任意報告の拡充について
資料5 11. 現在の任意報告様式
2. 報告者・情報活用者からの
任意報告に対する期待
3. 任意報告改定の方向性
目次 21. 現在の任意報告様式
2. 報告者・情報活用者からの
任意報告に対する期待
3. 任意報告改定の方向性
目次 3現在の本制度における報告事項
 現在の制度では、事業者の基礎情報及び排出量(基礎排出量、調整後排出量)のみが
義務的報告事項となっている。
 公表・開示される情報に対する理解の増進のため、排出量の報告にあわせて関連情報を報告
できる任意報告様式が用意されているが、報告数は報告者数全体の1%未満に留まっている。
1 温室効果ガス算定排出量の増減の状況に関する情報
(増減の状況、理由、増減の状況についての排出者自身の評価 等)
2 温室効果ガスの排出原単位の増減の状況に関する情報
(把握している排出量に係る排出原単位の増減の状況 等)
3 温室効果ガスの排出量の削減に関し実施した措置に関する情報
(事業所又は事業者単位での省エネルギー対策その他の取組、製造した製品等による他の者の排出削減に寄与する取組 等)
4温室効果ガス算定排出量等の算定方法及び算定の基礎となるデータの管理方法に関する情報
(算定方法の詳細 等)
5 その他の情報
(吸収作用の保全強化措置、クレジット・再エネ証書購入量・サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の情報 等)
任意報告事項
事業者に係る情報 特定事業所に係る情報
特定事業所排出者 44事業者 75事業所
特定輸送排出者 9事業者 -
合計 128事業者・事業所
関連情報の提供件数(平成29年度排出量分) 4任意報告様式 5【参考】任意報告様式への記載内容例(平成29年度分排出量)
任意報告事項 回答件数 記載例
1.温室効果ガス算定排出量の増減の状況
に関する情報
26件
 排出量の増減の要因に関する記載
 電力係数の変更
 生産量の増減等、事業の状況
 算定に関する補足
 算定方法に関する補足
 SHK制度の算定方法では反映できない削減効果に関する記載
2.温室効果ガス排出原単位の増減の状況
に関する情報
13件
 過去からの排出原単位の変化
 現在および過去の排出原単位の値
 排出原単位の増減の理由
 使用している排出原単位に関する補足
 実測値ではなく業界団体の公表値を活用して算定している事項の説明
3.温室効果ガスの排出量の削減に関し
実施した措置に関する情報
29件
 具体的な措置の内容
 高効率設備への更新、不要な機器の停止、消灯等
 コジェネレーションによる削減効果の記載(複数)
4.温室効果ガス算定排出量等の算定方法
及び算定の基礎となるデータの管理方法に関
する情報
26件
 電力の使用に係る排出係数
 活用した値
 活用した値の出所
 燃料・電力量等の管理方法
 データロガー、日誌等
5.その他の情報 19件
 排出削減目標、環境指針、環境に関する取組
 排出量の内訳、自家発電に関する補足
 算定方法に関する要望
 特定事業所排出者が提供した関連情報の回答状況は下表のとおり。
出所)温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度HP https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/result (最終閲覧日:2021年9月3日) 6事業者の脱炭素化に向けた温室効果ガス算定・報告・公表制度等の見直し
 令和2年度、「地球温暖化対策の推進に関する制度検討会」(以下、「令和2年度検討会」
という。)の中で、報告内容の充実化について以下の方向性がとりまとめられた。
 報告内容の充実化に関する方向性
 脱炭素社会の実現に向けた更なる自主的取組の促進に当たっては、排出量のみならず、
事業者の取組内容等に関する報告を促すことが効果的であると考えられ、ESG金融への
対応への活用の可能性や、脱炭素経営の実践を促す効果が期待される。
 事業者の積極的な取組を見える化する観点で、任意報告を充実させるべきである。
 任意報告の充実にあたっては、下記の点に留意すべきである。
• 既存の開示フレームワークとの整合性
• 電子システムの設計において報告しやすくする工夫
• 任意報告を通じて脱炭素化に積極的に取り組む事業者が評価されるような方策
• 事業者等の実態・意見を踏まえること
• 国として、任意で報告された企業の排出量の増減や取組内容等の情報に関する
