アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
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船越大池の魅力2
2024年08月22日
三好 明
みなさん、こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所ARの三好です。
暦の上では立秋も過ぎたことから季節は秋のはずですが、毎日毎日まだまだ暑いですね〜。サマ〜ですね。それでも一時に比べると蝉の声が少なくなり、代わりに夕暮れ時から秋の虫声が聴かれるようになりました。季節は確実に進んでいます。
さて、今回は前回に引き続いて、志摩市大王町にある船越大池とその周辺地域の動植物をご紹介したいと思います。特に植物編で見られる個体については、地域によっては絶滅危惧種あるいは準絶滅危惧種に指定されているものばかりです。この大池がいかに貴重であるかを教えてくれます。
季節は進んで8月中旬の晩夏です。
船越大池についての詳細は、前回のアクティブレンジャー日記をご参照くだされば幸いです(2024年8月7日配信)。
船越大池
【船越大池(水辺)寸景】
【船越大池(湿地)寸景】
【船越大池(海辺)寸景】
【モノサシトンボ】
【ヒメガガンポ科の仲間】
【ウラギンシジミ】
【ジョロウグモ】
【ハマアザミ】
【ニガカショウ】
【シログワイ】
【タカサブロウ】
【ハマカンゾウ】
【タイワンカモノハシ】
【キツネノマゴ】
【キイトトンボ】
伊勢志摩国立公園管理事務所ARの三好です。
暦の上では立秋も過ぎたことから季節は秋のはずですが、毎日毎日まだまだ暑いですね〜。サマ〜ですね。それでも一時に比べると蝉の声が少なくなり、代わりに夕暮れ時から秋の虫声が聴かれるようになりました。季節は確実に進んでいます。
さて、今回は前回に引き続いて、志摩市大王町にある船越大池とその周辺地域の動植物をご紹介したいと思います。特に植物編で見られる個体については、地域によっては絶滅危惧種あるいは準絶滅危惧種に指定されているものばかりです。この大池がいかに貴重であるかを教えてくれます。
季節は進んで8月中旬の晩夏です。
船越大池についての詳細は、前回のアクティブレンジャー日記をご参照くだされば幸いです(2024年8月7日配信)。
船越大池
【船越大池(水辺)寸景】
8月中旬の船越大池です。海から封じ込められた湖だけに、潮の干満ではなく強い風によって水面が波打っています。その姿を見ていると、この大池の歴史の重さみたいなものさえ感じます。時間が止ったような静けさが人を寄せつけません。
【船越大池(湿地)寸景】
湿地には苔生える枝木が横たわっています。足音を感じると、湿地に残された水たまりから「キーッ、キーッ」と激しく鳴くカエルの声が不気味に響きます。静寂を打ち破るその声に、一瞬身構えてしまいます。
【船越大池(海辺)寸景】
海辺まで出ると、風景は一変してきます。雲流れる大空には鳶が舞い、海は澄み渡っています。自然の雄大さを教えてくれます。大池の寸景ですが、景色を切り取るだけでも心が晴れやかになってきます。夏空の青さはいつ見ても素晴らしい!
船越大池の魅力・動物編
船越大池の魅力・動物編
【モノサシトンボ】
大池には、イトトンボ類がよく顔を見せてくれます。キイトトンボやこのモノサシトンボなどが静かに飛んできて迎えてくれます。愛嬌のある姿を見ていると飽きることがありません。関東地方では個体数が減少しているとのことで、守らなければならない大切な命です。
【ヒメガガンポ科の仲間】
小道を歩いていると、どこからか一匹の昆虫が飛んできました。「これは何だ!新種か!」と期待しましたが、よく見るとヒメガガンポ科の仲間2匹が引っ付いて飛んでいました。残念でしたが面白かった!
