何キロも離れた広い地域に影響を及ぼし、夜空の 景観を阻害することは、たった一人の利益のために、広告・宣伝と言う理由で 許されるべきものではないはずです。
広範囲に影響を及ぼす事を充分考慮し、適切に管理する事が必要になって来て
います。
もしこのまま何の対策もされないなら、沢山の広告が後に続き、管理のないま
ま過剰な競争につながる可能性があります。その結果、夜間環境の阻害、生活
の質の低下は避けられません。
光害対策で一番大切な事は、多くの人に効率の良い、 水平以上に光の出ない照明の必要性と利点を理解してもらうことから始まって います。
その様な、光害の対策の活動の中で、サーチライトが増えることは、この光害 対策の後戻りにつながる懸念が出て来ます。広告照明の先を争った競争を激化 し、もっと明るく、もっと目立つ広告を設置する事にもつながってしまう可能 性があるのです。
小惑星を観測している天文家達は、小惑星を検出するためにカメラを使って長 時間の露出を行います。彗星の観測でも同じ方法が使われており、回転サーチ ライトの光は、この写真に写る星を見えなくしているのです。そして実質的な 被害を受けている事はハッキリしています。
暗い場所にある観測地まで、何キロも離れて光が届くサーチライトが設置され
ることは、天文家にとっては、活動の場を奪われる事に等しいのです。
国際ダークスカイ協会 Forrest Hamilton氏撮影
都市部でも、まだ白鳥座やこと座を代表とする夏の星座を見ることが出来ます。
自宅でそのような季節の星座を見ることが出来るのは、全ての市民にとって、
憩いの時であり、誰にでも許されなければならない大切な景観の一部です。夜
空の景観さえ、ぐるぐると回る明かりで台無しになってしまいます。夜空は、
自然の景観の一部で、誰もが自由に享受できる大切な財産ではないでしょうか。
たった一人の心ない行為で、何万年も続いた美しい夜空や、夜景が台無しにな
っているのです。
家庭では、白熱電球を小型蛍光ランプに交換し、アパートの階段には、赤外セ ンサーとタイマーを組み合わせて省エネを計っています。路上をハイブリッド バスが走り、赤信号では、エンジンを止めています。一般車でさえも、停車中 は、エンジンを切ることをJAFは、提案しています。
誰もがエネルギーの無駄を無くし、効率の良い使い方を考えているのです。
サーチライトの及ぼす影響を−他社の追従、過剰照明の原因−を考えると、サ
ーチライトを無くすことが必要になってくるのではないでしょうか。
今、京都COP3の結論を誰もが行動に移すときが来
ているのです。