八潮市で発生した道路陥没事故に関する原因究明委員会は4日、第3回目となる会合を開催、中間取りまとめを行った。今回の道路陥没の原因は、県が管理する中川流域下水道の硫化水素によって腐食した下水道管に起因するものであると結論付けるとともに、今後の検討課題などについて確認した。
委員会は、1月28日に八潮市中央一丁目の県道交差点中央付近で発生した道路陥没事故の原因の究明について、あらゆる可能性の検討を進めてきた。中間取りまとめでは、現地調査や関係者へのヒアリングなどに加えて、これまで得られたさまざまな実験や試験などの結果を踏まえ、今回の事故現場で実際に発生したシナリオの絞り込みへと議論を進めた内容を報告した。
今回の事故については、最初に発生した陥没穴は下水道管の直上で発生したことに加え、陥没深さより深い地下埋設物は下水道管のみであり、かつ土砂を引き込む可能性のあるほかの要因(他の地下工事、坑道跡、自然生成の水みち)は確認できなかったことを踏まえ、中川流域下水道の硫化水素によって腐食した下水道管に起因するものであるとした。
さらに、道路陥没について▽シナリオ1=小規模空隙から空洞が発生・拡大し、陥没に至る▽シナリオ2=小規模空隙から空洞が発生し、その後下水道管が崩壊して陥没に至る▽シナリオ3=下水道管が崩壊して、急激に陥没に至る―の3つのシナリオを想定。委員会では、シナリオ1もしくは2が陥没のプロセスとして有力であると判断した。
今後は、現在継続中の残存物の回収や試験などの結果をもとに、さらなる検証と同様の事故発生を防止するための留意点について、工学的・技術的な視点から?@陥没箇所における残存物の検証?A点検・調査方法についての検討―を進めていく。
大野元裕知事は、『今回の道路陥没は、埼玉県が管理する中川流域下水道の硫化水素によって腐食した下水道管に起因するものと考えられる』と結論付けられたことを受け、「大規模な下水道管の点検・調査方法の抜本的見直しや対策方法の確立の必要性など、今回の事故で浮き彫りになった課題について、引き続き、国に対しても積極的な取組みを求めるとともに、下水道の管理者として下水道施設の安全確保に努めていく」とコメントした。
提供:埼玉建設新聞