社会的理解や適切な評価を促進するための啓発に努めること
出所)環境省「地球温暖化対策の更なる推進に向けた今後の制度的対応の方向性について」(令和2年12月)
http://www.env.go.jp/earth/torimatome.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日) 71. 現在の任意報告様式
2. 報告者・情報活用者からの
任意報告に対する期待
3. 任意報告改定の方向性
目次 8本制度の特徴
正確性
範囲性
(網羅性)
継続性 比較可能性 迅速性 切実性
本制度
一定以上の温室
効果ガスを排出す
る事業者を網羅
(約1.4万者)
2006年以降
継続して実施(注記)
(注記)一部制度変更あり
一覧で公表。
算定方法が揃っ
ているため、比較
可能性が高い
集計から公表まで
2年程度
義務報告は
排出量情報のみ、
報告後のコミュニ
ケーションはほとん
どない
計画書制度
算定方法を
具体的に規定
(詳細は自治体に
より異なる)
特定地域における
条件にあう事業者
を網羅
自治体の制度に
依存
排出量については
本制度と基本的
に同様
自治体により
異なる
自治体によっては
評価制度ありCDPGHGプロトコルに準
拠(原則主義)
(第三者認証を
取得する企業も)
一定以上の規模
の企業が中心
(日本で
数百者)
システムとしては
2003年から存在
も、対象者は限定
一覧できる形式で
の個別事業者の
回答の確認は
有料
集計から公表まで
約4か月
ESG投資等に
おける参考情報
として注目
TCFD 2017年に公表
個別事業者の情
報を収集する
必要あり
企業により異なる
(一般に、前年
度情報を開示)
統合報告書等
の情報開示
各社で算定
(第三者認証を
取得する企業も)
一定以上の規模
の上場企業が
中心
担保されていない
 令和2年度検討会において提示された「情報開示において重要な要素」について、他制度と比較
すると、本制度は正確性・範囲性(網羅性)・継続性・比較可能性等に強みがある。
 幅広い情報を一覧して見える化することや中小企業を含む幅広い取組みにつなげる基盤となりうる。
算定方法を
具体的に規定
(罰則担保)8 9
事業者からの意見(報告者視点)
中小事業者は、まだ気候変動対策の必要性への認識
がなく、顧客からの要請も現時点では感じられない。
(製造業・中小)
既にIR向け資料やCDPアンケート等で情報を開示し
ている内容を、更に国に報告するのは作業が増える
一方でメリットが薄い。(製造業・大手)
しっかり取り組んでいる事業者と、そうでない事業者の差が
わかりやすくあってほしい。(小売業・大手)
報告項目が増えた場合の自社の対応意向(事業者向けアンケート結果)
出所)右:令和元年度 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 実態調査(2020年1月環境省実施)
どこまで情報公開するかは難しい問題。ポジティブ情報だ
けを任意で公開できれば良いが。(製造業・中小)
 特定排出者の中でも、既にIR向け資料等に情報開示している大手事業者や、現時点では顧客等からの要請
を感じていない中小企業とは温度差があるが、アンケートでは任意報告の実施意向がある事業者も一定数存在
 先進的に取組む事業者からは、取組みの度合いが分かる制度にしてほしいとの要望あり
左:事業者ヒアリング(2021年8月実施)
任意報告様式改定に向けた意見
任意報告の必要性
CO2排出を減少させる努力があった場合、ESG投資への
アピールにもなる。背景が見える形での任意報告が望ま
しい。 (製造業・中小)
デジタル化により、敷居を低めて回答しやすくすることで、
回答率の向上につながるのではないか。(小売業・大手) 10事業者からの意見(活用者視点)
同業他社における自分たちのポジションが判断でき
ると有用である。そのためには、精度の高いデータであ
ることが必要。同じ条件で原単位比較できると良い
が、原単位の統一的な設定には課題がある。
(小売業・大手、製造業・中小)
ライバルとなる事業者はグローバル展開を行っているの
で、日本に所在する事業者の情報だけでは不十分
である。(製造業・大手)
サプライチェーン排出量の算定において、例えば
公表される事業者全体の排出量に、当該事業者
の売上高に占める当社取引額比率を乗じることで、
簡易的に算定することもできるのではないか。
(小売業・大手)
特にScope3については、各事業者における算定の
