吾輩は猫である。漱石先生の頃はまだ、えがった、確かにあの頃は、一応ネコ権が確立されていたといえる。だが、今の身の上は、自分で言うのは可笑しいかもしれないが、とにかく最低だ。
誰からも拘束されることなく、いうならリタイアした後の、メロウの紳士淑女のように、本来自由気ままな筈の猫が、なんと、檻に入れられてしまったのだ、これではマッタク様にならない。その筋から、『外出禁止命令』が出たんだ、と。
ネコに外出禁止令は馴染まない。ニッポンには「猫をかんぶくろに押し込んで」という歌があるかも知れないが、ここフランスでは事情が違うはず。ニッポンの漱石先生、なんら悪事をした覚えのないあっしらを、じゃなかった、我輩をどうか救ってください。先生には浅からぬご縁のある、我輩をなんとか助けて下さい。あの本一冊でずいぶん、儲けさして上げたではないすか。
ネコは今まで、イヌのようには役に立たなかったかもしれませんが、ニッポンに仏教のお経が入ったときなど、大事なお経がネズミに食い荒らされるのを、随分防いで上げたではありませんか。
また、最近でも、ミュージカルの『キャッツ』ひとつとっても大変です。上演回数が、ニッポンだけで6000回ですよ。舞台だけだって、こんなに貢献しているんですから。映画界でもそうですよ、化け猫の映画でも笑いが止まらないほど、稼がせてあげたじゃないすか。漫画のドラえもん、だってそうですよ。我輩は、ずいぶん長い間、お子様文化に貢献してきました。
だいたい、今回の騒ぎの元は、トリじゃないすか、ネコはうつされた方の被害者でっせ。飽くまでも、被害者だちゅうことを忘れにないで。漱石はんも、そうや、よろしゅう頼んまっせえ。あんまり虐待されるようやったら、ドラえもんかて、22世の彼方へいってまいます。
人間の都合ばかり、優先したらあきまへんで。ほな、さいなら。(-_-;)
この間《メロウサロン》の方へ、イタリア某紙による「世界の30傑」を書いたので、今度はこっちへ「ベストセラー30傑」と行きましょう。
全部並べてもご存じないものも多いし、正直云って、あっし自身知らないものもケッコウ多い。そこで上位だけを取り出しましょう。
1位は、これはイタリア人ならずとも、映画にもなったし知っている方が多いでしょう。あんまり勿体をつけるのはよくないので、申し上げまが
それは、ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」です。2位は、やはり(投票する人が、イタリア人なのでこれはある程度は、仕方のないことですが)イタリアの作家で、アントニオ・タブッキの「供述によると、ペレイラは」で、ご存じない方も多いでしょうが、名訳者須賀敦子さんの邦訳があります。
3位は、コロンビアの作家、ガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」で邦訳あり。4位は、パトリック・ジュースキントの「香水」、これも確か、邦訳があるはずです。
5位は、イタロ・カルヴィーノの「アメリカの教訓」、6位には、たぶんご存知のない方はいない筈の、JKローリングの「ハリー・ポッター」7位に、イタリアの人に根強い人気のある
プリーモ・レーヴィの「溺れるものと救済されるもの」、8位には、ニッコロ・アンマンニーティの「僕は怖くない」が入っています。
9位は、スティーヴン・キングの「It」、これはわが町の図書館にもありました。10位には、ジョン・ホブスボム(とお読みするのか、あっしは不勉強で、こんな作家は聞いたことがありませんが)の、「短い世紀」10位までですと、大体こんなところですが、11位、12位には、イタリアのアンドレア・カミレッリ、アレッサンドロ・ブリッコが入っています。
カミレッリは推理作家でこれには、紋樽場野じゃなかった、必ずモンタルバーノ警部が登場すことになっています。
時々角川書店の「ジャッロ」という雑誌に翻訳が出ることがあります。単行本では千種 堅訳で「おやつ泥棒」「悲しきバイオリン」等が別の書店から出ています。ブリッコ(ぶりっ子ではありません)は、映画にもなった「海の上のピアニスト」「絹」などで、有名です。
ニッポンで一時評判になった、ハッチントンの「文明の衝突」は21位で、あちらでは、あんまり芳しくない成績です。トーマス・ハリスの「羊たちの沈黙」は15位と丁度真ん中にいます。また、ノーベル文学賞をとった、ポルトガルのジョゼ・サラマゴの、「修道院回想録」は14位と健闘しています。
以上は、ニッポンでなく、あちらの人たちの読書傾向の一端が覗える、貴重なものだと、あっしは思いますが、見方によっては、トリビアともいえる、資料の一つです。