【コガネムシ】
暗がりでは、スポットライトを浴びるようにコガネムシが食事中です。グリーンメタリックな色合いが、自然の不思議さを教えてくれます。
【ウラギンシジミ】
羽を休めているのはウラギンシジミです。成虫は5月から10月に見られ、この間に2,3回発生するそうです。この子は羽も破れ、もうすぐその命を終わろうとしているのかもしれません。見つめる先は何なのか。少し寂しい気持ちになりました。
【ジョロウグモ】
大池で番人のような存在なのがジョロウグモです。大池のあちこちで不審者の見張りをしてくれています。クモ目ジョロウグモ科ジョロウグモ属に属するクモで、夏から秋にかけて大きな網を張ります。視覚があまりよくなく、獲物が巣のどこかでかかったのを巣の糸を時々足で振動させて、そのエコー振動で感じ取るそうです。
船越大池の魅力・植物編
船越大池の魅力・植物編
【ハマアザミ】
海辺へ抜ける小道に少しだけ咲いていたハマアザミです。ほんの数個体しか見られませんでした。主として海岸に生育し、砂地や砂礫地を好む海浜植物で、海岸の開発のため生育可能な海岸の減少とともに、個体数も減少しました。白い花を付ける個体もいるらしく、シロバナハマアザミと呼ばれています。
【ニガカショウ】
ニガカショウが蕾を付けてひっそりと暮らしています。関東以西に生息する多年生つる植物で、雌雄異株ですがムカゴで雄株のみでも増えるそうです。大木から垂れ下がる姿が幻想的に見えました。大池では、ほんの一部の地域に生息するのみです。
【シログワイ】
湿地に足を踏み入れると、シログワイが姿を見せてくれました。カヤツリグサ科の植物で、溜池、水路、水田などに抽水状態で生育する多年草です。食用にもなるらしく、根茎はレンコンに似た食感と味がするそうです。この子も相当数を減らしており、見つけるのは大変です。シンプルで地味ですが、緑の茎がとてもきれいです。
【タカサブロウ】
小道には、タカサブロウの小さな花が咲いています。水田雑草と呼ばれるほど、昔は日本の水田に普通に自生していました。現在よく見られるのは外来種のアメリカタカサブロウがほとんどで、在来種のタカサブロウ(モトタカサブロウ)はほとんど見られなくなりました。2種類の最大の違いはタネの左右に翼があり、ずんぐりしているのがタカサブロウです(アメリカタカサブロウは翼がなく細い)。この子を確認したところモトタカサブロウでした。出会いに感謝!
【ハマカンゾウ】
以前にもご紹介したことがあるハマカンゾウですが、あまりにもきれいに咲いていたので思わずシャッターを切りました。関東以西の暖地の海岸に群生する常緑の多年草で、晩夏から秋にかけて花を咲かせます。残念ながら、大池では群生にはほど遠い個体数しか見られませんが、華麗な姿は見事です!
【タイワンカモノハシ】
タイワンカモノハシは、湿地にわずかに姿が見られます。ものすごく地味ですが、大変貴重な植物です。高さ30〜80cmのイネ科の多年草で、カモノハシの母種に当たります。三重県内での確実な産地は大池のみとのことです。
【キツネノマゴ】
小道に目を落とすと、本当に小さな花が2つだけ咲いていました。キツネノマゴ科キツネノマゴ属の一年草で、本州から九州の路傍や林縁に生えます。高さが10〜40cmということですが、大池の個体は20cmほどしかないため、、集中していないと見逃してしまします。
終わりに
終わりに
いかがでしたか。
二回に渡り船越大池を紹介してきましたが、私自身改めて大池の偉大さを知ることができました。ここに生息する動植物たちが、将来に渡って安定して生育できるように、私たちができることはなにか、を常に考えていかなければと思っています。
また、機会があれば、大池の水生昆虫を調べてみたいと考えています。きっとタガメやゲンゴロウなどもひっそりと生きているのだと思います。いつか出会いたいな〜。
二回に渡り船越大池を紹介してきましたが、私自身改めて大池の偉大さを知ることができました。ここに生息する動植物たちが、将来に渡って安定して生育できるように、私たちができることはなにか、を常に考えていかなければと思っています。
また、機会があれば、大池の水生昆虫を調べてみたいと考えています。きっとタガメやゲンゴロウなどもひっそりと生きているのだと思います。いつか出会いたいな〜。
【キイトトンボ】