バウンダリ(対象とするカテゴリ、事業範囲等)の
違いがわかるような形であるとよい。
(小売業・大手)
 本制度が国内事業者について網羅性を備えていることから、本制度を用いて中小企業や同業
他社の情報を入手する、あるいは、大手企業がサプライチェーン排出量の算定に活用する可能性
が示唆された。
 一方で、グローバルに展開する事業者の情報を入手するには不足であるとの意見もあった。
中小企業や同業他社の情報の入手
報告対象でない事業者についても、報告事業者の
平均的な排出量/売上のデータがあれば、排出量
推計ができる。(地方銀行)
投資家等からの開示要請を受けていない中小企業に
は、本制度のみで排出量を開示している企業もある。
情報が集約されたプラットフォームに価値はある。
(地方銀行)
出所)事業者ヒアリング(2021年8月実施)
グローバル企業の情報の入手
サプライチェーン排出量・ Scope3の算定
まだ環境意識の高くない事業者に、同業他社の目標
設定状況や各社に適用できるデータ等を示し、業界の
変化を伝え、意識啓発できるとよい。(地方銀行) 116157575047853個別の特定排出者における温室効果ガス
排出量削減に向けた取組み
個別の特定事業所ごとの排出量データ等
(現在開示請求の対象となっているデータ)
個別の特定排出者における再エネ使用率実績
個別の特定排出者における業種別排出量
個別の特定排出者における排出量
削減目標の設定状況
上記以外の排出量に関するさらなる詳細なデータ
特に国が収集するデータを活用する意向はない
その他
回答者数 ( n=107 )
自治体からの意見(報告者視点、活用者視点)
公表・提供された場合に活用したいデータ
出所)再生可能エネルギーの導入
及び温室効果ガス排出量算定・報
告・公表制度に関するアンケート
(2020年10月環境省実施)
ゼロカーボンを目指し企業に対して電力排出係数の削減
を求めているため、企業ごとの排出係数がわかるとよい。
(都道府県・計画書制度あり)
 任意報告が自治体自らの取組をアピールする機会となるとの意見があった。
 活用者の視点からは、実行計画策定にあたって利用している事例や計画書制度とデータ連携をしてはどうかと
の意見があった。
国が報告内容をもとに先進事例を公表すれば、自治体の
取組をアピールする機会となる。(中核市・計画書制度なし)
例えば任意報告をしないと他者の回答が見られなければ、
報告する動機となる。(中核市・計画書制度なし)
任意報告の実施に向けたインセンティブ
現在は、全体のトレンド分析(他自治体との比較)や、
区域内排出量の算定のための事業者特定に使用。
(都道府県・計画書制度あり、中核市・計画書制度なし)
SHKの任意報告が充実し、その情報を県で収集して整理でき
れば、県の計画書制度の対象外にすることは可能。ただし、県の
計画書制度とSHK制度の対象事業者は異なるため、国への報
告状況の確認作業で逆に事務作業が増える可能性もある。
(都道府県・計画書制度あり)
現状の本制度の活用及び情報の収集状況
計画書制度との連携
現状あまり情報収集できていないので、任意報告が充実すれば
ありがたい。(中核市・計画書制度なし)
出所)自治体ヒアリング(2021年8-9月実施)
SHK制度上で電力排出係数の平均値、他自治体の
平均値が横並びでわかると活用しやすい。
(都道府県・計画書制度あり)11 12
投資家・金融機関等からの意見(活用者視点)
金融機関としても、どういった業種からの排出が
多いのかを把握できると、自行の方針を決めるの
に有益。(地方銀行) グローバルスタンダードに合わせるのならば、
本制度をCDPやTCFDに合わせるのが良い。
情報開示は、これからも進化をしていき、
逐次それに合わせるのは難しいだろう。(NGO)
例えばCDPと連携し、CDPに回答した情報を本制
度でも活用できるようにする等、企業が負荷なくまと
めて回答できるようになるとよい。(NGO)
 投資家・金融機関においても、本制度を自社の投融資先の排出状況の把握や、企業の気候変
動対応評価において活用できる可能性が示唆された。
 一方で、ESG投資に関連する情報開示についてはその進化が早いことから、CDPやTCFD等の
既存の開示フレームワークと整合性をとる等して項目を整理してはどうかとの意見もあった。
当社では、ESGアナリストを中心に企業の気候変動
対応への評価を開始しており、その基礎データとして
活用が考えられる。(投資家)
削減目標、計画等も対話のツールになるため有用
である。(投資家)
既存フレームワークとの整合性
