温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度をめぐる
最近の動向について
資料3-1 11. 温室効果ガス排出量
算定・報告・公表制度の概要
2. 現行制度の課題と法改正
3. 事業者をめぐる動き
目次 21. 温室効果ガス排出量
算定・報告・公表制度の概要
2. 現行制度の課題と法改正
3. 事業者をめぐる動き
目次 3温室効果ガス算定量算定・報告・公表制度概要
 地球温暖化対策推進法第26条等に基づき、温室効果ガスを多量(注記)に排出する事業者に、自らの温室効果ガス排出量
を算定し、国に報告することを義務付ける制度。
 事業者自らが排出量を算定することによる、自主的取組のための基盤整備、情報の公表・可視化による国民・事業者
全般の自主的取組の促進・気運の醸成を目的とする。
エネルギー起源CO2の報告については、省エネ法定期報告書を利用した報告を認めるなど、省エネ法の枠組みを活用
(注記)年間3,000t-CO2(原油換算1,500kl)以上
(注記) 排出量の情報が公にされることで権利利益が害されるおそれがあると
思料される場合は権利利益の保護を請求することが可能
(注記) 排出量の増減理由等の関連情報も
併せて報告することが可能
(注記) 報告義務違反、虚偽
の報告に対しては罰則
3 通知された情報は環境大臣・経済
産業大臣によって集計され、国民に
対して公表、開示される
2 事業所管大臣は報告された情報
を集計し、環境大臣・経済産業
大臣へ通知
1 対象となる者(特定排出者)は、自らの排出量を
算定し、毎年報告期日までに、前年度の排出量
情報を事業者単位で報告事業所管大臣経済産業大臣環境大臣国民・事業者
公 表
排出量情報等を、
事業者別、業種別、
都道府県別に集計
して公表
報告 通知
開 示
請求に応じて、事業
所別の排出量情報
等を開示
請求
閲覧
特定排出者
一定以上の温室効果ガスを排出
する事業者等が対象(公的部門
を含む)
算定事業所管大臣(主) 4
温室効果ガス別の算定排出量(基礎排出量)
自らの事業活動に伴い直接的又は間接的に排出した温室効果ガスの排出量
調整後温室効果ガス排出量(調整後排出量)
基礎排出量を基本とし、クレジットの無効化量等を考慮し調整した温室効果ガス排出量
報告対象となる温室効果ガス
報告対象となる排出量の種類
温室効果ガスの種類
エネルギー起源二酸化炭素(エネルギー起源CO2)
エネルギー起源二酸化炭
素以外の温室効果ガス
(6.5ガス)
非エネルギー起源二酸化炭素(非エネルギー起源CO2)
メタン (CH4)
一酸化二窒素 (N2O)
ハイドロフルオロカーボン類 (HFC)
パーフルオロカーボン類 (PFC)
六ふっ化硫黄 (SF6)
三ふっ化窒素 (NF3) 5報告対象となる事業者
エネルギー起源CO2特定事業所排出者
 省エネ法の特定事業者又は特定連鎖化事業者
 省エネ法の認定管理統括事業者又は管理関係事業者のうち、全ての事業所のエネルギー使用量合計が
1,500kl/年以上の事業者
 上記以外で全ての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上の事業者
特定事業所
原油換算エネルギー使用量が1,500kl/年以上となる事業所(特定事業所)を設置している場合には当
該事業所の排出量も内訳として報告特定輸送排出者 省エネ法の特定貨物輸送事業者
 省エネ法の特定旅客輸送事業者
 省エネ法の特定航空輸送事業者
 省エネ法の特定荷主
 省エネ法の認定管理統括貨客輸送事業者又は管理関係貨客輸送事業者であって、輸送能力の合計が300両以上の
貨客輸送事業者
 省エネ法の認定管理統括荷主又は管理関係荷主であって、貨物輸送事業者に輸送させる貨物輸送量が
3,000万トンキロ/年以上の荷主
エネルギー起源二酸化炭素以外の温室効果ガス(6.5ガス)特定事業所排出者
 次の1及び2の両方の要件をみたす事業者
1事業者全体で常時使用する従業員の数が21人以上
2算定の対象となる事業活動が行われており、温室効果ガスの種類ごとに事業者の排出量合計がCO2換算で
3,000tCO2/年以上となる事業者
特定事業所
温室効果ガスの種類ごとに排出量がCO2換算で3,000tCO2/年以上となる事業所(特定事業所)を設
置している場合には、当該事業所の排出量も内訳として報告 6排出量集計結果の概要(2017年度実績)
(注記)部門別はエネルギー起源CO2のみ。
(注記)運輸部門は自家用乗用車を除く
出所)環境省、経済産業省「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出
量算定・報告・公表制度による平成 29(2017)年度温室効果ガス排出量の集計結
果」及び国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量
データ(1990〜2019年度確報値)(2021年4月13日)」より作成
【報告事業者数】
しろまる特定事業所排出者:12,341事業者、
特定事業所:15,194事業所
(エネ起CO2のみ:11,571事業者、
6.5ガスのみ: 93事業者, 両方:677事業者)