彼の地の新聞を覗くと、、鳥ウィルス(H5N1型)のイタリア到達のニュースが、いま盛んに行われているオリンピックの記事を差し置いて、トップに躍り出た。発見されたのは、いずれも南部の3州(シチリア州、カラブリア州、プーリア州)で、野生の白鳥都合17羽が死亡。その内二羽の感染が確認された。
北イタリアはパードヴァの研究所のこの発表を受けて、イタリアのストラーチ保健大臣は直ちに、他の地域への鳥の移動(生きているものも肉の状態のものも)を21日間禁ずる旨の命令を下した模様。ある新聞は「鳥インフルエンザ、世界中に広がる、アジアからヨーロッパへ」というセンセイショナルな見出しをつけている。
ところで、トリノ・オリンピック金メダル第一号が出ましたね。ドイツのミハイル・グライス(バイアスロン20?`、男子、個人)。 ではまた。
ニッポン人の中国に対する立場は、人により親中.嫌中、反中無色透明とさまざまだが、中国自体はニッポン人の思惑とは関係なく、その力をグングン伸ばしつつある。この事実は、遺憾
ながら否定の仕様がない。
先ごろのハリウッド映画「サユリ」にしても、主役は中国人女性、また、ニューヨークで行われたボディーペンティング
のイヴェントを見ても、モデル12人はいずれも中国人、スポンサーのオリンパス(日本企業)は、それに比べて思いなしか、チョッと影がうすい。世界モーターショウへの切り込みのニュースも、ニッポン人を大いに驚かせたし、北京オリンピックへかける意気込みにも、圧倒される。
さらに、あっしの度肝を抜いたのは、常日頃見ているイタリアの新聞に中文が現れたことだ。いま英語は、『英語でしゃべらナイト』ではないが、ニッポンでも相変わらず肩で風切る勢いだが、中国語がそれほどまでに、その存在感を示し始めたのには、ショウジキ脅威を感じる。
ニッポン語のバージョンはまず、百年くらい先にならないと現れないのではないか、というより、ニッポンの目なぞ、待つだけ無駄かもしれない。(-_-;)
以前ハッチントンの書を読む機会があり、その中で、ニッポンの位置づけが漢字文化圏とあったのに、大した感慨も持たずに読み進んでしまったことがあるが、日本の文化と称するものも、この分では漢字文化圏の中に吸収合併されてしまいそうな危惧感を覚えた。
例のムハンマド風刺画事件に端を発した、キリスト教国による、イスラム教への侮辱、攻撃の真意が、いまいちよく分からない。
デンマークの新聞にせよ、イタリアの閣僚にせよ、なぜ今こうしたことをしなければいけないのか。彼らがイアタリアやデンマークに攻撃を仕掛けたという報道も見かけなかった。
作用あれば反作用、ということは、中学の頃に習ったような気がする。一国の閣僚の地位にあるものがなぜ、中学生のような幼稚な行動をとるのか。反ムハンマドの風刺画のプリントされたT-shirtを、わざわざ着用に及んで、出演したテレビで、自慢げに見せびらかしたという。
アルカイダに近い、急進派のサイトでは、この写真を掲載し、「ムハンマドを愚弄した漫画の付いたT-shirtを着たバカ殿」といったコメントをつけている。どうやら、ブタ野郎ということらしい。
渦中のカルデローニ氏は(もう辞任したそうだが)、反移民で有名な北部同盟の所属。この党はもともとイタリアの南部が、北部繁栄の足手まといなので、北部だけで独立国(パダニア共和国と称する)を建国することを目指して設立された。だが、今は軟化し、連邦制を唱えてる。というが、同党の機関紙には、いまだに「パダニア共和国を目指す北部同盟」のスローガンが最上段に掲げられている。
カルデローニ氏は、北部ベルガモの生まれ、50歳で、医学を専攻し、医師の資格を持っている。やはり、分離独立派だったお祖父さんの影響で、北部同盟に入った。
事件について、これまでの経緯を見ると、ベルルスコーニ首相は、地方の町に行った折、同氏に辞職を勧めたし、チャンピ大統領は、名指しこそしないものの、一国の政治を預かるものは、責任を持って事に当たらなければならない、とやんわり批判し、他の宗教に対しては敬意を払うことが必要と述べ、先ごろのリビアでの事件の死傷者について、深い憂慮を表明している。
また、カルデローニ氏の出身地である、ベルガモの司教は、事件を引き起こしたカルデローニ氏は、イアタリアばかりでなく、ベルガモの町にとっても、面汚しだ、と烈しく非難した。
