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光合成の源「葉緑体」の分裂に脂質が関与 葉緑体が分裂する仕組みの一端を解明

© 2015 岡崎 久美子植物の細胞の中の葉緑体は無処理の場合(A)に比べ、PI4Pの合成阻害剤で処理した場合(B、C)では細胞一個当たりの葉緑体の数が増える一方、大きさが小さくなっていた。PI4Pと同じホスホイノシタイドの仲間であるPI3Pの合成阻害剤で処理した場合(D)では、葉緑体の数や大きさは無処理の場合とほとんど変わらなかった。右下白色のスケールバーは10マイクロメートル。

ホスファチジルイノシトール 4-リン酸(PI4P)の合成を阻害する薬剤を添加したときの葉緑体の様子
植物の細胞の中の葉緑体は無処理の場合(A)に比べ、PI4Pの合成阻害剤で処理した場合(B、C)では細胞一個当たりの葉緑体の数が増える一方、大きさが小さくなっていた。PI4Pと同じホスホイノシタイドの仲間であるPI3Pの合成阻害剤で処理した場合(D)では、葉緑体の数や大きさは無処理の場合とほとんど変わらなかった。右下白色のスケールバーは10マイクロメートル。
© 2015 岡崎 久美子

東京大学大学院総合文化研究科の岡崎久美子学術研究員と和田元教授、国立遺伝学研究所の宮城島進也教授の研究グループは、脂質の一種であるホスファチジルイノシトール 4-リン酸が葉緑体の分裂を担うタンパク質(葉緑体分裂装置)の一部と結合することを見出しました。

葉緑体は、光合成などの重要な機能を担う植物の細胞内小器官です。葉緑体は植物細胞内で新しく作られることはなく、既存の葉緑体の分裂でしか数を増やすことができません。これまで、葉緑体の分裂については複数のタンパク質が関与していること、葉緑体にはホスファチジルイノシトール 4-リン酸が存在することは以前から知られていましたが、ホスファチジルイノシトール 4-リン酸が葉緑体の分裂に関与しているか否かはおろか、その機能はまったく未知でした。

研究グループがシロイヌナズナにおいてホスファチジルイノシトール 4-リン酸の量を人為的に減少させると、細胞一個当たりの葉緑体の数が増えることから、ホスファチジルイノシトール 4-リン酸が葉緑体の分裂を抑えていることが明らかになりました。また、葉緑体の分裂に異常がみられシロイヌナズナを使った解析から、ホスファチジルイノシトール 4-リン酸は分裂装置を構成するタンパク質の1つであるPDV1と結合し、別の構成タンパク質であるDRP5BとPDV1との相互作用を変化させることで葉緑体の分裂を制御していることが示唆されました。

この成果は、植物の成長の基本的な仕組みの理解に貢献します。また、葉緑体の数や大きさを自在に変化させて、デンプン粒の大きさの異なる作物品種の開発などにつながると期待されます。

プレスリリース

論文情報

Kumiko Okazaki, Shin-ya Miyagishima, and Hajime Wada, "Phosphatidylinositol 4-phosphate negatively regulates chloroplast division in Arabidopsis", The Plant Cell ol. 27 (2015): 663-674, doi:10.1105/tpc.115.136234.
論文へのリンク(掲載誌)

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