有用なデータ項目・データの活用方法
出所)投資家・金融機関・NGOヒアリング(2021年8月実施)
Scope3が開示してもらえるなら、同セクター企業間
の比較等ができ、対話のツールになる。(投資家)
個別企業に対しては、グループ会社の排出量が一
番使いたい項目。(投資家) 13TCFDにおいて推奨される開示内容
 2017年6月にTCFDが公表した最終報告書(TCFD提言)は、気候関連財務情報開示の
中核的要素として、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つを掲げている。
 TCFD提言の公表以降、気候変動関連情報開示に関する複数のイニシアティブ(CDP、SASB、
GRI等)において、TCFD提言との整合性をはかる動きがみられる。
ガバナンス 戦略 リスク管理 指標と目標
気候関連のリスク及び機会に係
る組織のガバナンスを開示する。
気候関連のリスク及び機会がもた
らす組織のビジネス・戦略・財務
計画への実際の及び潜在的な影
響を、そのような情報が重要な場
合は、開示する。
気候関連リスクについて、組織が
どのような識別・評価・管理してい
るかについて開示する。
気候関連のリスク及び機会を評
価・管理する際に使用する指標と
目標を、そのような情報が重要な
場合は、開示する。
推奨される開示内容 推奨される開示内容 推奨される開示内容 推奨される開示内容
a) 気候関連のリスク及び機会について
の、取締役会による監視体制を説明
する。
a) 組織が識別した、短期・中期・⻑期
の気候関連のリスク及び機会を説明す
る。
a) 組織が気候関連リスクを識別・評
価するプロセスを説明する。
a) 組織が、自らの戦略とリスク管理プ
ロセスに即して、気候関連のリスク及び
機会を評価する際に用いる指標を開
示する。
b) 気候関連のリスク及び機会を評価・
管理する上での経営者の役割を説明
する。
b) 気候関連のリスク及び機会が組織
のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす
影響を説明する。
b) 組織が気候関連リスクを管理するプ
ロセスを説明する。
b) Scope1、Scope2及び当てはまる
場合はScope3の温室効果ガス
(GHG)排出量と、その関連リスクにつ
いて開示する。
c) 2°C以下シナリオを含む、さまざまな
気候関連シナリオに基づく検討を踏まえ
て、組織の戦略のレジリエンスについて
説明する。
c) 組織が気候関連リスクを識別・評
価・管理するプロセスが組織の総合的
リスク管理にどのように統合されているか
について説明する。
c) 組織が気候関連リスク及び機会を
管理するために用いる目標、及び目標
に対する実績について説明する。
出所)「最終報告書 気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」(2017年6月)(気候関連財務情報タスクフォース、訳 株式会社グリーン・パシフィック)をもとに作成
https://assets.bbhub.io/company/sites/60/2020/10/TCFD_Final_Report_Japanese.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日) 14CDPの気候変動質問書の構成
 CDPの一般向けの気候変動質問書は下表のようなモジュールから構成されている。
出所)CDP HP https://guidance.cdp.net/ja/guidance?cid=13&ctype=theme&idtype=ThemeID&incchild=1&microsite=0&otype=Questionnaire&tags=TAG-646%2CTAG-
605%2CTAG-599 (最終閲覧日:2021年8月31日)
モジュール 具体的な質問テーマの例
はじめに 組織概要、報告データの期間、データ提供の国・地域、財務情報に使用する通貨、バウンダリ
1. ガバナンス 気候変動に関する監督機関、気候関連課題の責任者の職位、気候関連問題の管理に対するインセンティブ
2. リスクと機会 気候関連リスク・機会を特定・評価するプロセス、気候関連リスク、気候関連機会
3. 事業戦略 気候関連リスク・機会が戦略・財務計画に及ぼした影響、気候関連シナリオ分析
4. 目標と実績 排出量目標、目標に対する進捗、排出量削減イニシアティブ、低炭素製品・サービス
