トリプタン
Triptan
1998年9月27日新設
08/04/24改定
一般名
コハク酸スマトリプタン
スマトリプタン
コハク酸スマトリプタン
コハク酸スマトリプタン
ゾルミトリプタン
ゾルミトリプタン
臭化水素酸エレトリプタン
安息香酸リザトリプタン
安息香酸リザトリプタン
ナラトリプタン塩酸塩
備考
sumatriptan succinate
sumatriptan
sumatriptan succinate
sumatriptan succinate
zolmitriptan
zolmitriptan
eletriptan hydrobomide
rizatriptan benzoate
rizatriptan benzoate
Naratriptan Hydrochloride
商品名
イミグランR錠
50
イミグランR点鼻液
20
イミグランR注
3
イミグラン®キット皮下注3mg
ゾーミックR錠
2.5mg
ゾーミックR錠
RM 2.5mg
レルパックスR錠
20mg
マクサルトR錠
10mg
マクサルトRPDR錠
10mg
アマージ®錠2.5mg
英名
IMIGRAN Tablets
Imigran Nasal Spray
IMIGRAN Injection
IMIGRAN Kit Subcutaneous Injection 3mg
Zomig Tblets
Zomig RM Tablets2.5mg
RELPAX Tablets
Maxalt Tablets
Maxalt RPD Tablets
Amerge Tablets
発売元
GSK
GSK
GSK
GSK
AZ
AZ
PFZ
Eisai
Eisai
GSK
国際誕生年
1991年4月
1991年4月
1991年4月
1991年4月
1997年3月
1997年3月
2000年1月
1998年1月
1998年1月
1997年3月
薬価基準収載年月
2001年8月
2003年6月
2000 年4月
2007年12月
2001年8月
2002年6月
2002年6月
2003年9月
2003年9月
2008年4月(予定)
薬価
933.4
1055.4
3293
3427
939.3
939.3
900.3
934.7
934.7
900.3(予定)
平成20年度薬価改定
効能又は効果
片頭痛
片頭痛
片頭痛、群発頭痛
片頭痛、群発頭痛
片頭痛
片頭痛
片頭痛
片頭痛
片頭痛
片頭痛
注射液のみが群発頭痛に適応
成分量
50mg
20mg
3mg
3mg
2.5mg
2.5mg
20mg
10mg
10mg
2.5mg
初回投与量
1錠
1容器
1A
1A
1錠
1錠
1錠
1錠
1錠
1錠
追加投与量
1錠
1容器
1A
1A
1錠
1錠
1錠
1錠
1錠
1錠
効果が不十分な場合
1回最大量投与量
2錠
1容器
1A
1A
2錠
2錠
2錠
1錠
1錠
1錠
1錠で効果不十の場合、次回から
1日最大量投与量
4錠
2容器
2A
2A
4錠
4錠
2錠
2錠
2錠
2錠
追加投与併用の間隔(最低)
点鼻液・口腔錠は錠剤と同じ
同組成薬剤同士
2時間
2時間
1時間
1時間
2時間
2時間
2時間
2時間
2時間
4時間
[錠]⇒[注]
2時間
2時間
2時間
2時間
[注]⇒[錠]
1時間
1時間
1時間
1時間
他系統とリプタン・エルゴタミン製剤
24時間
24時間
24時間
24時間
24時間
24時間
24時間
24時間
24時間
24時間
用法及び用量に関連する使用上の注意
予防的に用いない、効果が無い場合は追加しない
同左
同左。加えるに皮下注射のみに使用し、静脈内投与はしない
同左。加えるに皮下注射のみに使用し、静脈内投与はしない
同左
同左
同左
同左
同左
同左
詳細添付文書
禁忌
虚血性心疾患、脳血管障害、末梢血管障害、エルゴタミン製剤併用禁忌など
イミグラン錠50と同じ
イミグラン錠50と同じ
イミグラン錠50と同じ
イミグラン錠50と同じ
イミグラン錠50と同じ
イミグラン錠50とほぼ同じ。ただしMAO阻害剤禁忌がなく、HIVプロテアーゼ阻害薬が禁忌を投与中が追加。
イミグラン錠50とほぼ同じ。透析中禁忌とプロプラノロール禁忌が追加
同左
イミグラン錠50とほぼ同じ。重度の腎機能障害患者禁忌が追加
詳細添付文書
慎重投与
心疾患、脳疾患、肝障害、腎障害、高血圧、脳血管障害などが挙げられている。
同左
同左
同左
同左。WPW症候群が付け加えられている。
同左。WPW症候群が付け加えられている。
同左。WPW症候群が付け加えられている。
同左。WPW症候群が付け加えられている。
同左。WPW症候群が付け加えられている。
同左
詳細添付文書
代謝酵素
MAO-A
MAO-A
MAO-A
MAO-A
CYP3A4(未変化体)
CYP3A4(未変化体)
CYP3A4
MAO-A
MAO-A
複数のCYP分子種
MAO-A(代謝物)
MAO-A(代謝物)
相互作用 併用注意
SSRIなど
同左
同左
同左
SSRIなど
SSRIなど
SSRIなど
SSRIなど
SSRIなど
同左
薬効動態 Tmax
1.8
1.3
0.18
0.23
3
2.98
