2007年02月25日
ニートの分類・支援の方法について
ニュースタートの二上能基さんの「希望のニート」(2005年東洋経済新報社)に書かれた文章がニートの分類とそれぞれの支援のあり方について簡潔にまとめてありましたので、その一つの考え方として参考までにここにご紹介します。
一口に「ニート」と言っても、大まかに次の三つに分けられると私は思います。
?@就労についての決め細やかな情報提供を必要とする層(情報力必要型)
?A就労以前に、人間関係が苦手で社会に出てもすぐに挫折しそうな層(社会力必要型)
?Bさらに生きていること自体にあまり喜びを感じられない層(人間力必要型)
ニートには、この三つのタイプが存在するというのが私の考えです。それらをひとくくりにして、同じ対応をしても空転する若者が生まれてしまうのです。
まず、「?@情報力必要型ニート」は、自発的な就職浪人や就職活動をしたのに採用されなかった若者たちです。こういう層には、決め細やかな就職情報の提供やカウンセリングなど、いま政府が進めている「ヤングジョブカフェ(若者専門の就職相談所)」政策である程度は対応できると思います。
ただ、「?A社会力必要型ニート」は、ジョブカフェ対応では難しい。彼らは他人と話すときに何を話したらいいかわからない、と悩んでいるからです。
彼らは誰かと話すときに、
「きちんと目的意識を持って話さないといけない」
「しっかりとした内容のある話をしなければならない」
そんな強い思い込みがあり、そのせいで過度に緊張してしまい、他人とうまく話せない。
前にも書きましたが、そのために近所のおばさんと世間話をするのではなく、「話し方教室に通って勉強したい」と考えてしまったりするのです。
私が子どもの頃なら、近所のさまざまな年齢の子どもたちと遊ぶことで培えた力が、圧倒的に足りないのです。年齢相応に他人と交流し、対話する力が未発達なのです。
このタイプは、ジョブカフェ対応では難しい。あえて書けば、厚生労働省が行っている「若者自立塾」対応のほうがまだ近いはずです。
最後は、「?B人間力必要型ニート」です。
あとでくわしく書きますが、私たちニュースタート事務局で開催している「お遍路プロジェクト(四国88ヶ所をニートの若者たちと歩く企画)」で、若者の変化を見ていると、まさに不足していた「人間力」が育ってきていると感じることがあります。
昼夜逆転した生活をしていた若者達が、規則正しい生活の中で活力を取り戻していく様子が手に取るようにわかるのです。
四国の大自然を中を歩く爽快感。地元の人の思いやりやありがたいと感じる心。お菓子やファーストフードではなく、新鮮な食材が持つおいしさを感じる味覚。しっかり歩き食べてぐっすり眠ることの幸福感―そういう感覚が彼らの中で次第に目覚め、引きこもりやニートの若者たちの表情が目に見えて健康的でほがらかになり、その言動が明るく生き生きしはじめるのです。まさに生きる喜びを彼らが取り戻していくわけです。
その鮮やかな変化に接していると、反面、彼らがいかにそれまで生きる喜びを感じられない場所で生活してきたのかを思わずにはいられません。そういう若者たち(すなわち「?B人間力必要型ニート」)には、就職情報や社会力以前に、たとえばお遍路体験のように、まず生きる喜びを体感する場所づくりが必要になるのです。
おそらく、現在の若年失業やニート問題への対応が混乱しているのは、以上のようなニートの区分けと、それぞれに応じた対応が必要だと言う共通認識がもてていないからだと思われます。
専門家の間ですらそうなのですから、世間一般の人たちの中でニートへのイメージが、まだまだ曖昧なのも仕方ありません。
上記のタイプ分けで言うと、ニュースタートで生活するニートの若者たちは、ジョブカフェ対応では難しい若者たち、すなわち「?A社会力必要型ニート」と「?B人間力必要型ニート」の若者たちです。
そんな若者たちに、私たちがどんな言葉を投げかけているかを、次に紹介したいと思います。
ただの人として、楽しく生きる
なかなか「働けない」ニートの若者に対して、私は
「ただの人として、楽しく生きればいいんだ」
という言葉をよく投げかけます。
日本の社会は、良くも悪くも、目的なき上昇志向がまだまだ強い...
