内容説明
美大に通うため、田舎から東京に出てきた菜都美。憧れていた東京での暮らしは、家賃を払うのに精一杯で極貧の毎日。ある日、美大の友達から時給のいいバイトとして紹介された先はキャバクラだった。キャバ嬢として慣れない水商売を始めた菜都美は、店で良介と出会い、一緒に暮らし始める。良介は優しいが、定職につかずいつもごろごろしているプー太郎。自分は一円も稼いでいないくせに、拾ってきた猫の病院代に8万ものお金を平気で使い、「命のほうが大事じゃないか」と言うような男だった。どこへ行っても現実は厳しく、毎晩バイト先でセクハラにさらされる菜都美は顔面神経麻痺になる。子どもの頃から大好きだった絵も、美大での成績は最下位で、上京したことを後悔し始めていた。しかし、ある人の「最下位には最下位の戦い方があると思う」という言葉に勇気づけられた菜都美は、自分なりの戦い方で絵の道に進むことを決心して、出版社への売り込みの毎日をおくることになるが—。
「BOOKデータベース」 より