団体名
■しかく「五城目」まちコミュニティ創生・ふるさと元気再生協議会
ホームページ
■しかくhttp://attaka-attaka.net/
所属/ 担当者名
■しかく理事・事務局長 土橋文平
連絡先
■しかく電話 018-852-5027
■しかくE-mail attaka-go@leaf.ocn.ne.jp
活動地域
■しかく秋田県五城目町
(中心市街地、集落、郊外の観光・集客施設等を含む町内全域)
・人口減少・高齢化率が全国で最も高い秋田県の中で、特に本町を含む秋田市周辺の市町村の人口減少・高齢化が集落を中心に急激に進むとされており、平成42年時の本町は町民の約2人に1人が高齢者になると推計されている。
・既に、本町は、全人口約11,800人の既に3割が高齢者であり、生産年齢人口の減少により、500余年の伝統を誇る朝市の存続危機と中心市街地の衰退に加え限界集落問題が深刻化するなど、県内でも都市部との地域経済・生活条件の格差が特に顕著に広がっている地域である。
・本町内には、鉄道の最寄り駅が無く県内でも特に自動車依存率が高い交通条件の中で、町内の集落を廻る一般バス路線の廃線となる一方、代替手段として行政の施策により乗り合いタクシーが一部の地区で試験運行している。
・また、秋田県は、自殺率が減少傾向にあるものの依然として全国で高い水準にあり、その中で本町は近年2番目に自殺率が高い水準に達したこともある。自殺の理由のひとつには、孤独感が要因にあるとされている。
五城目町の位置
路線バス(廃線予定)に乗る集落の高齢者
各集落と街の中心の朝市通りを結ぶ、高齢者等の足の確保と買物の利便性の向上が、コミュニティ創生のカギ.
五城目朝市通りの様子。朝市が終わると商店街に人気がなくなってしまう。
・活動地域の状況を踏まえると、集落地域の高齢者等が街なかに出て、買物等を通じて人々とふれあい、地域社会に関わることが極めて重要であるといえる。
・路線バスの代替の交通手段が導入されても、限界集落を生まないためには、今後増加する運転できない・しない・したくない高齢者や妊産婦など移動制約者(=消費弱者)の日常生活の利便性を確保することが重要となっている。
・他方、朝市は、中心市街地の商店が並ぶ通りで毎月平均12回開催されているが、その買物客による沿道の一般商店への消費行動は決して盛んでなく、朝市を活かした季節イベント等の商店街活性化策が打たれているが、その効果を日常の商店街活性化に結びつくまでには至っておらず、消費拡大を促す方策が重要となっている。
■しかく平成20年度
■しかくBDF(バイオディーゼル燃料)の普及推進活動における集落在住高齢者等の移動サポート実験への取り組み
?@コミュニティ創生に向けたBDF(バイオディーゼル燃料)事業の本格実施にあたっての事前調査と、地域交通に関わる住民・関係機関に対する意識・意向調査
?A 多様な主体の連携と官民協働による植物油(廃油)の回収とBDFの自主精製の実験
?B BDFの配布と使用によるコミュニティ創生等の効果の検証
?C 本提案事業の本格化による、まちづくり会社(TMO)によるコミュニティビジネス化の可能性検討
■しかく平成21年度
?@ 集落地域における官民協働によるBDF普及事業の推進
行政側で先行して植物性廃油を回収している集落を除く各集落地区を対象に、TMO(?鰍?ったか五城目)と町民有志が協力して廃油を自主回収し、行政指定の「食油リサイクル協議会」の事業所に定期的に運搬する。
?A 集落地域における御用聞き実験
朝市通り商店会から御用聞きの実験に参加する商店を募り、活動?@の集落地域における廃油回収を通じて、高齢者等居住世帯に対する御用聞きを実践し、その実施方法や利便性、改善点等に関するヒアリング調査を行う。
?B 朝市通り商店街でのお買物サポート実験
高齢者等をサポートするため、町民有志(介護経験者等)がTMO事務所(「朝市通りあったかサロン」)に詰 めて、アンケート調査を行いながら買物代行(現場での御用聞き)や随行(荷物持ち)、荷物預かり等を行う。
■しかく平成20年度
(1)達成できた目標
?@集落の高齢者や個人事業者等に対して、BDF、送迎サポート、御用聞きの必要性 等に関し、基本的な実態とニーズの傾向を把握できた。
