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続きです。
ここからは、文体はである調に変わります。
国による感染拡大抑止の対策は様々に行われてきたが、
基本的な戦略は、よく言われるように
感染のピークシフト≒時間稼ぎ
であり、それにより医療崩壊を防ぐこと&態勢を整えること、
薬品開発や治療法確立への時間を作ること、
を目的としていたと考えていい。
それが、首都圏での感染者の指数関数的な増加傾向と
その主因たる感染経路不明の感染者の割合・実数共の増加、
医療現場のひっ迫に代表されるような事象が拡大してきたことから、
現在の緊急事態宣言を発する状況まで事態は進んできた。
この間、一貫して重要視されてきたのが、
死者数を増やさないこと
であり、このこと自体はこれからも変わりないが、
フェーズの変化により基本的な対応思想も変わる。
つまり、死者数抑制のためのその分母たる感染者数抑制への
アプローチが変化する、ということであり当然であろう。
一方で、この間メディアや識者(とされる方々)等で
言われてきたことがある。
PCR検査体制とその数、である。
実際、他国と比較して検査の実数が少ないのは明白であり、
それに対し疑問が上がるのは当然でもあろう。
実際問題として、医療資源には限界があり、
やみくもに検査を実施(それも偽陽性・偽陰性が比較的出易い)し、
結果としての医療資源逼迫と偽陰性者による拡散招来を考慮すれば、
持てる資源を考えた時のアプローチとしては正しかったと考える。
ソフバンの孫さんが
「PCR検査キット100万セット配ろっかな?」
とツイートしたとき、
「医療崩壊起こすからそれだけはやめて!勘弁して!他国見て!」
という、それまで検査拡大の意見が圧倒的多数を占めていたネット上では
あまり見かけなかった、検査状況を肯定・是認している層のリプライで
埋め尽くされたように、潜在的には検査体制に対して
一定以上に理解は得られていたと思われる。
(サイレントマジョリティ、ってこういうことなんだよね、と)
ただ、フェーズは明らかに変わってきているのであって、
死者数を抑制すること、というこれまでの方針を軸と見立てつつ、
感染者数と死亡者数から検査数の妥当性や
最悪どのくらい死者数が出てしまうのか、について、
各国の感染者数と死亡者数及び死亡率の単純な数値比較と
そこからの推計をベースに考えてみた。
なぜこんなことをしてみたのか?であるが、
それこそ単純に、そのような推論をしている記事や意見を
ネット上でもメディア上でも見たことがないからである。
これをしてみたところで何が正解・正着打なのか、とかには
繋がるものでもないけれど、様々に見解がある中で
数字で見てみた場合はこういうことは言えるよね、
くらいに考えることはできるのかな、ということで。
まず、前提条件として、
1各国の衛生・栄養水準や医療制度など、
国ごとに違う要素は考慮には入れていない。
2保険制度についても同様。
3各国の検査数は不知なので、あくまで感染者数でみる。
=感染者数/検査数や検査の精度は考慮しない。
4各国の感染者数・死亡者数は「正しい数字」である、という前提。
※(注記)ぶっちゃけ本当か?という国もあるでしょうからorz
また、死亡者数は感染者数の内数になるのは当たり前だが、
この中には「新型コロナそのものでお亡くなりになった人」と
「本当は助かっていたかもしれないのに医療崩壊などで
十分な治療行為が為されなかったために亡くなられた感染者」
が混在している点も考慮しない。
以下が感染者数1万人以上の各国・日本・世界全体の
感染者数及び死亡者数の一覧である(4月8日AM現在)
表で見ると、死亡率ワーストはイタリアの12.63%、
逆に最も死亡率が低いのは韓国の1.86%、
全体平均が5.74%である。
よく知られるように、韓国はSARSの経験から検査体制を充実させており、
当初から徹底した検査をベースとし対策を講じてきた。
一部で医療崩壊を招いたのは過剰なほどの検査を行ったからでは?
