平成24年度 津商工会議所 優良会員企業表彰制度の表彰企業が決定

当会議所では、管内企業の経営意欲を高め、地域経済の活性化を図ることを目的に、自社の経営改善を行なった企業、環境へ取り組んでいる企業あるいは地域の発展などに著しく貢献した企業など他の模範となる企業を顕彰する「優良会員企業表彰制度」を設けています。

本年度は審査の結果、「経営革新分野」の分野において次の2事業所がそれぞれ受賞されました。

■しかく昨年度(平成23年度)の優良企業表彰 表彰企業はこちらをご覧下さい

事業所名

株式会社 カンキョー

代 表 者

代表取締役社長 原田 浩伸

所 在 地

津市住吉町1丁目10番

設 立

昭和51年2月24日

資 本 金

1,500万円

事業内容

土木工事、電気工事、管工事、浄化槽保守点検業 、太陽光発電設備の設置工事

従業員数

37名

表彰理由

同社は、住宅等の浄化槽の据え付け工事業として、昭和51年2月に設立された。社是を「面倒なことを頼まれる会社になろう そのお客様に満足を提供して成長しよう」と定め、手間を惜しまずひとつひとつ顧客の要望を実現させることに全力で取り組んできた。
顧客に対して新たな価値・満足を提供するために関連する業務の拡大を図り、現在では個人客向け事業として浄化槽設置工事、浄化槽の保守点検、太陽光発電装置の設置、公共下水道接続工事などを、法人客向け事業として、環境整備等の土木工事、各種電気工事、浄化槽の維持管理、側溝等のしゅんせつ、給排水・空調等の設備工事など多種多様な業務を実施している。
平成14年6月には、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001を認証取得し、?@発注者の要求と期待に応えるサービスを提供し、社会に貢献するために、全社員、高品質のサービスの実現に徹する、?A一人一人が常に問題意識を持ち、小さな改善行動を実践し、大きな改善へつなげる、?B各部門及び各階層で明快な目標を設定し、いかに達成するかを計画し実施するという、品質方針を定め、顧客ニーズへの対応と自身の改善・改革に日々取り組んでいる。特に、顧客のニーズ・課題の本質を見極め目先の事にとらわれず先を見据えた提案を行い、顧客とWin-Winとなる関係を構築し、顧客からも高い評価を得ている。
また、顧客満足を高めるために新たな気づきを得て実践してきたことに「資格のマルチ化」がある。これは、従業員個々が業務遂行に必要な国家資格等を担当する業務の枠を超えて複数の資格を取得することである。これにより、顧客と直に接する従業員が担当する業務だけでなく顧客のニーズ・要望に幅広く、かつ迅速に対応することが可能となる。従来であれば、会社に持ち帰って別の従業員が対応するなどしていたが、「資格のマルチ化」により、ワンストップ対応が可能となって、顧客の利便性、対応速度の向上が図られ、その結果、顧客の信頼感の醸成、固定化・ファン化へとつなげていくことができている。現在、総勢37名の従業員で1級土木施工管理技士や浄化槽管理士など業務に必要な国家資格等を20種類以上も保有している。資格取得の延べ人数は90名であり、一人で3種類、4種類の資格を有する従業員も多い。また、土木工事部、設備工事部、維持管理部、電気工事部の現場4部門と管理部門の総務部の5部門があるが、資格所得は、単一部門にこだわらず他の部に関連する資格取得を奨励し、外部研修などの人材育成や資格手当など制度面も整備されている。実際、総務部の従業員が現場の資格を取得し、社内のコミュニケーションや顧客との応対等に活かされている。
「資格のマルチ化」により個々の知識・技術のレベルアップがなされ、顧客の課題を解決する力や対応力が向上するとともに、従業員のモチベーションアップ、組織の活性化促進、さらには定着率や営業成績の向上にも貢献している。 このように同社では、社是や品質方針で顧客ニーズの対応・実現化による顧客満足度の向上に取り組むことを明示し、それを経営者・従業員が理解し、一丸となって実践し着実に成果を上げている中小企業である。

事業所名

代 表 者

代表取締役社長 中尾 修也

所 在 地

津市大倉19−6

設 立

昭和24年(創業 大正14年3月)

資 本 金

5,000万円

事業内容

住宅用金具製造業

従業員数

110名

表彰理由

同社は1991年に中国山東省海陽市東風路に進出。近年でこそ中小企業に於いても特に珍しくない海外展開の先駆けとなる。進出したきっかけは、1989年に中国山東省軽工業局が、日本の通産省(当時)に企業誘致の相談を持ち掛けたことに端を発する。
進出した初年度は現地の腕試しとして生産委託を行い、正式な調印はその後となる。
当時は現地の電気事情も悪く、照明が灯らない中での調印式となった。尚、正式な企業名は【海陽中尾五金有限公司】。
更に5年後、上海に合弁工場【上海中尾五金有限公司】を設置。海外展開そのものが珍しい中に於いて現地で着実に地歩を重ねてきた。
進出から現在まで約20年の歳月を経て、その間に中国進出に於ける様々なノウハウを蓄積し、中国への進出を狙っている日本企業(上場企業から中小企業まで広範囲)からの相談を受けることも多い。
当社の海外展開が成功した要因としては、中国人を幹部に登用するなど現地に根付く努力を重ねてきた、国内で培った生産管理や品質管理技法の導入、中国大手【万科(不動産デベロッパー)】の信頼を獲得することに成功し良好な関係を築いている、などが挙げられる。
1991年に進出した当時は、現地従業員の人件費の安さから新たな生産拠点としてコストの削減効果を見込んでいたものの、近年では中国の人件費が上昇しコスト効果が薄れている。よって5年程前から方針を転換し、中国マーケットへの深耕を目的に、現地を販売拠点として位置付けている。
更に直近の海外展開の動向としては、約2年間を掛けて貿易調査を行い、インドネシア、マレーシア、タイを今後の有望市場と捉え、展示会への出展など積極的に打って出ている。 海外展開を試みたものの僅か数年で失敗して撤退する事例は数多い。それに対して、海外展開の事例すら殆どない中で中国に進出し、生産拠点としての地歩を固めた後、更にもう一歩踏み込んで海外マーケットへの深耕を目指して販売拠点と位置付け成功した中小企業である。