?A新聞チラシや町の広報誌等により周知を図り、朝市通りでの協働イベント等を 通して、植物性廃油の回収・精製・利用を実践し、普及の糸口とコミュニティ 創生ツールとしての可能性を掴んだ。 ?B御用聞きと送迎サービスは、御用聞きの現実的な難しさや個人事業を取り巻く 経営環境、法律上の制約等により継続的な検討課題となったが、タクシー会社 と町民有志の協力を得て代替的な送迎・回収手段を確保することで町民ニーズ に応え、朝市や商店への来客と交流の創出を実現した。
(2)新たに見出された展開可能性・将来性
?@行政の事業として植物性廃油の回収と乗合バスの運行が先行的に軌道に乗り始 めていることから、本活動の結果を踏まえながら行政と民間の適切な役割分担 を図り、連携することにより、活性化・環境・福祉・教育等のテーマが相互に 絡みながらコミュニティ創生事業の多様な展開が期待できる。
?A町民有志が自家用車を持ち込み、廃油収集の巡回や乗合乗降時の高齢者のサポ ートを自主的に行なうなど、新たなまちづくりを担う元気な人材が発掘できた。 また、その成果が御用聞きの方法の再検討に活かされ、高齢者等の日常の買物を サポートする仕組みが出来上がる可能性を見出すことができた。
有志の町民が自家用車でBDF用廃油の回収に努めた.
BDF用廃油回収車に随行する送迎車に乗る集落の高齢
集落から送迎車(「あったか号」)で朝市に来て、休憩所の「あったか サロン」で談笑して過ごした高齢者を笑顔で見送る町民サポーター
■しかく平成21年度
BDFの普及は、2年度にわたる活動により官民の役割が分担されてきたとともに、 各集落をつなぐ協働の取り組みとしてコミュニティの醸成に役立っているといえる。
また、20年度において行政、商工団体・TMOをはじめ多くの関係機関・企業が 集まり結成した本協議会メンバーには、21年度から町民が加わり、介護の資格を持 つ町民もサポーターとして常時参画し、企画や広報を自主的に行うようになった。
御用聞きや買物サポートは、21年度から本格的に実験を実施したが、初期段階で あることや改善が必要であることから当サービスを利用する高齢者はまだ少ないが、 協議会メンバーがこの2年間を通じて協働して取り組んだ活動は、集落の高齢者等 にとっては精神的な支えにもなり、いくらかでも孤独感が解消されるなど日々の生活 に安心感がもたらされていることが、 高齢者に対するアンケート結果から も伺うことができる。
回収した廃油を巡回車のタンクに
入れているサポーター
御用聞きしている様子と、朝市商店会のお店に寝具の注文が入り、店主自らが集落の住民宅に届けている様子
■しかく活動を通して見出された検討課題
本町の集落住民の生活利便性向上と中心市街活性化を果たすべく、TMOと商店会を中心としたコミュニティサービスビジネスの本格的事業化に向けては、次の5つの検討を行なう必要性が見えてきている。
?@コミュニティサービスにおける、官民の連携・役割分担の検討と、TMOの運営事業としての採算性を検討。
?A高齢者が気兼ねなく買物が出来るコミュニティサービスの検討。
?B御用聞きのサービスを補完する、中心市街地商店街と集落地域を直接結ぶ新たな商品提供方法を検討。
?C高齢者の個別ニーズに応える地元商店街ならではのきめ細かい品揃えや、不足している商業機能の対策を検討。
?D有志町民(学生を含む)や地元企業等が加わった、継続的なコミュニティサービスの体制づくりを検討。
■しかく展望(検討課題に対する今後の具体的取り組み(案))
?@官民の多様な主体が参加する、採算性のあるコミュニティサービス運営事業に向けたワークショップの定期開催
?Aバス路線廃止による、地域交通網の劣化に対応する行政等への提言(お年寄り等の交通の確保)
?B朝市通りあったかサロンのサービスメニューの見直し(一時レンタルカートの改善、荷物預かりの充実など).
?C高齢者でも立ち寄りやすい、朝市通り商店街の飲食店や食のメニューの充実(食のブランド開発の成果も活用)
?DTMOの研修スタッフの配置、TMOと市民グループとの連携強化、地元企業からの人的協力(CSR)の提携等