[フレーム]
このページの本文へ移動
お使いのブラウザではJavaScriptの設定が無効になっており、本サイトの一部の機能をご利用いただけません。JavaScriptの設定を有効にしてご利用ください。
このサイトについて
国立がん研究センター がん情報サービス ganjoho.jp
検索ワードが未入力です。 検索ワードが未入力の場合は検索できません。検索したいワードをご入力いただき、「検索」ボタンをクリックしてください。
文字サイズ
メニュー
がんの発生要因と予防

がんの発生要因

1.はじめに

がんは、遺伝子が傷つくことによって起こる病気です。
正常な細胞が分裂するときなどに、偶然、遺伝子に「傷」が生じることがあります。また、この傷は、喫煙、ウイルスや細菌などの感染、さまざまな化学物質、放射線などの外的要因によって生じることもあります。

がんを完全に防ぐことはできません。しかし、禁煙すること、飲酒をひかえること、バランスのよい食事をとること、活発に身体を動かすこと、適正な体形を維持すること、感染を予防することなどによって、がんに「なりにくくする」ことはできます。

日本人では、男性のがんの43.4%、女性のがんの25.3%は、このページで述べる生活習慣や感染が原因でがんとなったと考えられています。そのうち、大きな原因は、喫煙(男:約23.6%、女:約4.0%)と感染(男:約18.1%、女:約14.7%)です。その他のものは比較的小さいと報告されていますが、ここで述べる飲酒・食事・体格・化学物質の影響もゼロではなく、まだがんとの関連が明らかになっていない要因も多くあります。

このページでは、日本や海外の研究結果から科学的に明らかにされているがんの要因を紹介します。

なお、こうした研究のうち、日本人を対象とした研究結果をもとに、日本人のがんの予防法が定められています。詳しくは、「科学的根拠に基づくがん予防」をご覧ください。

2.たばこ

これまでの研究から、たばこは肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となることが科学的に明らかにされています。また、たばこは吸う本人だけでなく吸わない人にも健康被害を引き起こします。

たばこの煙の中には、たばこそのものに含まれる物質と、たばこに含まれる物質が不完全燃焼することによって生じる化合物、あわせて約5,300種類の化学物質が含まれており、この中には約70種類の発がん性物質も含まれています。これらの有害な物質は、たばこを吸うとすぐに肺に届き、血液を通じて全身の臓器に運ばれ、DNAに傷をつけるなどしてがんの原因となります。

がんを予防するためには、たばこを吸わないことが最も効果的です。現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってがんになるリスクを下げることができます。
詳しくは関連情報をご覧ください。

3.お酒

国際がん研究機関や世界がん研究基金は、飲酒が多くのがん部位における発がんに寄与すると評価しています。日本人を対象とした研究に基づいた場合も、飲酒は全部位、肝臓、大腸、食道のがんリスクを確実に上げる要因と評価されています。飲酒により体内に取り込まれたエタノールは、アセトアルデヒドに代謝され、その後酢酸に変わります。このうち、エタノールとアセトアルデヒドの両者に発がん性があるとされています。さらに、喫煙者が飲酒をすると、食道がんの発症リスクは特に高くなること(交互作用)がわかっています。

4.肥満

成人の体格を把握する上で最もよく使用される指標がBody Mass Index(BMI)です。BMIは、体重(kg)を身長の二乗値(m2)で割って計算します(kg/m2)。WHOが定める成人の肥満度の健康的な範囲は、BMIで18.5〜24.9kg/m2とされています。肥満の割合はどの国でも増加しており、これには運動不足や不健康な食生活が関係しています。

日本人の研究結果から、肥満は肝臓、閉経後乳がんは「確実」に、大腸がんは「ほぼ確実」にリスクを上げると評価されています。一方で、日本人などのアジア人を対象とした研究結果からは、やせすぎによってがんのリスクが上がることが観察されています。これは、栄養不足に伴う免疫機能の低下や、抗酸化物質の不足などによるものと推察されます。高身長は大腸がん(特に結腸がん)のリスクを「ほぼ確実」に上げることがわかってきました。

肥満により、脂肪組織が分泌するさまざまな物質が、インスリンに対する感受性を低下させ(インスリン抵抗性)、インスリンが過剰に分泌される高インスリン血症を引き起こします。インスリンと高インスリン血症に伴い合成が高まるインスリン様成長因子は、アポトーシス(注記)の抑制と細胞増殖の促進を起こすと考えられています。

(注記)生体内で良い状態を保つために組み込まれた細胞の自然死(プログラムされた細胞死)のことです。

5.身体活動

活発な身体活動により、いくつかのがんのリスクを低下させることができます。

諸外国の研究結果からは乳がん、大腸がん、子宮体がんのリスクを低下させ、日本人の研究結果からは結腸がんのリスクを確実に下げることが報告されています。

さらに近年では、座りがちな行動が乳がん、大腸がん、子宮体がん、肺がんのリスク上昇に関連することを示唆する研究結果もでています。

6.食物・栄養

食物や栄養とがんとの関連を調べるための研究は様々行われていますが、確実にがんのリスクになると明らかにされている食品は少ないのが現状です。その中でも、現時点で、日本人の研究結果からがんとの関連が報告されている食品は以下の通りです。

  • 塩蔵食品は胃がんのリスクをほぼ確実に上げる。
  • 野菜・果物は、食道がんのリスクがほぼ確実に低くなることが期待される。また、胃がんおよび肺がんも、リスクが低くなる可能性がある。野菜・果物にはカロテン、葉酸、ビタミン、イソチオシアネートなどさまざまな物質が含まれており、これらの成分が発がん物質を解毒する酵素の活性を高める、あるいは生体内で発生した活性酸素などを消去すると考えられています。
  • 飲み物や食べ物を熱いままとると、食道がんのリスクが高くなる。熱いものを飲んだり食べたりすることで食道の粘膜が傷つけられ、食道がんになる危険性が高められると考えられています。

