さいたま市は大宮駅周辺への賑わい拠点整備に向けた検討を深める。旧大宮区役所跡地や現存する大宮小学校などの敷地を活用するもの。12日のまちづくり委員会では実施方針案を通じて現段階の事業イメージを示し、市側が想定する基本的な方向性やまちづくりコンセプトなどを報告した。今後は実施方針を具体化するため権利者や市民の意見を積極的に反映する体制を構築する方針で、まちづくり協議会や懇話会を設立する見通しだ。
新庁舎への機能移転に伴って解体した旧大宮区役所跡地、老朽化がみられる大宮小学校などの敷地に賑わい拠点を整備する計画。大部分が公共用地であることを生かした公益性の高い土地利用を図りつつ、周辺の民有地との一体的なまちづくりに取り組むことでエリアの将来可能性を向上させる方針となっている。
委員会で報告された実施方針案によれば、交通結節点となる大宮駅周辺に居心地のいい緑の広場を確保するとともに、駅前賑わい拠点でしか体験できない新たな魅力を導入することが事業の基本的な方向性となる。
みどりの広場や商業・業務・住居などの賑わい機能を設けつつ、150年の歴史があり地域のシンボルでもある大宮小学校は公民館と複合化して建て替える方針を示す。
大宮小学校は一部の校舎が市内小学校で最も古い校舎となっており、早期に教育環境を更新する必要がある。実施方針案ではまず、まちづくりに先駆ける形で暫定の1期校舎を整備する考えを打ち出した。
暫定校舎の基本計画・設計と並行して、まちづくりプランを2026年度に策定。暫定校舎を整備しながら事業計画の立案・検討を深め、計画がまとまった後に公民館を複合した本設の2期校舎を整備するイメージ。
事業全体では、1期校舎の整備におおむね4年を充てる試算だ。1期校舎の供用開始から10年程度をかけて、事業計画の完成と2期校舎・まちづくりの工事を進めていく格好となる。
事業手法については周辺民有地の権利者と意向を調整しつつ、市街地整備手法(土地区画整理事業・市街地再開発事業など)や民間活力導入の組み合わせを検討する。
今後は実施方針の具体化に向けて、権利者・市民意見を積極的に反映する体制を構築する予定。
事業の方向性を決める議論の場としては、権利者が主体的に進める組織となる「(仮称)大門町3丁目南地区まちづくり協議会」を設立。拠点全体の在り方に対して意見交換を図る場として、多様な関係者との合意形成を推進する「(仮称)大宮駅東口駅前賑わい拠点まちづくり懇話会」を立ち上げる見通しだ。
提供:埼玉建設新聞