
事業者 制度所管省庁(環境省・経産省)報告書電子化
報告書提出公表資料作成排出量の集計報告書デタの確認
排出量等に
関する疑義
疑義照会1報告書デタの共有
排出量情報の通知
PDF形式
疑義照会2 疑義照会3疑義照会3回答内容の確認報告書作成XML形式報告書の受理
集計結果
公表
電子化に伴う
疑義
基本情報等に
関する疑義
電子報告システムからの
エクスポートデータ
約9ヵ月以上の前倒しで公表が可能
事業者情報・排出量
情報の公表
2段階公表
EEGSの活用による効率化
更新 101. 公表方法の現状と課題
2. 公表の迅速化に向けた方向性
3. 活用されやすい公表に向けた検討
4. 活用の観点での算定方法の課題
5. 公表データの活用促進に向けた方策
について
目次 11活用の観点からみた現状の公表方法の課題
 現在の公表方法では、事業者間比較や経年変化の把握等がしづらく、活用の観点で課題がある。
レポートにはあらかじめ定められた集計結果のみが記載されており、閲覧者の確認したい条件に
あわせた集計結果を確認するには、Excelをダウンロードし自ら分析する必要がある。
同業他社との比較をするには、事業者名・事業所名をもとに自ら確認したいデータを検索する
必要がある(公表データには業種データが紐づいていない)。
事業者別・業種別等の集計結果の経年変化を把握するためには、各年度のデータを
ダウンロードし、自ら分析する必要がある。
排出
年度
特定排出
者コード
特定排出
者名
温室効果ガス算定排出量(単位:tCO2) 合計(tCO2)
関連
情報
提出の
有無
エネルギー
起源CO2
非エネルギー
起源CO2
非エネルギー
起源CO2
(廃棄物の原
燃料使用)
CH4 ・・・
調整前温
室効果ガス
排出量
調整後温
室効果ガス
排出量
2017 XXXXXXXXX A社 30,000 30,000 30,100 無
2017 XXXXXXXXX B社 20,000 20,000 19,800 有
2017 XXXXXXXXX C社 2,000,000 100,000 12,000 2,200,000 2,180,000 無
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
現在の集計結果資料(Excel)イメージ
 事業者の情報が
五十音順で一覧
になっており、情報
を取得したい事業
者を見つけることが
やや困難。
 業種の記載がなく、
同業他社の比較
にも手間がかかる。
 排出量に関するデー
タは当該報告年度
のデータのみが記載
されており、経年変
化の分析のためには、
過去のExcelをダウ
ンロードする必要が
ある。 12排出量等公表機能の概要
特定排出者/
特定事業所別
排出量等の
公表1• 報告された特定排出者/特定事業所の排出量情報等を、EEGSのユーザーに限らず
一般向けに公表する機能を実装。
• 閲覧者は、業種等で事業者・事業所を検索し、データを抽出・出力したり、各事業
者・事業所のページの中で排出量の経年変化や任意報告内容を確認したりすること
が可能となる。
• これにより、閲覧者による公表データの活用可能性・利便性が高まるとともに、報告者
が、同業他社と排出状況(原単位)を比較したり、他社の効果的な排出削減措置
や気候変動対策の取組状況等を把握したりすることが可能となり、報告者に対してよ
り積極的・効果的な排出削減を促す仕組みとなることが期待される。
集計結果の
公表
• ガス種類別/業種別/都道府県・市区町村別に集計された排出量情報等の経年変化
を公表する機能を実装。2☛データは各種条件での検索、抽出、出力が可能
 現在、EEGSにて排出量等の公表機能を検討中(公表機能の実現は2023年4月を予定)。
 新たな公表画面では、業種等で事業者・事業所を検索し、データ抽出したり、各事業者・事業所のページ
の中で、排出量の経年変化を確認したりできることを想定している。
(注記)公表は、「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度ウェブサイト」で行う想定
更新 13排出量等公表機能の画面構成の全体像
SHK HP
(環境省)
SHK HP
(環境省)
事業者(事業所)別
排出量等公表画面
事業者(事業所)別
排出量等公表画面
集計結果の公表画面
集計結果の公表画面
事業者・事業所
検索画面
事業者・事業所
検索画面
事業者別排出量等
公表画面
事業者別排出量等
公表画面
集計条件設定・
集計結果出力画面
集計条件設定・
集計結果出力画面
事業所別排出量等
公表画面
事業所別排出量等
公表画面
• 事業者、事業所名称、排出者区
分、事業分類、所在地等で検索し、
一覧を表示
• 集計年度、対象とする特定排出者区分、排出量
種類、集計方法(温室効果ガスの種類別、業種
別、所在地別)等の集計条件設定画面
• 画面上で集計結果がグラフ表示
• 既存の環境省SHKHP上
にメニューを追加した上で掲
載する形を想定
(「集計結果」は現行ペー
ジ改修)
⇒P14に画面イメージ記載 ⇒P15に画面イメージ記載
⇒P16に画面イメージ記載
更新 14排出量等公表機能の画面イメージ【事業者・事業所検索画面】
事業者ごとに、事業所を検索表示する画面