食事関連要因とがんとの関連に関する国際的な報告については、世界がん研究基金のページをご参照ください。しかし、日本を対象とした研究が不十分であるものや、日本人では摂取量が少ない、あるいは、あまり知られていないような食事要因も含まれていますので、本ページの内容とは異なる部分もあります。

7.感染

感染は、日本人のがんの原因の約20%を占めると推計されます。

感染の内容として、日本人では、B型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)による胃がんなどがその大半を占めます(表1)。他には、エプスタイン・バール・ウイルス(EBV)による悪性リンパ腫や鼻咽頭がん、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)による成人T細胞白血病リンパ腫などがあります。

感染による発がんのメカニズムは、ヒトパピローマウイルスのように、感染体が作り出すがん原性タンパク質による直接的な作用や、慢性的な炎症に伴う細胞の壊死と再生による間接的な作用などが報告されています。

表1 がんの発生に関係するウイルス・細菌
原因となるウイルス・細菌 がんの種類
ヘリコバクター・ピロリ
(H. pylori)
胃がん
B型・C型肝炎ウイルス
(HBV、HCV)
肝臓がん
ヒトパピローマウイルス
(HPV)
子宮頸がん、陰茎がん、外陰がん、腟がん、
肛門がん、口腔がん、中咽頭がん
エプスタイン・バール・ウイルス
(EBV)
上咽頭がん、バーキットリンパ腫、
ホジキンリンパ腫
ヒトT細胞白血病ウイルスI型
(HTLV-1)
成人T細胞白血病リンパ腫

8.その他のがんの要因

ここでは、これまでに挙げた要因と比較すると日本人の研究結果が十分ではなく、がんの要因としては可能性に留まると現時点で評価されているものや、国際評価の中で研究されている要因について述べます。

  • 化学物質:ある種の職業や職業的に多く曝露する化学物質は、ヒトの発がんリスクを上げることが知られています。国際がん研究機関により、発がん性がある(group 1)と分類されたものだけでも126種類の化学物質や職業がリストされています。関連する臓器としては肺が最も多くなっていますが、化学物質が直接接触する皮膚、吸入の経路である鼻腔・喉頭・肺・胸膜、そして排泄される尿路なども多いのが特徴です。

  • 生殖要因とホルモン:日本人を対象とした研究結果からはまだ十分に明らかとなっていませんが、ホルモン剤や抗ホルモン剤の使用は、閉経前の女性において、乳がんのリスクを上げる可能性があります。
  • コーヒーと肝がん、子宮内膜がん:日本人を対象とした疫学研究の系統的レビューの結果、コーヒー高摂取によって肝がんリスクが低下することはほぼ確実であると評価されています。
  • 授乳と乳がん:母乳を長期間与えることで、母親の乳がんリスクが低くなることを指摘する研究が数多くあります。日本人を対象とした疫学研究の系統的レビューの結果では、授乳が乳がん予防に関連することは可能性ありと判定されています。国際的にも授乳の乳がん予防効果は確実とされています。

9.「がんの発生要因」参考文献

  1. 国立がん研究センター.がん対策研究所 予防関連プロジェクト.科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究;2022年(閲覧日2022年8月23日)https://epi.ncc.go.jp/can_prev
  2. 世界がん研究基金(World Cancer Research Fund International). Diet, activity and cancer; 2023年(閲覧日 2023年3月30日)https://www.wcrf.org/diet-activity-and-cancer/
  3. 世界がん研究基金(World Cancer Research Fund International).Diet, Nutrition, Physical Activity and Cancer: a Global Perspective. The Third Expert Report. 2018年 https://www.wcrf.org/sites/default/files/Summary-of-Third-Expert-Report-2018.pdf
  4. 国際がん研究機関(International Agency for research on Cancer). IARC monographs on the identification of carcinogenic hazards to humans; 2023年(閲覧日 2023年3月30日)https://monographs.iarc.who.int/
  5. Continuous Update Project, World Cancer Research Fund International. Physical activity and the risk of cancer. World Cancer Research Fund international, London, UK. 2018. https://www.wcrf.org/dietandcancer/physical-activity/. Accessed January 31, 2022.
更新・確認日:2025年03月26日 [ ]
履歴
2025年03月26日 内容を確認し、更新しました。
2023年04月06日 「4.食物・栄養」の表1を修正しました。
2023年02月08日 「4.食物・栄養」の表1を修正しました。
2022年08月23日 「1.はじめに」を更新しました。
2021年01月05日 参考文献 2)を追加しました。
2019年07月24日 用語集へのリンクを追加しました。
2018年04月19日 「人のがんにかかわる要因」から「がんの発生要因」へタイトルを変更し、内容を更新しました。
2017年10月16日 「がんの発生原因」から「がんの発生原因と予防」に移動しました。
2012年12月06日 更新しました。
2006年10月01日 掲載しました。
よりよい情報提供を行うために、
アンケートへの協力をお願いいたします。
アンケートはこちらから
ページの先頭に戻る
相談先・
病院を探す
閉じる

サイト内検索

検索ワードが未入力です。 検索ワードが未入力の場合は検索できません。検索したいワードをご入力いただき、「検索」ボタンをクリックしてください。
閉じる

病名から探す

検索ワードが未入力です。 検索ワードが未入力の場合は検索できません。検索したいワードをご入力いただき、「検索」ボタンをクリックしてください。

閲覧履歴

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /