くらしが育んだ「里」を未来へ
人々のくらしに育まれてきた健やかで美しい「にほんの里」100選。
各地のニュースや活動、特色や所在地――里からの発信をお届けします。
約300年続く小鹿(おん)田(た)焼の里。谷水を利用して陶土をつく臼の音が集落全体に響く。登り窯の燃料は、日田の製材所の端材を生かす。
※(注記) 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。
※(注記) 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。
2016年09月19日
工房に展示されている小鹿田焼の陶器
陶土を細かくする唐臼
共同で使われている登り窯
日田市の皿山を9月半ばに訪ねました。ここは国指定重要無形文化財の「小鹿田焼(おんたやき)」を伝える里です。現在は10軒の窯元が、陶土の採取から登り窯による焼成までの作業を、家族だけの力で続けています。ふらっと立ち寄っても、野外には水の流れを動力とした唐臼(からうす)で陶土を粉砕する音が響き、成形を終えた大小の器が天日乾燥されている様子を見ることができます。登り窯の燃料には、日田杉の枝葉や端材も使われており、資源が地元で循環利用されている様子が垣間見られました。
毎年10月には、ここの全ての窯元が参加して陶器を販売する「小鹿田焼民陶祭」が開かれてきました。機会があれば足を運んでみてください。
2016年02月01日
唐臼つく土で小鹿田焼
「ギィーッ ザザー ゴトン」。谷間の里・皿山にのどかな音が響く。鹿威(ししおどし)と同じ原理で、竿の水受けから水がこぼれると、反動で反対側の杵きねが振り下ろされる、「唐臼(からうす)」の作業音だ。
谷水を引き、昔ながらの方法で陶土が細かい粉になる。この地元産の陶土が300年の伝統を誇る国の重要無形文化財、「小鹿田焼(おんたやき)」となる。登り窯の燃料には地元産の木の端材を活用。「飛び鉋(かんな)」や「刷毛目(はけめ)」の模様が特徴だ。
唐臼の音は「残したい日本の音風景100 選」に、「小鹿田焼の里」は重要文化的景観に、国から選ばれた。
窯元自慢の品々は5月の連休にある「唐臼祭」、10月の「小鹿田焼民陶祭」で展示即売され、静かな里がにぎわう。
(グリーンパワー2016年2月号から転載)
1 2