団体名
■しかく特定非営利活動法人 アート夢ネットあきた
所属/ 担当者名
■しかくNPO法人アート夢ネットあきた理事・事務局長 大和田しずえ
連絡先
■しかく電話 0187-44-3970
■しかくE-mail shizue@warabi.or.jp(上記担当者の連絡先)
活動地域
■しかく秋田県仙北市西木町
■しかく総面積は 264.95k?u、面積の約9割が山林・原野、耕地率4.9%の典型的な山村。降雪量は 1.5m〜2.0m、積雪期間が 150 日以上の特別豪雪地帯。人口は平成17年5,641人、過去30年間の人口減少率は 20.9%。65歳以上人口比率は35.0%と少子高齢化が進行。現在の集落数は79。集落の数はほとんど変化無く推移しているが集落人口は人口減少と同調し減少。しかし消滅した集落は無い。世帯数については、昭和50年が1,714戸、平成17年が1,609戸で6.1%程度の減少率である。高齢化率は、昭和35年4.3%から、平成2年に18.8%、平成17年35.0%と急速な速度で進んでいる。
公共交通機関としては、民間路線バスと内陸縦貫鉄道があるが、民間バスは不採算路線であり、平成22年4月に県の補助金見直しが行われると補助対象外となり、廃止されることもあり得る状況である。また、内陸縦貫鉄道については 運行の継続は決まったものの、大変厳しい経営状況にある。
【仙北市地図】
【 雪に埋もれた高齢者宅 】2008年2月赤倉一善 撮影
■しかく 20年度の取組みでは高齢化率40%以上の15集落、261戸にアンケートと訪問聞き取りによる調査を実施。内一人暮らし世帯が17%、全員65歳以上の世帯が26.1%と、独居老人や高齢世帯の暮らしぶりが不安視される状態である。日常生活で不便と感じることは、の問(複数回答)に対し、通院の大変さが30.7%、雪おろしや除雪作業の大変さが24.7%、買い物の大変さが20.4%という結果だった。また、不安を感じる緊急事態とは、の問(複数回答)に対しては、急病や事故などへの救急医療体制との回答が62.3%にのぼった。一方、このように不安や不便さを抱えていても、現在地に住み続けたいとの回答は80.6%あり、住み続けるための集落内、周辺集落内の協働の取り組みによるコミュニティの活性化が求められている。また20年度の学生モニターによる一人暮らし老人宅訪問による会話の中で、外出は月に1回の通院だけという高齢者が少なくないことも判明し、交流の場の創出が求められている。
■しかく平成20年度
学生の若い感性と視点で地域の魅力や課題を浮き彫りにしてもらうために、都市部の学生を招聘して、高齢者住宅や温 泉施設などに宿泊しての体験調査を実施した。ケアサービス体験、除雪体験などをしてもらい、地域住民の声の聞き取りと同時に地域の課題と改善の提案をまとめてもらい、これらを踏まえて、フォーラムを開催した。
■しかく平成21年度
活動?@ :県内の大学生による高齢者宅訪問の継続的実施。
農作業や除雪などの訪問活動を通じて学生とお年寄りの信頼関係が構築され、地域で暮らす人と自然の魅力を共有することができ、双方がさらに元気になることをめざす。
活動?A : 医療の悩み相談と健康づくりをセットにした地域交流会の開催 地域医療に取り組む医師による医療講話、健康体操講師による実技講習をセットにした地域交流会を開催し、引きこもりの老人に外出と健康増進の場を提供する。同時に地域住民の楽しい交流の場とする。また、20年度に交流を深めた都市部の学生を招聘して高齢者との交流の魅力をさらに醸成してもらう。
活動?B :アッシー君、アッシーさん創出事業 日常生活では近所同士だからこその遠慮やしがらみにしばられて、困った時の助け舟を求めることが困難なことも多い。そこで、アッシー希望者のリストアップと地域の住民のニーズ調査を行い、マッチングした上で、調査実践を行う。
■しかく平成20年度
本事業で当初設定した目的は、地域住民が現実にある様々な社会問題 に目を向け、自らの力で解決する機運を高めること、またその成果として「生活防衛団」を結成する意識形成を行うことであった。結果は、予想以上のものがあった。
・地域と問題を共有し、解決に向けた道筋を提示する目的で「暮らし方 を決めるのはここに生きている私たち」と題して実施したフォーラムには、当初予測を大幅に上回る487名の参加があり、「地域のむすびつきが重要であると実感した」「自らが活動する重要性に気がついた」などの声が寄せられた。
・学生参加者からは、「高齢者の移動手段を地域ごとに作る仕組みづくり」「学生が定期的に支援に入る仕組みづくり」「若者と高齢者の情報交 写真/都市部の学生による除雪支援 換、文化交換できる仕組みづくり」などの意見が寄せられた。
写真/都市部の学生による除雪支援
■しかく平成21年度
活動計画?@と?Aについて
・20年度活動において交流の深まった千葉大学の学生による再度の訪問活動が実現。高齢者宅を訪問して庭の手入れや畑仕事の手伝いなどを通して一層ふれあいを深めることができた。交流2日目の午後に開いた地域交流会では、学生がお年寄りに寄り添って参加し、「まるで孫ができたようだ」と涙ながらに喜びを語るお年寄りの姿があった。
・これらの活動を踏まえて、開催した「健康づくり地域交流会」には133名の高齢者が参加した。「新しい公共は仲間づくりですよ」という市長の挨拶や、作家で介護経験豊な浅利佳一郎氏による「認知症なんかこわくない」の講演に笑いがはじけた。昼食を挟んでそっくりショーを楽しみ、温泉につかったり、血圧測定をしたりと盛りだくさんの内容に大満足の笑顔があふれた。
また、スタッフによる聞取り調査にも積極的に協力してもらい、その中で、70代後半〜80代の一人暮らしや高齢世帯においても、自力で除雪や冬囲いをし、人に頼らない生き方をしている姿が浮き彫りになった。
・ 秋田県内の学生による訪問活動も継続実施中。ワラ細工やイタヤ細工など農具の技の名人や伝統料理の名人から技を 伝授してもらい、写真付き解説書としてまとめる活動をしている。それは地域の宝として継承することにつながると確信しているが、何よりも、お年寄り自身が元気を取り戻している。
・ 今年は積雪量が多いため県内学生による除雪支援は感謝されている。
写真/浅利佳一郎氏の講演に聞き入る参加者
会話がはずむ聞取り調査
高齢者宅の屋根の雪降ろし作業
■しかく課題
自力で冬囲いや毎日の除雪もこなして、元気に暮らしている元気な高齢者の姿は頼もしいが、一方で妻や夫の介護に 疲労困憊の老々介護も増加しており、我が家で暮らしたいと願うお年寄りに対して、地域コミュニティができることは何かが問われている。
■しかく展望
学生は県内県外を問わず、その若い感性とパワーで、地域で暮らしてきたお年寄りの生き方から丸ごと吸収しようと いう意欲にあふれ、お年寄りの元気を引き出している。これからも後輩たちに引き継いでもらい、学生による訪問活動を継続していきたい。そのことは、この地域で生まれ育った子どもたちが地域の魅力を発見する大事な機会ともなる。
地域でできることを持ち寄り、語り合う場の創出をはかる。可能なことから実践に移す「結い」の具体化をはかる。