辞職した後も彼は、ベルルスコーニ首相は以前、ワタシは政界のキリストだと気取ってみたが、自分はそこまでは云わないが、今回のことは、あくまでも憂国の情、護教の情熱がなせる業で、まったく反省などしていない、イスラム側の過激派が、神の名の下に、拉致した人たちの首切り、処刑、自爆テロなどをやるのは看過できない、などと発言しているが、イスラム側でも今回のシャツ事件は「看過できない」としている。
もうすこし、お互いオトナになれないものか、無宗教の紋次郎は、新聞を開くたびに、悶々とするのである。
李白の詩を訳詩したものです
「都の空に 月ひとつ
砧の音は ここかしこ
秋風寒く 吹きやまず
思うは遠い 国境(くにざかい)
外(と)つ国の敵 平らげて
夫(つま)帰り来る 日は何時ぞ」
白兎山人
子夜呉歌 其三 李白
長安一片月
萬戸擣衣聲
秋風吹不盡
総是玉關情
何時平胡虜
良人罷遠征
いまオリンピックの行われている、イタリアはピエモンテ州や、トリノについて多少の知識を仕入れておくのも、その内なにかの役に立つことがあるかも知れない。
ピエ(脚)モンテ(山)というだけあって、確かにピエモンテ州のトリノなど、アルプスの山麓にある。このピエモンテ州の州都、トリノという町は、今から140年前には何とイタリアの首都だったのだ。
当時の国王だったヴィットリオ・エマヌエーレもこの町で生まれた。町の中心にサヴォイア公フィリベルトの銅像が立つ。*(先だってのトーチランナーの中には、その後裔のフィリベルト王子(同名) の姿もあった。彼はコンソラ通りから家名の入ったサヴォイア広場までトーチを持って群集の中を走った。
始祖が12世紀に遡れる、由緒あるサヴォイア家は、20世紀の前半(1956年)までイタリアの王室であった。また町並みについて云えば、トリノの街路は整然として美しい。食べ物では、多分誰でも知っている、あの細長いパン、グリッシーニはここが原産地、またチョコレートも美味しく、相当高価だが、高級キノコとして愛されている、白トリュフも世界的に有名。
それからチョッと意外な思いをされるかも知れないが、この町の目玉は、エジプト博物館で、これはカイロの博物館に次ぐ世界第二の収蔵量で知られている。
また、フィーアットの工場があるだけあって、ウニタ・ディターリア通りに、カルロ・ビスカレッティ・ルッフィア自動車博物館がある。もちろん、王都なので、王宮などにも見るべきものが多い。イタリア初の映画館誕生の地で、映画の博物館もある。
スポーツ紳士には、町の周辺に格好のゴルフ場が沢山ある。
*公の馬上の豊かなその像は、次のサイトで見ることが出来る。
http://rb.e-royce.com/archives/05/index.html
チョッとトリビア的知識に属するかもしれないが、紛らわしいことに、同じピエモンテ州に、Oが一字少ないだけのトゥリノ(Trino)というが町があり、ただ似てるだけでなく、古代ローマ時代からの歴史があり、付近に城や自然公園などもある。
そのほか、Iの抜けたトルノ(Torno)という町も、ロンバルディア州にあるのも面白い。
デンマークの諷刺画(ムハンマドを笑いものにした)が物議をかもしているのは、新聞紙上でご存知だと思うが、こういうのはどうなのだろう。あっしも世情に疎く(テレビは殆ど見ない、週刊誌は買わない、東京には滅多に出ない)ニッポンの事情を外国から教わる毎日だが、東京、大阪にこんな紋が出来ているとは夢にも知らなかった。これなど、キリスト教に対する冒涜にはならないのか。
大分勿体をつけたが、何と、大阪の商魂がなせるわざと言うべきか、東京の盛り場、新宿、渋谷に、教会レストランとでも呼ぶのか、そんな店(クリストン・カフェという屋号)が出来、そこで、つまりキリストの磔刑像のある祭壇や、聖人像、聖遺物函などが並ぶ神聖な空間で、主として若者たちが、スパゲッティーやピザなどに舌鼓を打っているのだと。
写真を見ると、カトリック教会の内部のような、設えのところが写しだされている。店長の弁によると、これが全部イミテーションや何かではなく、オリジナルで、すべてイタリアやスペイン、フランス、ギリシャなどから買い付けた、ホンマ紋だというから驚く。
客層は若い女の子が多いが、二人連れも大勢いらっしゃるそう。店はレストランかと思えば、カフェの要素もあり、出てくる料理もごたまぜ、店では音楽のフュージョンにたとえているが、ニッポン料理、アジアタイ料理、イタリア料理をミキシングした体のものらしい。献立を覗くと、ライスケーキ・カルボナーラだとか、クリストン風フライドピザ、半熟卵添え、といった奇怪なものが勢ぞろいしている。