トップページから、事業者・事業所を検索表示する画面
更新 15排出量等公表機能の画面イメージ【事業者別排出量等公表画面】
義務的報告事項の表示 任意報告事項の表示
(注記)任意報告事項の項目はイメージ。実際の項目は今後の様式の改定による。
更新 16排出量等公表機能の画面イメージ【事業所別排出量等公表画面】
義務的報告事項の表示 任意報告事項の表示
(注記)任意報告事項の項目はイメージ。実際の項目は今後の様式の改定による。 171. 公表方法の現状と課題
2. 公表の迅速化に向けた方向性
3. 活用されやすい公表に向けた検討
4. 活用の観点での算定方法の課題
5. 公表データの活用促進に向けた方策
について
目次 章追加 18 TCFDやPCAF等の様々なイニシアティブで算定方法として提示される等、GHG排出量算定・報告の基準の
デファクトスタンダードとなりつつあるGHGプロトコルと、本制度の算定方法には複数の相違点があり、本制度で
報告された情報を活用する上での課題となっている。
 本制度は、法律に基づき事業者等に義務を課すため、報告者・対象活動・算定方法等を詳細に規定。また、
エネ起CO2については、事業者の二重負担を避けるため、省エネ法に基づく報告とバウンダリを統一している。
 本論点については、専門的・技術的観点からの議論が必要となることから、別途設置予定の本制度の算定
方法に関する検討会において、本検討会での御意見も踏まえつつ御議論いただくこととする。
出所)各種資料に基づき三菱総合研究所作成
活用の観点での算定方法の課題
項目 算定・報告・公表制度 GHGプロトコル
報告の単位(組織の境界)
• 国内での排出が対象
• 事業者単位
• 全世界での排出が対象
• 企業グループ単位(支配力基準等)
調達した再エネ電力の扱い
再エネ電力量をCO2排出量に換算して、事後的に
排出量を調整
再エネ証書を得た電力量に由来する排出量は0とみなす
対象となる排出活動
主にScope1、Scope2が対象。
Scope3は一部を除き対象外。
Scope1,2が必須。Scope3は任意
自家発電電力(発電所含む)
の他者供給分の扱い
供給を受けた者のScope2としてカウント Scope1としてカウント
他者から供給された電気の間接排出の
算定に用いる電力排出係数の扱い
電気事業者別排出係数を適用
(マーケット基準手法*1を採用)
ロケーション基準*2とマーケット基準*1の2通りの
手法で報告を求めている
電気事業者による排出係数算定
における非化石証書の扱い
証書発行後の電気の電力使用量に全国平均係数を
適用して算定し、調達した非化石証書の電力量に
全国平均係数を乗じた量を控除
証書発行後の電気に残渣混合係数を適用しつつ、
調達した非化石証書分の電力量は排出係数0として算定
*1 マーケット基準手法:企業が購入している電気の契約内容を反映して、スコープ2排出量を算定する手法
*2 ロケーション基準手法:特定のロケーション(グリッドの範囲や同一の法体系が適用される範囲)に対する
平均的な電力排出係数に基づいて、スコープ2排出量を算定する手法
追加 19【参考】PCAFの概要
 PCAFは、2015年に欧州の金融機関を中心として発足した、金融機関の投融資先のGHG排出
量を把握するための手法開発を目的とするイニシアティブである。様々なアセットクラスに対応できる
グローバルなGHG会計基準の策定を行っている。
 PCAFが示す基準(注記)1は、GHGプロトコルのコーポレート基準(注記)2およびスコープ3基準(注記)3の原則を
利用しつつ、5つの要件が追加されている。
(注記)1 The Global GHG Accounting and Reporting Standard for the Financial Industry
(注記)2 The GHG Protocol Corporate Accounting and Reporting Standard
(注記)3 The Corporate Value Chain (Scope 3) Accounting and Reporting Standard
出所)金融庁ウェブサイト https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210618-2/01.pdf
PCAFウェブサイト https://carbonaccountingfinancials.com/files/downloads/PCAF-Global-GHG-
Standard.pdf
(最終閲覧日:2021年10月5日)
Scope3に関するGHGプロトコルの原則
1.完全性
インベントリ境界内の全ての GHG 排出源及び活動について算定しかつ報告する。特定の除外事項は開
示し、かつその正当性を説明 する。
2.一貫性
排出量についての排出実績の有意な経時的追跡を可能にするために一貫した方法を使用する。 データ、
インベントリ境界、手法又はその他の関連要素についてのいかなる変更についても、透明性をもって時系列
で文書化する。
3. 目的適合性
GHG インベントリが、事業者の GHG 排出量を適切に表し、かつ、事業者の内部及び外部双方の利用
者の意思決定上のニーズに役立つことを確実に期する。