1
1
1.3
2.68
単位:時間
薬効動態 T1/2
2.2
1.87
1.71
1.78
2.4
2.9
3.2
1.6
1.7
5.05
単位:時間
- 添付文書に見る有効率・改善率(この数字は、治験条件が異なるので、トリプタンの優劣を示すものではありません)
- イミグラン錠50 国内用量反応試験50mg 71.4%
- イミグラン点鼻液20 頭痛改善率(投与120分後) 55%
- イミグラン注3 オープン試験における有効率 82.5%
- ゾーミッグ錠2.5mg プラセボ対照二重盲検比較臨床試験 55.6%
- ゾーミッグ錠RM2.5mg 初回服用2時間後の頭痛改善率 63%
- レルパックス錠20mg 国内第II相 64%
- マクサルトR錠10mg
第III相二重盲検比較試験 59.4%
- Robbins L: Triptans versus analgesics. Headache 2002; 42: 903-7.
⇒★トリプタンのコストや他の限界にもかかわらず、多くの患者はnontriptan投薬よりもトリプタンを好む。
- すぐれた有効性が、鎮痛薬よりトリプタンを選ぶ主な理由であった。
- トリプタンのみ52%、トリプタン+鎮痛薬18%、鎮痛薬のみ21%、なし9%
- ▲さんかくtop
- 片頭痛 (イミグラン注3は群発頭痛にも適応がある)
- 効能又は効果に関連する使用上の注意
- 1.
本剤は国際頭痛学会による片頭痛診断基準により「前兆を伴わない片頭痛」あるいは「前兆を伴う片頭痛」と確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
- 特に次のような患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、
本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、
頭痛の原因を確認してから投与すること。
- (1) 今までに片頭痛と診断が確定したことのない患者
- (2) 片頭痛と診断されたことはあるが、片頭痛に通常見られる症状や経過とは異なった頭痛及び随伴症状のある患者
- 2. 家族性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しないこと。
- ▲さんかくtop
- 錠剤(スマ、ゾルミ、エレ、リザ-)
- 口腔内速溶錠・崩壊錠(ゾルミ、リザ-)
- 口腔内で水なしでも崩壊し、唾液で飲み込むことが可能
- 水がない状況での発作発現時にも速やかに服用できる「いつでも、どこでも服用可能」
- 点鼻液(スマ)
- 投与後15分で効果が発現し、注射薬に近い即効性を持つ
- 悪心・嘔吐を伴う場合にも投与できる
- 注射液(スマ)
- 最速・最強
- ただし来院しないと投与できない
- 群発頭痛にも適応がある
- ▲さんかくtop
(次の患者には投与しないこと) イミグラン錠50、イミグラン点鼻液20を例示、他は差分を示す。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]
- 脳血管障害や一過性脳虚血性発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]
- 末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]
- コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]
- 重篤な肝機能障害を有する患者[本剤は主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある]
- エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、あるいは他の5-HT1B/1D受容体作動薬を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)を投与中、あるいは投与中止2週間以内の患者[「相互作用」の項参照]
- ゾーミッグ錠2.5mgと ゾーミツグRM錠2.5mg は、「6.肝機能障害の項目」が抜けている(代謝酵素が異なるため)
- レルパックス錠20mg
では、6、7が「エルゴタミン、エルゴタミン誘導体含有製剤、他の5-HT1B/1D受容体作動薬、あるいはHIVプロテアーゼ阻害薬(リトナビル、硫酸インジナビルエタノール付加物、メシル酸ネルフィナビル)を投与中の患者[「相互作用」の項参照]」となっている
- マクサルト錠10mgとマクサルトRPD錠10mgでは7に血液透析中の患者〔「薬物動態」の項参照〕が挿入、7→8、8→9、10にプロプラノロールを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
- ▲さんかくtop
- 竹島多賀夫, et al.: 【トリプタン治療最前線】 特殊な片頭痛患者におけるトリプタン使用の是非 片麻痺性片頭痛,脳底型片頭痛など.