しろまる特定輸送排出者:1,319事業者
しろまる合計:12,858事業者 (注記)特定事業所
排出者としても特定輸送排出者としても報告し
ている802事業者分の重複を除いた数
【報告された算定排出量の合計】
6億8,919万tCO2、
調整後排出量6億4,183万tCO2
(内訳:
特定事業所排出者 6億5,821万tCO2、
特定輸送排出者 3,098万tCO2)
本制度で報告された排出量の日本の総排出量に占める割合
エネルギー起源CO2
産業部門
運輸部門(自家用乗用車以外)
業務その他部門
エネルギー転換部門
非エネルギー起源CO2CH4N2OHFCPFCSF6NF3
温室効果ガス合計
55.1%
99.1%
27.0%
51.5%
72.6%
81.1%4.6%33.7%1.6%52.3%
70.1%
92.0%
53.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100% 7排出量集計結果の公表内容(一部抜粋)
集計結果では、特定事業所排出者および特定輸送事業者の事業者別排出量や業種別排出量、
特定事業所の都道府県別排出量等を公表。
事業者別排出量一覧 業種別排出量
都道府県別排出量(特定事業所)
出所)環境省 経済産業省「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による
平成 29(2017)年度温室効果ガス排出量の集計結果」(令和3年3月16日)
https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/result/h29/result_H29_20210316.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日) 8【参考】本制度の特徴
 本制度は、一定以上の温室効果ガスを排出する国内事業者すべてを対象とした義務的
制度である。そのため、非上場企業(約85%)・中小企業(60%以上)が報告者の
中心である一方、大企業や自治体等の非企業も含めた幅広い主体が対象となっている。
 また、国が集計することにより一覧性が高く、公共性の高い情報としてデータは無料
で公表されている。213事業者には報告義務がある
 排出量の報告は義務である(関連情報の提供は任意)。
 罰則規定も存在する。
温室効果ガス排出量が一定以上の事業者をカバーしている
 エネルギー起源 CO2 排出量のカバー率は、産業部門で 9割以上と高い。
 大企業に加え、中小企業も報告している(報告者の6割以上が中小企業、85%程度が非上場企業)。
 自治体等の非企業も対象に含む。
一覧性の高いデータが公表される
 事業者からの報告を国が集計することで、一覧性の高いデータが公表されている。
 公表データは誰でも無料で活用することが可能
出所)経済産業省「令和2年度国内における温室効果ガス排出削減・ 吸収量認証制度の実施委託費(温室効果ガス算定 排出量データの活用に関する調査)委託業務報告書」(令和3年2月)
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000131.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日) 91. 温室効果ガス排出量
算定・報告・公表制度の概要
2. 現行制度の課題と法改正
3. 事業者をめぐる動き
目次 10温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の課題
 現行制度の課題として、報告から集計結果の公表までに約2年かかっており活用しにくいこと、事業所等の
情報の閲覧には開示請求の手続きが必要であることが指摘されていた。
 加えて、報告事項について、Scope3排出量・削減目標・再エネ利用状況等、事業者がアピールできる事
項の追加について議論が必要ではないかとの意見が出されていた。事業所管大臣経済産業大臣環境大臣国民・事業者
公 表
排出量情報等を、
事業者別、業種別、
都道府県別に集計
して公表
報告 通知
開 示
請求に応じて、事業
所別の排出量情報
等を開示
請求
閲覧
(注記) 排出量の情報が公にされることで権利利益が害されるおそれがある
と思料される場合は権利利益の保護を請求することが可能
(注記) 排出量の増減理由等の関連情報
も併せて報告することが可能
(注記) 報告義務違反、虚偽
の報告に対しては罰則
特定排出者
一定以上の温室効果ガスを排出
する事業者等が対象(公的部門
を含む)
算定事業所管大臣(主)<算定・報告・公表制度の仕組み>
紙媒体中心のため
(2020年度の電子報告率:36%)
報告から公表まで約2年
事業所等の情報の閲覧は
開示請求が必要 11事業者の脱炭素化に向けた温室効果ガス算定・報告・公表制度等の見直しの方向性
(令和2年度地球温暖化対策の推進に関する制度検討会 報告書からの抜粋)
 令和2年度に実施した「地球温暖化対策の推進に関する制度検討会」において、事業者の脱炭
素化に向けた温室効果ガス算定・報告・公表制度等の見直しとして以下の方向性をとりまとめた。
 この方向性を踏まえ、2021年5月に地球温暖化対策推進法が改正された。
