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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

船越大池の魅力

2024年08月07日
伊勢志摩国立公園 三好 明
こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所ARの三好です。
暑いですね〜!夏きてますね〜!毎日35°C越えかと思うようなうだる暑さに正直うんざりしているところです。暑いだけでなく、蒸し暑いのがダブルで体に応えますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
伊勢志摩国立公園では、蝉の声がサマータイム全快を知らせてくれます。
今回は志摩市大王町にある船越大池とその周辺で見られた植物を紹介したいと思います。
季節は初夏です。この地域は水辺・湿地・海辺から構成され、面積約6ha、周囲約1.6kmの広さを有する海跡湖(注1)で、公園内でも希少な動植物が生育する数少ない場となっています。人が入ることで、この保たれたバランスを崩してしまうことはあってはならないことですが、発信することで、その貴重さが改めて広く認識されることを期待します。
(注1)海の一部が、堆積作用や地盤の隆起のため陸内に封じ込められてできた湖。

船越大池の魅力・植物編


【船越大池(水辺・湿地)寸景】
7月後半の船越大池です。素朴な風景の中に、貴重な動植物が生活しています。この時期は多くの草花にとっては開花時期で、きれいな花々を咲かせています。


【船越大池(海辺)寸景】
細暗い小道を通って海辺側まで行くと、開けた空と深い緑が広がっています。人の手がほとんど入っていないからこそ、この環境が守られています。


【シロバナサクラタデ】
純白な花をいっぱい付けているのはシロバナサクラタデです。水湿地に生える多年草で、大池の一部の地域に点々と咲いていました。この子は、東京本土部で絶滅危惧IB類に指定されています。いつまでも咲いていてほしいですね。


【エゾミソハギ】
大池の中では、今一番に咲き誇っているのがエゾミソハギです。京都府絶滅危惧種に指定されており、希少な植物です。


【ハマカンゾウ】
海岸近くに足を運ぶと、ハマカンゾウの可憐な花が数えるほどだけ咲いていました。大分県では準絶滅危惧種に指定されており、その姿を見る機会が減ってきています。


【ヌマトラノオ】
湿地の所々にヌマトラノオが力強く咲いています。この子は神奈川県絶滅危惧II類に指定されており、目を凝らしていないと発見できないかも・・・。


【コマツナギ】
晴れわたった空を見上げると、マメ科のコマツナギが元気に花を付けていました。水分のほとんどないような砂地でもたくましく生きています。山形県絶滅危惧II類。


【シロネ】
茎の付け根に小さな花を咲かせているのはシロネです。今が満開と言わんばかりに、愛らしい小花が魅力的です。愛媛県では絶滅危惧II類に指定されています。


【ハマナデシコ】
海辺近くではハマナデシコが満開です。ボリュームいっぱいのピンクの花が見事です。岩手県レッドデーターブックAランク。


【アキカラマツ】
暑い日に歩いていると、アキカラマツの蕾がかわいく顔を見せてくれました。鹿児島県では準絶滅危惧種に指定されています。


【ホザキノミミカキグサ】
ホザキノミミカキグサは、湿地に生育する小型の食虫植物です。高さが30cmほどしかないため、見つけるのは大変です。葉を持っており、光合成もするそうです。和歌山県絶滅危惧IB類に指定されています。


【ハマゴウ群生地】
海岸の砂地には、ハマゴウの大群生地が見られました。満開のハマゴウがこれほどたくさん見られるところは少ないと思います。貴重な大池のおかげです。東北地方の多くの県で絶滅危惧種に指定されています。

終わりに

いかがでしたか。
船越大池には、今回ご紹介した希少植物以外にもたくさんの動植物が生きています。この豊かな環境を維持していくことが、今の我々に求められているのだと思います。自然を大切に!


【ハマユウ】神奈川県絶滅危惧IA類

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