という指摘もあるが、他方で徹底ぶりに対し国際的な評価の声もある。
感染拡大の一番の要因は一部宗教団体の活動形態によるとされる。
イタリアでは完全に医療崩壊を招いた。
検査の方針自体は日本と同様である。
以前のWHOによる医療制度ランキングでは2位とされ(日本は10位)、
つまりは「世界でもトップクラスに医療が充実した国」が
極めて深刻な事態に陥った、ということになる。
これらの数字を日本のそれと置き換えてみると、
次のようになる。
[画像:%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E5%90%84%E5%9B%BD%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0%EF%BC%884%E6%9C%887%E6%97%A5%EF%BC%89%E2%91%A1.jpg]
繰り返し記すが、各国ともフェーズは異なり、
その上での数字比較なので誤解のないように。
で、これを見ると、まず死亡者数固定の方からだが、
死亡率の最低ラインである1.86%(韓国)を当てはめた場合、
感染者数については潜在的な感染者数は現在よりも1000人余り、
割合で言えば25%程度多いかも、ということが予測される。
全体平均(5.74%)で見たときには、
2.5倍弱の感染者を補足できている、とも言える。
最高ライン(12.63%)は実際との乖離が激しいので除外。
続けて感染者数固定の場合。
最低ラインからすれば3割弱死亡者の割合が高い。
最高ラインからは、医療崩壊が既に起きていれば
現在の4倍以上の方が既に亡くなっていた可能性、
あるいはこれから亡くなる可能性を示している。
今後展開が悪化するとこの数字に寄っていくことに。
平均ラインで見ると、死亡者数が半分以下に抑制されている、
ということとなる。
現在感染が拡大している国々でも、その拡大期を迎えるまでの
死亡率は概ね2〜3%台だったところであり、
そうしたことも含めてこれまでのところを考えてみると、
PCR検査数の増加は当然ながら感染者数の実像把握には繋がるが、
検査→感染者認定、という部分においては
韓国などのような「疑わしきは即検査」といういわば徹底検査体制と
日本のような「症状から必要があれば検査」いわば限定検査において
著しい乖離を生じていることはなく、
このことを考えればPCR検査の運用における我が国のアプローチは
少なくとも失敗だったとは言えず、
むしろ一定程度にはうまく運用してきた、と考えられるし、
死亡率と感染者数の比較からもそのことは裏付けられる。
また、対応方針の幹であるピークシフトも、
もっと後ろにずれてほしかったところではあろうけども、
何とか戦略として機能してきた、と言える。
「ただし、大事なのはここから」と、
今回のエントリーを書き始めた緊急事態宣言の二日後くらいには
結ぼうと思っていたが、以降ここまでのほんの数日で
感染拡大の速度が恐ろしく上がっている。
まさに緊急事態であり、非常に危機的な状況である。
現在の各国、特にイタリアや米国の現状を見れば、
1か月〜2か月後に日本国内が同様の状況になることは
十分あり得るし、むしろ近づいている、と見るべきだろう。
それが、私達がこの後に迎える未来かもしれないとするならば、
如何にして状況悪化を進めないようにできるか、
それがダメでもそのスピードを鈍化させることが出来るか。
感染者のトリアージとそれによる対応と資源・インフラの確保補強、
検査数の増大など、アプローチは全く変わるし、
当然そうした状況を見据え政府でも準備してきたと信じたいが、
最終的には私たち一人ひとりの意識と行動が行く末を決める。
国、自治体、企業、国民、全ての個人団体を問わない主体が
やれることを最大限に行うこと。
様々な制約条件を取っ払って今やれることとやるべきことをやること。
今は出口が見えないが、やるしかない。
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長いので、1と2に分けて同時にアップします。
過日、政府より緊急事態宣言が発出され、
対象地域として七都府県が指定されました。
日本全国が同じく危機に直面しているわけではありますが、
特にこの七都府県の皆さんは大変な状況下に置かれています。
この中には、これまで本町に対し多大なご支援とご貢献を
いただいた方々や、「もう女川に住んだら?」と言っても
いいくらいの"県外だけどほぼほぼ女川町民"の皆さん、
また、復興支援として派遣職員を送り続けてきてくれた各自治体、
そして実際に派遣されていた戦友ともいえる職員の方々、
数えきれないほどの恩人や友人、仲間たちがいます。
現況に対し心からお見舞いを申し上げます。
例年なら、来月5月3日の町内各神社の例大祭にも、
そんな多くの皆さんが集っていただいていたでしょう。
決して他人事でなく明日は我が身(町)でありますが、
今はお互い往来も憚られる、というかしちゃいけない状況だけど、
この状況が落ち着いたら、
ついこの間まであった日常を取り戻したら、
これまでのようにまた繋がりあいましょう!
