内容説明
宇多天皇(八八七即位)より堀河天皇寛治六年(一〇九二)までの歴史を仮名混り文にした所謂歴史物語の嚆矢作品。編年体。正篇三十巻、続篇十巻、正篇の作者は赤染衛門と伝えられる。十一世紀半ばの成立。続篇はやや降った頃の作らしいが、作者は不明。舞台を平安中期の史実にとりつつ藤原道長の栄華に焦点をあわせ、物語の構想・文体などは源氏物語を模倣している。公的な記録・歴史にないものがあり、歴史、文学両面で研究の対象とされている。底本には鎌倉時代の三条西家本を用い、小林正直氏本・富岡益太郎氏本などの異本を校合している。巻末に近衛家本に併冊されている栄花物語系図・栄花物語藤家系図を収めた。
目次
- 月の宴(宇多天皇御代‐天祿三年)
- 花山たづぬる中納言(天祿三年‐寛和二年)
- さまざまのよろこび(寛和二年‐正暦二年)
- みはてぬゆめ(正暦二年‐長徳二年)
- 浦浦の別(長徳二年‐四年)
- かゞやく藤壷(長保元年‐二年)
- とりべ野(長保二年‐四年)
- はつはな(長保五年‐寛弘七年)
- いはかげ(寛弘八年)
- ひかげのかづら(寛弘八年‐長和二年)〔ほか〕
「BOOKデータベース」 より