事業者の脱炭素化の取組を後押しする観点から、算定・報告・公表制度により報告された情報
が投資家、地方公共団体、消費者、事業者等にできるだけ活用されるようにすることで、事業者
の取組を促進するとともに、地域の事業者への脱炭素経営の普及を図っていくことが重要。
(制度的対応の方向性)
 電子システムによる報告を原則とし、また、事業所等の情報について、開示請求の手続
なく公表することとすべき。
 事業者の積極的な取組の見える化のため、任意報告を充実させるべき。将来的には、
報告事項のあり方を含め、脱炭素社会の実現に資する算定・報告・公表制度のあり方に
ついて、引き続き検討すべき。
 地域地球温暖化防止活動推進センターの事務に、事業者向けの啓発・広報活動を明記
すべき。
出所)環境省「地球温暖化対策の更なる推進に向けた今後の制度的対応の方向性について」(令和2年12月)
http://www.env.go.jp/earth/torimatome.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日) 12地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律
 「2050年までの脱炭素社会の実現」を基本理念として法律に位置付け、政策の予見可能性を向上。
地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標や
「2050年カーボンニュートラル宣言」を基本理念として法に位置付け
 地球温暖化対策に関する政策の方向性が、法律上に明記されることで、国の政策の継続性・
予見可能性が高まるとともに、国民、地方公共団体、事業者などは、より確信を持って、地
球温暖化対策の取組やイノベーションを加速できるようになります。
 関係者を規定する条文の先頭に「国民」を位置づけるという前例のない規定とし、カーボン
ニュートラルの実現には、国民の理解や協力が大前提であることを明示します。
ESG投資にもつながる
企業の排出量情報のオープンデータ化
地方創生につながる再エネ導入を促進
地域の求める方針(環境配慮・地域貢献など)に適合する再エネ活用事業を
市町村が認定する制度の導入により、円滑な合意形成を促進
 地域の脱炭素化を目指す市町村から、環境の保全や地域の発展に資すると認定された再エネ
活用事業に対しては、関係する行政手続のワンストップ化などの特例を導入します。
 これにより、地域課題の解決に貢献する再エネ活用事業については、市町村の積極的な関与
の下、地域内での円滑な合意形成を図りやすくなる基盤が整います。
企業からの温室効果ガス排出量報告を原則デジタル化
開示請求を不要にし、公表までの期間を現在の「2年」から「1年未満」へ
 政府として行政手続のデジタル化に取り組む中、本制度についてもデジタル化を進めること
により、報告する側とデータを使う側双方の利便性向上が図られます。
 開示請求を不要とし、速やかに公表できるようにすることで、企業の排出量情報がより広く
活用されやすくなるため、企業の脱炭素経営の更なる実践を促す基盤が整います。
長期的な方向性を法律に位置付け
脱炭素に向けた取組・投資を促進 13算定・報告・公表制度の見直しのイメージ自治体・国民・投資家等報告 公表
企業等
一定以上の温室効果ガスを排出
する事業者等が排出量を報告
(事業所の情報も報告)
算定
【オープンデータ化】
 報告された情報について、現行の開示
請求手続によることなく、事業所ごとの
排出量等の情報も含め全て公表する
(法改正+省令改正等)
(注記)権利利益の保護が必要と認められた情報は除く
【デジタル化等】
 報告の方法を、電子システムへの入力を原則
とする (法改正+省令改正等)
 排出量に加え、積極的な取組を見える化
する観点から、任意報告を充実・促進
(省令改正等)
政府(電子システム)
<取り扱う情報>
• 温室効果ガスの排出量(単年度
/過年度推移、事業者別/事業
所別)
(注記)このほか、任意に報告された、排出量増減の理由、取
組等の情報も併せて提供
情報の活用
 法令改正及び電子システム整備により、報告から公表までの期間を短縮(約2年→1年未満)し、報告された
排出量等情報を電子システムで閲覧できることとすること等により、自治体・国民・投資家等の関係者による
情報の活用可能性を向上。あわせて、報告する企業にとっても利便性の高い電子システムを構築。
 なお、改正法は2022年度からの施行を想定しており、改正法を踏まえた制度運用は2021年度排出量から
開始予定。 141. 温室効果ガス排出量
算定・報告・公表制度の概要
2. 現行制度の課題と法改正
3. 事業者をめぐる動き
目次 152050年カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流
 パリ協定を契機に、世界各国でカーボンニュートラル社会に向けた潮流が加速しており、2050年
までのカーボンニュートラルを表明した国は、125か国・1地域(2021年4月現在)となっている。
2050年までのカーボンニュートラルを表明した国(2021年4月現在)