営業は年中無休で、あさ5時までやっている。ゴールデンタイムには、予約を取らないと、座れないほど混み合うという。店でかける音楽CDは、独自に作らせているという凝りよう。気になるお値段は、一人当たり2800円から4200円くらい。
シャンデリアはゴシック様式だし、ふつうの教会のように、壁にはマドンナや聖人の像、宗教的な壁掛けなどつるされていて、雰囲気は本物の教会とマッタク変わりがない。だが、給仕するボーイの頭は、パンクルックというアンバランス。だが、これもはじめから計算づくで若者の受けを狙ったものかも知れない。インターネットで予約すれば、割引までしてくれる。
きのう(1/29)、ローマのオリンピック・スタジアムの観客席に、巨大なカギ十字の横断幕が棚引いた。以前ロシアでも、ネオナツィの若者が大暴れして、新聞種になったことがあるし、最近でも、オランダで旧ドイツ軍がかぶった鉄兜が、オランダのサッカーファンの間で飛ぶような売れ行きを見せた、と報じられたことがある。
2週間に15000個の売り上げだとか。自国に侵入し、占領した、いわゆる第三帝国の、軍隊の使用したものが、何故そんなに珍重されるのか、ほんとうに理解に苦しむ。パチンコ屋の軍艦マーチとは、チョッと意味合いが違うような気がする。
メーカー側は、戦争は60年前もに終わったんだし、もう世代交代している。商品は戦争とは関係なく、政治的な色合いもなく、まあ云って見ればオモチャの一種だ、と主張しているが、時も時、ドイツでのワールドカップを、間近に控えた、かの地のサッカー協会は、こういうものは、どう見ても悪趣味で、少しでも、あの戦争を思い出させるようなものは、とても受け入れられるものではない。とスポークスマンを通じて、答弁している。同国ではこの件で、甲論乙駁、議論沸騰とある。
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闘志を燃やすためにはどうしても過激な方に走りがち。その気持ちも分からぬではないが、物には限度がある。今度の騒ぎはどう決着するのか。下院議員のヴェロー二氏は、許しがたい出来事だ、と怒りをあらわにする。ローマ側のサポーターにも、おそらく言い分はあるのだろう。
というのは、去年の試合で、相手チームがスタジアムに爆竹を持ち込み、それを拾った人が、爆発によって、手の指の骨を二三本吹っ飛ばされたという。プロレスではないが因縁試合で、警察では最初からローマ側が、報復の計画で乗り込んだものと見て捜査を続けているが、今までに三人を逮捕、一人を告発した模様。
なお、おそらく試合中に使用する目的でドゥーカ・ダオスタ橋の下に隠してあった火炎瓶6本も、警察によって押収されている。横断幕や、旗の中には、ドイツ語で、『神は我らと共にある』などの言葉の書いてあるものも、あったらしい。
例によってパロディです、 旧正月も近いことだし。
○しろまる綿の屑 掻き出し見れば 平形の 蜘蛛に見紛う 大きいシラミ
○しろまるカササギの 足跡のみか 前鬢の 白きを見れば また老けにける
○しろまる頬や顎 ヒゲは生えれど 頭には 毛の一つだに 無きぞ悲しき
○しろまる心当てに 聞かばや聞かむ 初孫の おき惑わせる 出歩きのクセ
○しろまる米麦や 稗黍までも 取り上げて 粟でこの世を 過ぐしてよとや
○しろまる欲深の 心思わす 血が出でし 人の胃の血の 黒くもあるかな
○しろまる春の夜の ともづな解けし 川舟に 櫂なく佇む 櫓こそ欲しけれ
○しろまる尼の寺 振り向き見れば 鐘が鳴る 御袈裟もやわに あでな撞き方
○しろまる足引きの 山鳥の尾の 枝垂り尾の ビッコのたびに 揺れる擦り跡
○しろまる若い娘は 皆この我に しがみつく 羨ましいと 人は言うなり
○しろまる山里は 冬ぞ寂しさ 勝りける 一目も逢えぬ 彼を想えば
○しろまるパラシュート 糸のもつれに 開きかね 降り行くものは 我が身なりけり
○しろまるほど過ぎて 飲みつる後の 空しさよ ただ居酒屋の ツケぞ残れる
○しろまる去にし年 もらい火の粉で 焼いた蔵 今日焦げ跡に 土を塗るかな
○しろまる徹マンに 明け方近く 負け込めば 恋しかるべき 夜半のツキかな
○しろまるつまずいて 坊主ころんで 数珠切れて 貫き止めぬ 玉ぞ散りける
○しろまる膀胱の 締まり失せたる わが下着 人こそ知らね 乾く間もなし
○しろまる百円で 昼飯食べて 茶を飲んで なお余りある 昔なりけり
○しろまる運転手 ころげ落ちたる 衛生車 行方も知らぬ コエの道かな
○しろまるふるいつつ トイレの順番 待つヒマの 如何に久しき ものとかは知る
○しろまる落ち葉焚き 残りの灰に シトすれば 霧立ち上る 秋の夕暮れ
- Joyful Note -