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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

秋の気配

2024年09月26日
伊勢志摩国立公園 三好 明
みなさん、こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所ARの三好です。
まずは、輪島地域を含め周辺での豪雨災害、こころよりお見舞い申し上げます。度重なる災害で、なんてお声掛けしていいものか・・・。こころが痛みます。一日でも早い復興を願います。
9月も後半になり、季節的には秋の涼しさを味わう頃のはずですが、今年は例年以上に蒸し暑さが続き、体力の限界値まで突き進むような感じさえしています。早く昼間に涼しい風が吹く季節になってほしいですね。みなさん、体力や気力は大丈夫ですか。
さて、今回は志摩市、南伊勢町周辺に目を向けて撮影したトンボたちと植物たちを紹介したいと思います。季節は彼岸花が咲き始めた頃です。
前回同様に暑さのためか、動植物たちの姿を見る機会は少なかったのですが、秋のトンボが飛び始めるなど、季節は確実に進んでいるのを肌で感じました。


秋の気配


【アキアカネ】
秋のトンボといえばアキアカネではないでしょうか。通称「アカトンボ」は池や湿地周りでよく見かけるようになりました。スイスイ飛んでいる姿を見ていると、秋を感じさせてくれます。


【ハグロトンボ】
小さな用水路でハグロトンボに出会いました。ひらひらと蝶のように飛んでいましたが、休んでいる姿もとてもきれいです。ハグロトンボにはいくつかの言い伝えがあり、そのひとつに「大きな転機の時、ハグロトンボが現れると幸運をもたらしてくれる。」とあります。「神様トンボ」と呼ばれる由縁です。


【ミヤマアカネ】
湿地を歩いていると、見かけない小さなアカトンボが飛んでいました。きれいな翅が特徴的です。調べるとミヤマアカネでしたが、「日本でいちばん美しいアカトンボ」といわれており、世界中でも唯一翅に茶色の帯があるアカトンボだそうです。数も随分減っており、希少なトンボです。この子はオスです。


【ミヤマアカネ】
オスのミヤマアカネを発見した近くで、もう一匹茶色いメスのミヤマアカネにも出会うことができました。この子は人懐っこく、近くまで飛んできてはお尻を上げて見つめてきます。いつまでも見ていたい気持ちを押さえて先に進みました。


【キイトトンボ】
雨後の湿地へ入っていくと、キイトトンボが道先案内人を勤めてくれました。「こちらにおいで〜」とツーツー飛んで湿地を案内してくれます。つぎ行った時もお願いします!


【マユタテアカネ】
トンボたちにとっては、秋は恋の季節でもあります。ヒメアカネによく似たマユタテアカネ(顔に黒斑がある)もうまくカップルが誕生したようです。来年は、もっとたくさん飛んでいる姿が見たいな〜。


【ミズヒキ】
季節を感じて、ミズヒキがきれいな花を咲かせていました。私自身、ミズヒキの花を見るのは初めてで、こんなに淡いピンクの小花を見ることができて感謝です。


【タコノアシ】
休耕地の片隅に、数えるほどのタコノアシが姿を見せてくれました。タコノアシ科の多年草で、気温が下がってくると果実や穂までゆで蛸のように真っ赤になります。外来種との競争や、湿地の埋め立てや乾燥化などの影響を受け、現在では相当数を減らしています。次回は秋口のゆで蛸の姿をお見せしたいです。


【シロネ】
足下に目を凝らすと、小さなシロネの花がきれいに咲いています。当り前のように見ることができた花ですが、地域によっては絶滅(EX)した地域もあるなど、大切に守らなければならない命です。


【アゼトウガラシ】
この日の湿地で一番元気に咲いていたのはアゼトウガラシです。アゼトウガラシ属の一年草で、田やあぜ道など湿地のやや湿ったところに生える水田雑草で、環境良好な水田でないと見られないそうです。淡紅色の小さな花が本当にきれいです。


【シロバナサクラタデ】
シロバナサクラタデに出会いましたが、満開までにはもう少し時間がかかりそうです。この子も随分数を減らしており、見つけるのは大変です。さりげなく咲いているところがものすごく健気です。


【ウリカワ】
湿地の中で、ポツンと小さな花が咲いています。ウリカワは水田雑草と呼ばれていましたが、水田環境の変化により個体数が減少しています。再度見ようと、一週間後にポイントへ行ってみましたが、もう見られませんでした。


【ヒメコウホネ群生地】
伊勢志摩国立公園内には、今でもこんな貴重な自然が残されています。ヒメコウホネの群生地があること自体すごい驚きです。このきれいな空気や水を後世に残していかなければなりません。

終わりに

いかがでしたか。
今回はかわいいトンボたちやきれいな花々を取り上げてみました。
人間が感じる以上に動植物たちは季節を感じ取っています。この瞬間も、自然災害や人災等で環境破壊は続いています。季節が奪われそうになっています。
今一度、私たち自身が自然との付き合い方を学ばなければならない時ではないでしょうか。
自然を大切に!


【道】

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