お待ちしてますし、来ないならこっちから行きます!
お互い、今やれることを頑張りましょう!
さて、宮城県は現時点では緊急事態宣言の対象外ですが、
仙台市を中心にじわじわと増加傾向にあります。
また、本町を含む石巻圏域で発症者は確認されていないものの、
経済面のみならず影響は確実にあります。
例えば、仙台市内の新型肺炎感染者が
3月22日に金華山に渡った件は
4月1日の仙台市の発表で明らかになりましたが、
金華山に船で渡るには石巻市鮎川か女川からの二択であり、
翌日の4月2日に女川経由で渡った事実が確認されました。
訪問から10日以上経過してはいましたが
念のため離島航路ターミナルの消毒を同日午後から実施。
保健所からは、当該罹患者が発症前であったこと、
また船の事前の感染対策などから濃厚接触には該当しない、
という判断が船舶事業者には伝えられており、
町に対しても感染例の報告は現在もありません。
※(注記)感染経路や罹患者の行動履歴の調査などは保健所の権限です
感染確認や事態拡大につながる何らかがあれば
保健所から自治体に連絡されます
逆に言えば何も連絡がない、ということは
少なくともその時点では懸念される状況は認められない、
ということになります
このように、感染発症や拡大は招かれていないものの、
様々に対応が求められますし、していかなくてはなりません。
また、今回の事例から懸念をしていることがあります。
一例ですが実際にあった話として、東京都下のある町内会にて、
"この辺りに感染者がいるらしい"という噂が立ち、
「あの人顔をしばらく見ないな(隔離?)」
「○しろまる○しろまるへ出入りしていたらしい」など、
不安からくる疑心暗鬼と憶測が噂を生み、
感染していない方が感染していることにされてしまい、
自宅マンションへの帰宅をマンション住民から拒否された、
などの事例が報告されています。
一層の不安や心配が募る状況が生み出した残念な出来事ですが、
これはどんな地域に生じうることです。
そして憶測や噂で"既成事実化"する側、される側、
そのどちらにも私達自身がなり得ます。
大震災の時も根拠のない色々な噂が出回りました。
このようなことならぬよう、様々な情報を落ち着いて受け止め、
冷静に判断・対応することが求められます。
「正しく怖がる」とともに、
自身の日常活動での留意や日頃の感染症対策を
各自がしっかり行っていくことがなによりも大切です。
本町では以下のことを町民の皆さんに周知しています。
【移動について】
1緊急事態宣言対象の七都府県へは出向かない
2遠出や人混みへの外出をなるべく避ける
【町内での日常活動について】
1町内公共施設の一部利用制限
=町民及び町内通勤者以外の利用停止
2日常の感染症対策の徹底(手洗い等)
33密を発生させない
4飲食店を含む町内店舗利用への自粛は行っていないが、
利用する場合の人数・規模の縮小・制限などを
3密対策とともに行うこと
※(注記)14については状況により急な方針転換もあります
【町内各店舗・事業所について】
13密の徹底
21とともに、カウンターの消毒など、衛生対策の徹底
3来店者への手指消毒などの徹底
なお、飲食店などでは既にテイクアウトメニューの拡充や
宅配対応を行っており、町観光協会のサイトでまとめていますので
ご覧ください。このような対応が、
今後もし本町でも事態が進展悪化したときに
町民生活においても大きな助けとなるでしょう。
事業者自らの創意工夫に感謝申し上げます。
当然ながら本町を含む石巻圏域での状況や県内での感染拡大など、
フェーズが変われば周知・要請事項も変化します。
様々な状況を仮定し、町内各関係先との協議もしていますが、
状況の進展によっては感染拡大・流入抑止も考慮し
町独自の対応もしていくこととなります。
先が見えないウィルスとの戦いですが、
一人一人の行動の積み重ねが感染拡大を防ぎ、
見えない先の中に出口の光を見つけることに繋がります。
やることとやれることを各自がしっかり行いながら、
経験したことのない状況を皆の力で乗り越えていきましょう。
2に続きます。
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