5. 排出量算定方法 基準年と基準年の排出量、排出量の計算に使用した基準・プロトコル・方法論
6. 排出量データ Scope1総排出量、Scope2総排出量・そのアプローチ、バウンダリに含まれない排出源、Scope3総排出量、バイオマスからの排
出量、排出原単位(売上あたりの排出量)
7. 排出量内訳 Scope1排出量の内訳(ガス種類別、国・地域別等)、Scope2排出量の内訳(国・地域別等)、総排出量の前年比較
8. エネルギー 事業支出のうちエネルギー使用が占める割合、エネルギー関連活動の種類
9. 追加指標 追加の気候関連評価基準
10. 検証 排出量に対する検証/保証の状況
11. カーボンプライシング カーボン プライシングシステムによる規制、プロジェクトベースの排出権の創出または購入、社内カーボンプライシング
12. エンゲージメント 気候関連問題に関するバリューチェーンとの協働、直接的・間接的に影響を及ぼす可能性のある活動への関与、情報開示
最終承認 回答に対して署名した人物の詳細
CDPの一般向けの気候変動質問書2021の構成
【補足】他に、特定の業種を対象としたモジュール、具体的質問も存在する。 151. 現在の任意報告様式
2. 報告者・情報活用者からの
任意報告に対する期待
3. 任意報告改定の方向性
目次 16任意報告充実化の方向性1(基本的考え方)(案)
1)基本的考え方
算定・報告・公表制度は、事業者自ら排出量を定期的に算定することに加え、その情報が国により一覧性
ある形で公表され、様々なステークホルダーがこれを活用することを通じ、事業者の自主的削減を促進しよう
とするもの。こうした制度趣旨を踏まえると、ステークホルダーの関心を踏まえた形で、 事業者の積極的な
取組が見える化されることが望ましい。
一方、現在の任意報告様式は、排出量に関する増減の状況等、排出量の補足事項が中心であり、昨今
のステークホルダーの関心事項とは必ずしも整合していないと考えられる。このため、本制度の趣旨を前提に、
TCFD等の気候関連情報開示のフレームワークで求められる事項とできるだけ整合するよう、任意報告
項目を整理することとしてはどうか。
 既にTCFD等に基づく情報開示に取り組んでいる企業もあるが、本制度において一覧性のある形で公表されることに
より、取組が幅広く見える化されるとともに、情報を活用するステークホルダーにとっても利便性が高まるのではないか。
 比較的中小規模の事業者も含め、まだ気候関連情報開示に取り組んでいない企業にとっては、どのような取組の
見える化がステークホルダーに対して効果的かという点について一定程度ガイドする効果もあるのではないか。
また、企業の報告やその活用を促すためには、自由記述ではなく、期待される項目をできるだけ明確にする
ことが重要であると考えられることから、可能な限り具体的な記載項目を明記することとしてはどうか。
あわせて、電子報告の利点を活かし、EEGS上で可能な限り簡易に報告できるような工夫をすることと
してはどうか。 (例:自由記述を減らしできるだけ選択式とする、詳細情報は関連URL等で代替可能な形とする 等) 17任意報告充実化の方向性2(具体的内容)(案)
2)任意報告として追加を検討する項目
現行の報告様式、投資家・自治体・事業者等からの意見及び既存の開示フレームワークとの整合性等を
踏まえ、以下のような項目を明記することとしてはどうか。
1排出量に関連するより詳細な情報
 企業グループ全体の排出量、サプライチェーン排出量(注記) (Scope別排出量 、Scope3カテゴリ別排
出量)、削減貢献量(注記)、吸収量(注記)、各排出量・吸収量の算定方法(注記)
 第三者検証の取得有無
2削減・吸収に向けた取組
 排出原単位・排出量削減に関し実施した措置の詳細(注記) (欄の具体化)
 再生可能エネルギーの使用状況(証書の購入量(注記) 等)
3目標・方針
 TCFD等の国際的イニシアティブへの賛同状況
 排出削減目標
 目標の達成に向けた計画
3)事業者による任意報告と適切な評価を促す方策
事業者による任意での報告を促すためには、任意報告を通じて脱炭素化に積極的に取り組む事業者が
評価されることや、報告された情報の社会的理解・適切な評価を促すことが重要と考えられるが、前述
(資料4)の公表上の工夫に加え、更にどのような方策が考えられるか。
(注記)現行様式の備考欄にて例示している内容

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