以下続く
一口に「ニート」と言っても、大まかに次の三つに分けられると私は思います。
?@就労についての決め細やかな情報提供を必要とする層(情報力必要型)
?A就労以前に、人間関係が苦手で社会に出てもすぐに挫折しそうな層(社会力必要型)
?Bさらに生きていること自体にあまり喜びを感じられない層(人間力必要型)
ニートには、この三つのタイプが存在するというのが私の考えです。それらをひとくくりにして、同じ対応をしても空転する若者が生まれてしまうのです。
まず、「?@情報力必要型ニート」は、自発的な就職浪人や就職活動をしたのに採用されなかった若者たちです。こういう層には、決め細やかな就職情報の提供やカウンセリングなど、いま政府が進めている「ヤングジョブカフェ(若者専門の就職相談所)」政策である程度は対応できると思います。
ただ、「?A社会力必要型ニート」は、ジョブカフェ対応では難しい。彼らは他人と話すときに何を話したらいいかわからない、と悩んでいるからです。
彼らは誰かと話すときに、
「きちんと目的意識を持って話さないといけない」
「しっかりとした内容のある話をしなければならない」
そんな強い思い込みがあり、そのせいで過度に緊張してしまい、他人とうまく話せない。
前にも書きましたが、そのために近所のおばさんと世間話をするのではなく、「話し方教室に通って勉強したい」と考えてしまったりするのです。
私が子どもの頃なら、近所のさまざまな年齢の子どもたちと遊ぶことで培えた力が、圧倒的に足りないのです。年齢相応に他人と交流し、対話する力が未発達なのです。
このタイプは、ジョブカフェ対応では難しい。あえて書けば、厚生労働省が行っている「若者自立塾」対応のほうがまだ近いはずです。
最後は、「?B人間力必要型ニート」です。
あとでくわしく書きますが、私たちニュースタート事務局で開催している「お遍路プロジェクト(四国88ヶ所をニートの若者たちと歩く企画)」で、若者の変化を見ていると、まさに不足していた「人間力」が育ってきていると感じることがあります。
昼夜逆転した生活をしていた若者達が、規則正しい生活の中で活力を取り戻していく様子が手に取るようにわかるのです。
四国の大自然を中を歩く爽快感。地元の人の思いやりやありがたいと感じる心。お菓子やファーストフードではなく、新鮮な食材が持つおいしさを感じる味覚。しっかり歩き食べてぐっすり眠ることの幸福感―そういう感覚が彼らの中で次第に目覚め、引きこもりやニートの若者たちの表情が目に見えて健康的でほがらかになり、その言動が明るく生き生きしはじめるのです。まさに生きる喜びを彼らが取り戻していくわけです。
その鮮やかな変化に接していると、反面、彼らがいかにそれまで生きる喜びを感じられない場所で生活してきたのかを思わずにはいられません。そういう若者たち(すなわち「?B人間力必要型ニート」)には、就職情報や社会力以前に、たとえばお遍路体験のように、まず生きる喜びを体感する場所づくりが必要になるのです。
おそらく、現在の若年失業やニート問題への対応が混乱しているのは、以上のようなニートの区分けと、それぞれに応じた対応が必要だと言う共通認識がもてていないからだと思われます。
専門家の間ですらそうなのですから、世間一般の人たちの中でニートへのイメージが、まだまだ曖昧なのも仕方ありません。
上記のタイプ分けで言うと、ニュースタートで生活するニートの若者たちは、ジョブカフェ対応では難しい若者たち、すなわち「?A社会力必要型ニート」と「?B人間力必要型ニート」の若者たちです。
そんな若者たちに、私たちがどんな言葉を投げかけているかを、次に紹介したいと思います。
ただの人として、楽しく生きる
なかなか「働けない」ニートの若者に対して、私は
「ただの人として、楽しく生きればいいんだ」
という言葉をよく投げかけます。
日本の社会は、良くも悪くも、目的なき上昇志向がまだまだ強い...
以下続く
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