4.正確性
GHG 排出量の定量化が、判断可能な限り、実際の排出量よりも 構造的に過大又は過少にならないよう
に、かつ、不確実性は、実務上可能な限り、削減することを確実にする。報告された情報の十全性について、
利用者が合理的な確信をもって、意思決定できるような十分な正確性を達成しなければならない。
5.透明性
事実に基づく首尾一貫した方法で、明確な監査証跡に基づき、 全ての関連する問題を取り扱う。 如何な
る関連する前提も開示し、算定及び計算の方法及び使用されたデータについての適切な言及を行う。
PCAFの追加的要件
【認識】金融機関は、 「GHGプロトコル企業のバリューチェーン(スコープ 3)
算定と報告の標準」 で定義されているスコープ3カテゴリ15 (投資) に基づき、
すべての融資対象の排出量を算定する。いかなる除外も、開示され、正当化さ
れなければならない。
【測定】金融機関は、 「資金を追跡する」 ことにより、PCAF手法を用いて、各資
産クラスの融資の排出量を測定し、報告しなければならない。最低限、絶対的な
排出量を測定する必要があり、データ利用と測定が可能であれば、回避され除
去された排出量も測定することができる。
【帰属】金融機関の排出シェアは、債務者または被投資会社の (企業またはプ
ロジェクトの) 総価値に対する比例するものとする。
【データ品質】金融機関は、各資産クラスで利用可能な最高品質のデータを使
用し、時間の経過とともにデータの品質を改善しなければならない。
【開示】PCAF評価の結果の公表は、外部の利害関係者や金融機関が、金融
機関の投資がパリの気候目標にどのように貢献しているかについて、明確で比較
可能な見解を持つために重要である。
追加 20【参考】PCAF基準における排出量の算定方法
時期 対象となるセクター
2021年以降 (少なくとも)エネルギー(石油・ガス)、採掘
2024年以降 (少なくとも)運輸、建設、不動産、
素材、産業活動
2026年以降 すべてのセクター
 金融機関は、金融機関の投融資残高(分子) と投融資先企業の価値 (分母) の比率に基づき、
投融資先企業の年間排出量の一部を計上することが定められている。
 対象範囲について、PCAFは、金融機関が全てのセクターにおいて、債務者・被投資者の
Scope1,2の排出量の絶対値を報告する。債務者・被投資者のScope3排出量については、段
階的に計測・報告すべきセクターを拡大する方針が定められている。
図:投融資先のGHG排出量の測定
GHGプロトコルに準拠して計算される投融
資先のGHG排出量について、持分比で按
分して報告する
表:投融資先のScope3排出量も報告対象となるセクター
対象となるセクターは、EU金融ベンチマーク
規則(2016/2011)に基づく開示義務
を参考に指定されている
出所)日本取引所グループウェブサイト https://www.jpx.co.jp/corporate/sustainability/esgknowledgehub/esg-seminar/CRIEPI_Tomita.pdf (最終閲覧日:2021年10月5日)
PCAFウェブサイト https://carbonaccountingfinancials.com/files/downloads/PCAF-Global-GHG-Standard.pdf (最終閲覧日:2021年10月5日)
追加 211. 公表方法の現状と課題
2. 公表の迅速化に向けた方向性
3. 活用されやすい公表に向けた検討
4. 活用の観点での算定方法の課題
5. 公表データの活用促進に向けた方策
について
目次 22報告事業者・ステークホルダーにおける公表データの活用促進
 本制度の公表データの活用場面としては、以下の2種類があると考えられる。
1 報告事業者による活用:報告事業者が自ら実施する取組の評価・検討に活用する
2 ステークホルダーによる活用:投資家・金融機関、情報ベンダー、サプライチェーン企業、自
治体等のステークホルダーが、企業の取組状況の確認・評価に活用する
 主体別に活用場面・方策を整理の上、活用促進に向けて広く周知活動を実施する。
更新
1報告事業者  同業種・同規模の事業者における自社の立ち位置(気候関連の取組状況の進捗)の把握。
 同業種・同規模の事業者で、CO2排出量の低減に努めている事業者の特定、取組の工夫に関する
情報取得。
2ステークホルダー  投資家・金融機関、情報ベンダー
 事業者/事業所排出量を、金融機関の投融資先排出量の把握に活用。
 事業者/事業所排出量や任意報告事項を、投融資先判断に活用。
 サプライチェーン排出量を算定する企業
 取引先の事業者/事業所排出量に売上高割合等を乗じることで、サプライチェーン排出量の算定
に活用。
 自治体
 事業所排出量を、自治体の区域内排出量の算定等に活用(計画書制度の代替)。
 表彰制度の審査に、任意報告を含めた公表データを活用。
 温暖化対策に関するセミナー開催等の際、先進的な温暖化対策を実施している事業者の選定に、
任意報告の内容を含む公表データを活用。
表:各主体のデータ活用場面・方策

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