医学のあゆみ(0039-2359) 2003; 204: 483-487.
- MELASの頭痛発作時のスマトリプタン反応性〜三叉神経血管系の活性化が関与か
- Takahiro Iizuka, Fumihiko Sakai, Motoi Endo, and Norihiro Suzuki Response to
sumatriptan in headache of MELAS syndrome. Neurology 2003 61: 577-578.
- 北里大学内科学IIIの飯塚高浩講師
- スマトリプタン 3 mgを皮下注射に対する反応性から
MELASの頭痛発作に三叉神経血管系の活性化が関与している可能性がある。
- トリプタンは脳底型片頭痛、遷延前兆例にも使えそう
- Klapper J, et al.: Triptans in the treatment of basilar migraine and
migraine with prolonged aura. Headache 2001; 41: 981-4.
- ▲さんかくtop
- イミグラン錠50の添付文書には次のようにかかれている。これは他のトリプタンにもほぼ共通である。
- 1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
- 2. 授乳中の婦人には本剤投与後24時間は授乳を避けさせること[皮下投与後にヒト母乳中へ移行することが認められている。
- 小児等への投与 小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
- ▲さんかくtop
- 妊娠中の片頭痛に薬剤を使用した女性の分娩アウトカムー特にスマトリブタンに関して.
⇒658名、905分娩のデータ。先天性奇形発生頻度の増加なし。早産の可能性が否定できない。
- 出典:Kallen B, Lygner PE:Delivery Outcome in Women Who Used Drugs for Migraine During Pregnancy With
Special Reference to Sumatriptan.
Headache 2001;41:351-356、Cophalalgia/Headache日本語抄訳版2(1):17-22, 2002
- ほかにFox AW, Chambers CD, Andreson PO, et al. Evidence-based
assessment of pregnancy outcomes after sumatriptan exposure Headache
2002; 42:8-15
Sances G, Granella F, Nappi RE, et al. Course of migraine during
pregnancy and postpartum: a prospective study Cephalagia 2003;
23:197-205 - 授乳についてはトリプタン服用後24時間を空ければ、乳児への影響は避けられる。
- 小児についても徐々に使用例が増えている。いまのところ大きな問題は報告されていない。
-
▲さんかくtop
-
藤田光江: 【トリプタン治療最前線】 経口スマトリプタンの小児片頭痛における使用. 医学のあゆみ(0039-2359) 2003;
204: 475-478.
-
平田幸一: 【トリプタン治療最前線】 トリプタンの妊婦における使用. 医学のあゆみ(0039-2359) 2003; 204:
479-482.
- イミグラン錠50を例にとると
次のように書かれています。
- 通常、成人にはスマトリプタンとして1回50mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
- なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることができるが、前回の投与から2時間以上あけること。
- また、50mgの経口投与で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から100mgを経口投与することができる。
- ただし、1日の総投与量を200mg以内とする。