出所)資源エネルギー庁HP https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/green_growth_strategy.html
(最終閲覧日:2021年9月9日) 16脱炭素経営に向けた取組の広がり (注記)2021年8月31日時点
TCFD、SBT、RE100のすべてに取り組んでいる企業一覧
建設業 :積水ハウス(株) / 大東建託(株) / 大和ハウス工業(株) /
戸田建設(株) / (株)LIXILグループ / 住友林業(株) / 東急建設(株)
食料品 :アサヒグループホールディングス(株)/ 味の素(株) /
キリンホールディングス(株)/ 日清食品ホールディングス(株)
電気機器 :コニカミノルタ(株) / セイコーエプソン(株) / ソニー(株) / 日本電気(株)/
パナソニック(株) / 富士通(株) / 富士フィルムホールディングス(株) /
(株)リコー
化学 :積水化学工業(株)
医薬品 :小野薬品工業(株) / 第一三共(株)
精密機器 :(株)島津製作所 / (株)ニコン
その他製品 :(株)アシックス / 花王(株)
情報・通信業:(株)野村総合研究所
小売 :アスクル(株) / イオン(株) / J.フロント リテイリング(株) / (株)丸井グループ
不動産 :東急不動産ホールディングス(株) /三井不動産(株) /三菱地所(株)
サービス :セコム(株)
[出所]Science Based Targetsホームページ Companies Take Action
(http://sciencebasedtargets.org/companies-taking-action/)より作成。
[出所]TCFDホームページ TCFD Supporters(https://www.fsb-
tcfd.org/tcfd-supporters/)より作成 [出所] RE100ホームページ(http://there100.org/)より作成。
RE100に参加している国別企業数グラフ
(上位10の国・地域)
SBT国別認定企業数グラフ
(上位10カ国)
 世界で2,435(うち日本で479機関)の
金融機関、企業、政府等が賛同表明
 世界第1位(アジア第1位)
TCFD賛同企業数
(上位10の国・地域)
TCFD SBT RE100
 認定企業数:世界で875社
(うち日本企業は128社)
 世界第2位(アジア第1位)
 参加企業数:世界で323社
(うち日本企業は59社)
 世界第2位(アジア第1位)
企業の気候変動への取組、影響に関する情報を
開示する枠組み
企業の科学的な中長期の目標設定を
促す枠組み
企業が事業活動に必要な電力の100%を
再エネで賄うことを目指す枠組み
Taskforce on Climate related Financial Disclosure Science Based Targets Renewable Energy 100
 カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流を踏まえ、企業の脱炭素経営の取組も広まっている。 17TCFD賛同機関数は日本、イギリス、アメリカの順に
多く、いずれの国においても年々増加傾向にある。
サステナビリティ情報に関するフレームワーク・基準が
多数存在し、現場で混乱も生じているとの指摘がある。
これに対し、GRI、SASB、CDP、IIRC、CDSBの
5団体は2020年9月、共同声明を発表。気候変動
に関しては、TCFDに沿った情報開示のフレームワーク・
基準を設定すると示し、TCFDが気候関連情報開示の
グローバルスタンダードとなる方向性が示唆された。
混乱解消に向けたその他の動向として、国際会計基準
審議会(IASB) を運営するIFRS財団がサステナビリ
ティ基準審議会(ISSB)を設立する動きもある。
サステナビリティ・気候関連情報開示に関する直近の動向
 カーボンニュートラル潮流を踏まえ、民間企業に対するサステナビリティ・気候関連情報開示要請が
高まっている。
• 我が国では、2021年4月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにて、プライム市場上場
企業は「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべき」と示され
た。
• 欧州委員会は、2021年4月、民間企業のサステナビリティ情報開示に関する指令 Corporate
Sustainability Reporting Directive(CSRD)の案を公表。情報開示の拡充を図っている。
出所) (いずれも最終閲覧日:2021年8月31日)
・JPXHP https://www.jpx.co.jp/news/1020/20210611-01.html
・JETRO 「欧州グリーン・ディールの概要と 循環型プラスチック戦略にかかわる EU および加盟国のルール形成と企業の取り組み動向」
(2020年3月)https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/a4731e6fb00a9859/20190051_01.pdf
・TCFDコンソーシアムHP https://tcfd-consortium.jp/about
上位3カ国のTCFD賛同機関数の推移(2021年8月25日) 18気候関連情報に対するステークホルダーの関心の高まり(1投資家・金融機関)(1/2)
 国際的にESG投資は年々拡大傾向にあり、主要地域の投資額の合計は35兆USドルにのぼる。
 我が国のESG投資額は2016年時点で57兆円であったが、2020年時点では310兆円となってお
り、増加が著しい。
 機関投資家の関心が最も高いエンゲージメントテーマに、気候変動が挙げられる。
ESG投資(サステナブル投資)額の推移
出所) GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT ALLIANCE,
"GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW 2020"より作成
http://www.gsi-alliance.org/wp-content/uploads/2021/08/GSIR-20201.pdf
(最終閲覧日:2021年9月9日)
日本に拠点を置く機関投資家が2020年度に
重視するエンゲージメントテーマ(上位3テーマを選択)
出所)QUICK, "QUICK ESG投資実態調査 2020"
https://www.esg.quick.co.jp/sites/default/files/2021-
01/2020%E5%B9%B4ESG%E6%8A%95%E8%B3%87%E5%AE%B6%E5%AE%9F%E6%85%8B%E8
%AA%BF%E6%9F%BB_%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC_%E6%9C%80%E7
%B5%82%E7%89%88_%E5%85%8D%E8%B2%AC%E5%90%AB_0.pdf
(最終閲覧日:2021年9月9日) 19気候関連情報に対するステークホルダーの関心の高まり(1投資家・金融機関)(2/2)
 カーボンニュートラル達成に向けては、金融機関等のエンゲージメントによる投融資先のGHG排出
削減促進効果にも期待が高まっている。
 金融機関等のカーボンニュートラルコミットを促進するイニシアティブや、投融資先のGHG排出量の
把握に関する課題を克服するためのイニシアティブが発足している。
 こうした動きを踏まえ、金融機関から投融資先企業への情報開示要請は強まると考えられる。
 金融機関によるGHG 排出量データの不足や統一さ
れた算出手法の不在といった課題の克服に取組む
組織として、PCAF(Partnership for Carbon
Accounting Financials)がある。
 PCAFは2020年12月、"The Global GHG
Accounting & Reporting Standard for the
Financial Industry:First Edition"
(PCAF スタンダード)を発表。
 2021年6月現在、120以上のグローバルな
金融機関が参加しており、2021年7月に
みずほフィナンシャルグループが日本の金融機関
として初めて参加。
 国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)は、
金融機関がポートフォリオの2050年カーボン
ニュートラルに対するコミットを促進するため、
以下のイニシアティブを発足。
• Net-Zero Asset Owner Alliance:
対象はアセットオーナー。2019年9月発足。
• Net-Zero Asset Managers initiative:
対象はアセットマネージャー。2020年12月発足。
• Net-Zero Banking Alliance:
対象は銀行。2021年4月発足。
金融機関のカーボンニュートラルに関するイニシアティブ 金融機関の投融資先のGHG排出量把握に関する動き
出所)(いずれも最終閲覧日:2021年8月13日)
・大和総研HP https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/esg/20201225_021986.html
・野村総研HP https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/kinyu_itf/2021/08/itf_202108_4.pdf?la=ja-
JP&hash=BD02C2CBAFEBAEB3490938BA224123F4ADF3F8AE
・みずほフィナンシャルグループHP https://www.mizuho-fg.co.jp/release/20210702release_jp.html 20気候関連情報に対するステークホルダーの関心の高まり(2サプライチェーン)
 自社の温室効果ガス排出量のみならず、サプライチェーンの上流や下流(原材料調達・製造・物
流・販売・廃棄など)から発生する温室効果ガス排出量も含めたサプライチェーン排出量への関心
が高まっている。
 サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量
 GHGプロトコルのScope3基準では、Scope3は15のカテゴリに分類されている。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス等)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
しろまるの数字はScope3のカテゴリ
サプライチェーンにおける温室効果ガス排出
出所)グリーン・バリューチェーンプラットフォームHP http://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html (最終閲覧日:2021年9月9日) 21【参考】Scope3の15のカテゴリ分類
Scope3カテゴリ 該当する活動(例)
1 購入した製品・サービス 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
2 資本財 生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)3Scope1,2に含まれない
燃料及びエネルギー活動
調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)
調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
4 輸送、配送(上流) 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
5 事業から出る廃棄物 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送((注記)1)、処理
6 出張 従業員の出張
7 雇用者の通勤 従業員の通勤
8 リース資産(上流)
自社が賃借しているリース資産の稼働
(算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
9 輸送、配送(下流) 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
10 販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工
11 販売した製品の使用 使用者による製品の使用
12 販売した製品の廃棄 使用者による製品の廃棄時の輸送((注記)2)、処理
13 リース資産(下流) 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
14 フランチャイズ 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動
15 投資 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
その他(任意) 従業員や消費者の日常生活
(注記)1 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を任意算定対象としています。
(注記)2 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を算定対象外としていますが、算定頂いても構いません。
出所)環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方」 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日) 22気候関連情報に対するステークホルダーの関心の高まり(3自治体)
 2021年8月末現在、444自治体が「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明。
 また、域内の事業者に対して温室効果ガス排出量やその抑制方策等を盛り込んだ計画書・
報告書の策定と提出を求め、温室効果ガスの排出抑制への計画的な取組を促す、
「地球温暖化対策計画書制度」も、25都道府県、15市・区で導入されている。
「地球温暖化対策計画書制度」を導入する自治体(令和2年10月1日時点)
出所)令和2年度地方公共団体における地球温暖化対策の推進に関する法律施行状況調査より環境省作成
https://www.env.go.jp/earth/dantai/r021001/mat01.pdf (最終閲覧日:2021年9月9日)
都道府県 指定都市 中核市
北海道 静岡県 広島県 札幌市 川越市
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秋田県 三重県 香川県 さいたま市 一般市
栃木県 京都府 長崎県 横浜市 戸田市
埼玉県 大阪府 熊本県 川崎市 胎内市
東京都 兵庫県 宮崎県 相模原市 特別区
神奈川県 和歌山県 鹿児島県 名古屋市 江東区
石川県 鳥取県 京都市 千代田区
岐阜県 岡山県 広島市

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